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第4話 少女との邂逅

 俺は街に向かいながら色々と情報を整理することにした。


 まずは、エルネルの錬金術で手に入れた金貨と銀貨だがこの世界の貨幣は他にも白金貨、小金貨、小銀貨、銅貨がある。

 価値としては、一番高いのから白金貨、金貨、小金貨、銀貨、小銀貨、銅貨の順だ。

 日本円を基準として考えると、銅貨が100円、小銀貨が1000円、銀貨が10000円、小金貨が100000円、金貨が1000000円、白金貨が10000000円になる。

 つまり今の俺の所持金は、金貨が5枚と銀貨が20枚だから日本円にして520万を所持してることになる。

 ワイバーン一匹を倒しただけでこれ程の額の金が手に入るなんてと思う人もいるかもしれない。

 だが、俺はこの転生した体のおかげで楽に倒せたが、実はワイバーンは冒険者ギルド定めている討伐難易度だとCランクに属する。

 この討伐難易度は、Cランクなら平均的なCランク冒険者の6人パーティーで討伐出来るくらいの難易度だ。

 ちなみにCランク冒険者は冒険者の中でも一流と呼ばれるような実力の持ち主だ。

 そんな一流の冒険者でも6人パーティーでいかないと討伐出来ないのがワイバーンなのだ。

 もちろん俺と同じようにソロで討伐してくる者たちもいる。

 それは、冒険者の中でも一握りしかなることが出来ないBランク以上の冒険者たちのことだ。

 しかし、Bランク以上の冒険者は成れる人が少なくだいたいの街ではCランク冒険者がトップになる。

 ましてや冒険者の最高ランクのSランク冒険者にもなると俺がいる大陸には3人しかいない。

 つまりワイバーンは普通の冒険者では倒すのが難しい魔物になる。

 だからこの金額になるのも当たり前なのだ。


 次にこの大陸の国々について考えよう。

 今俺がどこの国のどの街に向かっているのか分からない状況だから、各国の情報を整理しておいてどの国だったとしても対応出来るようにしとくのがいいだろう。

 この俺が転生してクラスメイトたちも召喚された大陸には多くの国々がある。


 代表的な国々は―――。

 大陸南部に肥沃な大地を持ち全種族の共存を目指している、ユグリス王国。

 大陸北部にあり圧倒的な軍事力を背景にヒューマン以外の多種族を排除しようとしている、ガルネシア帝国。

 大陸南東部にある大陸一の勢力を誇る光神教の総本山を中心として形成されていった、クライスト聖教国。

 大陸西部に部族ごとに別れていたビーストマンの各部族が帝国に対抗するために集まって出来た、ライオネル獣王国。

 大陸中央の大森林に住み精霊を崇めているエルフたちで形成されている、エルージャ精霊国。

 大陸東部にある山岳地帯の鉱山を中心とした武器や防具等を作る職人ドワーフたちの集まりである、ダグネス王国。

 マーマンやマーメイドたちの海の中にある国、海底国家オーシャン。

 フリューゲルが住む空飛ぶ島を領土とする天空国家ウィンダル。

 大陸南西部の商人を中心とした都市である、都市国家モーリス。

 これらの国々になる。

 他にも中小の国家がある。


 多分だが、俺が今向かってる街がある国はこの国々のどこかだと思う。

 勘だが中小の国家らではないと考えている。

 そして、そう考えるとさらにここから絞ることが出来る。

 俺が今飛んでいる場所は草木が多い温暖な気候だ。

 もうこれだけで、荒れ地の多い西部、山岳地帯が大半を占める東部、寒さが厳しい北部が除外される。

 さらにエルネルは、南に街があると言っていた。

 これで、島全体が領土であり街という概念はないウィンダルも除外されて、海の中にあってこちらも海という広い場所が国という考えでありこちらも街という概念がないオーシャンも除外される。

 ということは、俺が向かってるのはユグリス王国かクライスト聖教国か都市国家モーリスになるわけだ。

 俺としては全種族の共存を目指しているユグリス王国が過ごしやすくていいと思うんだよな。

 クライスト聖教国と都市国家モーリスはあまり行きたくない。

 こっちに来る前に読んでた小説に出てくる神官とか商人って結構めんどくさいイメージあるし。

 まあ今はユグリス王国の街に着くことを祈って向かうとしますか。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 私は今1人で何も出来ずに馬車の中でこの悪夢が早く去ってくれと震えながら祈っていた。


「このっ!いい加減くたばれ!」


「おいっ!陣形を崩すな!」


「特大の魔法くらわしてやるから詠唱の時間稼いでくれ!」


「任せろ!」


 馬車の外では私の護衛の騎士たちが必死に悪夢と戦っています。

 私にとっての悪夢、討伐難易度Bランクであるキングアーマーグリズリーと。

 護衛の騎士たちは冒険者で言えばCランク相当の実力の持ち主たちですが、キングアーマーグリズリー相手だと防戦一方です。

 それでももう少なくない犠牲が出ています。


「くらえっ!“フレイムミキサー”」


 護衛の中にいた魔法が使える方が火魔法の中級魔法の“フレイムミキサー”をキングアーマーグリズリーにくらわせました。

 放たれた炎の渦はキングアーマーグリズリーの体に取りつき回転しながら無数の炎の刃で切り刻んでいきます。


「ぐわぁぁぁっ!」


 キングアーマーグリズリーもさすがにこれは効いたのか苦しそうにしています。


「やったか!?」


 魔法を放った騎士はその様子を見て興奮しながらついにやったかと叫んでいた。


「いやっ!まだだ!」


「そんな嘘だろ!?中級魔法でも仕留められないのかよ!?」


 しかし、炎が消えたそこにいたのはキングアーマーグリズリーの死骸ではなく、怒り狂ったキングアーマーグリズリーがいた。

 仕留めたと確信していた騎士は叫んでいますが、それは周りにいる騎士も同じでしょう。

 これ以上高位の魔法である上級魔法と最上級魔法なんて使えるのは宮廷魔法使いと一部の高位冒険者くらいしかいません。。

 ここにいる騎士だと彼が放った中級魔法までしか普通は使えないのです。

 魔法は戦いにおける最も威力が強いものです。

 つまりこの場における最高火力の攻撃すらキングアーマーグリズリーを倒せなかった現状もう勝ち目はないに等しいです。

 彼ももう一度中級魔法を打つほどのMPが残っていないみたいのも絶望的です。


「……誰か助けて」


 その言葉は外の戦いの音にすぐにかき消された。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ユグリス王国に行ければいいなぁと思いながらしばらく飛んでいると、今まで見なかった街道を見つけた。


「お、これに沿って行けば街に着けるか。ちょうど方向も南のほうに向かってるようだし」


 街道を見つけた俺は、それに沿って目的の街を目指すことにした。


「というか今何時だか分からないけど、日が暮れ始めてるから早めに街に着きたいな。さすがに野宿は勘弁してほしい」


 そして、今までより飛ぶスピードを早くして街道沿いを進んでいった。

 それから30分ほど飛んでいると街道に馬車が停まっており、そこで熊みたいな魔物と全身鎧の人たちが戦っているのが見えた。


「―――!――――――!」


「――――――!?――――――!?」


 なにやら騒いでるようだがここからだと聞き取ることは出来ない。

 しかし、熊のほうはまだまだ元気そうで全身鎧の人たちは満身創痍なのをみると明らかに劣勢なのは分かった。

 このままだと遅かれ早かれこの人たちは熊の魔物に殺されるだろう。

 そんな状況でも逃げ出さずに馬車を守ろうとしているのを気にしながらも、俺は助けに入ることにした。


「“大典太光世”」


 俺は《天下五剣》のスキルを使い大典太光世を作り出した。

 相手は熊だから死体を纏めて斬ったという大典太光世を選んだ。

 熊は脂肪とかがすごいと聞いたことがあるからな。


「なるべく一撃で決めたいな。まだ実戦に慣れてない俺だと途中でやらかしそうだからな」


 そんなことを言いながらも俺は自然と倒せると確信していた。


「一撃で決めるならやっぱり上空からの奇襲でやるのが一番いいか」


 俺がそう考えてるうちに地上の戦いも動きがあった。

 熊が全身鎧たちに向かって突っ込んでいったのだ。

 それを全身鎧たちは数人が盾で防ごうとするが止めきれずに吹っ飛ばされた。


「うわっ、どんな馬鹿力だよ。というかこれはもう行かないとやばいな。持ちそうにない」


 熊のパワーに驚きながらも俺は熊を倒すことにした。

 そして、突っ込んだ熊が近くにいた全身鎧を押し潰そうと立ち上がった瞬間―――。


「今だっ!」


 俺は全力で一気に降下し、立ち上がり斬りやすい位置にある熊の首を目指して斬りかかった。

 そして、ワイバーンと違って反応したが対応しきることが出来なかった熊の首を抵抗もなく斬り落とした。


「ふぅ、あの熊俺の攻撃に反応したな。ちょっとびびったわ。それにしてもこの反応はどうにかならないかな?気持ちは分からなくもないけど」


 俺が地面に降り立ち辺りを見渡すと、全身鎧たちは自分たちが苦戦した熊が一撃で倒されたからなのか放心しながらこっちを見ている。


「……っは!?お、お前は誰だ!?」


 周りより多少違いがある全身鎧が放心していた状態から戻ってきて、俺の正体を問いただしてきた。

 鎧の違いは指揮官か何かなのか?

 俺がどうでもいい疑問を感じてると、その間に指揮官(仮)の言葉で他の全身鎧たちも放心状態から解放され俺の周囲を取り囲んでいた。


「ああ、俺は―――」


「……もう……終わりましたか?」


 俺が話そうとしたところで、馬車から怯えた様子の少女が顔を出した。




 ―――その時の俺はこの出会いがこの後の運命に大きく関わることになるとはこの時は想像だにしなかった

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