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プロローグ

ゆっくりマイペースに更新してくつもりなんで暇潰し程度に読んでもらえればありがたいです。

 春、それは別れと出合いの季節である。


 俺、斑鳩総司いかるがそうじは新学期になり高校2年生に進級して浮かれているクラスメイトたちを見ながらそんなことを思っていた。

 別に何か思うことがあってのことではなくただふと思っただけだ。


「よお、総司。相変わらず朝は眠そうだな」


「哲、おはよ。まあ今日も朝方までゲームやっててな」


 俺は親友の柳沢哲夫やなぎさわてつおに苦笑しながら定番となった返しを返す。


「しっかし総司も随分あのゲームにはまったな」


「まさか俺も自分がここまではまるとは思ってなかった」


 このゲームというのは、今全世界で話題沸騰中の超人気VRMMORPG『インフィニット・ポシビリティー・ワールド』のことだ。


「ま、俺としても一緒にやる相手がいて助かったわ」


「俺もあの時誘ってくれた哲には感謝してるよ。特にソフトなんて絶対に手に入らなかったと思うし」


 そうなのだ、哲はこのゲームのβテスターでその特典として貰ったソフトと予約してしまっていたソフトがあり、余ったソフトを俺に譲ってくれたのだ。

 あの時は哲が本物の神様に見えたね。


「なんだよ照れるじゃねえか!」


 哲は照れ隠しなのか俺の背中をバンバン叩いてきたが、嬉しそうなのは隠しきれずに十分伝わってきた。


「あ、そういえば昨日ギルマスが今日の夜に暁の剣と極光騎士団と合同でレイドボスに挑戦するって言ってたよ」


「マジか!じゃあついにウロボロスに挑戦ってことか!」


「うん、多分そうだと思うよ。だから―――」


 ガラガラ


「おーい、お前ら席につけー」


 俺が理由について話そうとしたところで、教室の扉が開き新しくこのクラスの担任となった先生が入ってきた。


「じゃ、総司その話あとで聞かせてくれ」


 哲も先生が来たから急いで席に戻っていった。


「それじゃあ、出席取るぞー」


 担任の先生は生徒たちが皆席についたのを確認したら出席を取り始めた。


「赤羽」


「はい」


「阿久津」


「はいッス」


 その後も順調に進んでいき。


「渡辺」


「はーい」


「よし、しっかり皆来てるなー」


 そうして、担任が確認の帳簿から顔を上げたときに異変は起こった。


「な、なんだこれ!」


「何が起こってるの!」


「ま、まさかこれって……!」


「これはなんかヤバイッス!」


 突如教室の床に巨大な魔方陣が現れたのだった。

 そんな事態に訳がわからずに混乱する者、ヒステリックに叫ぶ者、何かに気づく者、本能的に何かを感じとる者など色々と反応は別れた。


 俺はその様子を静かに見ている。

 心の中の興奮を悟られぬように。

 そんな俺のところに哲が近づいてきた。


「な、なあ総司。まさかこれってあれか?」


 哲は明らかに何かに期待しているのを隠しきれずに聞いてきた。


「多分というかそれ以外あり得ないかな。この状況はつまり―――異世界召喚だね」


 そう俺が断言したとき、魔方陣の光が眩しさを増していき教室は閃光に包まれた。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 閃光にやられた視力が徐々に戻ってきた俺が見たのは全てが白で埋め尽くされている空間だった。

 そこはあやふやな空間に感じた。

 どのくらい奥行きがあるのかもどのくらいの高さがあるのかも今足がついているのか浮いているのかもよく分からないような場所だからだ。

 ただ言えるとしたら、ここは人間が本来いる場所じゃないってことだ。


「よくお越しくださいました日本人の皆様方」


 突如声をかけられた俺たちは、その声がしたほうに皆が顔を向けた。

 するとそこには先程まではいなかったはずの執事服を着た男がいた。


「皆様は今大変混乱しているとお思いですが、話を聞いてもらえないでしょうか?」


 男の言葉を聞き、それにどう答えようかと皆が悩んでしまったとき担任の先生が前に出て皆が疑問に思ってくれてることを聞いてくれた。


「私が代表者として話をさせてもらえないでしょうか?」


 担任も男から何かを感じとっているのか丁寧な口調になっている。


「ええ、構いませんよ。それではこの状況について説明させてもらってもよろしいでしょうか?」


「待ってください。その前にあなたが誰なのかを聞きたいのですが」


 それは皆が思ってたことだった。


「これは失礼いたしました。私は、神アグネストの執事を勤めておりますセバスティンと申します」


 この自己紹介を聞いたとき皆は思った、『セバスチャンじゃないのかい!』と。


「神……ですか。それはやはりこの後の説明にも関わることなのですよね?」


「ええ、そうですね。では、説明をしてしまった方が早いと思うので説明させてもらいます」


 そうしてセバスティンは俺たちがここにいる理由について話始めた。


「まず、皆様は召喚用の魔方陣によって異世界に勇者としてすぐに召喚されるはずでした。しかし、一般人である皆様をそのまま召喚させてしまうと成長するまでに死んでしまう可能性が高かったので、異世界でも生き抜くための力を与えるために召喚に介入させてもらい一時的にここに呼ばせてもらったのです。すでに皆様には各々に力を与えております。その力は異世界に行けば使えるようになりますのでそちらでお確かめください」


 セバスティンの説明が終わると皆騒ぎ始めた。

 騒ぎ始めたといっても大半は勇者として召喚されるという事態を楽しみにして自分の力はこんなのがいいとか語り合っている。

 しかし中には―――。


「異世界って嘘でしょ!日本に帰してよ!」


 自分を帰してくれと言う人も出てきた。


「申し訳ございませんがそれは出来ないのです。あちらでは皆様はもういないものとなっておりますので」


 だが、その人たちに返ってきた答えは否だった。


「こちらでは介入するのもそろそろ限界になってきましたので、もうすぐ皆様は異世界に召喚されます。よろしいでしょうか?」


 セバスティンは悲しみにうちひしがれてる人を気にせずに聞いてきた。

 しかし、誰かが返答する前に足下に教室で見たあの巨大な魔方陣がまた現れたのだった。


「それでは皆様お気をつけて」


 セバスティンの声を聞きながら俺は何かに引っ張られるのを感じながら光に包まれていった。



 ―――汝、我が力を授ける



 またあの閃光が発した瞬間脳裏に突然声が響いた。

 そして、俺はその瞬間意識ごと弾かれるのを感じた。

 どうなっているか確認する暇もなく俺の意識は何かに呑み込まれるように闇に落ちていった。

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