第九十四話 激戦の終結 反撃の剣舞炸裂!
ジークフリートを追いかけて行ったヴリトラ達はジークフリートを追い詰めるも彼の親衛隊によって足止めをされてしまった。そして闘技場でもニーズヘッグがスケルトンの攻撃を受けてしまう。二つの七竜将とブラッド・レクイエム社の戦いがどちらも七竜将の不利な状態になってしまっていた。
観客に見守られる中、試合場の上でレーザーを掠めた左肩を右手で抑えながらスケルトンを睨むニーズヘッグ。そんなニーズヘッグを見てリンドブルムとラランも心配そうな顔を見せていた。一方でスケルトンは槍と化した左腕を眺めながら余裕の態度を見せている。
「油断しすぎだ。俺がただ顔を隠す為のこんな金属製のマスクをしてると思ったか?コイツは機械鎧と同じ種類の合金で出来ている、コイツも機械鎧だと考えるのが自然だろう。・・・それに気付けなかったとは、七竜将の参謀失格だな?」
「チイィ、言いたい事言いやがってぇ・・・」
言いたい放題のスケルトンを睨みながら左肩から右手を離してアスカロンを両手で構え直す。それを見たスケルトンも槍と丸ノコを構えた。
「まだやる気か?さっさと諦めた方が楽になれるぞ?」
「バカにするな。さっきのはそのマスクが機械鎧だと知らず油断していたからレーザーを受けたんだ。今度は油断しない!」
「フッ、負け惜しみを・・・。そんなに死にたいなら望みどおりにしてやろう。ただし、ジックリと時間を掛けてな」
スケルトンは地を蹴りニーズヘッグに向かって跳んで行き、勢いよく槍で突いた。ニーズヘッグは体を右へ反らしてその突きを回避しアスカロンで反撃した。だが、スケルトンは槍を引いてニーズヘッグの斬撃を槍で防ぐ。そして素早く右腕の丸ノコでニーズヘッグの脇腹に攻撃する。ニーズヘッグは咄嗟に後ろへ移動して向かってきた丸ノコの間合から出た。
「ちぃ!やっぱり武器を二つ持ってる奴の方が有利か!」
ニーズヘッグは丸ノコをかわして直ぐに後ろへ跳んで距離を作りとアスカロンのスイッチを入れて勢いよく振る。アスカロンの刀身が伸び、鞭状となって離れた所にいるスケルトンに迫るがスケルトンも後ろに跳んで攻撃を回避する。そして後ろに跳びながら左足の機械鎧の肘の装甲を開け、そこから無数の小型マイクロ弾を発射した。
飛んで来る小型マイクロ弾を見ながらニーズヘッグは舌打ちをし、素早くアスカロンを振って小型マイクロ弾を一つずつ切り落としていく。切られた小型マイクロ弾は空中で爆散し粉々になった。
「流石に俺以上に機械鎧を纏っているだけの事はあるか、内蔵兵器の数も多い!」
「今更当たり前の事を言っても何も変わらないぞ?」
スケルトンは空中で爆散した小型マイクロ弾を見ているニーズヘッグを見ながら両目を赤く光らせる。それを見たニーズヘッグは表情の鋭さを増してスケルトンに集中した。
「またレーザーかっ!?」
ニーズヘッグの予感は的中した。スケルトンのマスクの目から赤いレーザーが二つ真っ直ぐニーズヘッグに向かって発射される。ニーズヘッグは向かって来るレーザーを姿勢を低くしてかわす。
「何?」
最初と違い華麗にレーザーをかわしたニーズヘッグにスケルトンは驚く。その驚きで一瞬の隙が出来たスケルトンを見てニーズヘッグは姿勢を低くしたままアスカロンを元に戻してスケルトンの懐に向かって左から回り込む様に走り出す。走りながら再び機械鎧から機銃を出すと走りながら発砲する。スケルトンは咄嗟に左腕の動かし機械鎧を盾にして銃撃を防ぐも一、二発はスケルトンの脇腹などを掠る。
「グッ!小賢しい真似を!」
スケルトンは左腕の槍を大きく振って走って来るニーズヘッグに反撃する。ニーズヘッグは迫って来る槍を見た後に高くジャンプして槍をかわした。スケルトンを真上から見下ろす態勢になったニーズヘッグは左足の機械鎧の膝関節を開いてマイクロ弾をスケルトンに向かって発射しようとする。だがスケルトンがそれを許すはずもなく、真上にいるニーズヘッグを見て再び目から赤いレーザーを発射する。発射された二つのレーザーの中、一つはニーズヘッグの横を通過したが、もう一つのレーザーはニーズヘッグの脇腹を貫通してしまう。
「ううぅ!」
脇腹から伝わる激痛に声を出すニーズヘッグは態勢を崩して試合場に叩きつけられるように落下する。
「ニーズヘッグ!」
「・・・!」
試合場の外でニーズヘッグが攻撃を受けた光景を目にし叫ぶリンドブルムと目を見張って驚くララン。俯せ倒れているニーズヘッグをスケルトンは笑いながら見つめていた。
「フフフフ、基本的な戦略ミスだ。俺に機銃で傷を負わせたのは褒めてやるが、その後にジャンプをして空中へ移動したのは頂けないな。空中では回避行動を取る事は出来ない、動けない状態で攻撃しようとしても反撃を受けて妨害されるだけだ。・・・勝負を焦って失敗したな?」
「クッ、クウウウゥ・・・!」
痛みに耐えながら体を起こすニーズヘッグ。左手でレーザーが貫通した箇所を抑えているが、そこから血がにじみ出て特殊スーツを赤く染めていく。それを見たリンドブルムはスケルトンの方を向きながらライトソドムを抜いた。
「これ以上一人で戦うのは危険だよ、加勢するね!」
「・・・私も!」
ライトソドムを構えるリンドブルムの隣でラランも加勢すると突撃槍を両手で握る。するとそんな二人を見て同じように試合場の外から試合を見ていた審判が二人を止める。
「ま、待って下さい。これはニーズヘッグ選手とS選手の戦いです、勝手に試合場に上がられては困ります・・・」
「そんな事を言ってる場合じゃないでしょう!?」
「・・・試合よりも、ニーズヘッグの方が大事!」
乱入を止めようとする審判の方を向いて大声を出すリンドブルムといつも通りの低い声ではあるが何処か迫力を感じさせるラランに審判を驚き黙り込む。そして二人は試合場に上がろうと片足を試合場に掛けた。
「・・・待て、二人とも!」
「「!」」
試合場に上がってこようとするリンドブルムとラランを止めたのは試合場の上にいるニーズヘッグ本人だった。ニーズヘッグの言葉に二人は驚きて足を止める。ニーズヘッグは右手にアスカロンを持ち、左手で傷を抑えながらゆっくりと立ち上がった。
「俺はまだ大丈夫だ。だから手を出すな」
「大丈夫って・・・どう見ても危険な状態じゃないか!」
「・・・私達も、一緒に戦う!」
「レーザーを一発食らったくらいで俺が戦闘不能になるはずないだろう?まだ行ける」
「そんな・・・。こんな時に強がりなんてしてる場合じゃないでしょう!?」
左手で傷口を抑えながら笑ってスケルトンを見ているニーズヘッグを止めようとするリンドブルム。ラランもまだ戦おうとするニーズヘッグに驚きながら黙り込んでいる。
「言っただろう?本当にヤバくなったら助けてくれってな?」
「だから、今がその時じゃん!」
「まだ俺は戦える。・・・俺が本当にヤバい時は俺が倒れて動けなくなった時だ。・・・もう少し俺を信用しろ、長い付き合いだろう?」
「あ、あのねぇ・・・!」
笑いながらリンドブルムにそう告げるニーズヘッグ。するとスケルトンが槍先をニーズヘッグに向けながら会話に割り込んできた。
「つまらない意地を張ってないで仲間に手伝ってもらったらどうだ?俺は一対三でも構わないぞ?」
「・・・言っただろう?相手を見下していると痛い目に遭うってな!」
そう言ってニーズヘッグは傷口を抑えるのを止め、スケルトンに向かって走り出した。体内のナノマシンによって治癒力が高くなっている為、既に止血している。ニーズヘッグの姿を見てリンドブルム呆れた様な顔を見せていた。
「まったくもう、無茶ばかりして!」
「・・・でも、左手を離したから、ナノマシンって言うので傷が治ったんじゃない?」
「違うよ。ナノマシンで治癒力は普通の人よりも高いけど、こんな短時間で傷は治らない。少なくても止血はしたみたいだけどね・・・」
ニーズヘッグの様子を見ながらリンドブルムはラランのナノマシンの性能を説明する。それを聞いたラランは意外そうな顔を見せていた。どうやら彼女は今までナノマシンはどんな傷でも直ぐに治せる魔法の様な物だと思っていたようだ。この時、改めてラランはナノマシンは万能ではなく、人間の手によって作られた物だと実感するのだった。
スケルトンは自分の向かって走って来る手負いのニーズヘッグを見てつまらなそうに肩を落とす。もはや全力で戦う必要のないと思っているのだろう。
「フッ、折角仲間と戦わせてやろうと思ったのに、俺の慈悲を無駄にするか・・・。そんなバカな奴は、俺の槍で串刺しになれっ!」
スケルトンはニーズヘッグに向かって勢いよく槍を突いた。槍先がニーズヘッグの顔に刺さると思われるところまで来た瞬間、ニーズヘッグは左にそれと突きを回避する。そしてアスカロンを鞭状にして丸ノコ化しているスケルトンの右腕に巻き付けた。
「何っ?」
自分の機械鎧に巻き付き火花を散らすアスカロンの刀身を見つめるスケルトンと巻き付いている刀身を見てニヤリと笑うニーズヘッグ。
「・・・そぉら、よっとっ!」
ニーズヘッグは力一杯アスカロンの柄を引っ張った。その瞬間に鞭状となったアスカロンの刀身も引っ張られ、スケルトンの機械鎧の右腕を粉々に切り刻んだ。
「何ぃ!?」
自分の機械鎧がバラバラにされたのを見たスケルトンは初めて驚きの声を上げる。ニーズヘッグはアスカロンを元に姿に戻すと後ろに跳んで距離を作り、驚くスケルトンを見てフッと笑う。
「だから言っただろう?見下すと痛い目を見ると?」
「バ、バカな・・・機械鎧の素材はチタンを元に作られた硬度の高い特殊合金だぞ?こんな簡単に壊れる訳が・・・」
「・・・お前は勘違いしているな。確かに並の攻撃じゃあ機械鎧は壊れないし、傷も付かない。・・・だが、超振動剣みたいな特殊な武器や対物火器などで攻撃されれば話は別だ。・・・機械鎧の合金だって人の手で作られた物、万能じゃない」
「き、貴様ぁ~!」
機械鎧を壊れて頭に血が上ったのか、スケルトンはニーズヘッグを見て低い声を出す。試合場の外でそれを見ていたリンドブルムとラランも驚きの表情を浮かべていたがどこか喜んでいるようにも見える。
「す、凄い・・・まさかあの状況で右腕の機械鎧をバラバラにするなんて・・・」
「・・・凄い蛇腹剣」
ニーズヘッグの体力に驚いているリンドブルムとアスカロンの切れ味に驚くララン。二人は試合場の光景を見てニーズヘッグの言うとおり、彼がまだ戦えると理解した。
「おのれぇ・・・!右腕を破壊したからと言って図に乗るなよ?まだこちらは左腕に両足、そして顔の機械鎧が残っているのだからなぁ!」
スケルトンは両足の脛の装甲を開いて小型マイクロ弾をニーズヘッグに向かって乱射する。ニーズヘッグは自分に迫って来る無数の小型マイクロ弾を見ながらアスカロンを構え、意識を小型マイクロ弾に集中させた。
「ただ乱射しても当らないぜ、しっかりと狙わないとな!」
ニーズヘッグはそう言ってアスカロンを勢いよく振りながら柄に付いているボタンを押して刀身を鞭状にした。その状態でニーズヘッグはアスカロンを振り回し、飛んで来る小型マイクロ弾を一つずつ素早く切り落としていく。切られて小型マイクロ弾は試合場に落ちる前に空中で爆発し粉々になった。
「バカめっ!マイクロ弾は囮だ、お前の意識を反らす為のな!」
スケルトンは小型マイクロ弾を切り落としたニーズヘッグを見ながらマスクの目を光らせ、ニーズヘッグにレーザーを発射する。レーザーは真っ直ぐニーズヘッグに向かって行き、それに気づいたニーズヘッグは素早く左にそれてレーザーを回避した。だがそこへスケルトンが走って来て槍で突き、ニーズヘッグに攻撃してくる。
「しまった!」
迫って来る槍先を見て、ニーズヘッグは回避行動を取ろうとするも間に合わず、槍先はニーズヘッグの左腕に刺さった。
「ぐわあぁ!」
腕から伝わる痛みにニーズヘッグの表情が歪む。レーザーを掠った箇所の近くだったのでその傷にも響き更に痛みが酷くなってしまった。ニーズヘッグの顔を見て、スケルトンは槍を抜いた瞬間に回し蹴りをニーズヘッグに撃ち込む。蹴り飛ばされたニーズヘッグは試合場の隅まで飛ばされて仰向けにな倒れた。
「ニーズヘッグゥ!」
槍の攻撃を続いて回し蹴りまでも受けてしまったニーズヘッグを見て思わず名を叫ぶリンドブルム。ラランも驚きながら仰向けになっているニーズヘッグを見つめていた。
スケルトンは倒れているニーズヘッグにゆっくりと近づきながら赤い目を光らせる。
「右腕を破壊された事には驚いたが所詮は偶然、機械鎧の性能と機械鎧の数によって機械鎧兵士の強さは決まる。体の半分近くを機械鎧化している俺とお前とでは最初から勝負は見えていたのだ」
「う、うう・・・」
痛みに耐えながら顔を上げて近づいて来るスケルトンを睨むニーズヘッグ。アスカロンの柄を握る右手に力を入れて攻撃しようつするも、スケルトンの視界に入っている以上、攻撃をしても簡単にかわされてしまう。そうなれば反撃を受けて自分は終わり。ニーズヘッグは反撃のチャンスを待つ為に何もせずにただスケルトンを見つめていた。
「まだ終わらないぞ?お前がやった様に片腕を落してからゆっくりと痛めつけて恐怖と言うものを刻み込んでやる」
スケルトンはじわじわと距離を縮めて行き、槍先をニーズヘッグの目に向けて近づいて行く。ニーズヘッグはスケルトンの足に注目して倒れている自分との距離を頭の中で計算する。そしてスケルトンの左足を前に踏み出した瞬間に目を見張った。
「そいつは、お断りだっ!」
ニーズヘッグは仰向けのままアスカロンを振って鞭状の刀身をスケルトンの左足に巻き付けた。自分の足に巻き付いた刀身を見て立ち止まるのと同時に驚くスケルトン。ニーズヘッグはスケルトンが足を止めた瞬間に勢いよく右手を引き、右腕の様にスケルトンの左足を粉々に切り刻んだ。
「うおおぉっ!?」
左足を失いバランスを崩すスケルトンは咄嗟に左腕の槍を杖代わりにして倒れるのを防ぐ。スケルトンに隙が出来た瞬間にニーズヘッグも立ち上がり体勢を立て直した。
「ヘッ、同じ失敗を二度も犯すなんてお前もまだまだ未熟だな?」
「き、貴様ぁ!一度ならず二度までもぉ!」
同じ手段でまたもや機械鎧を破壊された事にスケルトンの怒りは頂点に達したのか、ニーズヘッグを見て目を赤く光らせると彼の顔に向かってレーザーを放つ。ニーズヘッグは素早く右へ移動してレーザーを回避、そのままスケルトンに向かって走り出した。
「!」
レーザーをかわされて驚くスケルトン。ニーズヘッグは完全に隙を見せているスケルトンの顔面に回し蹴りを撃ち込む。スケルトンは顔面を蹴られた事で目の部分であるレンズが割れ、勢いよく後方に蹴り飛ばされる。そして蹴り飛ばした直後にニーズヘッグはジャンプしてスケルトンの真上に移動、アスカロンの刀身を華麗に操りスケルトンの体に連続斬りを放った。
「ぐおっ、ぐおおおおおぉ!!」
ニーズヘッグの連続斬りによって機械鎧や体に切傷を付けられ断末魔を上げるスケルトン。そして連続斬りが止まるとスケルトンの体は試合場に叩きつけられる。そのままボールがバウンドする様に体が跳ね上がり、試合場の外へ落ちていった。
スケルトンが場外に落ちるのと同時にニーズヘッグも試合場に着地し、スケルトンの落ちた方を見つめる。一瞬の間に繰り広げられた激しい攻防に観客達は驚いて黙り込んでおり、王族やレヴァート兵達も目を見張っていた。
「・・・・・・」
試合場の外でニーズヘッグとスケルトンの試合を見ていた審判は自分の役割を思い出したのかハッと表情を変えて試合場に上がる。そしてスケルトンの下へ駆け寄り、試合場の外で機械鎧の傷ついた箇所からバチバチと電気を走らせ、体中に傷を負い出血しているスケルトンを見つける。その姿に一瞬寒気を走らせた審判であったが、気を落ち着かせてニーズヘッグの方を向く。
「・・・それまでっ!」
審判は片手を振り上げ、客席を見ながら試合終了の言葉を叫ぶ。観客達はしばらくの間、試合が終わった事に気付かず黙り込んでいたが、一人が試合終了に気付いて声を上げると周りの観客達もつられて騒ぎ出す。歓声に包まれる中、ニーズヘッグも客席を見てホッとしたのか笑みを浮かべた。するとそこへリンドブルムとラランの二人が試合場に上がって来てニーズヘッグの下へ駆け寄って来る。
「やったね、ニーズヘッグ!」
「・・・凄い」
ニーズヘッグが勝利した事に喜ぶリンドブルムと一人でスケルトンに勝ったニーズヘッグの強さに驚きながらも笑みを浮かべるララン。そんな二人を見下しながらニーズヘッグはアスカロンの刀身を元に戻して鞘の納めた。
「だから言っただろう?俺はまだ行けるって?」
「そうだけど、僕達の事ももう少し頼りにしてほしかったなぁ。一緒に戦っていれば、そこまで怪我をする事も無かったのに・・・」
リンドブルムが傷だらけのニーズヘッグの体を見ながら納得できない様な顔で言う。するとニーズヘッグは苦笑いをしながらリンドブルムの頭をポンポンと軽く叩いた。
「・・・まっ、男と意地って事で大目に見てくれよ?」
「何が男の意地だよぉ・・・」
リンドブルムはニーズヘッグに叩かれたところの髪を直しながら呆れる。そんな二人の会話をラランは無表情で見つめていた。
三人が会話をしている時、場外では重傷を負ったスケルトンが壊れた機械声を出しながら空を見上げている。
「・・・これが・・・七竜将の力か・・・。フッ、成る程・・・エントがやられたのも納得が行く・・・。これは、我等の計画にとって最大の邪魔者となるだろうな・・・」
ブツブツ呟いていると、突如スケルトンの各機械鎧から低いブザー音に様な音が聞こえてきた。そんな事も気にせずにスケルトンは独り言を続けた。
「フフフ・・・俺はここまでか・・・ジークフリート、女王、計画に・・・改善が・・・必要かもな・・・・・・」
スケルトンの独り言が終った瞬間、スケルトンの体が光りだし、大爆発を起こした。爆音と爆風に驚いたリンドブルム達はスケルトンのいた方を見て目を見張る。
「な、何だ!?・・・自爆か?」
「これって・・・エントの戦いと時と同じ・・・」
試合場の一部が吹き飛ぶくらいの爆発に審判や観客達は驚いた。だがリンドブルム達は前に一度、同じ爆発を経験しているのでそれ程驚くことは無かった。その爆発により、スケルトンの体や機械鎧は跡形も無く消滅し、全ての証拠が消えてしまったのだった。
ニーズヘッグとスケルトンの戦いは苦戦を強いられながらもニーズヘッグの勝利に終わった。しかし、この時のリンドブルム達はビビットの遺体が既にジークフリートに持ち去られていた事にまだ気づいていないのだった・・・。




