第八十八話 闘技場から消えていく笑顔
武術大会に現れたブラッド・レクイエム社の機械鎧兵士とその協力者と思われる男が町に現れ、少しずつヴリトラ達はブラッド・レクイエム社の目的に近づいて行く。だが目的の内容は今も分からないでいた。そしてその中で、ヴリトラ達はスケルトン以外のもう一人の機械鎧兵士であるZと近衛隊姫騎士であるビビットの試合を止める為に試合場へ急ぎ向かうのだった。
ヴリトラ達は試合場へ続く通路を全力で走っている。いくら王家の警護を務める近衛隊でも幹部クラスの機械鎧兵士に勝つのは難しい。下手をすれば殺されてしまう可能性だってある。それだけは止めないといけない、ヴリトラ達はそう思いながら走り続けた。
「それにしても、まさか王族の席へ行ってるとは思わなかったぜ」
「ああ、一般の客や騎士は入れない所にいちゃあ会う事も出来ないしな」
ヴリトラとニーズヘッグは走りながらビビットがいた場所の話をしている。二人の後ろではラピュス、リンドブルム、ラランが横一列に並んで走っていた。
「でもさぁ、どうしてビビットさんは王様のいる席に行ったりなんかしたんだろう?」
「さぁな、王族の方々の護衛を務める方なんだ、陛下のお側に行かれても何の不思議もない」
「・・・近衛騎士の務め」
走りながらビビットが王族の席に向かった理由が分からないリンドブルムが難しそうな顔で考えているとラピュスとラランが自分達の出した答えはリンドブルムに話す。それを聞いてリンドブルムもなんとなく納得したと言う様な顔で二人を見ながら頷く。
「ビビットがどうして陛下達の所に行ったのか、それはこの際問題じゃない。問題は今行われている試合で彼女を何とかして助けるって事だけだ!」
ニーズヘッグの言葉にラピュス達は彼の方を向いて真剣な顔を見せる。ニーズヘッグの隣で走っているヴリトラも同じように真剣な顔で見ていた。
「しかし、あのZは一体誰なんだ?Sがスケルトンの頭文字から来たって事は・・・」
「頭文字がZで始まるモンスターか神話に出てくる登場人物の名前って事になるな」
Zの正体が誰なのかを考えるヴリトラにニーズヘッグがヒントを伝える。ヴリトラは走ったまま頭の中でZの頭文字で始まる名前を考えた。
「おい、ブラッド・レクイエムの連中の名前はモンスターと同じなのか?」
「まぁね。奴等の名前は全部モンスターや神話に出てくる英雄、神様の名前をコードネームにしてるんだ。因みに僕達七竜将の名前も神話に出てくるドラゴンの名前から来てるんだよ?」
「そう言えば、ヴリトラが前に自分達の名前は本名ではないと言っていたな・・・」
コードネームの話を聞いて以前ヴリトラが言っていた事を思い出したラピュス。そんな時、ヴリトラが前を指差しながらラピュス達に声を掛けた。
「出口が見えて来た、急ぐぞ!」
早く試合を止めないといけない、その思いが五人を更に早く走らせ、ヴリトラ達は試合場に飛び出した。そこには観客達の歓声の中で試合場の上でZを睨んで突撃槍を構えているビビットと構える事無くビビットをジッと見ているZの姿があった。戦況はビビットが鎧や服を汚しながら息を切らせ、フード付きマントに汚れすら付いていない状態のZと向かい合っている状態。どうやら若干ビビットが押され気味のようだ。
「フゥ・・・少しはやるみたいね?私をここまで追い込んだのはアンタが初めてよ」
「・・・・・・」
ニッと笑いながらZを褒めるビビット。だがZは何も言わずただ黙ってビビットを見ているだけだった。
「しかし、武器も使わずに私と互角に戦う人間なんて、ザクセン隊長とガバディア騎士団長の二人だけかと思ってたけど。まぁ、世界は広いからねぇ?」
自分よりも強い人間は同じ黄金近衛隊の隊長であるザクセンとガバディアの二人だけだと思っていたが、世界にはまだ強い敵がいると知り楽しそうにするビビット。だが、少なくともZは自分より弱いと思っているらしく、突撃槍を片手でクルクル回しながら笑っていた。
「でも、お楽しみはもうお終いよ。私もこれ以上無駄に時間を掛ける訳にもいかないの、そろそろ本気で行かせてもらうわよ!」
ビビットは笑ったまま突撃槍を両手で構えて未だに構えてもいないZを見つめる。その様子を試合場の外で見ていたヴリトラ達は少し緊迫した様な表情をしていた。
「Zとビビット殿が互角の戦いをしている・・・」
「・・・驚いた」
Zに殺される事もなく試合を続けているビビットを見てラピュスとラランは予想外の試合に緊迫した表情のまま驚いている。だが、ヴリトラ達は気付いていた。まだZも本気を出しておらず、武器や機械鎧の内蔵兵器を使っていないという事に、それ故に七竜将の三人はまだ警戒を続けている。
「・・・まだ安心は出来ないぞ?Zはまだ機械鎧の兵器を使っていないようだしな」
「それに、武器や兵器を使っていない状態でビビットさんと互角に戦うって事は、武器と使っている状態じゃビビットさんと大きな力の差があるって事だよ」
「ああ・・・断言できる。Zの力は間違いなくビビットより上だ」
真剣な表情でそう話すヴリトラ、リンドブルム、ニーズヘッグの三人を見てラピュスとラランは汗を掻きながら緊張を走らせる。そして試合場の方を向き、ビビットと彼女の突撃槍による連続突きをかわすZの二人を見た。
「なら、早く止めた方がいいのではないか?」
「ああ、そのとおりだ!」
ヴリトラは森羅を抜いて試合と止める態勢に入る。リンドブルムもライトソドムとダークゴモラを抜き、ニーズヘッグもアスカロンを抜いて構える。そして三人が試合場へ向かおうとした時、突如三人の前に人影が飛び込んできた。驚いた三人が足を止めて持っている武器を構えると、そこには右手の超振動マチェット、左手にワイヤー付きクナイを持つスケルトンの姿があったのだ。
「お前は、スケルトン!」
「悪いが、この試合だけは邪魔はさせない」
「何ぃ!?」
「あの女を倒す事が我々の目的でもあるのだからな」
「何?どういう事だ?」
「そこを退いて!」
目の前で立ち塞がるスケルトンを睨みながらそれぞれ自分の武器を構える三人。ラピュスも流石に状況が悪いと感じて騎士剣を抜き、ヴリトラ達の近くまで来て加勢する。ラランは左腕の怪我のせいで上手く左腕に力が入らないでいたが、無事な右腕で突撃槍を構えてスケルトンを見つめた。スケルトンは目の前で自分を睨みながら武器を構えるヴリトラ達を見ても動揺は無く、余裕の態度を見せている。
「フフフフ、今此処で俺の相手をするのは勝手だが、そんな事をしているとあの女がZに殺されてしまうぞ?」
「フン!だったらお前を越えたさっさと試合を止めに行くさ!」
「できるのか?」
「お前こそ、機械鎧兵士三人を相手に一人で勝つ自信があるのかよ?」
「自信、か・・・。そんなものは、無い」
スケルトンがそう告げた瞬間、試合場の方から一発の銃声が聞こえてきた。驚いたヴリトラ達はフッと試合場の方を向く。試合場の上ではマントの中から一丁の拳銃を出したZがビビットの胸を撃ち抜いている姿があった。弾丸はビビットの胸部の鎧を突き抜け、背中まで貫通している。
「・・・え?」
何が起きたのか理解出来ないビビットは自分の鎧の穴をまばたきしながら見てガクッと膝をつく。鎧の下からは赤い血が垂れて来て鎧の下の服を赤く染めていく。その光景を見ていたヴリトラ達は固まっていた。
「し、しまった!」
「遅かったか・・・」
ビビットが撃たれた事で表情を歪めるヴリトラとニーズヘッグ。さっきまでのスケルトンとの会話はこの銃撃の為の時間稼ぎだったのだ、一発の銃を撃つまでの約数秒間の時間を作る為だけの会話。スケルトンの狙いに気付かなかったヴリトラ達は歯を食いしばる。だがラピュスとラランは驚きの表情で試合場のビビットを見つめていた。
「・・・ど、どういう事だ?黄金近衛隊の鎧は王国騎士の使う鎧の中でも最も頑丈なもの、いくら銃でも貫通するなどあり得ない」
「・・・どうして?」
拳銃が鎧を貫通してビビットに重傷を負わせた事が信じられない二人は目を見張ったまま小さく震えている。それを聞いていたヴリトラ達も試合場の立つ二人をジッと見つめた。そしてZの鉄の機械鎧の手が持っている拳銃を見て表情が鋭くなる。
「アレは・・・『トンプソン・コンテンダー』か」
「あんな銃を使う人がいるなんて・・・」
ヴリトラとリンドブルムはZが使う拳銃、コンテンダーを見て目を疑う。無理もない、この銃は狩猟用に開発されたシングルショット・ピストル、つまり弾薬が一発しか装填できない銃なのだ。実戦で使う者などいない。それを使う機械鎧兵士がいると知って驚きを隠せないでいるのだ。いや、強力な機械鎧兵士だからこそ、一発しか撃てない拳銃で十分なのだろう。
Zはコンテンダーを中折りにして薬莢を捨てる。よく見るとその捨てられた薬莢は黒く、Zが取り出した新しい弾薬も薬莢部分が黒い30口径程の大きさのライフル弾だった。弾薬を装填したZはコンテンダーを戻して銃口を目の前で膝をついているビビットに向けた。
「ゴホッ、ゴホッ!な、何よ・・・これ・・・」
口を押えて咳をするビビットは手に付いた吐血を見た後に自分の鎧の穴を見る。まだ自分の身に何が起きたのか理解出来ていないようだ。ビビットはゆっくりと顔を上げてZを見上げた。
「ア、アンタ・・・一体何者な・・・」
ビビットがZに何者なのか尋ねようとした瞬間、突然試合場に銃声が響き渡る。Zはビビットの話も聞かずに彼女の額のど真ん中をコンテンダーで撃ち抜いた。
「「「「「!?」」」」」
躊躇もせずにビビットの額を撃ち抜いたZに固まるヴリトラ達。スケルトンはZの姿を見て小さく笑う。額を撃たれたビビットは撃たれた反動で一瞬後ろに倒れかけたが、直ぐに前へ倒れて行き俯せとなって動かなくなる。ビビットの額からは血が溢れ、彼女の頭部を中心に血だまりが広がる。観客達はその光景を目にして青ざめ言葉を失ってしまっていた。勿論、客席で戦いを見ていたオロチ達も同じように驚き固まっている。
「アイツ・・・!」
「迷わずに撃った・・・」
「ウ、ウソ・・・近衛隊の騎士が簡単に・・・」
迷わずにビビットを射殺したZに目を疑うオロチとファフニールに王国の精鋭と言われた黄金近衛隊の姫騎士が倒された事に驚きを隠せないアリサ。他の観客達も言葉を失い黙っていたがZの非道な行為を見て驚きと恐怖からざわめきだす者も出てくる。そしてそれは王族も同じだった。
「なんて、惨い事を・・・」
パティーラムは椅子に座り、震えたまま試合場を見ている。その隣に座っていたエリスも試合場の上に立つZを睨んでいた。
「さっきのSと言う奴といい、奴等は戦う相手に対して情けと言うものを持っていないのか!?」
「とても見るに堪えん光景じゃ・・・」
エリスに続いてアンナも表情を歪めながら目を反らしている。そしてヴァルボルトも肘掛けに手を乗せて握り拳を作り、その手を震わせている。
「奴等は一体何者なのだ?見た事のない武器を持っている・・・」
「恐らく、アレは銃と言う武器でしょう」
鋭い表情で試合場を見ていたヴァルボルトにガバディアが声を掛ける様に説明する。周りにいた者達は一斉にガバディアの方を向いて不思議そうな顔を見せた。
「ジュウ?ガバディア、お主はアレが何なのか知っておるのか?」
「ハイ、パティーラム様がお話しになられていた七竜将と言う傭兵隊が同じ様な武器を使っているのを見ましたので・・・」
「あの七竜将が?」
「では、アイツ等は仲間同士なのではないか?」
話を聞いていたファンストがガバディアを見ながら杖の先で床を一度叩きながら疑う様な目を向ける。ガバディアがそんなファンストの考えを否定しようと彼の方を見た。するとガバディアが喋る前にザクセンがファンストの方を向いて口を開く。
「それは考えられませんな、ファンスト公。もし七竜将が奴等の仲間ならなぜ彼等があの様な怒りに満ちた目で彼等を睨む必要があるのですか?それに彼等が試合を止めようとしていた、ビビットを助けようとしたのでしょう・・・」
ザクセンはファンストに自分の出した答えを話して納得させようとしている。本当なら部下であるビビットを殺されて感情的になる筈なのにザクセンは必死でそれを抑え込んでいる。それに気づいたガバディアや王族達はザクセンを気の毒そうな目で見ていた。そんな時、ガバディアはある事に気付いて周囲を見回す。
「・・・?ザクセン殿、『レレット』の姿が見当たりませんが?」
「何?・・・」
ガバディアに言われてザクセンは席から立ち上がり周囲を見回した。そこにはヴァルボルト達王族と自分とガバディア、ファンスト、そして数人の近衛騎士の姿があるだけ。ただそのレレットと言う存在の姿は無い。ザクセンは自分達の背後で待機していた近衛騎士達の方を向くと力の入った声を出した。
「お前達、レレットは何処だ?」
ザクセンの質問に近衛騎士達は首を横へ振った。どうやら彼等も知らないらしい。
「・・・まさか!」
ザクセン達の会話を聞いていたガバディアは試合場を見下した。試合場では動かなくなったビビットを見下ろしているZと悔しそうな表情でZとスケルトンを見ているヴリトラ達の姿があった。
「お前等、なんて事を・・・!」
「フン、力の無い奴は死ぬだけ。それが運命だ」
「チィ、外道が!」
ヴリトラとニーズヘッグはスケルトンを睨みながら森羅とアスカロンを構える。その時、試合場の出入口の方から誰かが走って来る気配を感じ、ヴリトラ達は一斉に出入口の方を振り向く。そしてビビットと同じように金色の鎧、白のスカートとマントを身に付けた黒い長髪の姫騎士が飛び出して来た。その少女の姿を見てヴリトラ達は目を丸くして驚く。
「あ、あれは!」
「ビビットさん!?」
死んだはずのビビットがそこにいる事に驚きを隠せないヴリトラとリンドブルム。だがラピュスとラランはその姫騎士を見て真剣な顔を見せる。
「いや、彼女はビビット殿の妹のレレット・トルーメル殿だ」
「えっ?双子の妹さんっていう?」
「・・・そう」
リンドブルムの確認にラランは頷く。レレットは息を切らせながら試合場の上を見つめる。どうやら王族の席から試合を見て飛んで来たのだろう。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・ビ、ビビット・・・!」
ビビットにそっくりな声で姉を名を呼ぶレレットは額を撃ち撃ち抜かれ、変わり果てたビビットを見つめる。自分の目を疑い、震えながら握り拳を作るレレットは試合場から自分を見ているZを睨み付けた。
「ぐぐぅ!き、貴様ぁーーー!」
怒りに満ちた表情で涙を流しながら腰の騎士剣を抜いたレレットはZに向かって走り出す。するとスケルトンがZとレレットの間に割り込みレレットを止めようとする。レレットはそんなスケルトンの事を先に斬り捨てようと騎士剣を両手で構えて振り下ろそうとする。だが、そこへヴリトラが素早くレレットの前に移動して彼女の腕と肩を両手で掴み、レレットを止めた。
「何よアンタは!?そこ退きなさいよぉ!」
「止せ!アンタが奴には勝てない、殺されるぞ!?」
「うるさい!アイツは、アイツは姉さんの仇なのよ!?私がアイツを倒すぅ!」
ヴリトラの両手を振り解こうと体を動かして暴れるレレット。だが、機械鎧兵士の手を簡単に振り解けるはずもなく、ヴリトラはピクリとも動かなかった。ラピュス達も暴れるレレットを見て驚きながら彼女を止めようとする。
「放して!アイツは私が殺してやるんだからんぁーーっ!」
「止めろ!落ちつけ!」
取り乱すレレットを落ち着かせようとするヴリトラだが肉親を殺されて冷静でいられるはずもない。レレットは騎士剣を振り回して暴れ続けた。
「うああああああああっ!」
「よさんか、レレット!」
突然聞こえてきた声にレレットは叫ぶのを止めて動きを止めた。一同が声の聞こえた方角、試合場の出入口の方を向くとゆっくりと歩いて来る近衛隊長ザクセンとガバディアの姿が視界に入る。
「ザ、ザクセン隊長・・・」
「団長!」
ザクセンとガバディアの登場に目を見張って驚くレレットとラピュス。ヴリトラ達も突然の上級騎士の登場にまばたきをして驚いた。ザクセンはゆっくりとレレットの方へ歩いて行き、彼女の肩のそっと手を置いた。
「落ち着け、レレットよ。腹が立っているのはお前さんだけではないのだ」
「隊長!しかし・・・!」
「憎しみで戦うな。心が乱れれば剣が鈍る、そうなれば勝てる相手にも勝てんぞ?」
「ぐっ、ぐぅ~っ!」
隊長であるザクセンに宥められて悔しそうな顔のまま騎士剣を下ろすレレット。ヴリトラもレレットの腕と肩を掴んでいる手を離し、ゆっくりと振り返り試合場の上にZと目の前に立っているスケルトンを睨んだ。
「お前等、こんな事してただで済むと思ってんのか?」
「フッ、何を言う?この武術大会で対戦相手を殺す事は罪にはならないのだぞ?」
「だから何の躊躇いも無く殺したって言うのか!?」
「そうだ」
睨みならが尋ねるヴリトラの質問にスケルトンは頷く。それを見たヴリトラやラピュス、リンドブルム達は歯を食いしばる。勿論、姉を殺されたレレットも同じだ。
試合場から降りたZはゆっくりと出入口の方へ歩いて行き、スケルトンもその後に続く。Zはヴリトラの隣を横切った瞬間に、一瞬姿勢を低くしてヴリトラの耳元でささやく。
「・・・頑張って我々を楽しませてくれよ?」
「・・・!?」
Zの声を聞いたヴリトラは目を張り表情を変える。そして試合場から歩き去っていくZとスケルトンの背後を見つめた。この時、ヴリトラは心の中で思っていた、「あの声、前に聞いた事がある」と。
準々決勝も全て終わり、次は遂に準決勝。だがこれまでにZとスケルトンによって二人の参加者が殺害されてしまった。武術大会は徐々に重い空気に包まれていき、観客やヴリトラ達の顔から最初の武術大会を楽しむ笑顔は無くなっていた。




