第八十二話 迫り来る破壊の矢 リンドブルム反撃の電磁銃!
歓声の中で始まった準々決勝第一試合目。リンドブルムと白銀剣士隊の姫騎士であるジージルの試合は激しさに包まれており、観客達や試合場の二人を直ぐに熱くしていった。拳銃と弓、二つの飛び道具がぶつかり合い火花を散らせる。
円状の試合場の上で大きく移動しながら弾丸と矢を相手に向かって放つリンドブルムとジージル。既に二人はかなりの量の弾薬と矢を消費しており、試合場の上では空の薬莢や折れた矢が幾つも転がっている。
「む~・・・」
「んん~・・・」
試合場の隅まで移動して遠くにいる相手を鋭い目で見つめながら構えているリンドブルムとジージル。リンドブルムはライトソドムだけでなくダークゴモラを抜いて二丁拳銃で戦っており、ジージルも矢筒に入っていた細長い矢は既に半分近く使い切り、右手の指からは弓の弦を引きすぎて出血していた。そんな二人の試合を試合場の外からヴリトラ達がジッと見守っている。
「試合が始まってまだ十分ほどしか経ってないのに、鋭い空気が体中に伝わって来る・・・」
「ああ、俺達もこんな戦いは久しぶりに見たよ」
二人の試合を見ながら体に伝わって来る緊張感に驚いているラピュスとヴリトラ。二人の隣でもラランとニーズヘッグがその激しい試合を目にし、同じように驚いている姿があった。
「まさかこの世界に弓でリブルと渡り合える戦士がいるとはな・・・」
「・・・驚いた」
拳銃よりも性能の低い弓矢で戦うジージルの潜在能力に思わず本音を口にする二人。そんな二人の会話が聞こえているのかいないのか、試合場のリンドブルムとジージルはただ自分の相手を見て武器を構えていた。
「・・・まさか弓矢で僕と互角に渡り合う人がいるなんて思いませんでしたよ」
「・・・そう。私もちょっとアンタの事を見くびっていたわ。弓以外に遠くにいる敵を攻撃する武器を使う奴がいるなんて、驚きよ」
互いに相手の実力を見直すリンドブルムとジージル。リンドブルムは二丁の愛銃をチラチラと見た後にジージルに視線を戻して動きを待つ。
(ライトソドムとダークゴモラも残弾数はあと少し、予備の弾倉もあと数本しかない。弾が無くなる前に決着をつけないと・・・でも、あの人はまだ本気を出していないはず・・・)
リンドブルムは心の中でジージルがまだ本気を出していない事を直感し、ジージルに対する警戒を強くしている。その様子を見ていたジージルも新しい矢を矢筒から抜いて弓に付け、いつでも放てる準備をした。
(・・・大した子ね。一試合目と言い、今回の戦いと言い、確かに実力は折り紙つきね。これならストラスタ公国との戦争でも連勝できたのも納得出来る。でも、それは仲間がいたからの話。一対一の戦いではそう都合よくは行かないわよ!)
リンドブルムの実力をまだ完全に認めていないジージルは鋭い目で彼を見つめ、ゆっくりと矢の筈を弦に引っかけてゆっくりと矢をいっぱいまで引いて行く。
「・・・ッ!来る!」
ジージルの姿を見てリンドブルムは咄嗟に左斜め前へ跳んでその場から移動する。ジージルも移動するリンドブルムを見て彼を追う様に狙いを付ける。リンドブルムはライトソドムの銃口をジージルに向けて引き金を引こうとした。だがジージルも弦を引いたまま走り出してその場から移動する。お互いに構えたまま相手を狙って走る姿を見て観客達はあまり面白くないのか黙って試合を見ている。
「さあ!ここからは私も本気で相手してあげるわ!」
走りながらリンドブルムのそう伝えるジージルはリンドブルムに向かって矢を放つ。矢は走っているリンドブルムの顔に真横を通過し、彼の髪が少し宙を舞う。その直後にリンドブルムもライトソドムで反撃する。ジージルの鎧の肩部分の弾が当たり高い金属音と共に鎧に傷をつける。
「チイィ!」
鎧に弾が当たった事でジージルは悔しそうな顔で舌打ちをする。リンドブルムはそのままライトソドム、ダークゴモラの二丁を交互に撃ち連続で発砲。ジージルの足元や体の近くを通過して客席の下の壁や試合場を囲むように立っている石柱に命中し弾痕を作りだし石片が飛び散る。その中でジージルは取り乱す事無く、冷静に矢を取って隙が出来れば反撃するという行動を繰り返した。その光景に黙り込んでいた観客達も再び興奮して騒ぎ出す。
リンドブルムとジージルが攻防を繰り広げていると、突然リンドブルムの銃撃が止まった。その事に反応してリンドブルムはふと愛銃の方に目を向ける。
「弾切れ?」
弾倉の弾を全て撃ち尽くした事に気付いたリンドブルムは走りながらダークゴモラをホルスターにしまい、ライトソドムの弾倉を新しい弾倉に交換し始める。しかし、ジージルがその隙を見逃す筈もない。ニッと笑ったジージルは新しい矢を手に取り、リンドブルムの方へ向きを変えて走り出す。そしてリンドブルムに向かって走りながら彼を狙い、矢を放ったのだ。
「おっと!」
突然飛んで来た矢を立ち止まってギリギリで回避したリンドブルム。ジージルはそのままリンドブルムを狙って連続で矢を放つ。リンドブルムは矢をかわし続けて自分に向かって走って来るジージルの方へ視線を向けた。彼女の表情は見下す様に笑みとなり、まるで動けないリンドブルムを見て楽しんでいる様に見えた。
「どうしたの?自慢の銃って武器は使えなくなったのかしらぁ?」
矢を放ちながら走って来るジージルを見てリンドブルムは彼女を一度睨むと上手く矢をかわして走ってその場を移動した。ジージルもリンドブルムを追う様に走り出し、彼の後ろから狙い撃ち続ける。
「リブル、一体どうしたんだ?なぜ反撃しない?」
試合を見ていたラピュスがリンドブルムの異変に気付いてヴリトラに尋ねる。ヴリトラは腕を組みながら緊迫した表情でリンドブルムを見ていた。
「多分、弾切れになったんだろう・・・」
「弾切れ?それじゃあ新しい弾を入れれば・・・」
「再装填できないんだよ。戦闘中は弾倉交換時が最も危険なんだ、だから物陰に隠れて弾倉を交換するんだけど試合場は見ての通り隠れる場所が無い、しかもあんな風に猛襲を受けている状態じゃあ尚更だ」
「それじゃあ、リブルはもう銃を使えないのか?」
リンドブルムの武器が使えなくなり、一気に戦力を失ってしまうのかと心配するラピュス。ラランも心配なの同じように緊迫した表情でヴリトラの方を見る。
「いや、まだチャンスはある」
「ああ、ジージルの矢が無くなればアイツはもう攻撃出来ないし、リブルが弾倉を交換するチャンスもくる」
まだリンドブルムが逆転できるチャンスがあると話すヴリトラとニーズヘッグを見てラピュスとラランは少しだけホッとする。そして四人は試合場の方へ視線を戻した。試合場では未だにリンドブルムがジージルに追われながら無数の矢に襲われていた。
「ホラホラホラ、どうしたの?逃げてばっかりじゃ勝てないわよ!全力で私を倒すんじゃなかったのぉ?」
「クゥ~ッ!言いたい事言ってぇ!」
後ろから笑いながら嫌味を言って来るジージルに悔しがるリンドブルム。その時、飛んで来た矢の一本がリンドブルムの足を掠り小さな切傷を作った。
「ううっ!?」
突然の足の痛みに走るスピードが一瞬遅くなったリンドブルム。その隙にジージルは一気にリンドブルムに近づいて確実に当るように狙いを付ける。
「・・・追いついた♪」
ジージルはそう言った瞬間に弦の手を離し、矢をリンドブルム目掛けて放った。矢が真っ直ぐリンドブルムの後頭部に向かって飛んで行き、鋭く尖った金属の矢じりが迫って行く。矢じりがリンドブルムの行動部を貫く、そう思ったラピュスとララン、客席のアリサ、ジェームズ、アネット、ロン達観客と審判は驚き、ジージルはニッと笑う。だがヴリトラ、ニーズヘッグ、オロチの七竜将は鋭い目でリンドブルムを見つめていた。まるでリンドブルムなら大丈夫と確信している様に。そして次の瞬間、リンドブルムは軽く前に跳んでそれと同時に体の向きをジージルの方へ向ける。そして目の前まで迫って来ている矢を左手で掴んで止めた。
「!?」
ジージルはもの凄い速さで飛んでいる矢を、それも手で掴んで止めたリンドブルムに驚きを隠せず、走るのを止めて立ち止まった。ラピュス達や観客達もリンドブルムの信じられない行動に言葉を無くし驚いている。その中で七竜将は微笑みながらリンドブルムを見ていた。
リンドブルムは左手に持つ矢を捨てて素早く新しい弾倉を取り、ライトソドムに弾倉を叩き込む。そして驚いて足を止めているジージルに向かって発砲。弾丸はジージルの鎧に命中し、高い金属音を上げながら衝撃をジージルに与える。
「うぅ!」
胸から伝わる衝撃に声を上げるジージルは一歩後ろに下がり片膝を突いた。リンドブルムも足が試合場に降りるとライトソドムを急いでホルスターにしまい、ダークゴモラの弾倉も新しいのに交換する。そしてもう一度ライトソドムを抜いて両手に愛銃を持つ形でジージルをジッと見つめた。一瞬の間に立場が逆転した事に観客達は大歓声を上げて盛り上がる。その歓声の中、リンドブルムは小さく笑い、ジージルは俯いている。
「へっ・・・リブルの奴、矢が無くなる前に戦況をひっくり返しちまった。まぁ、アイツなら何とかするとは思ってたけどよ」
「ああ、それにアイツなら矢を素手で掴むのなんて朝飯前だろうしな」
「なら、どうして今まで銃で撃ち落としたりしていたんだ?」
試合が始まってから矢を拳銃で撃ち落としていたリンドブルムの行動が理解出来ずに小首を傾げながら尋ねるラピュス。
「そりゃあ、お前・・・相手が沢山の矢を放って来てそれを全て掴むなんて事は無理だろう?それにどれ程の速さなのかを見極める為にまずは速さを調べる必要があるしな」
「見極める為に撃ち落としながら調べていたという事か?」
「そういう事だ」
理解したラピュスを見て頷くヴリトラ。四人は再び試合場で膝をついているジージルを見下ろしているリンドブルムの方を向く。
リンドブルムはライトソドムとダークゴモラを下してジッとジージルを見つめている。まるで彼女が態勢を立て直すのを待っているかの様に。ジージルはゆっくりと立ち、俯いたまま弓を強く握る。
「・・・今まで避けたりしていたのに、それを素手で掴んだ?ふざけてるにも程があるわ」
俯いたまま低い声でブツブツと独り言を言う様に話すジージル。そんな彼女をリンドブルムはただジッと見つめている。
「・・・私の矢は今までどんな敵をも撃ち貫いてきた。その矢を素手で止めるなんて、過去にこれ程の屈辱を受けた事は無い。・・・・・・もう容赦しないわよ・・・」
ジージルがフッと顔を上げると、彼女は怒りに満ちた表情でリンドブルムを睨み付ける。
「・・・この、クソガキがぁーーーっ!!」
リンドブルムを睨みながら叫ぶジージル。リンドブルムはジージルが叫ぶのと同時に体にピリピリと伝わって来る威圧感に反応し表情を少しだけ鋭くした。
(へぇ?凄い殺気だなぁ。自分の矢を素手で止められたなんて今までなかったからプライドが傷ついちゃったのかな・・・これは、そろそろ本気で来そうだね・・・)
心の中でジージルが本気で来ると感じ、ライトソドムとダークゴモラを構えて銃口をジージルに向けるリンドブルム。だが、銃口を向けた瞬間にジージルは左へ走り出し試合場の隅まで移動する。そして矢筒から矢を一本抜くと空に向かって掲げ始めた。すると試合場を囲んでいる水路の水が突然、湧き上がる様に動き出してジージルの矢に集まり出した。それを見てリンドブルムは驚きジージルの矢に目を向ける。
「あれは・・・まさかっ!?」
リンドブルムはジージルが何をやろうとしているのか気付いたのか目を見張る。そして試合場の外で見物していたヴリトラ達もジージルの方を見て同じように目を見張っていた。
「おい、ラピュス。アレってまさか・・・」
「ああ、間違いない。ジージル殿の気の力だ!」
「あれが彼女の気の力・・・」
ラピュスからジージルが気の力を使う事を聞かされて更に驚くヴリトラとニーズヘッグ。三人とも微量の汗を掻き、目を鋭くして試合場の上を見つめた。
「・・・ジージル殿の気力は水の力。水があれば武器や矢に水を纏わせて攻撃する事が出来る」
「水か・・・そう言えば、この試合場って火の灯っている石柱や水路とかあるけど、これってもしかして騎士達が気の力を使えるようにする為にあるのか?」
「・・・多分そう」
試合場の周りにある石柱や水路の意味に気付いたヴリトラの言葉にジージルは試合場を向いたまま頷いて答える。それを聞いたニーズヘッグは舌打ちをして気に入らない様な顔を見せた。
「何だよそれ?それじゃあこの大会は最初から騎士達が有利になる様になってたって事かよ!」
「恐らくそうだろう。この試合場も元老院の者が作らせたものだ、最初から私達が戦いやすくなる様に作っておいたんだろう・・・」
「元老院って言うのはよっぽど騎士を最強の存在にしたいらしいな・・・」
ニーズヘッグは元老院の考えが気に入らないのか腕を組んで機嫌の悪そうな声を出す。この武術大会の試合中に相手を殺めても罪にはならないと言うルールや騎士が戦いやすいようにしている試合場から考えて、元老院にはろくな人間がいないという事が分かる。ニーズヘッグや騎士であるラピュスですらその元老院の考えに納得出来ずにいた。
そんな中でヴリトラは試合を眺めながら腕を組んで口を開いた。
「まぁ、元老院が何を考えてるにせよ、この大会で騎士に勝った奴も大勢いる。騎士ばかりに目を向けているのが間違いだって少しは分かったんじゃねぇの?」
「確かにそうだな。これで元老院の考え方が少しでも変わってくれるといいのだが・・・」
ヴリトラの話を聞き、ラピュスは頷きながら試合場の方を見る。会話を終えたヴリトラ達は再び試合場の方へ視線を向けてリンドブルムを見守るのだった。
試合場では水を纏った矢を弓で構えながらリンドブルムを狙っているジージルの姿があった。矢じりには刃物の様に鋭く尖った形をした水が纏われ、まるでドリルの様に回っていた。
「リンドブルムと言ったわね!?私をここまでコケにしたのはアンタが初めてよ!そんなアンタを私の気力で纏った矢で撃ち貫いてやるわぁ!」
「気力の矢・・・」
自分を睨みながら言い放つジージルを見てリンドブルムは構えながら呟く、引き金の人差し指を少しだけ動かした。それと同時にジージルは右へ大きく跳び、突然移動したジージルに驚いたリンドブルムは跳んだジージルを追う様に銃口を向ける。そんな中でジージルは弦を引いている右手をさらに引っ張り力を込めた。
「受けなさい!水蜂破砕矢!」
技の名を叫んだジージルは右手を離して水の纏った矢をリンドブルムに向けて放った。矢は小さな水しぶきを飛ばしながらリンドブルムへ向かって飛んで行き、リンドブルムは自分の顔目掛けて飛んで来る矢を横へ体を反らして回避する。矢はリンドブルムの後ろに立っていた石柱の真横を通過、すると石柱は矢じりに纏われている水によってまるで大型の機材を使ったかの様に削られた。
「ええっ!?」
後ろで低い音を立てて削れた石柱を見て驚くリンドブルム。ヴリトラ達や観客も矢の破壊力に驚いており、矢を放ったジージル自身はニヤリと笑っていた。
「石の柱を削るなんて、凄い破壊力・・・」
「驚いた?私の矢は水を纏う事により、その水が螺旋状に高速回転して破壊力と貫通力を上げる事ができるの。これを食らったら普通の人間は体に大きな風穴が開いて即死、アンタもそうしてあげるわぁ!」
自分の技の事を説明し終えたジージルは新しい矢を手に取り、その矢にも水を纏わせる。リンドブルムは次の矢が撃たれる前に反撃しようとしたが、彼の予想以上に水が纏われる時間が早く、既に矢じりには鋭く尖った水が纏われていた。ジージルは反撃の隙を与えない様に直ぐに矢を放ち攻撃する。矢はリンドブルムの足元に命中し、試合場に刺さり周囲に石片を飛ばす。リンドブルムは数回に分けて後ろに跳んで移動する。そこへジージルが追い打ちを掛ける様に水の纏った矢を連続で放っていく。
「くうぅ!いくら機械鎧兵士の僕でもこんな矢を受けたらひとたまりもないよぉ!」
後ろに跳びながら地面に刺さる矢を見るリンドブルムは困ったのような顔を見せていた。そんな彼にお構い無しにジージルは水の纏った矢を連続で放ち追撃する。その様子を試合場の外で見ていたヴリトラ達も流石に心配なのか表情を少し曇らせていた。
「おいおい、何だよあの強力な矢は?」
「水を纏っただけでどうしてあそこまで威力が上がるんだ?」
「言っただろう?気力は使う者の心や精神力の強さによってその力が変わると。ラランの試合と同じようにジージル殿もリブルに対する怒りで感情が高まり、心のリブルを倒したいという強い闘志が宿ったんだ」
「だから、気の力で水を纏った矢はあそこまで強い力を発揮するって事かよ?」
「そうだ。これは・・・マズイかもしれないぞ?」
ラピュスが本音を口にし、それを聞いたラランも不安そうな顔でリンドブルムの方を向き、ヴリトラとニーズヘッグも緊迫した表情を見せている。そして試合場の上では試合場の端まで追い込まれたリンドブルムの姿があった。ジージルは水の纏った矢でリンドブルムを狙い不敵な笑みを浮かべている。
「フフフ♪さぁ、もう逃げ場は無いわよ?言い残す事があれば聞いてあげるけど?」
笑いながらリンドブルムに遺言が無いかと尋ねるジージルを見て黙っていたリンドブルムは新しい弾倉を入れたダークゴモラを一発も撃つ事なく静かにホルスターに収める。
「あら?武器を収めて降参?でもこのままじゃ私の気が収まらないのよねぇ~。頭を下げて頼むなら助けてあげてもいいわよ?」
「・・・そんな気は毛頭ありませんよ」
「んん?」
リンドブルムはライトソドムを両手で握って銃口を向けて構えると、それを見たジージルも弓を構え直す。
「何?まだ抵抗するつもりなの?」
「ええ。最後まで僕は諦めませんよ。それに、この一撃で勝負を付けようと思ってますから」
「はぁ~?さっきまで逃げ回ってたのにいきなり勝負を付けるですって?・・・ハッ!ハッタリは止めなさい」
「試してみますか?」
そう言ったリンドブルムはライトソドムの小さなスイッチを押した。するとライトソドムの銃身を包み込む様にスパークが発生し始める。それを見たヴリトラとニーズヘッグはフッと反応した。
「あれは、レールガンシステム!」
「ああ、間違いない!」
「レール、ガン?」
驚くヴリトラとニーズヘッグの方を見ながらラピュスは小首を傾げる。
試合場ではライトソドムに異変が起きたのを見てジージルが表情を鋭くしていた。
「何アレは?・・・・・・まぁ、何をするにせよ私の水蜂破砕矢は止められないわよぉ!」
ジージルはリンドブルムを睨みながらリンドブルムに向かって矢を放った。矢は真っ直ぐリンドブルムに向かって飛んで行き、徐々に距離を詰めていく。そしてリンドブルムも飛んで来る矢を狙ってライトソドムの引き金を引いた。銃口からもの凄い速させ弾丸が吐き出されるのと同時に大きな銃声が闘技場内に響く。弾丸は真っ直ぐジージルの放った矢へと飛んで行き矢じりに命中し纏われている水を弾き飛ばす。そのまま矢を貫き、真っ二つに割れてジージルの方へ向かって行く。
「なあぁ!?」
自分の技を撃ち破った高速の弾丸に驚くジージル。そして弾丸はジージルの持ってい弓をも粉々にし、ジージルの腕を掠めた。弾丸はそのまま石柱の方へ向かって行き、石柱に命中してそのまま貫通した。弾丸はそのまま闘技場の壁に命中、弾痕を作りそこから煙を上げる。
追い込まれたリンドブルムはレールガンで反撃し、ジージルの水の矢と弓を破壊する。激しい攻防の末にリンドブルムの最後の反撃は決まった。準々決勝はこのままリンドブルムの勝利で終わるのか?




