第六十九話 集いし猛者達
自分達の心身を強くする為にレヴァート王国武術大会に参加する事にしたヴリトラ達。レヴァート王国中の猛者達が参加すると聞いて、より強い敵と戦える事に大会に参加する七竜将は胸を躍らせるのだった。
武術大会に出場する為にヴリトラ達参加組は大会受付が行われている王城前の大きな門の前にやって来た。そこには既に大勢の大会参加者達が集まり列を作っていた。筋肉質な大男、細い体の若い男、そして王宮の騎士などが沢山集まっており、その中にはスリムな女性の姿も幾つかあった。
「うわぁ~、大勢いるなぁ」
参加者の行列を見てヴリトラは思わず声を出す。今、ヴリトラ達は城下町まで続く列の最後尾に来ており、城門の前にある受付までの距離は200mはある。その列は二列で真っ直ぐならんでおり、約八十人の参加者の姿があった。
「確か今日が大会受付の初日だろう?初日からこんなに大勢いるなんて、一体何人出場するんだぁ?」
「分からない。だが、大会の一日目は決勝トーナメントに出場する者を選ぶ為に予選を行うらしい。そこで出場者の大半は脱落し予選を勝ち抜いた二十名で決勝を行うと聞いている」
列に並んでいるヴリトラの後ろに並んでいるラピュスが大会の流れを説明する。ラピュスの後ろではニーズヘッグ、リンドブルム、ラランの三人も並んで受付を待ってる姿があった。
「大会初日に予選って、この町に一度にそんな大勢の中から二十人を決める予選をする為の会場なんかあるのか?」
「確かにそうだよね。いくら王都であるティムタームでも一日で決勝に参加する二十人を決めるとなると、かなり広い場所が必要になって来る筈だよ。そんな場所あるの?」
ヴリトラとリンドブルムは予選をティムタームの町でどの様に行われるのか気になりラピュスに尋ねる。二人が気になるのも無理はない、初日で八十人近くの参加者がいるとなると、最終日には少なくとも二百人以上の出場者が出る筈だ。そんな大勢の出場者の中から一日で二十人の決勝参加者を決めるとなると一度に数回の予選を同時に行わないと時間が掛かってしまう。だがティムタームの町にそれだけの人数の予選を行える闘技場や広場があるとも思えない。一体どうやって一日で二十人を決めるのかヴリトラとリンドブルムは分からなかったのだ。
「予選はこの町だけで行う訳じゃない。レヴァート中の町で予選を行い、そこで勝ち残った者達がティムタームにある大闘技場で決勝を行うんだ。因みにこの町の予選はその大闘技場で行われるんだ」
ラピュスが予選の流れを説明すると説明を聞いていたヴリトラが「ん?」という顔を見せてラピュスの方を向く。
「それってつまり、受付をした後に予選が行われる町を聞いて、その町まで行ってそこの予選で勝ち残った後にまたこのティムタームに戻って来るって事か?」
「そういう事になるな」
「うわぁ~、メンドクセェ~!」
「ああ、確かに面倒だ。その話の流れからだと、別の町から参加する連中は受付をする為にわざわざこのティムタームまで来て、その後に予選が行われる町まで行くって事だろう?移動するだけども時間と体力を消費するって事じゃねぇか」
予選までの道のりを知って驚くヴリトラと大会の面倒な流れを聞いて愚痴るニーズヘッグ。二人に挟まれているラピュスはただ苦笑いをするしかなかった。それから少しずつ進んで行き、ようやくヴリトラ達の出番が回ってきた。周りでは既に受付を済ませた参加者達がヴリトラ達の姿を見て小声で話をしている姿がある。ヴリトラ達七竜将の存在や功績を知っている者達や彼等を始めてみる者達など色々な人間がいたがヴリトラ達はそんな事も気にせずにさっさと受付を済ませて受付の隅へ移動する。結局ヴリトラ達の順番が回って来るまでに一時間も並ぶ事となってしまった。
ヴリトラ達が終った後も受付は行列を作っており、ヴリトラ達が並び始めた時にいた城下町の方まで列は出来ていた。
「おいおい、まだこんなに参加者がいるのかよ・・・」
「これじゃあ、軽く三百人はいってるんじゃないの?」
「やはり、3000ティルという大金を目当てに来る者が殆どの様だな・・・」
目を丸くして驚くヴリトラとリンドブルムの後ろでは金の力が人を集めると感じて苦笑いで行列を見ているラピュスの姿があった。二人はゆっくりと後ろを向いて苦笑いをしているラピュスをジト目て見つめる。
「おい、ラピュス。確か参加者は少ないとか言ってなかったな?」
「どう見ても多すぎると僕達は思うんだけど?」
「わ、私は少ないと思うと言っただけで絶対とは言ってないぞ」
あくまでも自分の予想を言っただけのラピュスはジト目で自分を見ている二人を少しオロオロした様は表情で両手を前に出して言う。確かにラピュスは間違った事は言っていない、それを知っていながらもどこか納得のいかないような表情で引くヴリトラとリンドブルム。
三人の会話を見ていたニーズヘッグとラランは「やれやれ」と言いたそうな顔をしていた。二人は周りの参加者達を見てどんな猛者がいるのかを観察し始める。
「それにしても、結構強そうな連中がいるな。ララン、お前の知っている奴はいるか?」
ニーズヘッグが細かい情報を持っていそうなラランに誰か知り合いや名の知れた戦士がいないかを尋ねる。ラランはしばらく周囲を見回して探していると、誰かを見つけたのか動かしている顔を止めた。
「・・・あの人」
「ん?」
ニーズヘッグはラランが指差す先を見ると、黒い長髪を後ろで束ねて下に向かって垂れている髭を生やした男がいた。男は四十代前半ほどで黒いローブの様な服を着ており肩には長い槍を担いでいる。
「あの男は?」
「・・・確か、『ロン・ゴーチャイス』って言う傭兵。槍の名手で四ヶ月前にヘルマンズって言う山賊の一団を一人で殲滅させた経験のある人」
「ほぉ?山賊をたった一人でか・・・。他には?」
他にも強そうな者はいないかと尋ねるニーズヘッグはラランと一緒に周囲を見回して探し出す。するとまたラランが誰かを見つけたのかニーズヘッグの服を引っ張る。
「ん?いたのか?」
「・・・うん、二人」
二人も見つけたと知ってニーズヘッグはラランが見ている方を指差す。だがラランの視線の先には大勢の参加者がいて誰が猛者なのかさっぱり分からなかった。
「おい、誰なんだよ?」
「・・・あそこ、あの家の隅にある樽の上に座ってる人」
ラランが細かく説明しながら指を指す方向を見るニーズヘッグ。樽の上には確かに一人の男が立っていた。その男はヴリトラやニーズヘッグ達と同じ位の二十代程の若者で革製の鎧と長ズボンを身につけている。そして彼の腰には弧を描く様な形をした鞘に納められている剣があり、それはブラッド・レクイエム社の機械鎧兵士が使っているマチェットの様な形をしていた。
「アイツもそれなりの実力者なのか?」
「・・・うん。『ジェームズ・ゾゾムーン』って言う人。『ファルシオン』一本だけを使ってこれまでに多くの悪党や凶暴な猛獣を倒して来たって噂されてる人」
「噂かよ・・・ん?猛獣?」
何か引っかかるのか、ニーズヘッグは思わずラランに聞き返した。ラランはそんなニーズヘッグの方を向いて無表情のまま説明をする。
「・・・野生の猛獣とかが人里に下りてきて村人を襲う事がよくある。貴方達もドレッドキャットと戦ったでしょう?」
「ああぁ、そう言えば・・・」
フォルモントの森でガズンの操るドレッドキャット達と戦った事を思い出すニーズヘッグ。そしてもう一度、樽の上に座っているジェームズの方を見た。
「俺達ですら苦戦したドレッドキャットの様な猛獣をあの曲刀一本で倒したのかよ?」
「・・・さっきも言ったけど、あくまで噂。でも、何度か王国から騎士団に入らないかって話してるのを見た事がある」
「成る程、それなりの実力者だって事は確かなんだな・・・。もう一人は?」
「・・・あそこで木にもたれてる女の人」
ラランがジェームズのいる方角とは違う方角を向いて指を指した。その先にはラランの言うとおり木にもたれている美しい女性の姿があった。ピンク色の短髪でラピュスと同じ二十歳そこそこの外見をしている。腕や腹部を露出した服に革製の長ズボン、そして川の手袋を付けて腕を組んでいる。腰には短剣が納められており、それ以外に目立った武器は見当たらなかった。
「あの姉ちゃんも強いのか?」
「・・・『アネット・ラファキル』、目立った武器はあの短剣だけだけど、もう一つ変わった武器を使うって聞いた事がある」
「変わった武器?」
「指で小さい鉄の弾を弾いてそれで遠くにいる敵を攻撃するって・・・」
「・・・指弾か」
アネットと言う女性が指弾の使い手と知り、ニーズヘッグは腕を組みながら目を閉じて木にもたれているアネットを見つめた。
「・・・指弾・・・うん、確かそう呼ばれてた」
「指弾は鍛えられた指で鉄球や小石を飛ばして攻撃する戦術だ。威力は使い手の力次第だが、達人並みの力がある者が使えば鉄板を簡単に貫通し、当たり所が悪ければ命に係わるとも言われている」
「・・・銃と同じ様なもの?」
「似てはいるが、銃の方がずっと威力が大きい。だが指弾は使う場所によっては小石なんかも弾に出来る、つまり弾は無制限って事になるな」
銃と指弾の違いを簡単に説明するニーズヘッグとその説明を黙って聞くララン。その後二人はもう一度周囲を見回して他にも猛者がいないか探したが、他には誰もそれらしい人物は見当たらなかった。
「・・・他にはもういない」
「そうか。あとは騎士団のエリート騎士達ぐらいだな・・・」
探すのを止めたラランとニーズヘッグは今度は騎士団で誰か猛者がいないか話をしようとする。するとそこへヴリトラ達が静かに近寄って来た。
「おう、二人とも何やってるんだ?」
「ああ、ラランに誰か強そうな奴がいないか聞いて一緒に探してたんだ」
「へぇ。それで誰かいたのか?」
「三人ほど見つけたぜ」
ニーズヘッグがヴリトラ達にラランと見つけた三人の事を話そうとすると、突然ヴリトラ達に誰かが声を掛けてきた。
「おや、貴方達も出場するのか?」
「ん?」
聞こえてくる聞き覚えのある男の声にヴリトラは反応して声のする方を向く。そこには青銅色の鎧を身にまとい、青のマントを羽織った茜色の短髪をした青年騎士の姿があった。ヴリトラ達はその騎士に見覚えがあり目を見張って見つめる。
「アンタはザーバットさん!」
ヴリトラは小さな驚きの表情を見せて騎士の名を口にする。その騎士は、ヴリトラ達が前にゴルバンの町を解放する為に通過した町に駐在していた青銅騎士団の中隊長であるキースリンク・ザーバットだったのだ。
ザーバットは久しぶりに再会したヴリトラ達に手を振りながら彼等に近づいて行く。
「久しぶりだな、ゴルバンの町の解放以来だったか?」
「ええ、確かそうでした」
「君達の噂は最近よく聞いているよ。この前もフォルモントの森に潜伏していたストラスタ軍を倒して反撃のきっかけを作ったらしいじゃないか?」
「いやぁ~、俺達は別のそんな大したことはしてませんよ」
ザーバットからフォルモントの森での自分達の活躍を話されて頭を掻きながらニヤニヤと照れるヴリトラ。そんな彼の照れ顔を両隣から見ているラピュス達は苦笑いやわざとらしく思うジト目でヴリトラを見ていた。
「ところで、ザーバット殿はどうしてこちらに?やはり武術大会の出場で?」
「ええ、その通りです。私は騎士ではありますが貴族の称号などもないただの庶民です。騎士の収入だけでは家族を養うのにギリギリで・・・」
ラピュスがザーバットに城門前にいる理由を尋ねると、ザーバットはラピュスの方を向いて苦笑いをしながら頷く。ザーバットの様な男性騎士はラピュス達女性騎士とは違い、例え優秀な騎士でも爵位を手に入れて貴族の仲間入りをする事は出来ない。故に普通の庶民としての扱いを受けて給料などもそれほど多くない。男性騎士が貴族になるには騎士として実績を上げて王族に認められるしかないのだ。
家族を養い為に武術大会に出るというザーバットに意思を聞いたヴリトラ達はザーバットに感心したのか笑みを浮かべて彼を見ている。
「それで、君達も武術大会に出場する為に受付へ?」
「ええ。強い奴と戦って自分達の実力を付ける為に」
照れ顔を戻してザーバットの質問に答えるヴリトラ。自分とは違い賞金ではなく強くなる為に出場すると言うヴリトラ達に今度はザーバットが感心する。
「やはり貴方がたも参加するのですね?」
ヴリトラ達が会話をしていると、今度は若い女性の声が聞こえ、一同は一斉に声の聞こえた方を向いた。そこには金色の長髪に赤いヘアバンドを付けて銀色の鎧を着ている若い女性騎士の姿があり、その姿を見たヴリトラは少し意外そうな顔で驚く。なぜならその女性騎士をヴリトラ達は知ってるからだ。
「誰かと思ったらお前か、クリスティア」
ヴリトラが女性騎士の名を口にしながら尋ねる。そう、彼女は嘗てヴリトラと決闘を申込み見事に返り討ちに遭った第八遊撃隊の隊長である姫騎士、クリスティア・ママレートだ。久しぶりに見る姫騎士をヴリトラ達七竜将はジーっと見ていた。
「貴方がたも、って言う事は貴方も出るんですか?」
「勿論です。この大会でわたくしがどれ程力を付けたのか確かめてみるつもりです。・・・それに、貴方がたの事ですからきっとこの大会に参加すると思っていましたしね?」
リンドブルムの質問に答えたクリスティアはヴリトラの方を向いて彼を指差した。指を指されたヴリトラは一瞬驚くもクリスティアの方を見て彼女の顔をまばたきしながら見つめる。
「ヴリトラさん、前の決闘では貴方に負けましたが今度は必ず勝ちます!あの時の決闘の後、私は上級騎士の方々から特訓を受けて自分自身の力と心の両方を鍛えてきました。今の私はあの時の自惚れていた私とは違います!」
前の決闘でヴリトラに負けた事で理解した自分の未熟さと力の無さにクリスティアは自分を鍛え直す為に騎士団の任務をこなし、特訓を積み重ねてきた。そんなクリスティアを見たヴリトラも彼女の変化を薄々感じていたのか、クリスティアを見て笑う。
「確かに以前と違って強くなったみたいだな?・・・いいぜ、もし俺とお前が当たったらもう一度戦ってやるよ。でも、その前にちゃんと予選を通過しろよぉ?」
「んぐっ!それは貴方も同じでしょう!」
クリスティアの言っている事はもっともだ、そう思ったヴリトラはニヤニヤと笑いながらクリスティアを見つめ、リンドブルムやニーズヘッグも笑って彼女を見つめている。
「まったく、どいつもこいつも騒がしい連中だ!」
「しっかたないでしょう?礼儀を知らない傭兵が殆どなんだからさ」
今度はザーバットやクリスティアと違い、城門の方からまた聞き覚えのある二つの声が聞こえ、ヴリトラ達は振り返る。城門から二人の騎士が姿を見せて周りを見回しながらヴリトラ達の方へ歩いてくる。一人は金色の短髪に後ろに向かって伸びているクセ毛と眼鏡が特徴の白銀の鎧を着て白いマントを羽織っている若い男性騎士。もう一人は小柄な女性騎士で水色の長髪に鼓笛隊の被るマーチング帽の様な帽子を被り、白銀の鎧と白いマントを身に付けた女性騎士だった。
「あれは・・・」
「チャリバンス殿とジージル殿だ」
ヴリトラとラピュスは降りてくる二人の騎士を見て鋭い表情を見せる。その二人は前に軍の戦略会議で見かけた白銀剣士隊の隊長であるファルネスト・チャリバンスとティンクル・ジージルだった。二人は名門貴族の出で傭兵や平民出の騎士を軽く見ており、ヴリトラとラピュスもあまり好きに慣れない存在だった。
ゆっくりと歩いてくるチャリバンスとジージルは自分達を見ているヴリトラ達に気付き、鬱陶しそうな顔でヴリトラ達を見ながらゆっくりと彼等に近づいて行く。
「何だ、お前達も今度の武術大会に参加するつもりなのか?」
「・・・私達が参加する事にご不満でも?」
チャリバンスを見つめながらラピュスが低い声で尋ねると、チャリバンスは鼻で笑いながら答えた。
「ハッ、別にそうは思っておらん。ただ、いくら賞金が欲しいからと言って力の無い者達が参加しても怪我をするだけだから、やめておいた方がいいのではないかと思ってはいるがな?」
「そうよねぇ~?大会に参加して大怪我したら怪我を治す為の治療費の方が高く付くだろうしねぇ?」
チャリバンスの隣で明らかにバカにする様な表情で話に参加してくるジージル。そんな二人を見て、彼等を始めてみるリンドブルムとニーズヘッグは小声でラランやザーバットに声を掛けた。
「ねぇ、何なのあの人達?スッゴク感じ悪いんだけど?」
「・・・あの人達は平民や傭兵を見下す酷い人達」
聞こえないような小さな声でチャリバンスとジージルの事を話しているリンドブルムとララン。そんな二人の後ろではニーズヘッグとザーバットが小声で話をしている。
「アイツ等、王国騎士団の上級騎士達なのか?」
「あ、ああ。白銀剣士隊の中隊長を務める上級騎士と姫騎士だ。実力はそれなりにあるのだが、性格があれでな・・・」
やはりザーバットもチャリバンスとジージルの事を良く思っていないのか、二人に聞こえないようにニーズヘッグに話している。
そんな四人の小さな会話に気付かずに白銀剣士隊の隊長二人はヴリトラとラピュスの方を向き、二人と会話をしている。
「・・・その様子だと、お前達も参加するんだろう?」
「当然だ、陛下や姫様がたが見物に来られるのだ。我々の力を王族の方々に見て頂く絶好のチャンスなのだからな」
「チッ、結局自分の存在を知ってもらう為だけに参加するのかよ」
「私達はお前達の様に金などに興味は無いのでな」
「・・・私達も賞金の為に参加する訳ではなりません。己の強さを磨く為に参加するんです!」
「ハッ。強さを磨くねぇ~、弱い奴が自分の本心を隠す為に考えそうな綺麗事ね」
互いに自分の意思をぶつけ合う四人。片方は自分自身の力を鍛える為に、もう片方は自分達の存在を周りに知らせる為に大会に参加する事を決意している。双方の意思は互いに相手の意思を否定する形にもなっていた。
「まぁ、せいぜい客の前で恥をかかない様に努力するのだな?」
「ゴルバンの町やフォルモントの森では上手く生き残れたみたいだけど、この大会じゃあ、その運の良さもお終いよ」
そう吐き捨ててチャリバンスとジージルはその場を立ち去っていく。ヴリトラとラピュスはそんな二人の背中をただ黙って見つめていた。
武術大会の受付に来たヴリトラ達はそこで名の知られている猛者や懐かしい面々と顔を合わせる。そこで彼等は武術大会で戦う者達の熱い意思を知るのだった。




