第三百八話 バルベムト平原へ ブラッド・レクイエムからの招待
コラール帝国への今後の進攻について戦略会議を行っていたヴリトラ達。そこへ謎の人物から小包がヴリトラあてに届けられ、不思議に思ったヴリトラが小包を開けると中から無線機が出て来る。そしてその無線機からジークフリートの声が聞こえて来た。
無線機から聞こえるジークフリートの声を聞き、ヴリトラや周りにいるアレクシア達の表情に緊張が走る。なぜ敵が無線機を送り連絡を入れて来たのか、その理由が分からないヴァルボルト達は不安を隠せずにいた。
「ジークフリート……」
「元気そうだな? ヴリトラ」
「声で分かるのか?」
「ああ、お前の事は何でも分かる」
「気持ち悪い事を言うな」
「フフフフ、そいつはすまなかったな」
冷静に無線機を通じて会話をするヴリトラとジークフリート。まるで世間話をする友人の様に見えるが、内心では警戒心と敵意で一杯だった。アレクシアやヴァルボルト達はそんなヴリトラとジークフリートの会話を黙って聞いている。
「前回の戦いではお前達のおかげでオラクル共和国と言う重要な補給源を失ってしまい、帝国側の士気は一気に低下してしまった。おかげでこちらの戦力は今でも混乱している」
「そうかい。となると、今頃帝都のお城ではお祭り騒ぎか?」
「ああ、帝国の貴族は混乱し、降伏文書を作成しようと言う者も出てきている。当然、ギンガムはそんな考えをする貴族どもに激怒し、次々に拘束して行った」
「…………」
「全く、国の状況も知らずに自分勝手に命令を出すとは、ギンガムと言う青二才はつくづく王の器に相応しくない」
「……そんな話をする為にわざわざ無線機を送って来たのか?」
「フッ、まさか……」
低い声で尋ねるヴリトラにジークフリートは小さく笑って答える。
「明日の正午に帝国領の南東にある『ベルバムト平原』に来い。面白い事を教えてやろう」
「面白い事?」
「あそこは同盟軍が制圧した町の近くにある。帝国軍の攻撃を受けず安全に行けるはずだ。そこにアレクシアと共に来い」
「師匠も一緒に?」
ジークフリートの口から出た意外な言葉にヴリトラは訊き返す。アレクシアも驚いたのか意外そうな顔でヴリトラとジークフリートの会話を聞いている。
無線機から聞こえる敵の言葉を聞いたヴァルボルト達はジークフリートが何を考えているのか分からずに難しい顔をしている。この時の彼等はジークフリートには帝国に対する仲間意識をほとんど持っていない事に気付いており、ブラッド・レクイエム社が平気で仲間を切り捨てる存在である事を知って寒気を感じていた。
ヴァルボルト達がそんな不安な表情を浮かべてヴリトラを見ている中、無線機からジークフリートの声が再び聞こえてくる。
「そうだ。うちの女王がお前の師に会いたいと言っているのでな。もし不安なら護衛を連れて来ても構わない。ただし、三人までだ」
「……たった五人で敵地に来いって言うのか?」
「話し合いだからな」
「俺達が話し合いに乗って平原へ来たところをお前達が取り囲んで攻撃して来るかもしれない。お前達が俺達を襲わないという保証はあるのか?」
「無いな。信じる信じないはお前達の勝手だ。だが、我々にも誇りがあるそんなくだらない真似はしない。お前達は戦場で私達の手で始末する」
「…………」
ジークフリートの言葉にヴリトラは黙り込み考える。ブラッド・レクイエム社が平原に来た自分達を襲わないという保証はない。そんな状態でたった五人で敵の待つ場所へ向かうのは危険すぎる。だが、ジークフリートは自分に有利な状態で一方的に相手を攻撃し、甚振るような姑息な手は使わない。それはヴリトラも知っている。ブラッド・レクイエム社の幹部にもフェアプレイを心掛けている者もいるという事だ。
しばらく考えてたヴリトラはチラッとアレクシアの方を向いて彼女の意見を聞こうとする。すると、アレクシアは何も言わずに真剣な表情でヴリトラを見つめて小さく頷く。アレクシアの答えは平原へ行く、だった。
ヴリトラはアレクシアの答えを確認すると無線機を見つめて口を動かす。
「……いいだろう。明日の正午にそのベルバムト平原へ行く」
ヴリトラの答えを聞いたヴァルボルト達は驚きの表情を浮かべる。敵の罠かもしれないのにわざわざ敵の出した条件を飲んで敵地へ行くなど普通では考えられないからだ。
「フフフ、では待っているぞ?」
「その代わり約束しろ。俺達が平原へ着いた時に俺達を罠にはめたり、俺達が平原へ行っている間にティムタームのような重要な都市に奇襲を仕掛ける様な事はしないと」
「ほお? 私達が信用できないか?」
「当たり前だ。と言うか、俺達に対してそれは愚問じゃねぇのか?」
「フッ、確かにな……いいだろう、保証してやる。では、明日の正午、待っているぞ」
そう言い残し、ジークフリートは無線を切った。
ジークフリートの声が聞こえなくなり、静まり返った会議室の中でヴリトラは持っていた無線機を強く握り粉々に砕く。
「……ジークフリートの奴、何を企んでいるんだ」
「彼が何を考えているにせよ、話をしたいと言うのなら聞いてあげましょう?」
「でも、どうするんです? ジークフリートは保障すると言っていましたけど、ジャンヌや他の幹部どもが約束を守るとは限りませんよ?」
「大丈夫よ。アンジェラも自分に有利な状況で敵と戦おうとは考えないわ。それは私が誰よりもよく知っている……」
アレクシアも敵側を信じてもいいのではないかという答えにヴリトラは難しい顔を浮かべた。
「ア、アレクシア殿、ヴリトラ、さっきの話……本気で敵に会いに行くつもりなのか?」
ヴリトラとアレクシアを見てヴァルボルトは戸惑う様な顔を浮かべて話しかけて来た。周りにいる貴族達も同じ様な表情で二人を見ている。
「ハイ、私も久しぶりにアンジェラと会って話が見たいので……」
「し、しかし、敵がタイカベル・リーベルトの支配者である貴女と主力である七竜将の隊長をおびき寄せて何もせずにいるとは考えられない。どう見ても罠だ、やめた方がいい」
二人の事を心配してベルバムト平原へ行くのをやめるよう説得する。だがアレクシアは目を閉じて軽く首を横に振った。
「いいえ、何時かは彼女達と決着をつけないといけません。その前に一度しっかりと話をしておきたいのです。それに彼女は簡単に見抜かれる様な罠を張ったりしません」
「だ、だが……」
「ご心配なく、私達は必ず無事に帰ります」
「ウ、ウム……」
「さぁ、会議を続けましょう」
話が終わるとアレクシアは話を戻し、戦略会議を続ける。
ヴァルボルト達は不安そうな顔のままとりあえず納得して会議を続ける。その間、アレクシアはベルバムト平原の事には触れずに今後の戦争の事について話し合いをしたのだった。
――――――
戦略会議が終わるとヴリトラはズィーベン・ドラゴンへ戻り、ジークフリートからの通信とその内容をリンドブルム達に伝える。その時、偶然ラピュスとラランが来ていた為、彼女達にも話し合いの事を話した。
「ジャンヌがヴリトラとアレクシアさんに話が……」
リンドブルムはヴリトラの話を聞いて低い声で呟く。周りにいるラピュス達も真剣な顔で話を聞いている。
「ああ、俺と師匠は明日、ジャンヌとジークフリートが待っているベルバムト平原へ行く。その時に三人まで護衛を連れていく事を許可した。その護衛は七竜将の中から選んでくれって師匠が言っていた」
「僕達の中から三人まで……」
「そうだ。それで誰を連れていくか、という事なんだけど……」
ヴリトラは周りにいるラピュス達を見て誰を連れて行こうか考える。するとラピュスがヴリトラに近づいて来て彼の顔を見つめる。
「ヴリトラ、私を連れて行ってくれ」
「ラピュス?」
「私はこの世界の住人としてブラッド・レクイエムが何を考えてこんな事をしているの知りたい。この世界の人々を傷つけてまでしてあの女が得ようとしているものをこの目で確かめたいんだ!」
「……分かった。お前はジャンヌによって右腕とアリサを失った。ついて行き、全てを知る権利がある」
「ヴリトラ……」
連れて行ってくれる事が決まり、ラピュスはヴリトラを見て微笑みを浮かべる。周りにいるリンドブルム達は二人の姿を見て小さく笑う。
ヴリトラとラピュスの関係はあの戦死者墓地の時から一気に変わり、今では恋人に近い関係と言えた。そんな二人を見る度に七竜将のメンバーは「やれやれ」と言いたそうな顔を浮かべるも、心の中では二人の関係が進展した事を嬉しく思っている。
ラピュスを連れて行く事が決まり、ヴリトラはあとの二人を誰にするかリンドブルム達を見ながら考えた。
「さて、あと二人は誰を連れて行こうかねぇ……誰か自分が行きたいって言う奴はいるか?」
「う~ん、行きたいかって聞かれても……」
「一応、敵の話を聞きに行くわけだしねぇ……」
「最も適任な奴を選ぶべきだよなぁ……」
ヴリトラの問いかけにリンドブルム、ジルニトラ、ジャバウォックは困った様な顔で考える。ジークフリートの言っていた面白い事やジャンヌに会って話をするという事を考え、誰が適任かを一同は難しい顔をして考えた。ヴリトラとラピュスもリンドブルム達を見ながら誰がいいかを考える。
「……やっぱり一人はニーズヘッグの方がいいんじゃない?」
「何? 俺か?」
ジルニトラがニーズヘッグを推薦し、自分を推薦された事にニーズヘッグは意外そうな顔を浮かべる。ジルニトラの話を聞いたヴリトラ達も一斉にニーズヘッグの方を見た。
「そりゃあ、アンタは七竜将の参謀的存在なんだから、アイツ等が何を考えているのかピンと来るんじゃないかと思ったの」
「いや、参謀だからってアイツ等の考えや何を企んでいるかまで分かる訳ないだろう?」
「それでも、あたし達よりは頭がいいんだし、やっぱアンタが行くべきじゃない?」
七竜将の中で最も頭の回転が速いと言うジルニトラの話を聞き、ラピュスやララン、オロチ、ファフニールは納得した表情を浮かべている。だが、リンドブルムとジャバウォックはジルニトラの言い方から「俺達は頭が悪いって事なのか?」と言いたそうにジト目でジルニトラを見つめていた。
強く推薦するジルニトラにニーズヘッグがしばらく黙って考え込んだ。やがて、答えが出たのかジルニトラを見て頷く。
「分かったよ。そこまで言うなら俺が行こう」
「決まりね♪」
「決まったって言うか、ジルが半分強引に決めた様な気がするんだけど……」
「そう言えばそうだね……」
ニッと笑うジルニトラを見てリンドブルムがジト目のまま呟き、それを聞いたファフニールもジルニトラを見て納得する。
二人目がニーズヘッグに決まり、最後の一人を誰にするか考えるヴリトラ達。話し合いに行くのに最も相応しい人物、そして何が起きてもすぐに対応する事のできる者をヴリトラ達はジックリと時間を掛けて考え、遂に答えは出た。
――――――
翌日、ヴリトラ達はティムタームから離れた所にある丘の上のタイカベル・リーベルト社の基地の中にあるヘリポートにやって来た。ヘリポートの真ん中にはタイカベル・リーベルト社が使う輸送ヘリの「UH-1J」が停められており、すでにエンジンが掛かりいつでも出発できる状態にあった。
ヘリポートにはジャンヌ達に会いに行くヴリトラとアレクシア、ついて行くラピュス、ニーズヘッグ、そしてファフニールの姿があった。全員で相談した結果、七竜将の中で最も火力の高い機械鎧を持つ遊撃兵のファフニールがついていく事になったのだ。
他にも町へ残るリンドブルム達や清美、そしてDr.GGと数人のTR兵が見送りに来ている。
「それじゃあ、行ってくるわ」
「気を付けてよね、アレク? もし貴女に何か遭ったらタイカベル・リーベルト社は大混乱になるから」
「分かってるわ、無茶はしない」
友人である清美に見送られるアレクシアはニッコリを笑いながら頷く。そんなアレクシアを見て清美は「やれやれ」と言いたそうな顔を浮かべた。
その隣ではヴリトラ達が残るリンドブルムやDr.GGに簡単な挨拶をしている姿があった。
「気を付けてね? アイツ等の事だから何か企んでいる可能性もあるから」
「ああ、分かってる。肝に銘じておくぜ」
心配するリンドブルムを見てヴリトラは笑いながら返事をし、そんなヴリトラをリンドブルムは少し心配するような顔で見ている。
そんな軽い返事をするヴリトラを見たジャバウォックは隣に立っているラピュスの方を見て軽く肩を叩く。
「ラピュス、ヴリトラの事を頼むぞ? アイツは熱くなると時々後先考えずに行動する時があるからな」
「ああ、分かっている。任せてくれ」
「……おいおい」
隣で笑いながらさり気なく自分を小馬鹿にするラピュスとジャバウォックにヴリトラは目を細くしながら呟く。そんなヴリトラを見てリンドブルムは苦笑いを浮かべた。
ニーズヘッグもDr.GGと難しい顔をして何かを話している。
「ニーズヘッグ、テメェには俺の知識を全て叩きこんだんだ。その知識を生かして奴等が何を企んでいるのか分析しろよ?」
「アンタから教わったのは機械鎧に関する知識だけだろう。それでどうやって敵の考えを分析しろって言うんだ?」
「ばぁか野郎ぉ! 機械鎧の知識しかねぇからってそれ以外の事は分からねぇって言うのか? もう少しその知識の使い方を考えやがれ!」
「無茶苦茶言うな……」
険しい表情で大きな声を出すDr.GGを見ながら疲れた様な顔をするニーズヘッグ。Dr.GGの後ろにいるジルニトラはニヤニヤしながら困っているニーズヘッグを見ており、ラランとオロチは無表情でその会話を見ていた。
各自の挨拶を終わるとヴリトラ達は一斉にUH-1Jに乗り込む。五人が乗るとプロペラが回り出し、UH-1Jがゆっくりと浮かび上がる。そのまま上昇していき、ある高さまで上がるとUH-1Jは目的地にベルバムト平原に向かって飛び立った。小さくなっていくヘリを見てリンドブルム達は心の中でヴリトラ達が無事に戻る事を祈る。
基地を出発してから数十分が経過し、ヴリトラ達はUH-1Jの中で平原に到着するのは黙って待っていた。約束の時間である正午まではあと数分しかなく、遅れるのではないかと思われる微妙な時間だが、ヴリトラ達は一切慌てる様子を見せていない。しっかりと時間を計算して約束の時間に間に合うように出発していたのだ。
「……皆さん、目的地のベルバムト平原が見えてきました」
パイロットの声を聞き、ヴリトラ達は窓から外の様子を伺う。下には緑の平原が広がっており、その中心に一機の中型のヘリが停まっている。ブラッド・レクイエム社のヴェノムだった。そしてそのヴェノムの前には数人の人影が見える。
「師匠、あれは……」
「間違いないわ、アンジェラ達よ」
「もうすでに来てやがったか。てっきり向こうが遅れて来ると思ったんだけどな……」
「自分達から言い出した事だから、時間を守ろうと考えたんだろう」
「とにかく、降りましょう。少し離れた所に着陸させて」
「ハイ」
アレクシアの指示を聞いたパイロットがUH-1Jをヴェノムから少し離れた所に着陸させる。降りたヴリトラ達は遠くでこちらを見ている人影の方にゆっくりと歩き出す。ヴリトラ達は周囲に敵兵が隠れていないか警戒しながら進んで行くが、今のところ敵の気配は感じられなかった。どうやらいきなり奇襲を仕掛けてくるような事をしてこないようだ。
しばらく歩いて行くと次第にブラッド・レクイエム社側の者達の顔が見えて来た、一人はジャンヌ、その後ろにはジークフリートとコラール帝国の元皇女である姫騎士のブリュンヒルデ、そしてその二人を挟む様にジークフリートの親衛隊であるガルーダとリリムが立っていた。
ヴリトラ達はジャンヌ達の数m前まで近づくと立ち止まり、ジッとジャンヌ達を睨み付ける。数秒間、互いに相手側を睨みながら黙り込んでいると、ジャンヌが第一声を口にした。
「久しぶりだな、アレクシア」
「ええ、何年ぶりでしょうね?」
「忘れたな。お互い、最後に会った時から姿は変わっていないのだから」
久しぶりに再会したアレクシアとジャンヌの会話はとても冷たく、緊張感の感じられた会話だった。とても親友だった者同士の会話とは思えない。そんな思い空気の中、ヴリトラ達はジャンヌが連れているジークフリート達を警戒する。
「世間話をする為に呼び出したのではないのでしょう? そっちが面白い事を教えると言ったのでこうして来たのです。早速話してもらえますか?」
「フン、折角の再会を喜べないとは、変わったな? アレクシア」
「変わったのは貴女の方でしょう?」
「……まぁいい。では、さっそくその面白い事を教えてやろう」
ジャンヌはつまらなそうな顔をしながら腕を組み、ヴリトラ達をジッと見つめる。後ろに控えているジークフリート達は何も言わずに黙ったままだった。
「話す事は二つだ。まず一つ目、我々ブラッド・レクイエム社は帝国との契約を解除する事にした」
「何ですって?」
「それはつまり、帝国を見捨てるって事か?」
アレクシアの後ろで黙っていたヴリトラは会話に参加し、少し声に力を入れて聞いた。ジャンヌはヴリトラの方をチラッと見て小さく頷く。
「そうだ。あのギンガムと言うボウヤはハッキリ言って救いようのない大馬鹿だ。これ以上あのボウヤの支配する帝国と契約してもこちらには大して得もないと考え、私達はこれ以上助力しない事を決定した。つまり、私達ブラッド・レクイエムは帝国に力を貸す気は無いという事だ」
「よかったわねぇ? これでアンタ達の戦いはかなり楽になるわよ。プププププゥ~♪」
ジャンヌの隣に立っているリリムが楽しそうに笑う。その幼さとは裏腹に帝国を平気で見捨てる冷酷な顔を見てファフニールは思わず寒気を走らせる。
予想通り、帝国を平気で切り捨てたブラッド・レクイエム社にヴリトラ達は妙な気分になる。多くの人々を苦しめて来た帝国がブラッド・レクイエム社に見捨てられたにもかかわらず、なぜか帝国が気の毒に思えて来たのだ。
「まぁ、一応帝国にも多少の恩はあるからな。今度の戦いでは最低限の助力はしてやるつもりだ」
「成る程、だから帝国軍の拠点に駐留しているブラッド・レクイエムの部隊が小規模だったのですね」
「そういう事だ」
「……それで、もう一つな何なのですか?」
アレクシアがもう一つの面白い話のついて尋ねると、ジャンヌの後ろに控えていたジークフリートがアレクシアの問いに答えた。
「それは私が説明しよう。我々ブラッド・レクイエム社は半年前からある兵器の研究をしていた。そしてその兵器が一週間前に完成したのだ」
「兵器? 何なんだその兵器って言うのは?」
ヴリトラはジークフリートを睨みながら尋ねるとジークフリートは赤い目を光らせる。
「……核だ」
「「「「「!!?」」」」」
ジークフリートが口にした言葉にヴリトラ達は思わず耳を疑った。ブラッド・レクイエム社が核兵器を完成させた事、いや、このファムステミリアに核が存在している事に驚きを隠せなかったのだ。
ブラッド・レクイエム社側との話し合う為にベルバムト平原にやって来たヴリトラ達。そこで彼等はジークフリートの口から核兵器と言う言葉を聞かされる。なぜブラッド・レクエム社は核兵器などを持っているのか、そしてどうやって核兵器を開発したのだろうか。




