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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十六章~静かな森の妖精達~
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第二百八十七話  バロンとの戦い 実力を隠す仮面の戦士


 四人の黒騎兵の内、二人を倒す事に成功したジャバウォック達。リーニョとエリスの戦いを見て彼女達の覚悟を改めて理解したジャバウォック達は二人と共に戦う事を決めるのだった。

 ジャバウォック達が黒騎兵を倒した頃、残りの二人の黒騎兵を相手にしているヴリトラとラピュスはリンドブルムの小型爆弾によって起きた爆発を聞き、黒騎兵の超振動騎士剣を止めながらリンドブルム達の方を見ていた。


「向こうでは随分と派手にやって見るみたいだな」

「私達も早く終わらせた方がいいかもしれないな」

「ああぁ、そうだな。ちゃっちゃと終わらせよう!」


 ヴリトラとラピュスも自分達が相手している黒騎兵達をさっさと片づける為に戦闘に集中する。

 二人は黒騎兵の超振動騎士剣を払い大きく後ろへ跳んで距離を取る。すると黒騎兵達は左腕を二人に向けて後前腕部の装甲を動かし、小型ミサイルを出すと二人に向かって発射した。ヴリトラとラピュスは上半身を横に反らして小型ミサイルをかわした。

 ヴリトラは小型ミサイルをかわしてすぐに左腕を自分が相手にしていた黒騎兵に向け、内蔵されていたマイクロ弾を撃ち反撃した。しかし黒騎兵も横へ反れてマイクロ弾をかわした。黒騎兵はヴリトラの方を向いて再び攻撃しようとする。だがヴリトラはいつの間にか黒騎兵の懐に入り込み、左手で黒騎兵の腹部にパンチを撃ち込んだ。


「鉄拳、鬼殺し!」


 拳は甲冑にめり込み、黒騎兵に大ダメージを与える。ヴリトラのパンチに耐え切れなかった黒騎兵は大きく後ろへ飛ばされ、飛ばされた先に立っている木に叩き付けられた。

 致命傷を受けた黒騎兵は崩れる様に倒れ、それを見たヴリトラは小さく息を吐いた。


「フゥ、さて・・・ティアマットはどうなったかな?」


 ヴリトラはラピュスの戦いがどうなったのか気になり彼女の方を向く。そこには黒騎兵の連続切りをアゾットで防いでいるラピュスの姿があった。一見押されている様に見えるが、ラピュスの表情に焦りは見せず、冷静に黒騎兵の動きを分析していた。

 黒騎兵は超振動騎士剣でラピュスに横切りを放つとラピュスは高くジャンプして横切りをかわし、黒騎兵の背後に着地する。そして振り返りざまに黒騎兵に横切りで反撃した。しかし黒騎兵はラピュスの横切りを超振動騎士剣で止め、後ろへ跳んで距離を取り、その直後に黒騎兵は超振動騎士剣を頭上に向かって掲げだした。すると黒騎兵の足元に転がっている無数の小石が突然浮かび上がり超振動騎士剣の刀身を包み込む様に集まり出す。その光景を目にしたラピュスの目は鋭くなった。


「あれは気の力、しかも小石を操るところから地の気を操る騎士だったようだな・・・」


 ラピュスは幻影黒騎士団の黒騎兵がファムステミリアの騎士、もしくは姫騎士の体を使って作られた機械鎧兵士である事を思い出し、黒騎兵をジッと見つめがらアゾットを構える。


「ブラッド・レクイエムの操り人形にされてしまうとは哀れな・・・せめて、同じ騎士である私の手で眠らせてやろう」


 静かに呟いたラピュスは黒騎兵をジッと見つめながら走り出す。そんなラピュスに黒騎兵は超振動騎士剣を振り下ろし、刀身に纏われている小石を飛ばして攻撃した。飛んで来る無数の小石をラピュスはアゾットで弾き落としていき、少しずつ黒騎兵に近づいて行く。そして黒騎兵の目の前まで近づくと黒騎兵に袈裟切りを放った。

 甲冑ごと斬られた黒騎兵はその場で崩れる様に倒れて動かなくなる。倒れて黒騎兵を見下ろしながらラピュスは目を閉じた。


「・・・名前も知らない騎士よ、どうか安らかに眠ってくれ」


 自分が斬った黒騎兵に祈りの言葉を捧げるラピュス。そこへヴリトラがやって来て彼女の隣でラピュスが倒した黒騎兵を見下ろした。


「大丈夫か?」

「ああ、怪我もしていない。そっちはどうなんだ?」

「俺も平気だよ」


 怪我をしていない事を伝えてニッと笑うヴリトラを見てラピュスも安心したのか小さく笑った。すると笑っていたヴリトラは真剣な表情に変わり、遠くで戦いを見物しているバロンの方を見る。


「さて、いよいよ大将との戦いだな」

「ああ」

「アイツは今までの機械鎧兵士とは格が違う。油断するなよ?ティアマット」

「分かっている。ところでヴリトラ・・・」

「ん?」

「その暗号名コードネームで呼ぶのはやめてくれないか?」

「え?どうして?」


 暗号名で呼ぶのをやめるよう言ってくるラピュスにヴリトラは不思議そうな顔で尋ねる。そんなヴリトラにラピュスは複雑そうな顔を見せた。


「その暗号名は元々お前達の世界で使っていたものだろう?ファムステミリアに戻って来たのならもうそれを使う必要もないと思うが?」


 ラピュスのティアマット、ラランのテュポーンという暗号名は二人が向こうの世界で暮らしている間、姫騎士としてではなく傭兵として生きていく為に七竜将が考えた暗号名である。傭兵として生きていく以上、何処かの組織を敵に回す危険性もある為、本名を出すと命を狙われる可能性があった。だから二人は地球で生活している間、暗号名で呼ばれていたのだ。しかしファムステミリアに戻って来た為、暗号名で呼ばれる必要もないのではないかとラピュスは考えていた。


「この暗号名も地球で命を狙われないようにする為に使っていたものだ。戻って来たのなら本名で呼んでも大丈夫だろう?」

「いや、そうとも限らないぜ」

「何?どうしてだ?」

「いいか?お前は一年前から既にブラッド・レクエム社から警戒されていた。普通の人間でありながら幹部クラスの機械鎧兵士を倒したほどの実力者、まず間違いなく奴等の危険人物表ブラックリストに載っているはず。だがそれはお前を『ラピュス・フォーネ』という姫騎士としてだ。ティアマットという名の危険人物はリストに載っていない。つまり、戦場でティアマットとして名乗っていれば戦っている最中にブラッド・レクイエムから危険人物だから殺せって狙われる心配はないって事だよ」

「危険人物として警戒されていてもティアマットと名乗っていれば安全だと?」

「そう。要は敵にお前がラピュス・フォーネだと知られないようにする為に暗号名を使うって事だ」

「成る程、そういう事か・・・」

「だから、これからはブラッド・レクイエムと戦っている時や奴等と遭遇しそうな状況の時はお前とラランを暗号名で呼ぶからな?」

「・・・分かった、そういう理由なら仕方がないな」


 自分の身を守る為に暗号名で呼ぶという事を聞かされてラピュスは納得する。そして話が終わると二人はバロンの方を向いてゆっくりと歩き出した。

 

「さて、アイツを倒してニーズヘッグ達の救援に行くぞ?ティアマット」

「ああぁ!」


 森の入口前で戦っているニーズヘッグ達の為にも早くバロンを倒して救援に向かおうとヴリトラとラピュスは前を見ながら話す。そんな二人と後ろには合流したリンドブルム達が並んで歩いている姿があった。

 ヴリトラ達は大きな木の幹にもたれながらリボルバー拳銃を指で回すバロンの前にやって来る。バロンは黒騎兵が全員やられたにもかかわらず驚く様子も見せずに数m前で立ち止まるヴリトラ達を見るとリボルバー拳銃を回すのをやめて仮面の目を光らせた。


「ほぉ?幻影黒騎士団まで倒したか。流石は七竜将と言ったところだな・・・」

「・・・そういうお前も大した肝っ玉だよ。仲間がやられて一人になったっていうのに随分と冷静じゃないか?」


 バロンの態度を見てヴリトラは鋭い目で見つめている。その隣や後ろでもラピュスやリンドブルム達が同じように見つめていた。


「フフフフ、なぜ私がこれだけ冷静でいるのか理由を知りたいか?」

「ああ、是非」

「簡単な事だ・・・私がお前達よりも強いからだ」

「随分と単純な答えじゃねぇか」

「・・・弱い奴が言う台詞」


 ヴリトラの後ろで話を聞いていたジャバウォックはバロンの答えを聞き呆れた様な顔になり、ラランも無表情で静かな声を出した。

 ジャバウォックとラランの言葉を聞いたバロンは小さく俯きながら笑い出す。


「フフフ、ハハハハハハッ!そう思うなら直接戦ってみればいい。そうすれば私の言葉が正しいのかがハッキリするだろう」


 バロンは木の幹にもたれるのをやめて幹に立て掛けてある逆三角形の盾を手に取る。そして持っていたリボルバー拳銃の銃口をヴリトラ達に向けて構えた。


「あのリボルバー、確かスタームルガーの『ブラックホーク』だな」

「有名な銃なのか?」


 ラピュスがヴリトラにバロンの持つリボルバー拳銃の事を尋ねるとヴリトラは指を横に振った。


「いや、強力な弾を撃つ事ができるが一発撃つごとに撃鉄を引かなきゃいけないシングルアクションリボルバーで再装填リロードに時間が掛かるリボルバーの中でも使い難い種類だ。俺達機械鎧兵士との戦いにはあまりにも不向きな銃だ」

「フッ、それを言うなら総司令のコンテンダーの方が酷いだろう?あの銃は一発撃つ度に再装填が必要なのだからな」


 バロンはジークフリートの使う拳銃よりも自分の使う拳銃の方がまだマシだと話し撃鉄を引く。それを見たヴリトラ達は一斉に身構えた。


「さぁ、お喋りはもう終わりだ。そろそろ戦いを始めるとしよう」


 そう言った瞬間、バロンはブラックホークの引き金を引く。銃口から吐き出された弾丸は真っ直ぐヴリトラに向かっていき、ヴリトラは冷静に森羅で弾丸は弾き落とした。

 ヴリトラが弾丸を弾いたのを見たバロンは左手に持っている盾をヴリトラ達に向ける。すると盾の中央にある赤い丸い宝石の様な部分が縦にスライドし、その下から四つの穴が現れた。


「何だ、あの穴?」

「もしかして、銃口?」


 盾から出てきた穴を見つめるジャバウォックとその穴が銃口ではないかと考えるリンドブルム。だが実際はもっと恐ろしい物だった。

 バロンはヴリトラ達を見ながら盾の持ち手の部分に付いている小さな赤いボタンを押した。すると四つの穴からほぼ同時に四つの小型ミサイルが発射されたのだ。


「ミ、ミサイル!?」

「ヤバい!皆、散れぇ!」


 ヴリトラがラピュス達にバラバラになるよう叫び、一同は慌ててその場から走り出す。だが反応が遅れたせいか四つの小型ミサイルはヴリトラ達に当たりこそしなかったが地面に命中するのと同時に爆発し、周りにいるヴリトラ達は爆発に巻き込まれてしまった。


「「「「「「「うわあああぁ!」」」」」」」


 爆発の衝撃に思わず声を上げるヴリトラ達。七人は爆風によって飛ばされてしまった。ヴリトラはラピュスと、リンドブルムはリーニョとラランと、ジャバウォックはエリスと一緒に飛ばされてしまい、全員が俯せや仰向けになって倒れている。


「イッタタタタ・・・だ、大丈夫か?」

「あ、ああ・・・何とか・・・」


 ヴリトラは体を起こして近くで倒れているラピュスに声をかけ、彼女の無事を確認すると遠くにいるリンドブルム達に方を見た。リンドブルム達も倒れていが誰も深い傷を負って様子は無い。誰も大怪我をしていない事にヴリトラはとりあえず安心した。

 仲間の無事を確認するとヴリトラとラピュスはすぐにバロンの方を向いて警戒した。バロンは盾とブラックホークを構えながらゆっくりとヴリトラとラピュスに近づいて来る。


「フフフ、どうした?まさかミサイルごときで音を上げるなんて事は無いだろうな?」

「馬鹿を言うな、まだまだこれからだ!」


 ヴリトラはゆっくりと立ち上がり森羅を構え、ラピュスもアゾットを構えてバロンを睨む。遠くでもリンドブルム達が武器を構えてバロンを見ている姿があり、その光景を見たバロンを嬉しそうな声を出す。


「フフフフ、そうでなくては面白くない。総司令が一目置く七竜将とやらがどれ程の実力なのか、見せてもらうぞ!」


 そう言ってバロンはブラックホークでヴリトラを狙い引き金を引く。ヴリトラは素早く弾丸を弾き落とすとバロンに向かって走り出し、ラピュスのその後に続いた。

 走って来る二人にブラックホークを連射するバロンだが全ての弾丸を二人に弾かれてしまう。そして遂に弾切れになり使えなくなったブラックホークを見てバロンを舌打ちをする。


「もらったぁ!」


 ヴリトラはブラックホークの弾切れでバロンの意識が自分から外れた隙に走る速度を上げて一気に距離を詰める。そしてバロンに向かって逆袈裟切りを放った。バロンはヴリトラの攻撃に気付き、咄嗟に後ろへ跳び逆袈裟切りをかわす。だがブラックホークは森羅に切られて銃身からバラバラになってしまった。


「・・・チッ!」


 バロンはグリップだけとなったブラックホークを捨てるとヴリトラの方を向く。だがその直後に右側からリンドブルムが銃撃し、気付いたバロンは盾でリンドブルムの銃撃を防ぐ。そこへ更にジャバウォックがバロンに向かってジャンプし、デュランダルを振り下ろして頭上から斬撃を放つ。バロンは後ろへ跳びバロンの攻撃を軽々と回避した。


「反撃の隙も体勢を立て直す隙も与えないとは、なかなか良い連携を取るな、七竜将よ。だが、その七竜将も僅か三人だけでは私を仕留める事はできなさそうだ・・・」


 七竜将のメンバーがヴリトラ、リンドブルム、ジャバウォックの三人では面白くないと言いたそうな声を出すバロン。だが、攻撃を回避したバロンの両足が地面に付いた瞬間、左右後ろから黒騎兵の使っていた超振動騎士剣がバロン目掛けて飛んできた。バロンは咄嗟に姿勢を低くして三方向から飛んで来る超振動騎士剣をかわす。

 バロンは超振動騎士剣がひとりでに宙に浮き、自分に襲い掛かって来た事に驚きながら飛び回る超振動騎士剣を見上げる。すると三本の超振動騎士剣は同じ方向へ飛んで行き、バロンも超振動騎士剣が飛んで行った方を見た。そこには両手をバロンに向け、緑色に光らせているリーニョの姿があり、超振動騎士剣はリーニョの頭上に浮いて切っ先をバロンに向けている。実はさっきのはリーニョが浮遊魔法で超振動騎士剣を操って攻撃していたものだったのだ。


「ほぉ、ダークエルフの姫君か。まさか超振動騎士剣を浮かせ、あそこまで速く動かす事ができるとはな、エルフの魔法も大したものだ・・・」


 リーニョが自分を睨む姿を見てバロンは意外そうな声を出す。どうやら少しは驚いているようだ。

 バロンがリーニョを見つめていると今度はラランとエリスが突撃槍と騎士剣を構えてバロンに突っ込んでくる。それに気づいたバロンはふと二人の方を向いて盾を構えた。ラランとエリスの連続攻撃がバロンに放たれる。だがバロンは二人の攻撃を全て盾で防いだ。


「クッ!なんと言う奴だ、私達の攻撃を防ぐなんて!」

「・・・硬い盾」


 自分達の斬撃や突きが一つの盾で防がれている現実に驚きを隠せないエリスとララン。そんな驚く二人を見てバロンは小さく笑う。しばらく攻撃を防いでいるとバロンは後ろへ跳んで二人から離れた。


「ハァ、ハァ・・・こっちは攻撃でかなり体力を消耗しているのに、向こうは全く疲れている様子が無い。奴等の体力は底なしか?」

「・・・・・・」


 息を切らせながら数m離れた所に立つバロンを見ているエリス。その隣ではラランも少し息を切らせながら黙ってバロンを見ていた。


(・・・変、全然攻撃してこない)


 ラランは盾で防御するばかりで一向に攻撃してこないバロンに違和感を感じていた。幹部クラスは一般のBL兵達と違って機械鎧の性能が高く、内蔵されている兵器も強力なものばかり。何より幹部達の戦闘能力は優れている。にもかかわらずさっきからバロンは盾で防御しているばかりで全然攻撃してこない。明らかに不自然だった。勿論ヴリトラ達もその事に気付いていた。


「・・・ヴリトラ、バロンは一向に攻撃してこないが一体どういう事だ?」

「俺にも分からない。ただ、これだけの人数を一人で相手にしていながら全く動揺を見せていないところを見ると、何か奥の手を隠している可能性が高い・・・」


 ヴリトラはバロンを警戒しながらラピュスの問いに答えた。

 二人がバロンが何を考えているのか話していると、バロンはラランとエリス、そして遠くから自分を見ているヴリトラ達の方を見て仮面の目を赤く光らせる。そして右手の指をゆっくりと動かして拳を作った。


「さて、奴等の動きの速さ、そして攻撃速度などは理解した。そろそろこちらも本格的に攻撃させてもらおう」


 バロンは低い声を出しながら右手首を内側へ捻る。すると後前腕部の装甲が上がり長い刀身が飛び出した。


「剣?あれがアイツの内蔵兵器か」

「機械鎧に剣が内蔵されていたという事はアイツは接近戦を得意としているという事だな」

「ああ、間違いないだろう。そして、内蔵兵器を出したという事は・・・」

「アイツは本気を出した攻撃して来る、という事か・・・」


 戦いが更に激しくなると感じたヴリトラとラピュスはバロンを見ながら自分の剣を構える。二人が警戒しているとバロンは盾の持ち手に付いているトリガーを引く。すると盾全体が黄緑色の光に包み込まれた。どうやらバロンの盾は電磁シールドを張る事もできるようだ。

 全ての準備が整ったバロンはヴリトラとラピュスの方を向くと二人に向かって走り出す。走って来るバロンを見たヴリトラとラピュスも森羅とアゾットを構えてバロンに向かって走り出した。お互いに向かっていき距離を縮めていく。そしてバロンが目の前まで近づくとヴリトラとラピュスは同時にバロンに攻撃する。だが、バロンは刃が触れる瞬間に素早く二人の背後に回り込み斬撃をかわした。


「何っ!?」

「は、速い!」


 バロンの予想以上の移動速度に驚くヴリトラとラピュス。そんな二人を見たバロンはゆっくりと剣を振り上げる。二人は斬られると感じ、素早く振り返り攻撃される前にバロンに攻撃した。だが二人の攻撃はバロンの盾によって防がれてしまう。

 ヴリトラとラピュスの攻撃を防いだバロンは盾で森羅とアゾットを押し戻して二人の体勢を崩す。その直後、バロンは剣を大きく横に振ってカウンター攻撃を仕掛ける。ヴリトラとラピュスは後ろへ跳んで斬撃をかわそうとしたが、回避が間に合わず、バロンの剣は二人の腹部を掠める。


「ううぅ!」

「くぅ!」


 腹部から伝わる痛みに声を漏らすヴリトラとラピュス。剣が掠った箇所からは出血して二人の着ている特殊スーツは血で染まり、その光景を目にしたリンドブルム達の顔に緊張が走った。

 バロンとの直接対決が始まり、最初は押している様に見えたが機械鎧に内蔵された剣を出した瞬間にバロンの動きが変わる。ヴリトラとラピュスは斬られてしまい、リンドブルム達もバロンの戦い方に驚く。一体どうなるのだろうか!?


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