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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十六章~静かな森の妖精達~
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第二百七十六話  同盟拒否! ダークエルフ達の意思


 リーユとグリビン達に案内されてダークエルフの集落へやって来たヴリトラ達。リーユの姉であるレーユに連れられてダークエルフの長老であるギルダルネと対面し、早速同盟の話し合いを始めるのだった。

 ギルダルネの家のやって来てから数分、エリスはヴァルボルトの言葉をギルダルネに伝える。今このヴァルトレイズ大陸で何が起き、コラール帝国が何をしようとしているのか。エリスは全てをダークエルフの長であるギルダルネに話した。そして、帝国に勝つ為にだエルフの力が必要不可欠であるという事も。

 一通りの説明を終えたエリスはギルダルネの答えを待つ。ギルダルネは目を閉じて静かに考え込んでおり、やがて目を開きエリスと彼女の後ろに控えているヴリトラとラピュスを見ながら口を開く。だが、ギルダルネの口から出た答えはヴリトラ達の求めていた答えではなかった。


「・・・では、我々との同盟は結んでいただけないと?」

「・・・正直に言いましょう。人間達がどのような理由で争おうと我々には関係ない事です。それに貴方がたの争いに我々を巻き込まれたくありません」

「関係ない事ではありません!恐らくコラール帝国も貴方がたの存在に気付き、きっと仲間に引き込もうとしてくるはずです。そして彼等は自分達に従わない者達は力ずくで従わせようとするでしょう。もし彼等に逆らえばこの集落は奴等も襲撃を受けるかもしれません。貴方がたエルフの存在にも大きく関わって来るのです!」


 エリスはギルダルネにコラール帝国との戦争がどれほど重大な事なのかを力の入った声で説明する。ギルダルネや彼の後ろで控えているレーユ、そしてヴリトラ達がいる部屋の隅に立つ警護のダークエルフ達は黙ってエリスの話を聞いていた。


「彼等は我々と違い欲しい物は何があっても手に入れる連中です。そして一度逆らった者達は奴隷の様に扱われる。少なくとも今の皇帝であるギンガムは必ずそうするでしょう」

「それは戦争に勝つ為に我々の力を欲する貴方がたも同じではありませんか?」

「我々は帝国とは違います。皆さんを奴隷の様に扱ったり、使い捨てにするような事はしません。天地神明に誓います」


 真剣な眼差しでギルダルネを見つめるエリスをギルダルネとレーユは黙って見つめる。エリスの目を見た二人は彼女が自分達は騙そうとはしていない事に気付いていた。だが、だからと言ってすんなりと人間に協力する事は出来ない。それは数十年前の人間の過ちを考えれば当然の事だ。

 ギルダルネはゆっくりと席を立ち、部屋の隅にある窓から外を眺めた。ヴリトラ達はそんなギルダルネを黙って見つめる。


「・・・貴方の目を見れば私達を騙そうとしていない事ぐらいは分かります」

「ではなぜ?」

「ご存じのとおり、我々エルフは人間達から酷い仕打ちを受けてきました。この集落には数十年前、つまり、当時人間達に酷い目に遭わされた者もおるのです。その者達からすれば貴方がた人間は憎むべき相手、今すぐにでも当時の恨みを晴らしたいと考えている者もいるはず。その者達がすんなりと過去の事を水に流して協力しようと考えると思いですかな?」

「それは・・・」

「我々ダークエルフには確かに人間の血が混ざっております。人間とは友好を深めるべき存在と言えるでしょう。だが人間達はそんな我々ですら奴隷の様に扱った。もはやこの集落に人間と共に生きようと考える者は殆どおりません」

「・・・・・・」


 ギルダルネの言葉にエリスは何も言い返せなかった。彼の言っている事は全て正論、人間がエルフ達を利用し続けて来た事でエルフ達の人間への信頼が完全に無くなってしまっていた。それは数十年前にエルフ達を利用してきた事へのツケが回って来たと言える。


「それに、私はダークエルフの長老、この集落に住むダークエルフ達を守る義務があります。彼等が危険な目にあると分かっていて人間達の戦争に関わらせる訳にはいきません」

「ですが、コラール帝国がもしこの集落を見つけて攻撃を仕掛ければ、どの道貴方がたに危険が及ぶのですよ?」

「・・・この集落に結界魔法が張られているのはご存知ですね?あの結界は外から集落を見えないようにし、更に外からの侵入や攻撃を全て防ぐ事ができるのです。あの結界魔法がある限りこの集落は安全です」


 集落に入る前にグリビンが見せた結界魔法を思い出す三人。ギルダルネはその結界魔法は絶対に破れないという自信があるのか外を眺めながら言った。すると黙って話を聞いていたヴリトラは腕を組んでチラッとギルダルネの背中を見る。


「・・・本当にそうでしょうか?」

「何ですと?」


 ヴリトラの言葉にギルダルネは彼の方を向いて低い声を出す。どうやら自分達の結界魔法が侮辱されたのだと感じ、少々不快な気分になったのだろう。周りにいるダークエルフ達も同じ気持ちになったのかジッとヴリトラを鋭い目で見つめる。

 ダークエルフ達の視線を気にする事無くヴリトラは話を続けた。


「帝国にはブラッド・レクイエムと言う巨大な組織が手を貸しています。奴等はこの大陸には存在しない未知の技術や武器、兵器を使ってオラクル共和国を圧倒しました。奴等の力の前では結界魔法もどこまで通用するか・・・」

「何だと!?」

「人間の如きが我々の力を侮辱するかぁ!?」


 警護についていたダークエルフ達がヴリトラを睨みながら剣を抜こうとする。ただでさえ同盟を結ぶ事を否定しているのに空気を悪くする展開にラピュスとエリスはヴリトラを見て焦りの表情を見せていた。


「やめぇいっ!」


 ダークエルフ達が剣を握り、いつでも鞘から抜ける状態に入ると、彼等を見たギルダルネがダークエルフ達を止める。ギルダルネに止められ、一瞬驚くダークエルフ達だったがすぐに言われたとおり剣から手を放しで黙り込む。

 警護が大人しくなったのを確認したギルダルネはヴリトラの顔を見つめる。


「ヴリトラ、と言いましたかな?貴方は私達の使う結界魔法がそのブラッド・レクイエムとか言う組織には通用しないと言いたいのですかな?」

「いいえ、そういう訳じゃありません。確かに貴方達の魔法の力は凄いです。正直、俺達もかなり驚かされましたから。ですが、奴等は俺達が想像もしない様な方法をいくらでも思いつく輩です。それに魔法の力なら大丈夫だと信じ切るのはどうかと思っているんです」

「我々は魔法の力だけに頼っているつもりはありません。魔法が使えない時の為に迫撃戦の戦い方についても学んでおります。魔法が通用しない敵が現れた時の事も計算し、その対策も万全です」


 結界魔法が破られる事は無いと考えているダークエルフ達だが、もしもの時の為に魔法を使わない戦い方も考えてある。ギルダルネは自分の手を見つめながらヴリトラに心配は無用とさり気なく伝える。するとエリスはゆっくりと席を立ちギルダルネにヴリトラの事を詳しく説明し始めた。


「ギルダルネ殿、彼は七竜将と言う我々も知らない未知の技術と武器、力を持つ者達です。今帝国と手を組んでいるブラッド・レクイエムに唯一対抗する事の出来る存在です。貴方がたを守る為にも、どうか我々と同盟を結んでいただきたいのです。もう一度考え直してもらえませんか?」

「申し訳ありませんが、ダークエルフの長として皆の為にも、ダークエルフとしての生き方を考え方を変える訳にはいかないのです。お引き取り願いましょう・・・森の出口までの安全は保障します」

「・・・お心遣い感謝します」


 小さな声でそう言うとエリスは家から出て行き、ヴリトラとラピュスもその後の続いた。

 家を出て集落の中を歩き出口へ向かう途中、ラピュスは話し合いでのヴリトラの発言の事で目くじらを立てていた。


「まったく!もう少し考えて発言をしろ!下手をすればあのまま戦いになっていたのかもしれないのだぞ!?」

「悪かったよ。だけど、彼等は結界魔法さえあれば自分達は敵に攻撃される事は無いと思い込んでいる。ああいう考え方は危険だ。もし敵の奇襲を受けてしまったら混乱してすぐに対処できなくなる可能性が高い」

「しかし彼等は魔法が通用しない相手とも戦えるように接近戦の特訓や様々な作戦を考えてあると言っていたぞ?」

「ああぁ、確かに言ってた。だけど、銃器への対処法は何も考えてはいないはずだ」

「・・・あっ!」


 ラピュスはブラッド・レクイエム社が銃器や機械鎧を使って戦う組織だという事を思い出しハッとする。いくらダークエルフ達が多くの戦略や戦術を持っていても、見た事の無い銃器への対処法は考えてないに違いない。

 そんな状態でもしブラッド・レクイエム社から奇襲を受ければダークエルフ達はたちまちパニックになり集落は一瞬で崩壊してしまう。その事に気付いたラピュスは俯きながら焦りの表情を浮かべた。


「マズイ、もしブラッド・レクイエムがこの集落を見つければ絶対に力を貸すように交渉をするはずだ。そしてもし彼等が力を貸す事を拒めば・・・」

「そうだ、奴等は迷う事なくこの集落を襲撃し、ダークエルフ達を捕まえるだろう。そうなったら彼等は確実に奴隷として利用されちまう・・・」


 ヴリトラとラピュスは自分達に注目している大勢のダークエルフ達に聞こえないように小さな声で話し合う。二人の会話を聞いているエリスも歯を噛みしめながら前を向いて歩いていた。


「そうさせない為にも、私達は絶対に彼等と同盟を結び、ダークエルフ達を守らないといけない。我が国の為にも、そして彼等の為にも。これ以上、人間の行いでエルフ達を傷つける訳にはいかない」


 エリスの言葉にヴリトラとラピュスは真剣な顔でエリスの背中を見つめる。なんとしてもエルフ達をブラッド・レクイエム社とコラール帝国から守らないといけない。人間達の行いでエルフ達を傷つけない為にも、何とか彼等を説得する必要があった。


「・・・姫様、この後はどうされるおつもりですか?」

「今日はこれ以上の説得は無理だろう。一先ず森から出て森の近くでテントを張り、明日また訪ねる事にしよう」

「彼等が私達を集落に入れてくれるといいのですが・・・」

「なら、入れてもう一度話を聞いてくれるまで粘るだけだ」


 意外にエリスがも粘るタイプである事を知ってヴリトラとラピュスは少し驚いた様な一面を見せる。

 明日また出直すという会話をしながら集落の出口へ歩いていく三人。そんな三人の姿をリーユが遠くから見守っていた。

 その頃、ギルダルネの家ではヴリトラ達が出て行ってすぐにレーユとギルダルネが話し合いを始めていた。


「・・・お爺様、彼等はあのまま帰してよかったのですか?」

「よかったとは?」

「彼等が私達を騙したり利用しようとしている訳ではない事はお爺様もご理解していらっしゃるはずです。でしたら、もう少し同盟の事についてお話をされても・・・」

「レーユよ、お前の言いたい事は分かっておる。私も彼等が嘘を言っているとは思っておらん。だが、さっきもエリス殿に言ったように集落にいる殆どのダークエルフ達が人間を警戒しておる。いきなり彼等に協力しようと言っても、分かりましたと素直に受け入れるはずがない」

「ですから、私やお爺様の様に人間を少しでも信用している者達が皆を説得すれば・・・」

「無理だ。数十年前に人間達から利用された者達が説得しただけで人間を許すはずがない。それに例え説得できたとしても、その先に待っているのはコラール帝国との戦いだ。私は長老として皆を危険な場所へ送り込む事などできん」

「お爺様・・・」


 長老として集落に住むダークエルフ達を守る責任がある、ギルダルネはレーユにそう話し自分の席に座る。レーユも残念そうな顔で俯き目を閉じた。


「・・・それはそうとレーユ、例の話は考えてくれたのか?」

「!」


 例の話、その言葉を聞いたレーユはフッと顔を上げた。そしてギルダルネの顔を鋭い目で見つめる。


「お爺様、その話はお断りしますと言ったはずですが?」

「何を言っておる?ライトエルフの長がお前を妻に欲しいと言ってきているのだぞ?お前がライトエルフの長に嫁げばライトエルフと我らダークエルフが争う事は無くなり、関係は安定するのだ」

「私は政略結婚をする気はありません」

「レーユ」

「失礼します」


 これ以上話したくないのかレーユはギルダルネに頭を下げて挨拶をすると家から出ていった。残されたギルダルネは顔に手を当てて「やれやれ」と言いたそうに深く溜め息をついた。

 一方、集落を出たヴリトラ達は出口へ向かって森の中を進んでいく。七竜将とラピュス、ラランは歩き、エリスとアリサ達白竜遊撃隊はジーニアスの背中に乗って空から森の外へ向かっていた。


「まさか、交渉決裂とはな」

「やっぱりダークエルフも人間の事をかなり嫌ってるみたいだね」


 ジャバウォックとリンドブルムはヴリトラ達から話し合いの結果を聞き、疲れた様な声を出す。他の七竜将のメンバーも何も言いはしないが若干困った様な顔をしている。


「とりあえず、エリス様は一旦森を出て明日もう一度話をしに行くって言ってたから、森を出たら今日はもう休もうぜ?」

「そうね、今日は色んな事があって疲れちゃったし・・・」


 ジルニトラはバンディットウルフ、ダークエルフに囲まれた時の事を思い出して疲れた表情を見せる。森に入ったメンバーも同じような表情を浮かべながら歩いており、森の外で待機していたメンバーはそんなジルニトラ達を黙って見ていた。

 しばらく道の沿って歩いていくと森の出口に到着する。ヴリトラ達が外の出ると彼等の頭上からジーニアスがゆっくりと降りてきてヴリトラ達の前に着地した。


「フゥ~、やっと出られたな」


 ヴリトラは森の外に出られた事で体に溜まっていた疲れを一気に出すかのように背筋を伸ばす。ラピュス達も肩を回したり大きく息を吸ったりなどしてリラックスしていた。そこへジーニアスの背中から降りたエリスがヴリトラ達の下に歩いて来る。


「ご苦労だったな」

「エリス様、これからどうするつもりです?明日もう一度会いに行くと言いましたけど、明日行って彼等が俺達の話を聞いてくれるとは思えませんよ?」

「分かっている。だが、だからと言ってこのまま何もせずに帰るつもりはない」

「それじゃあ・・・」

「明日行って追い返されたのならまた次の日に会いに行く。我々の話を聞いてくれるまで何度も集落を尋ねるつもりだ」

「成る程。だけどそれならかなりの長期戦になるかもしれませんね」

「ああ、お前達には悪いが、こうなった以上は最後まで付き合ってもらうぞ?」

「構いませんよ。こういうのもたまにはいいかなぁと思ってますしね」


 エリスの作戦にヴリトラは嫌な顔一つせずに承諾する。


「・・・お前達もそれで構わないよな?」


 ヴリトラは周りにいるラピュス達の方を向いて彼女達の意見を聞く。するとラピュスがヴリトラの方を向いて頷いた。


「私は勿論賛成だ。それに騎士として姫様にお供するのは当然だからな」

「僕達もヴリトラがそれでいいっって言うなら付き合うよ?」

「ああ。それにこの状況で嫌なんて誰も言わねぇさ」


 ラピュスに続いてリンドブルムとジャバウォックも賛成して笑う。他のメンバーもそれぞれ笑ったり頷いたりなどして自分達も構わないとヴリトラに伝える。するとオロチは斬月を肩に担ぎながら目を閉じて口を開いた。


「それで、この後はどうするつもりだ・・・?」

「どうするって?」

「明日になったらもう一度集落へ行くというのは分かったが、この後は何をするつもりだ・・・?」

「う~ん・・・とりあえず森の近くでテントでも張ったあとは自由行動、でいいんじゃね?」

「遠足か・・・」


 ヴリトラの適当な考えにオロチは呆れた様な声を出す。だが、他にやる事が無いのなら休んだり好きな事をして時間を潰すしかない。ヴリトラ達は明日に備えたとりあえず森の近くにある広場へ移動し、そこにテントを張って過ごす事にした。

 広場にテントを張ると、ヴリトラ達はそれぞれ自分達のやりたい事をやって時間を潰した。訓練をしたり、地図を見て何処に何があるのかを覚えたり、持ってきたトランプなどでゲームをしたりなど色んな事をやっている。その中でヴリトラは石の上に座りダベルトの森を見ながらペットボトルの水を飲んでいた。


「・・・・・・」

「何をしているんだ?」


 ヴリトラが森を眺めていると後ろからラピュスの声が聞こえヴリトラは振り返る。そこには鎧とマントを外したラピュスの姿があり、ヴリトラの隣にやって来ると立ったままヴリトラと同じように森の方を見た。


「森を見ていたのか?」

「ああ、今頃ダークエルフ達は何をしてるのかなぁと思ってな」

「そうか」

「・・・立てないで座れよ?」

「・・ああ、そうさせてもらう」


 ラピュスはヴリトラの隣に置いてある少し大きな岩の上に座る。自分のすぐ隣に座るラピュスの横顔を見たヴリトラは彼女の顔に思わず見惚れてしまう。その美しい顔にヴリトラは改めてラピュスが美女である事に再認識した。

 自分の顔をヴリトラがジーっと見ている事に気付いたラピュスはフッとヴリトラの方を向く。ヴリトラは突然自分の方を向いたラピュスに思わず驚いた。


「どうした?」

「あ、いや、何でもない・・・」

「?」

「あ~・・・ところでよぉ、今日は俺達、ダークエルフにしか会わなかったけど、ライトエルフ達は何処にいるんだ?」

「え?ライトエルフか?」


 顔を見つめていた事に気付かれる前にさり気なく話題を変えるヴリトラ。ラピュスはいきなり話の話題が変わった事を不思議に思うも、森の方を向いてライトエルフの事を考える。


「私も詳しくは知らないが、あのダベルトの森の近くにある別の森か何処かに集落を作って暮らしているのではないか?」

「近くの森?」

「ああぁ、ダークエルフはライトエルフにとっては人間の血が混ざった忌まわしい存在かもしれないが、人間より信用できる種族でもある。もしかすると過去の関係を水に流し、力を合わせて暮らす為に近くに集落を作っているのかもしれない」

「・・・両方の種族が和解しようとしている?」

「あくまでも私の想像だ。ライトエルフはダークエルフよりもプライドの高い種族だと聞いている。彼等が自分達から和解するかどうか・・・」

「考え難いな・・・」


 光と闇のエルフが和解する事が想像できないヴリトラは苦笑いを浮かべる。特にライトエルフはダークエルフを見下してきた種族、自分達よりも劣ると考えているダークエルフに頭を下げたり自分達から無条件で和解を申し出るとは考え難かった。


「まぁ、ライトエルフの事は今は忘れてダークエルフの説得の事だけ考えようぜ?」

「そうだな」

「さて、ちょっと剣の練習でもするか。ラピュス、ちょっと付き合ってくれよ」

「ああ、いいとも」


 立ち上がった二人は剣の稽古をする為に広い場所へ移動する。その後、ヴリトラ達は広場で時間を過ごし、夜になる交代でテントの周辺を見張りながら眠りについたのだった。

 ダークエルフとの同盟関係を結べずに森を出たヴリトラ達。だが、エリスは諦めらず、次の日にまたダークエルフ達を説得する事になった。果たしてヴリトラ達はダークエルフ達と同盟を結ぶ事ができるのだろうか。


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