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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十四章~竜達の帰還~
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第二百五十五話  竜と鷹の戦い 七竜将VS神風盗賊団


 ヨヨと村長からの依頼でホークレイド達にさらわれたヨヨの妹であるモモを救出する事になった七竜将。ヴリトラ達は砦に向かうチームと村を守るニームの二手に分かれ、ヴリトラはラピュス、ニーズヘッグ、オロチ、ラランの四人と共に装甲車で砦へ向かうのだった。

 村を出てから数分後、ヴリトラ達の乗る装甲車は丘と丘に挟まれている細い道を通りながら砦に向かって走っていく。ヴリトラは装甲車を運転し、後部座席ではラピュス達が武器や弾薬のチェックし戦いの準備をしていた。

 先へ進んで行くと道が広くなり、ヴリトラが道の片隅に大きな茂みがあるのを見つける。窓から顔を出して周囲や上空を確認すると茂みの中に装甲車を隠してエンジンを切り、後部座席にいるラピュス達に方を見た。


「・・・そろそろ砦が見えて来る頃だ。此処からは装甲車を下りて足で行くぞ」

「分かった」


 ヴリトラの指示を聞いてラピュスはアゾットと小さな軍用バッグを取り後部ハッチの開閉ボタンを押す。後部ハッチが開くとラピュス達は素早く装甲車から降り、ヴリトラも同時に運転席から降りた。

 全員が降車したのを確認するとヴリトラは近くにある茂みを森羅で素早く切り、落ちた枝を装甲車の屋根に乗せたり側面に立て掛けたりなどして装甲車を隠し始める。

 作業が終ると手をパンパンと払い自分の持つ荷物を拾ってラピュス達の方を見て砦のある方を指差した。


「これで装甲車が見つかる事はないだろう。地図ではあと数百m行った所に砦があるはずだ」

「どうするんだ?」

「まずは砦の近くまで行って遠くから状況を確認しよう。砦が高い丘の上にある以上、相手からは俺達の姿は丸見えだ。敵の配置と人数をチェックしてから行動に移る」


 真剣な顔のヴリトラを見てラピュス達も真面目な顔で彼を見つめる。いくら機械鎧兵士と言えど空を飛ぶ敵に何の作戦も無しに突っ込んで行くのは危険だ。慎重に作戦を立ててから攻めないと勝てる勝負にも勝てない。

 ヴリトラ達はまず敵の場外を確認する為に砦が見える位置まで移動しする事にした。周囲、徳の空を警戒しながら砦のある方へ歩き始めるヴリトラ達。辺りはとても静かでとても近くに盗賊のアジトがあるとは思えない様な和やかに雰囲気だった。

 しばらく進むと、遠くに見える丘の上に石レンガで出来た砦が建っているのを見つける。ヴリトラ達は素早く近くの森の中へ駆け込み、茂みの中から様子を窺った。


「あそこか・・・」

「此処から砦までの距離はざっと見て300mってところだな。敵の数は・・・」


 茂みから顔を出すヴリトラの隣で同じように顔を出すニーズヘッグが双眼鏡を覗く。砦の入口前には槍を持ったホークレイドが二人立っており、砦の中や屋上からも弓矢を持ったホークレイド達が数人見張っている。そして砦の上空には三人のホークレイドが砦の周りを飛び回っている姿があった。

 砦の守りを確認したニーズヘッグは双眼鏡を下ろして面倒そうな顔で砦を見つめる。そんな彼の顔を見てヴリトラ達も砦の守りが堅い事を悟った。


「なかなかの守りだ。しかも見張りは砦の周囲を確認できる位置にいる・・・飛び出したらすぐに見つかっちまうな」

「ああ、しかも砦の中にどれくらいのホークレイドがいるのか分からない以上、こっちも迂闊に攻撃できない」

「まずはホークレイド達の戦力を確認しないといけないな」


 ヴリトラとニーズヘッグが砦を見ながらどうやって攻め込むと作戦を立てる。すると、砦の上空を飛んでいた三人のホークレイドが突然屋上へ降りた。


「おい、空を飛んでいたホークレイド達が屋上へ下りたぞ?」

「どうしたんだ?」


 上空にいた見張りが突然屋上に下りた事が不思議に思いヴリトラ達は砦の屋上に視線を向けた。すると屋上から大勢のホークレイド達が翼を広げて飛び立って行く光景が目に映る。しかもホークレイド達が飛んで行く方角はジャルーヌ村のある方角だった。

 ホークレイド達が飛んで行った方角を見てヴリトラ達の目が鋭くなる。


「アイツ等、村の方に行きやがった」

「人数も十人以上いたな」

「やはりヴリトラの読み通り、村を襲撃するつもりだったようだな・・・」

「ああぁ、リンドブルム達を残して来て正解だったぜ」

 

 リンドブルム達の村の防衛に残して正解だったとヴリトラは安心する。そしてホークレイド達が村へ行ったおかげで砦に残っているホークレイドの数も減り、ヴリトラ達は作戦を遂行しやすくなった。


「さて、十人近くのホークレイドがいなくなって少しは砦を攻めやすくなっただろう。でもまだ何人か残っているはずだ」

「その数が分からない以上、こっちも作戦を立てられないぞ?」

「・・・・・・」


 ヴリトラは黙り込んで砦を見つめながらホークレイド達の人数がどれ程なのか考え始める。彼の周りではラピュス達も同じように考えていた。その時、考え込んでいたヴリトラがふとラピュスの方を向く。


「なぁラピュス、あの砦が以前使われていた時、何人ぐらいの兵士が入れるか分かるか?」

「あの砦か?・・・詳しくは分からないが、もともと攻めて来た敵を監視する為の砦だからな。二十人から二十五人くらいだろう・・・」

「そうか・・・」

「それがどうかしたのか?」

「分かったんだよ、神風盗賊団とやらの大体の人数がな」

「何?」


 ホークレイド達の人数が分かったと口にするヴリトラにラピュス達は驚きながら一斉にヴリトラを見つめる。

 ヴリトラは小さく笑いながらラピュス達を見ると遠くの砦を指差して説明を始めた。


「あの砦にいるのは十人から十五人だ」

「どうしてそんな事が分かるんだ?」

「お前言っただろう?あの砦に入れる人数は二十人から二十五人ぐらいだって」

「あ、ああ・・・」


 ラピュスはさっき自分がヴリトラに話した事を思い出して頷く。


「もし神風盗賊団が二十五人以上の盗賊団だったらもっと広くて住み易い所をアジトにするはずだ。だけど奴等はあのボードン砦をアジトにしている。つまり、あの規模の砦でも十分住み易い人数だって事だよ」

「成る程、確かに考えられるな・・・」

「・・・一理ある」


 ヴリトラの説明を聞いて納得するラピュスとララン。ニーズヘッグとオロチもヴリトラの説明を聞いた後に飛んで行ったホークレイド達の人数と砦の見張りの人数を計算して納得した様子を見せる。

 もし神風盗賊団が三十人以上の大盗賊団だったとしたらヴリトラの言うとおりもっと大きな場所を拠点にするはずだ。更に大規模なら彼等が行動を起こす時に目立ってしまいアジトの位置も王国騎士団にバレて制圧されてしまう。だが彼等は今も捕まる事無く悪事を行っている。つまり彼等は騎士団に目を付けられる程大きな動きはしていないという事だ。


「さっき砦から飛び立って行ったホークレイドは十数人、となると砦に残っているのは十人から十五人の間って事になる」

「人数が分かれば作戦も立てやすくなるな」

「よし、さっさと作戦を立てちまおう」


 敵の大体の人数が分かった事で作戦を立て直すヴリトラ達。するとラランが無表情のままヴリトラ達に声を変えて来た。


「・・・村に行ったホークレイド達はどうする?リンドブルム達に知らせなくていいの?」

「う~ん・・・知らせようにも俺達が使ってる小型通信機じゃ届かないからなぁ・・・・・・ん?待てよ・・・」


 ヴリトラは自分が持っているバックを開けて何かを探し始める。バックの中を探っていると底の方から手の平サイズと長方形の黒い機械を取り出す。

 バックの中から出された機械をラピュスとラランはジーっとその機械を見つめた。ニーズヘッグとオロチはその機械が何なのか知っているのかあまり気にする様子を見せていない。


「ヴリトラ、何だそれは?」

「コイツはDr.GGが開発した機械で特殊な電波を広範囲に発する事ができるんだ。その電波をキャッチした同じ機械はアラームを鳴らして持っている奴に仲間に何か遭った事を知らせる事ができる。もっともアラームを鳴らすだけで通信機みたいに会話のできない一方通行だがな」

「つまりそれを押せば・・・」

「同じ機械を持っているリンドブルム達に何か遭ったという事を知らせる事ができるんだ。この場合はホークレイド達が何か動きを見せたと知らせる事になる」

「・・・でも、コレ使えるの?小型通信機は遠すぎて届かないんでしょう?」


 小型通信機が使えない程距離が離れているのに使えるのか不安なラランは無表情のままヴリトラに訊ねる。するとヴリトラは機械を手の上でポンポンと数回上げながらラランの方を見て笑う。


「心配ねぇよ、コイツの電波が届く範囲は最大で5Kだ。2Kしか離れていない村になら十分届く。ただし、強い電波を出すから敵のレーダーとかにもキャッチされちまうけどな」

「諸刃の剣と言うやつだ・・・」

「だけど、ホークレイド達が相手なら気にする事なく使えるって事だ」


 ヴリトラとオロチが機械をラピュスとラランに見せながら長所と短所を静かに話す。一年間地球で生活していたラピュスとラランだがファムステミリアでは考えられない物を作ってしまう地球の技術に改めて驚いた。

 機械についてヴリトラ達が話をしていると砦を見張っていたニーズヘッグがヴリトラの肩を軽く叩いて呼んだ。


「説明はそれぐらいにして早くスイッチを入れてリンドブルム達に教えてやれ。こっちもさっさと作戦を立ててモモを助けないといけないんだからな」

「おっと、そうだったな。それじゃあ・・・」


 自分達のやるべき事を思い出したヴリトラは機械のスイッチを押した。スイッチを押すと機械に付いている小さなランプが赤く光りだす。それ以外は何も起こらないが電波は確実にリンドブルム達の下へ届いていた。

 同時刻、村に残っていたリンドブルム達は自分達が持っているDr.GGの作った機械から聞こえるアラームを聞き表情を鋭くする。彼等もこの機械の事でヴリトラ達と打ち合わせをしていた為、アラームが何を意味するのか気付いた。


「コイツが鳴ったって事は・・・」

「何か起きたって事だね」


 ジャバウォックは自分が持っている機械を見ながら呟き、隣で見上げているリンドブルムも機械を見ながら言った。二人の近くにいるジルニトラとファフニールもそれぞれ自分の武器を握り二人に近づきアラームを鳴らす機械を見つめる。


「ヴリトラ達によくない事でも起きたのかな?」

「それは無いわよ。地球むこうならまだしも、こっちの世界でアイツ等を追い詰める事ができるのはブラッド・レクイエムくらいだわ。あんな鳥人間達にやられる程アイツ等は弱くないわよ」

「うん、つまりこのアラームはヴリトラ達の危険を知らせるものじゃない。となると・・・」

「考えられるのは・・・」


 リンドブルムとジャバウォックが空を見上げると砦のある方角から幾つもの小さな影が村に向かって近づいて来るのが見えた。

 影を見つけたリンドブルムが単眼鏡を取り出して覗き込む。そして武器を持った大勢のホークレイド達の姿を確認した。その中にはヨヨを助ける時に遭遇した三人のホークレイドの姿もある。


「ホークレイド達だ!やっぱりヴリトラの読み通り、村を襲いに来たみたい!」


 ホークレイド達が近づいて来る事をジャバウォック達に知らせるリンドブルム。それを聞いたジャバウォック達の表情は更に鋭さを増し、リンドブルム達の周りにいる村人達は驚いて自分達の家の中へ逃げ込む。

 リンドブルム達はホークレイド達から村を守る為に得物を手に取り構える。四人の後ろにある民家の窓からはヨヨが四人を心配そうに見ていた。


「皆さん、ホークレイド達の数が多すぎます。一度建物に隠れて様子を窺った方が・・・」

「心配ありません。ヨヨさんは窓を閉めて家の中に隠れていてください!」

「俺達がいいと言うまで絶対に窓を開けるんじゃねぇぞ!?」

「し、しかし・・・」


 七竜将の実力を知らないヨヨはたった四人で大勢のホークレイドに戦いを挑むリンドブルム達が心配だった。でもリンドブルムは笑みを浮かべながらヨヨを見つめる。


「大丈夫です。僕達は全力で皆さんを守ります」

「・・・・・・」

「お喋りはそこまでよ!お客さんが来たわ」


 ジルニトラの声を聞いたリンドブルムとヨヨは空を見上げる。ホークレイド達は村の200m離れた所まで近づいて来ており、彼等の姿を見たリンドブルムは再びヨヨの方を向く。


「早く窓を閉めてください!」

「ハ、ハイ!」


 大きな声を出すリンドブルムにヨヨは慌てて窓を閉めて鍵を掛けた。他の村人達も全員窓や玄関の鍵を掛けてホークレイド達が入ってこれないようにする。

 村人達が全員建物の中に避難したのを確認したヴリトラ達は空を見上げてホークレイド達を睨む。十数人のホークレイド達は村の上空までやって来るとリンドブルム達を取り囲む様にして四人を見下ろした。


「お前達、此処で何をしている?」

「さっき村娘を助けてどっかに行ったかと思ったがこの村にいたとはな」

「丁度いい、さっきの借りを此処で返してやるぜ!」


 ヴリトラ達と遭遇した三人のホークレイドがリンドブルム達を見ながら低い声を出す。特にヴリトラに手首を強く握られてコケにされたホークレイドはかなり興奮している様子だった。ホークレイド達は殆どがガラの悪い男達ばかりでその中に数人の女がいるだけのチーム、その女達も目つきが悪い女ばかりだ。

 自分達を取り囲む大勢のホークレイドを見上げるリンドブルム達。四人はホークレイド達を見て動揺する様子はない。だが、何処か呆れた様な顔はしていた。


「ハァ・・・ヴリトラに痛めつけられて警告もされたのに村を襲いに来るなんて、貴方達は何を考えてるんですか?」

「俺達はあの娘に手を出すなと言われただけでこの村には手を出すなとは言われていない」

(うわぁ~、ヴリトラの読んだ通りの返答をして来たよ・・・)


 ホークレイドの出した答えにリンドブルムは心の中で呟く。ここまで自分達の読み通りに相手が動くと逆に不気味に思えてくる。そんな事を考えながらリンドブルムは目の前で飛んでいるホークレイドを見上げていた。

 緊迫した空気の中、村を見渡している数人のホークレイド達。村人が一人も外におらず、建物の窓や玄関がしっかりと閉まっているのを見て不思議に思っていた。


「おい、村人が一人も外にいないぞ?」

「どういう事だ。この時間はまだ外で畑をたがやしたりしているはずだぞ」

「まるで私達は此処を襲う事を知ってたみたいだね・・・」

「その通りですよ」


 リンドブルムは村を見渡している二人の男、一人の女のホークレイドに敬語で話し掛けた。


「皆さんがこの村を襲撃する事は予測していました。ですから皆さんがアジトである砦を飛び立った後に急いで村人達に隠れるよう伝えたんです」

「何だと?」

「何を訳の分からんことを言ってるんだ!この村にいたお前達に俺達が砦を出発した事を知るなんて事、出来るはずねぇだろうが!」

「それが出来るから、こうしてあたし達は村人達を避難させてアンタ達を待ち構える事ができたのよ」


 ジルニトラがリンドブルムの言う事を信用しないホークレイドに呆れ顔で話し掛ける。ホークレイド達はリンドブルムやジルニトラを見て自分を馬鹿にしていると感じたのか表情を険しくしながらリンドブルム達を睨む。

 睨まれている事を気にもせずにジャバウォックはリンドブルムとジルニトラの後を継ぐ様に話し始めた。


「俺達の仲間がお前等のアジトの様子を窺い、お前等が飛び立った直後に俺達にその事を知らせてくれたんだよ」

「仲間だとぉ?・・・そう言えば、俺の手首を握り潰そうとしたガキはどうした?」

「ヴリトラか?他の仲間と一緒にお前等の砦を制圧にし向かってるぜ」

「な、何だと?」

「いつまでふざけた事を言いやがるんだ!アジトにはまだ十数人の仲間がいるんだぞ?さっきお前等と会った時には全部で九人いた。だが今は四人、つまり砦に向かってるのは五人だけって事だ。五人だけでアジトにいる連中に勝てるはずねぇだろうが!そもそもアジトに向かった奴等がどうやってこんな遠くにいるお前等に情報を教えるんだよ!?」

「・・・そこまで話す義理は無い」

「ぐううううぅ!この筋肉野郎が、ふざけやがってぇ!」


 挑発するジャバウォックを見てヴリトラ達と遭遇した三人のホークレイドの内の一人が剣を持ちジャバウォックに襲い掛かった。大きな翼を広げながら急降下してジャバウォックに向かって行くホークレイド。ジャバウォックはジッとホークレイドを見たままデュランダルを握り意識をホークレイドに集中させる。

 ホークレイドがジャバウォックの2m手前まで近づくと剣を大きく振り上げてジャバウォックに斬りかかった。だがジャバウォックは飛んで来るホークレイドの左側面へ素早く回り込んで振り下ろしを回避する。その瞬間にデュランダルを勢いよく横に振ってホークレイドの翼を根元から切り落した。


「ぐわああああぁっ!」

「「「「「!」」」」」


 仲間が翼を切り落とされた光景を見たホークレイド達は驚愕の表情を浮かべる。翼を切られたホークレイドは飛べなくなりそのまま地面に叩きつけられた。翼を切り落とされたがまだ死んではおらず、背中から伝わる痛みにもがき苦しんだ。

 痛みで声を上げるホークレイドを見たジャバウォックはデュランダルを勢いよく振っての刃に付いている血と羽を払い落とす。そしてそのままゆっくりと上を見てまだ空を飛んでいるホークレイド達を冷たい目で見つめる。


「・・・先に言っておくが、俺達を普通の人間と一緒にするな。俺達とり合うからには命を落とす覚悟をしておけよ?」


 低い声で警告をするジャバウォックにホークレイド達は動揺を隠せないでいた。リンドブルム達もホークレイドをジッと見つめながら武器を握り、いつでも戦闘態勢に入れるようになっている。


「・・・神風盗賊団の皆さん、悪い事は言いません。投降してくれませんか?今投降するのなら命だけは助けましょう。ですが、もしこのまま戦い続けると言うのなら・・・命の保証は出来ません」


 その幼さとは裏腹に鋭い言葉をホークレイド達にぶつけるリンドブルム。他の三人も黙ってホークレイド達を見上げている。しかしホークレイド達はリンドブルムの警告に耳を傾けずに剣や槍を構えてリンドブルム達を睨みつけた。


「クウゥ、ふざけるな!たった四人で俺達に勝つつもりか?一人倒したからって調子に乗るんじゃねぇ!」

「俺等の仲間に怪我させた事、テメェ等の命で償ってもらうぞ!」

「アンタ達を八つ裂きにした後に村人達も全員殺してやるわ!」


 ホークレイド達は全員がリンドブルム達に殺意を向けており、頭の中は彼等に対する怒りで一杯だった。そんなホークレイド達をリンドブルムは哀れむような顔で見上げている。


「・・・そうですか。じゃあ、僕達も死にたくないんで、全力で抵抗させてもらいます!」


 リンドブルムのその一声を合図にジャバウォック達は一斉に武器を構える。そしてホークレイド達も一斉にリンドブルム達に向かって急降下しながら襲い掛かった。

 砦へ接近したヴリトラ達は大勢のホークレイドが村へ向かった事をリンドブルム達に知らせ、砦の攻略作戦を開始する。リンドブルム達も村を襲いにやって来たホークレイド達を迎え撃つ為に戦いを開始した。七竜将と神風盗賊団の戦いが遂に幕を開ける。


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