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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十三章~姫騎士は異世界を歩む~
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第二百四十二話  巨兵との激戦 剥がれた黒き鎧


 ケルピーに反撃する為に行動を開始するヴリトラ達。ラピュスはニーズヘッグ達の救援に向かい、それぞれが強敵との戦いを始めようとする。今まで一方的に攻撃を受けていた七竜将達の反撃が今始まる。

 爆発音が聞こえ、ニーズヘッグ達が心配になったラピュスは急ぎ彼等の下へ向かう。コンテナや木箱の陰に隠れながら少しずつラピュスは爆発音のした場所へ近づいて行く。


「確かこの辺りから爆音が聞こえたのだが・・・」


 爆発音がしたと思われる場所へ到着したラピュスは周囲を見回す。だがそこには誰の姿も無かった。ただ戦闘があった痕跡はある。山積みにされている木箱は粉々になっており、コンテナには無数の弾痕があった。


「・・・さっきまで此処で戦闘があったようだな。もしやニーズヘッグ達が・・・」


 コンテナに近づいてそっと弾痕に触れるラピュス。その時、突然ラピュスの後ろにある大きな倉庫の入口から爆発が起き、驚いたラピュスはフッと振り返る。倉庫の入口の扉は吹き飛び、そこから灰色の煙が上がっていた。


「な、何だ今の爆発は!?」


 ラピュスが鞘に納めてあるアゾットを抜いて倉庫の方へ走って行く。すると煙の中から煤だらけになったニーズヘッグ、オロチ、ファフニールが飛び出し、煙の方を見ながら着地する。


「お前達!」

「ん?・・・ラピュス!」


 ニーズヘッグがラピュスの存在に気付き名を口にする。オロチとファフニールもそれを聞いたラピュスの姿を見つけた。ラピュスは三人の下に駆け寄り安否を確認する。


「大丈夫か?」

「ああ、今のところはな」

「だが、そろそろ危ないと感じていたところだ・・・」


 オロチの言葉を聞きラピュスは敵である巨兵機械鎧は相当厄介な相手だと感じた。するとファフニールが煙を指差して三人の声を掛ける。


「三人とも、出て来るよ!」

「「「!」」」


 ラピュス達は一斉に煙の方を向いて武器を構える。煙の中から黒く光り鋼鉄の体を持った巨兵機械鎧が姿を見せてゆっくりと倉庫から出てきた。ニーズヘッグ達と相当激しい戦いを繰り広げていたのか装甲のあちこちが凹んだり傷が付いている。しかし、巨兵機械鎧は普通に動いており、決定的なダメージを受けた様子はない。

 初めて見る巨兵機械鎧の姿にラピュスの顔にも緊張が走り、彼女はアゾットを強く握る。


「こ、これが巨兵機械鎧・・・まさに鉄の巨人だな・・・」

「気を付けろ?コイツの装甲はマイクロ弾でもダメージを与える事ができなくいくらい頑丈なものだ。超振動系の武器でも傷をつける程度しかできない」

「何っ!?」


 超振動剣でも傷をつける事しかできないと聞かされて驚くラピュス。巨兵機械鎧はチラッとラピュスの姿を見ると二つの目を赤く光らせた。


「ほぉ?また新しい奴が現れたか。それも女とはな」

「・・・ッ!?喋った?」


 突然巨兵機械鎧から聞こえてくる坂口の声にラピュスは驚いてアゾットを構える。


「コイツは有人型の機械鎧だ。ヴリトラから聞かなかったか?」

「ああぁ、普通の人間が機械鎧兵士と戦う為に作られたと言っていた・・・」

「そうだ。このデカいロボットの中に人間が乗って動かしてるんだよ」

「と言う事は、今この巨人の中に人が?」


 人間が乗っているのかとニーズヘッグに訊ねるラピュス。ニーズヘッグは巨兵機械鎧を睨んだまま頷く。ラピュスは普通の人間が乗り込み、機械鎧兵士と戦えるような兵器を作るブラッド・レクイエム社、いや、この世界の技術に驚き目を見張って巨兵機械鎧を見上げる。

 驚くラピュスを見て再び巨兵機械鎧は赤い目を光らせ鋭い爪の付いた腕でラピュスを指した。


「貴様、ケルピーが見せた情報には載っていなかったな。七竜将の新入りか?」

「・・・だったらどうする?」


 巨兵機械鎧を睨みながらアゾットを両手で握るラピュス。巨兵機械鎧はゆっくりと腕を下ろして両肩に搭載されているバルカン砲をラピュスに向けた。


「まぁ、新入りであろうがなかろうが、この施設に侵入した以上は貴様にも死んでもらう。これ以上この施設をメチャクチャにされると私の首も飛びかねない。何よりこれ以上あの小娘ケルピーにデカい態度を取られるのも気に入らん。此処で貴様等を仕留めて奴の鼻を明かしてやる!」


 坂口の言葉を聞いたラピュス達の表情が若干鋭くなる。どうやら坂口はケルピーの事を嫌っているようだ。傘下とは言えトライアングル・セキュリティの社員全員がブラッド・レクイエム社の事をよく思っていないらしい。


「ケルピーが他の七竜将を仕留める前にお前達を片づけて残りを始末してくれるわぁ!」


 そう坂口が叫んだ直後、二つのバルカン砲が無数の弾丸を放つ。飛んで来る弾丸を見てラピュスは素早く横へ跳んで銃撃をかわす。回避して体勢を立て直すとラピュスは姿勢を低くして巨兵機械鎧の足元に向かって走り出す。そして巨兵機械鎧の右足にアゾットで袈裟切りを放つ。アゾットの刀身が右足に触れて火花と金属が削れる音が響くがニーズヘッグの言うとおり、装甲には薄い傷が付くだけで全くダメージは無い。

 

「クッ!これ程の硬さとは!」


 ラピュスは巨兵機械鎧の右足を見て表情を歪ませた。そこへ巨兵機械鎧が右足を上げてラピュスを踏みつぶそうとする。それを見たラピュスは咄嗟に後ろへ跳んで距離を作り、巨兵機械鎧の踏み付けを回避した。巨兵機械鎧は攻撃を回避したラピュスを追いかける様に歩き出し、ラピュスも近づいて来る巨兵機械鎧を睨みアゾットを構え直す。すると巨兵機械鎧の背後にジェットブースターで飛んでいるオロチが回り込み、両足の三連式マイクロ弾を巨兵機械鎧の背中に撃ち込む。六発のマイクロ弾は全て命中し爆発する。だが、オロチの表情は鋭くマイクロ弾を撃ち込んだ後でも斬月を構えていた。


「・・・・・・」

「やったの?」


 空中で背中から煙を上げている巨兵機械鎧を黙って見つめるオロチと地上でマイクロ弾を撃たれて固まっている巨兵機械鎧を見つめるファフニール。ラピュスとニーズヘッグも武器を構えたまま警戒し続けていた。ファフニールは倒したのかと口にしているが、心の中では全く安心していない。そして、彼女の予想は当たる・・・。

 煙が消えて来ると固まっていた巨兵機械鎧は目を赤く光らせて再び動き出す。そして空中で自分を見下ろしているオロチに向かってバルカン砲を乱射した。


「チッ・・・!」


 マイクロ弾を背中に受けても普通に動く巨兵機械鎧を見て舌打ちをするオロチは空を飛びながら銃撃をかわす。内心では六発のマイクロ弾を全弾受けたのだから少しはダメージを受けているのではないかと考えていたのだが、それも効かなかった事に腹を立てているのだ。

 空中を飛びまわって銃撃をかわすオロチを巨兵機械鎧の中のモニターで見ている坂口は愉快そうに笑っていた。


「ハハハハ!愚かな、さっきその男のマイクロ弾が効果が無かったところをを見ていなかったのか?例え数を増やしても、マイクロ弾ではこの巨兵機械鎧を破壊する事はできん!」


 笑いながらバルカン砲を撃ち続ける巨兵機械鎧とその中で巨兵機械鎧を操作する坂口。オロチは空中を飛びまわってバルカン砲を避け続けた。

 オロチを狙い続ける巨兵機械鎧の足元ではファフニールがギガントパレードを持って坂口に気付かれぬよう巨兵機械鎧の背後ん回り込んでいた。真後ろまで移動すると勢いよくジャンプして巨兵機械鎧の頭部と同じ高さまで跳び上がる。そして火を吹き続けている二つのバルカン砲をギガントパレードで素早く叩き潰す。その速さは巨大なハンマーであるギガントパレードをまるでバドミントンのラケットを振る様な速さだった。


「何ぃ!?」


 バルカン砲が二つとも破壊されて思わず声を上げる坂口。巨兵機械鎧は振り返って頭部と同じ高さまでジャンプしているファフニールを見つめる。するとファフニールは小さく笑いギガントパレードを頭上でクルクルと回し始めた。回すのをやめると巨兵機械鎧の頭部を側面から勢いよく殴打する。


「ぐああああぁ!」


 頭部を横から殴られてバランスを崩した巨兵機械鎧はそのまま轟音を立てて倒れ、中の坂口は思わず声を上げる。ファフニールも着地して空を飛んでいるオロチに「もう大丈夫だよ」と言う様に手を振った。それを確認したオロチはゆっくりと降下して着地するとファフニールの下へ向かう。離れていたラピュスとニーズヘッグも合流した。


「大丈夫か?」

「ああ、ファフニールのおかげで助かった・・・」


 心配するラピュスの方を向いて冷静な態度で答えるオロチ。そんな二人の間でファフニールがギガントパレードを持ちながら倒れている巨兵機械鎧を見ていた。


「この後どうしよう?このまま普通に戦っても埒が明かないよぉ?」

「確かに少し戦い方を変えた方がいいかもしれないな」

「だが、どうするんだ?」

「・・とりあえず一度体勢を立て直した方がいいな。あそこにある大きな倉庫まで走れ!」


 ニーズヘッグが数十m先にある大きな倉庫を指差し、四人はその倉庫に向かって一斉に走り出す。巨兵機械鎧も起き上がって倉庫の方へ走って行くラピュス達に気付いた。


「クッ、待て!逃がさんぞぉ!」


 坂口は巨兵機械鎧を操作してゆっくりと立ち上がらせると巨兵機械鎧を走らせて四人の後を追う。この時、巨兵機械鎧の頭部はファフニールの一撃で損傷しており、頭部からバチバチと火花が飛び出ている。そして坂口が見ているモニターにも僅かにノイズが出ていた。


「チッ!さっきの一撃で頭部のセンサーが損傷したか!あの小娘めぇ!」


 頭部が損傷した為、モニターにも異常が出た事に苛立ちを見せる坂口。だがそれでも戦闘には殆ど支障は出ておらず、そのまま走り続けてラピュス達を追跡した。

 巨兵機械鎧に追われながらも倉庫に辿り着いたラピュス達は近くにある扉を開けて倉庫内へ入る。しかし中は真っ暗で何も見えなかった。


「真っ暗だね・・・」

「どうする?しばらく此処に身を隠すか?」

「いや、俺達が中に入るのを奴は見ている。隠れても無駄だろう」

「だが、これだけ暗ければ奴にも見えないのでは・・・」

「ブラッド・レクイエムの連中が作った兵器だ、当然暗い所でも戦えるように暗視装置を取り付けているに違いない」

「ならどうするんだ?」

「・・・・・・とりあえず、倉庫の明かりをつけよう」


 ニーズヘッグは入口近くの壁を手探りで調べて照明のスイッチを探す。そしてそれらしき無数のスイッチを見つけて全て押した。すると倉庫の照明が付き、一瞬で倉庫の中が明るくなる。そこはとても広く10tトラックが五台は軽く入るくらいの空間だった。すると、ラピュス達は倉庫の真ん中に置かれている奇妙の機械を見つける。それはファムステミリアの補給基地で見たユートピアゲートの装置とよく似ていた。


「おい、この機械ってもしかして・・・」

「ああ、探していたユートピアゲートの装置だ・・・」

「でも、向こうの世界で見た装置とは少し違うね?」

「向こうの世界では手に入る材料が限られているからな。恐らくこっちの装置の方が性能はいいはずだ・・・」


 装置を見上げながら話すラピュス、オロチ、ファフニールの三人。これを確保できればすぐにでもファムステミリアに戻る事ができる。しかし、その為にはまずこの施設を制圧しなくてはならない。三人は改めてこの施設を制圧するという意志を強くした。

 ラピュス達が装置を見上げている隣ではニーズヘッグが倉庫内を見回している。


「・・・此処に逃げ込んだのは失敗だったかもしれないな」

「どうして?」

「もし此処にあの巨兵機械鎧が入って来てそのまま暴れられたらこの装置もただじゃ済まないだろう?」

「あっ、そっか・・・」


 説明を聞いた重要な事に気付くファフニール。ラピュスとオロチも流石にそれはマズイと考えて面倒そうな表情を見せた。


「どうしよう?また移動する?」

「ああ、その方が良さそうだ。とりあえずこっちの入口から出るのは危険だから別の出入口を・・・」


 ニーズヘッグが別の出入口から倉庫を出るようラピュス達に話していると、四人が入って来た入口の隣にある大きなシャッターがいきなり凹み、ラピュス達は咄嗟に距離を取りシャッターの方を見て武器を構える。大きな音と共にシャッターは凹み、やがて鋭い爪が穴を開けてシャッターを引き裂く。バリバリと高い音を立てながらシャッターに穴が開き、とうとう巨兵機械鎧は倉庫内に入って来た。


「追い詰めたぞ!」

「チッ、もう来たか・・・」


 移動する為に倉庫内に入られてしまいニーズヘッグは舌打ちをしながら巨兵機械鎧を睨む。四人を見下ろしながら巨兵機械鎧は右腕をもの凄い速さで回転させ始める。右腕と一緒に爪も高速回転しドリルの様になった。


「大人しく武器を捨てて投降しろ。そうすれば命だけは保障してやる」

「・・・生憎だが俺達はまだ負けたとは思っていない。だから投降するつもりもない」

「フン!青二才が、折角の私の慈悲を無駄にするか」

「俺だけじゃなくて、他の三人も同じだぞ?」


 そう言ってニーズヘッグはラピュス達の方を向く。ラピュス、オロチ、ファフニールの三人も鋭い視線を巨兵機械鎧に向けており、そんな三人を巨兵機械鎧の中から見た坂口は呆れ顔になった。


「・・・七竜将は優秀な傭兵隊だと聞いていたが、優秀なのは力だけで頭の方はそれほど優秀ではなかったようだな」

「私達の行動が愚かなのかを決めるのは貴様ではない。私達自身だ!」

「そうだよ。おじさんこそ、降参した方がいいんじゃない?」

「今ケルピーと戦っている仲間が奴を倒して私達と合流すれば、もうお前に勝ち目はないぞ・・・」

「自惚れるな、小娘どもめ!・・・そんなに死にたければ望みどおりにしてやろう!」


 坂口の怒号と共に巨兵機械鎧が回転する右腕でラピュス達を攻撃する。四人は一斉に四方に跳んで攻撃を回避し武器を構え直す。その中でラピュスはアゾットを左手に持ち右手を巨兵機械鎧に向けて突き出した。すると左手の手の平からノズルが飛び出し巨兵機械鎧の頭部に狙いを付ける。


「普通に体や腕い攻撃しても意味が無い・・・なら、これならどうだ!」


 ラピュスはファフニールの攻撃で損傷している頭部なら破壊できると考えて頭部に向かってバーナーキャノンを発射する。青い熱線はもの凄い勢いで噴出されて巨兵機械鎧の頭部に命中、熱線を受けた頭部は左上部分が焦げており、一部が熱で溶けている程度のダメージしか受けていなかった。


「クソォ、バーナーキャノンでもダメなのか・・・!」


 自分の機械鎧の内蔵兵器が効いていない事に悔しそうな顔をするラピュス。いくらジープを貫通する事ができても特殊金属で硬度が鉄以上の巨兵機械鎧の装甲には殆ど効果が無かった。ラピュスだけでなくニーズヘッグ達もその光景を見て驚いている。


「す、凄い、あれがラピュスの機械鎧の内蔵兵器?」

「バーナーキャノン・・・超高温の熱線を発射して敵を攻撃する兵器か・・・」

「師匠め、ラピュスの機械鎧にあんな重火力の兵器を組み込むとは・・・」


 バーナーキャノンを見てファフニールとオロチは驚き、そして機械鎧にとんでもない内蔵兵器を組み込んだDr.GGにニーズヘッグは呆れている。だがすぐに巨兵機械鎧を見て警戒態勢に入った。

 突然熱線を撃って来たラピュスを見て巨兵機械鎧の中の坂口は若干驚きの様子を見せている。ノイズの入っているモニターに映るラピュスを見て巨兵機械鎧を器用に動かした。


「まだそんな兵器を隠していたのか・・・だが、どんな武器であろうとこの巨兵機械鎧には通用せん!まずは貴様から始末してくれる!」

「ッ!」


 先にラピュスを殺そうと巨兵機械鎧を動かす坂口。ラピュスも自分を見下ろしながら近づいて来る巨兵機械鎧を見てアゾットを構えた。すると、熱線を受けた巨兵機械鎧の頭部から火花が飛び、隙間から煙が上がる。その瞬間、光っていた巨兵機械鎧の両目が消え、坂口が見ているモニターの画面も消えた。


「な、何だ?なぜモニターが?」


 突然映像が消えて驚く坂口は巨兵機械鎧を止めた状況確認に移る。ラピュスや他の三人も突然止まった巨兵機械鎧と坂口の声に表情を変えて巨兵機械鎧を見つけた。

 しばらくすると突然巨兵機械鎧の胸部の装甲が左右へ動き出し、巨兵機械鎧の中から坂口本人の姿が現れる。


「クソォ、頭部のセンサーが完全に壊れたか。おかげで目で見て操縦する事になってしまったわ!」


 自分の姿を敵に見せて戦わなくてはならない事に坂口は気に入らない様子を見せる。頭部のセンサーが壊れてしまいモニターで状況を確認できなくなった事で操縦者自身の目で状況を確認する為に操縦席のある胸部の装甲が開いたようだ。これは自分の目で見て戦う事ができる分、自分自身の姿を敵に見せる事になってしまう為、操縦者が危険な状態になってしまう。しかしこれはラピュス達にとってはチャンスと言える。


「あれが巨兵機械鎧を操っていたこの基地の司令官か・・・」

「本当に普通のおじさんだね」

「どうやらラピュスが頭部を破壊した事で操縦席の装甲が開いたのだろうな」

「どうする?ニーズヘッグ」

「敵の操縦者が姿を見せたのならチャンスだ。巨兵機械鎧を外から壊せないのなら、内から壊せばいい!皆、操縦者に集中して攻撃しろ!」


 ニーズヘッグが坂口を狙うようオロチ達に伝え、オロチとファフニールも真剣な顔で頷く。そしてラピュスもアゾットを両手で持ち直して操縦席の坂口を見つめる。坂口は自分の姿が丸見えになった事に焦りを感じたのか表情が若干歪んでいた。


「おのれぇ~!私が姿を見せたからと言って勝てると思ったら大間違いだぞ!お前達など、この状態でも十分倒せる!」


 まだ自分の方が有利だと考える坂口は巨兵機械鎧を動かす。巨兵機械鎧はラピュスやニーズヘッグ達の方を向いて両腕を高速回転させて爪のドリルを四人に突きつける。ラピュス達はそんな巨兵機械鎧と坂口を見て目を鋭くするのだった。

 遂にユートピアゲートに装置を見つけるラピュス達。そして巨兵機械鎧の頭部を破壊し操縦席の坂口が姿を現した。戦況は一気にラピュス達の傾く。そしていよいよ戦いの分かりが近づいて来るのだった。


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