第二百二十八話 アレクシアとの再会 ジャンヌとの驚くべき関係
もう一度戦士として戦う為の力を得るために機械鎧兵士になる事を決意するラピュス。そしてヴリトラ達は新しい機械鎧を求め、アレクシアに会いに彼女の会社であるタイカベル・リーベルト社のビルにやって来るのだった。
ヴリトラ達はアレクシアのいる社長室を目指して広い社内を進んで行く。その途中で多くの社員や会社を訪ねて来た客の姿を見掛け、それを大勢の人の姿と社内の広さにラピュスとラランは驚きながら社内を見回す。
「す、凄いな・・・私が入院していた病院よりもずっと大きいぞ」
「・・・広くて高い」
「このビルは東京の中でも高い方だけど、此処よりも高いビルはもっとあるぞ?」
「こ、此処より高い所があるのか!?」
ヴリトラの話を聞いたラピュスは驚いて思わず声を上げ、それを聞いた周りの人間は一斉にヴリトラ達の方を向く。ラピュスは大きな声を出した事に思わずハッとして顔を赤くした。
「ハハハ、まぁ、驚くのも無理ないよな?」
「とりあえず、アレクシアさんのところへ行こう」
ラピュスを見ながら苦笑いするヴリトラとリンドブルム。ジャバウォック達も小さく笑いながらラピュスとラランの顔を見ている。そんな会話をしながらヴリトラ達はビルの奥にあるエレベーターに乗り、最上階にある社長室へ向かった。
最上階に着くとエレベーターを降りて長い廊下を真っ直ぐ進んで行く。しばらく歩いていると大きな二枚扉の前にやって来て一同は足を止める。扉の隣には社長室と書かれたプレートが付いており、いよいよアレクシアに会うのだとラピュスとラランは少し緊張していた。
「この奥にヴリトラの師匠がいるのか?」
「・・・緊張する」
「ハハハ、そんなに固くなるな。とても穏やかな人だから細かい事にはあまりに気にしないよ」
「そ、そうか・・・」
ほんの少しだけ緊張が解けてラピュスとラランは少しホッとする。ヴリトラが扉を軽くノックすると扉の向こうから若い女性の声が聞こえて来た。
「ハイ」
「ヴリトラです」
「入りなさい」
許可を得たヴリトラはゆっくりと扉を開いて社長室へ入り、ラピュス達もその後の続く。中に入るとヴリトラ達の目に三十畳はあるであろう広い部屋が飛び込んで来た。その部屋の中央にガラス製のテーブルが置かれ、それを囲む様に来客用の黒いソファーが四つ置かれてある。部屋の奥には社長の物と思われる木製のデスクと回転椅子、そして外を眺める為の大きなガラス窓があった。他にも高そうな絵が壁に飾られ、部屋の隅には観賞用植物などが飾られてある。まさに会社のトップに相応しい部屋だった。来客用のソファーでは先に来ていたジルニトラとファフニールが座っており、ヴリトラ達の方を向いて笑いながら手を振る。
「やっほ~、待ってたわよ」
「おはよう、ラピュス、ララン」
「ああ、おはよう」
笑っているジルニトラとファフニールを見て手を振り挨拶を返すラピュス。ラランも黙ってはいるが頷いて挨拶をした。すると奥にある回転椅子から再び女性の声が聞こえてきた。
「立ったままではなく、ソファーに座ってからゆっくりとお話をなさってはどうです?」
回転椅子がゆっくりと回り、ヴリトラ達の前に回転椅子に座っているアレクシアが現れた。社長らしく女性用のスーツを着て優しい笑顔で微笑んでいたアレクシア。七竜将や清美は普通に彼女を見ているが初対面であるラピュスとラランは彼女の姿を見て驚きのあまり目を見開いている。何より一番驚いたのか彼女があまりにも美しい女性だったからだ。それもそのはず、アレクシアはヴリトラと初めて会った十年前と殆ど外見が変わっていなかったのだ。ヴリトラが初めて会った時と同じ美しい顔をしている。
アレクシアは金色の長髪は揺らしながら立ち上がりヴリトラ達の方へ歩いて行く。そしてヴリトラの前まで来ると微笑みながら彼の頭を撫でる。
「ヴリトラ、久しぶりね?」
「ハイ、ご無沙汰してます」
「半年前に突然行方不明になったと聞いた時は本当に驚いたわ。貴方達の事だからまた何か厄介事に首を突っ込んで巻き込まれたんじゃないかって心配してたんだから」
「すんません・・・」
苦笑いをしながら謝るヴリトラをアレクシアは微笑んだまま見ており、撫でる手をそっと彼の頭から退けた。
「でも、こうしてまた会えた訳だし、良しとしましょう。それにしても異世界へ行ってたなんて、最初に話を聞いた時は信じられなかったわ?」
「アハハ、私と同じ事言ってるわね」
アレクシアを見ながら清美は小さく笑う。アレクシアも清美の方を向いてクスクスと笑い返す。二人の女性の会話を見ているヴリトラもニッと笑顔を浮かべていた。
「あ、あのぉ・・・」
さっきまで驚いていたラピュスはアレクシアに声を掛け、それに気づいたアレクシアはフッとラピュスの方を向く。
「おっと、ごめんなさい。すっかり話し込んでしまって・・・」
「い、いえ・・・私は別に・・・」
「・・・貴方がラピュスさんですね?はじめまして、私はアレクシア・ソルマレティア・桜田と申します」
「ラ、ラピュス・フォーネです。こっちは私の部下のララン・アーナリア・・・」
自己紹介をして隣にいるラランの事を紹介するラピュス。ラランも黙ったままペコリと頭を下げて挨拶をした。そんな二人をアレクシアは微笑みながら見つており、アレクシアに見つめられている事で二人は微かに頬を染める。
「詳しいお話はジルとファウから聞きました。こことは違う異世界ファムステミリアから来られたとか・・・」
「ハ、ハイ」
「・・・そして、その右腕をブラッド・レクイエム社のジャンヌとの戦いによって失ってしまった・・・」
「ッ!・・・・・・ええ」
笑顔から真剣な表情に変わって右腕を指摘するアレクシアにラピュスもピクッと反応を見せて真剣な顔になり頷く。その話になった途端に周りにいるヴリトラ達も真剣な表情へと変わる。
「・・・とりあえず、ソファーにお座りください。詳しい事や貴方の右腕に関する事はそれから・・・」
まずは座って落ち着こうとラピュス達に伝えるアレクシア。ラピュス達も言われたとおり一度ソファーに座り、アレクシアも静かにソファーへ座った。
ジャバウォックとオロチ以外がソファーに座り、ヴリトラ達は半年間ファムステミリアで何をしていたのかをアレクシアに伝える。前に電話で話した時には伝えていなかった事も幾つかあり、ヴリトラ達は自分達の知っている事を全てアレクシアに話した。
「異世界で新たな秩序を生み出す、何か企んでいる事は間違いないわね・・・」
一通り話を聞いたアレクシアは目を閉じてブラッド・レクイエム社が何を企んでいるのかを考える。ヴリトラ達もジッとアレクシアの方を見ており、社長室にしばらく静かになった。やがてアレクシアはゆっくりと目を開けてヴリトラ達を見ながら口を動かす。
「ブラッド・レクイエム社が何の為にファムステミリアへ行き、秩序を生み出すなどと言ったのかは分からないけど、一つだけハッキリしている事があるわ。ジャンヌは・・・いいえ、アンジェラはとても強い、そして何か大きな目的があるという事・・・」
「ん?・・・アレクシアさんはジャンヌの事を知っているのか?」
「・・・ええ」
ニーズヘッグはアレクシアの言い方から彼女がジャンヌと顔見知りであると感じアレクシアに訊ねる。ヴリトラ達もアレクシアとジャンヌに何か繋がりがあると感じて一斉にアレクシアの方を向く。ニーズヘッグの問いかけにアレクシアは目を閉じて頷きながら答えた。
「・・・私とアンジェラは二十二年前、同じアメリカ陸軍の同期だったの」
「「「「「「「ええぇ!?」」」」」」」
アレクシアとジャンヌがアメリカ陸軍時代に同期だった。それを聞いてヴリトラを始め、ラピュス、リンドブルム、ジャバウォック、ニーズヘッグ、ジルニトラ、ファフニールは声を上げて驚く。ラランとオロチは声は出さなかったものの目を見張って驚いている。清美は知っていたのか驚かずに黙ってアレクシアの話を聞いていた。
「し、師匠がジャンヌと同期?」
「マジですかぁ!?」
「ええ、マジよ」
ジルニトラの問いに軽く答えるアレクシア。ヴリトラ達は未だに信じられないのか驚きの表情のまま固まっている。そんな時、ラピュスが隣に座っているヴリトラの肩を軽く突いた。
「おい、ヴリトラ」
「ん?」
「二十二年前と言っているが、アレクシア殿はお何歳なのだ?」
「師匠の歳?」
ラピュスが小声でアレクシアの年齢をヴリトラに訊ね、ヴリトラはチラッとアレクシアの方を見た後にラピュスの耳元で答えた。
「・・・確か今年で四十七歳になるはずだ」
「ええぇ!?四十な――」
「シイィッ!」
驚きのあまり大声を出すラピュスの口を慌てて押さえるヴリトラ。周りにいるアレクシア達は一斉にヴリトラとラピュスの方を向いた。
「どうしたの?」
「い、いえ、何でもないです・・・」
「そう?」
苦笑いをしながら誤魔化すヴリトラを見て不思議そうな顔をするアレクシア。ヴリトラはホッと安心し、ラピュスの口から手を離した。ラピュスも口から手が離れた為、落ち着いたのか深く息を吐く。するとヴリトラは再びラピュスの耳元で小さく声を出した。
「あまり師匠の前で歳の事を話さないでくれよ?あの人、歳の事はあまり話したがらない人なんだ・・・」
「わ、分かった。しかし、四十七歳であの姿とは・・・どう見ても二十代後半か三十代前半くらいだろう?・・・まさか、あれもナノマシンのおかげなのか?」
「いいや、あれは師匠の体質らしい。本条先生も同じくらいの歳だけど外見は十年前と殆ど変ってないよ」
「お、驚いたな・・・」
ヴリトラとラピュスは目の前で話す二人の女性を目を丸くしながら見つめてた。アレクシアと清美、若さを保ったままの二人にヴリトラとラピュスはただ驚きながら見つめている。二人がアレクシアと清美の若さに驚いていると、アレクシアは自分とジャンヌの関係を話し始めた。
「当時の私はアメリカ陸軍の特殊作戦部に所属していたわ。それから兵開発部門から特殊作戦部へ移って来たアンジェラと出会った。仲間達は世界最初の機械鎧兵士であるアンジェラを避けていて彼女は孤独だった。でも私はそんな事を気にせずに普通に彼女と接していったわ。それから私達は一緒に任務に就く事が多くなり、いつの間にかアメリカ陸軍で私やアンジェラの評判は高くなっていったの。アンジェラも最初は私の事を相手にしなかったけど、次第に心を打ち明けていった」
「親友、だったんですか?」
「ええ。功績を上げて行き、私達は半年で陸軍大佐にまで昇格して教官をするようになった。でも、それから二年後に彼女は突如アメリカ陸軍を去ってしまい、それから消息を絶ってしまった」
「なぜですか?」
「分からないわ、私にも教えてくれなかった。ただ、最後に話した時に彼女はこう言ったわ・・・『新しい秩序を作る為』、と」
「新しい秩序・・・ジークフリートと同じ事を言っていたんですか・・・」
ジークフリートとジャンヌが同じことを言った事に気付き、ヴリトラは難しい顔で考え込む。この時点でジャンヌがファムステミリアで自分の目的である何かを達成させようとしている事が分かった。しかし、秩序を作る、という事の意味がまだ分からない。ヴリトラや周りのラピュス達もジャンヌ達の目的を考えるが答えは出なかった。
そんな風に考えるヴリトラ達を見てアレクシアは静かに話を続けた。
「そして、アンジェラが消息を絶ってから間もなくブラッド・レクイエム社が設立され、世界中に機械鎧兵士の傭兵が現れるようになった。更にそれを真似る様に沢山の傭兵派遣会社や民間警備会社ができて世界中の国々で機械鎧兵士が所有されるようになったの。この日本でもね・・・」
「・・・もしかすると、ジャンヌの言っていた秩序とは機械鎧兵士が関係しているのかもしれねぇな」
「自分が機械鎧兵士になったのもそれよりも前にその秩序に事を考えていたのかもしれないしね・・・」
「何を考えているのか分からん女だ・・・」
ジャバウォック、ファフニール、オロチはジャンヌと言う大きな存在に思わず口を開く。実際、ジャンヌがブラッド・レクイエム社の社長である事、アレクシアの同期であった事、そして世界最初の機械鎧兵士である事以外はヴリトラ達は何も知らない。その強さと目的すらも。これから戦う相手の事を何も知らずにいるのはヴリトラ達にとっては不利な事だった。
「彼女はとても強いわ。それに最初の機械鎧兵士と言うだけあって機械鎧の弱点や構造なんかを殆ど知り尽くしている。彼女に勝つには彼女に勝る程の知識と力を・・・」
アレクシアがジャンヌの強さについて話そうとした、その時、突如アレクシアの机の電話が鳴り出した。アレクシアは話を止めて机の方に歩いて行くと受話器を手に取る。
「私です・・・・・・ええ・・・ええ・・・そうですか、分かりました」
誰かと会話とした後、アレクシアは受話器を戻してヴリトラ達の方を向いた。
「皆、『彼』がもうすぐこちらに到着するという連絡は入ったわ。屋上へ行きで迎えるわよ」
アレクシアの口から出た「彼」という言葉を聞き、ソファーに座っていた七竜将や清美は一斉に立ち上がる。ラピュスとラランは突然立ち上がったヴリトラ達に驚き、状況が理解できずに遅れて立ち上がった。
「ヴ、ヴリトラ、どうしたんだ?」
「屋上に上がるんだよ。俺達以外の客人がそろそろ来るみたいだ」
「客人?」
「俺とお前に機械鎧を提供してくれる人だ」
ラピュスはヴリトラの言葉を聞いて目を見張り驚く。無くなった自分とヴリトラの腕となる機械鎧を提供して来る人がもうすぐ此処に来ると知り、驚くのと同時に喜びと期待を胸に抱いた。
「エレベーターは無いから階段で屋上へ上がるわよ。ついて来て」
アレクシアは社長室の出入口の方へ歩いて生き、屋上へ行く為の階段のある場所へヴリトラ達を案内する。ヴリトラ達も社長室をから出てアレクシアの後をついて行く。廊下を歩いて一番奥にある階段を上がって行き、屋上のドアを開けると目の前には何も無い場所に大きなヘリポートだけがあるのが目に映る。ヴリトラ達が全員屋上へ出てヘリポートの前までやって来ると、遠くからプロペラ音が聞こえて来た。その音を聞いたヴリトラ達は空を見上げると遠くから輸送へリの「CH-47JA チヌーク」がこちらに跳んで来るのが見え、全員がチヌークに注目する。
「・・・何?」
「チヌークだよ。輸送用のヘリコプターで大勢の人を乗せる事ができるから色んな国で使われているヘリなんだ」
チヌークを見上げているラランにリンドブルムは分かりやすく説明をする。その飛んで来るチヌークは灰色に塗装され、タイカベル・リーベルト社のマークが描かれてあった。どうやらタイカベル・リーベルトシャでも使われているようだ。
ビルの真上まで来たチヌークは大きな音を立てながらホバリングをし、ゆっくりとぺリポートに着陸する。そして後部ランプが開き、ヴリトラ達はランプの正面まで移動した。すると突然ヴリトラ達の足元を何者かに銃撃される。
「うわあぁ!?」
突然の銃撃にラピュスは驚いて思わず声を上げ、ラランも目を見張って驚く。ヴリトラ達も少し驚いた表情を浮かべていたが、ラピュスとララン程じゃなかった。そんな中、チヌークの中から一人の初老の男性が出て来る。五十代後半くらいで灰色の髪と顎鬚を生やした痩せ気味の体型でサングラスを掛けており、黄土色のコート来てボロボロのジーパンを穿き、左手にはボストンバッグ、右手にはシルバーの大型拳銃「デザートイーグル」が握られていた。どうやら先程の銃撃は彼の仕業だったようだ。
「オラオラオラオラオラァ~ッ!このクソ忙しい中こんな所に俺様を呼び出すとはどういうこったぁ!ああぁ~~!?」
男性は目の前で自分を見ているヴリトラ達を睨みながらもの凄い剣幕を向ける。するとヴリトラが男性を見ながら一歩前に出て右手を上げて挨拶をした。
「久しぶりだな、Dr.GG」
「んん~?・・・・・・オメェ、ヴリトラかぁ~~!?」
Dr.GGと呼ばれる男性はサングラスをずらし、目を細くしてヴリトラの顔を見つめる。そしてヴリトラの顔を確認しすると声を上げながら再びヴリトラ達の足元を連続で銃撃した。その銃撃に再びラピュスは驚きビクつく。
「な、何なんだ、あのご老人は・・・?」
「相変わらず過激なじーさんだな?」
Dr.GGを見つめて青ざめるラピュスと苦笑いを浮かべるヴリトラ。二人の後ろにいるリンドブルム達も苦笑いを浮かべながらDr.GGを見ている。ただし、ニーズヘッグだけは呆れ顔で顔に手を当てていた。
「ニッヒヒヒヒヒ。まだ生きてやがったか、七竜将のガキ共ぉ~~!」
ヴリトラ達の姿を見てDr.GGは左手に持っているボストンバッグを落し、腰に手を回すともう一丁デザートイーグルを取り出して今度は二丁でヴリトラ達の足元を楽しそうに撃ちまくる。足元を何度も銃撃するDr.GGにニーズヘッグは深く溜め息をつき顔を上げた。
「おい、それぐらいにしておけよ?」
「ああぁ?・・・おぉ~、ニーズヘッグ、オメェもまだ生きてやがったかぁ。どうだ?俺様の与えた知識は役に立ってるかぁ?」
「ああ、お陰様でな」
「そうかそうか、ナッハハハハハ!」
「師匠~!」
大笑いするDr.GGの後ろから今度は若い少女の声が聞こえて来た。すると奥から黒いおかっぱ頭に眼鏡をかけた十代後半くらいの少女が出て来る。白の長袖に青のオーバーオールを着た外見に手には大きなトランクを持っていた。少女はDr.GGの隣に来ると困り顔で彼を注意する。
「もう!興奮して銃を撃つのはやめてくださいっていつも言ってるじゃないですかぁ!」
「うるせぇ!興奮すると銃を撃ちまくるっていうのが俺様の表現の仕方なんだよ!」
「いい加減にしないとその内死人が出ますよぉ!」
Dr.GGと少女のやり取りを黙って見守るヴリトラ達。するとラピュスが複雑そうな顔でヴリトラの肩を指で突く。
「ヴ、ヴリトラ、彼等は一体何者なんだ?」
「あの過激なじーさんはDr,GGって言って俺達七竜将の機械鎧を設計、開発してくれた人なんだ。そんで、ニーズヘッグの師匠でもある」
「ニーズヘッグの?」
「ああ、そしてあっちの眼鏡をかけた子が『ジェニファー』って言ってニーズヘッグの妹弟子でDr.GGの助手をしてるんだ」
Dr.GGとジェニファーの事をラピュスに説明するヴリトラ。するとアレクシアがDr.GGに近づいて行き声を掛けた。
「お二人とも、それぐらいにしてそろそろ中へ入りませんか?詳しいお話もしますので」
「おおぉ、そうか?悪いな、アレクシア」
「す、すみません」
笑顔のアレクシアの見て笑うDr.GGと頭を下げるジェニファー。二人はアレクシアと共にヴリトラ達の下へ歩いて行き、ヴリトラ達もそれぞれ簡単な挨拶をする。そしてラピュスとラランは少し引いた表情でDr.GGに挨拶をしたのだった。
意外なアレクシアとジャンヌの関係に驚くヴリトラ達。そしてヴリトラとラピュスの新しい機械鎧を作る為にやって来たDr.GG。いよいよラピュスが機械鎧兵士になる為の本格的な作業が始まる。




