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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十三章~姫騎士は異世界を歩む~
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第二百二十七話  力と腕を求めて 戦士としての新たな覚悟


 元の世界に戻って来たヴリトラ達はファムステミリアに戻る為に今後どうするかを話し合う。そんな中でラピュスも目を覚まし、自分の右腕が失ったという現実を目の当たりにする。ここからヴリトラ達のファムステミリアに戻る為の活動と戦いが始まる。

 右腕を失い混乱するラピュスはヴリトラ達のおかげで少しずつ落ち着きを取り戻して行く。目を覚ましてからしばらくはショックのあまり現実逃避をしていたが今ではその現実を受け止めて傷の治癒に専念している。


「・・・結構重い」

「まぁ、メロンやリンゴ、バナナとかがあるからな」


 病院の廊下をラランはフルーツの入ったバスケットを両手で抱えながら歩いている。ファムステミリアから戻って五日が経ち、ラランもこっちの生活に少しは慣れたようだ。服装も水色の長袖に薄い黄色のミニスカートとファムステミリアでは見られない恰好をしており、その姿は姫騎士ではなく一人の少女だった。そんな彼女の両隣を私服姿のヴリトラとリンドブルムが歩いている。二人とも黒と灰色の長袖、長ズボンにジャケットと冬物の恰好をしていた。ただし、ヴリトラは左腕を無くした状態で服を着ているので、左の袖がゆらゆら揺れている。

 この世界に戻ってからヴリトラ達は交代でラピュスの見舞いへ行き、少しずつラピュスの回復を見守りながらファムステミリアに戻る為の方法を探していた。そして今日はヴリトラ、リンドブルム、ラランがラピュスの見舞い行く日だったのだ。


「そう言えば、今日はフルーツを持って来たけど、ラピュスは果物を食べても大丈夫なの?」


 リンドブルムがラピュスの状態を気にしながらヴリトラの訊ねる。ヴリトラはリンドブルとラランの方を見ながら頷く。


「ああ、本条先生ももう点滴は終わって普通に病院食を食べても大丈夫だって昨日言ってたってジルから聞いた。フルーツとかなら食べても大丈夫だと」

「そっか」

「・・・よかった」


 ラピュスが少しずつ回復に向かってると聞き、リンドブルムとラランは安心し笑みを浮かべる。ラピュスは昨日ようやくICUから一般の個室へ移る事ができ、食生活も少しずつ戻って来ていた。

 三人がしばらく廊下を歩いていると、ラピュスの病室の前まで着き足を止める。ヴリトラが右手でドアをノックすると中からラピュスの声が聞こえて来た。


「ハイ」

「俺だ、ラピュス」

「ヴリトラか、入ってくれ」


 病室からいつも通りのラピュスの声が聞こえ、ヴリトラは静かにドアを開ける。中を覗くとラピュスがベッドに座り、ベッドに取り付けられているテーブルの上で何かの本を読んでいた。


「よう、調子はどうだ?」

「大丈夫だ、昨日と殆ど変っていない」

「・・・隊長」

「ララン、お前も来てくれたのか」

「・・・うん」


 ラピュスの元気な姿を見てホッとするララン。つい数日前までは右腕を失い錯乱状態だったラピュスが今ではいつもの姿を見せてくれた事がラランにとって一番喜ばしい事だった。三人は静かに病室へ入り奥へ歩いて行く。ラランは持っていたフルーツのバスケットをベッドの隣にある小さな机の上に置いた。


「・・・お見舞いの果物」

「今日は果物か・・・すまないな」

「・・・ううん。それより、隊長は何してたの?」

「見ての通り、勉強だ」

「・・・勉強?こっちの世界の文字の?」

「ああ、一昨日はジャバウォックとファウが本を持って来てくれたのだが、私がこっちの世界の文字が読めない事を忘れていたらしくてな。だから昨日、ニーズヘッグとオロチが来てこっちの世界の文字の事が書かれて本を持って来てくれたのでそれで勉強しながら本を読んでいるんだ」

「・・・文字の意味、分かるの?」

「大丈夫だ。ニーズヘッグがファムステミリアの文字とこっちの世界の文字の意味が分かるように紙に書いて持って来てくれたからな」


 そう言ってラピュスはベッドに取り付けられたテーブルの上に置かれてる紙、と言うノートブックを見せた。そこにはひらがなとファムステミリアの文字がビッシリと書かれてあり、どの文字がどの文字を示しているのか分かりやすく書かれてあった。それを見た三人は目を丸くして驚く。


「うわぁ・・・こりゃまた細かく書いてあるなぁ・・・」

「だけど、とても分かりやすいから覚えるのも楽だぞ」

「眼とか疲れないの?」

「大丈夫だ」


 ヴリトラとリンドブルムが心配そうな顔でラピュスを見ると彼女は微笑んでそう言った。ラランはそんな勉強を頑張るラピュスを見てどこか嬉しそうな顔を浮かべている。右腕を失い落ち込んでいる姿よりもこっちの方のラピュスの方が彼女らしいと思っているからだ。


「・・・ところでラピュス、実は今日はお前に相談したい事があって来たんだ」

「相談?」


 勉強をしていたラピュスは手を止めてヴリトラの方を向く。ヴリトラは近くにある椅子に座ってラピュスの方を真剣な顔で見つめる。


「実は今日、お前に会わせたい人がいるんだ」

「会わせたい人?誰だ?」

「アレクシア・ソルマレティア・桜田。俺の育ての親であり、剣の師匠でもある女性だ。そして、俺を機械鎧兵士にならないかと誘った人・・・」

「アレクシア・・・」


 ヴリトラの育ての親を合わせたい、それを聞いたラピュスも少し興味を抱いていた。ヴリトラを育て、剣を教えた存在に姫騎士として興味が湧いたのだ。


「昨日俺達の泊まっているホテルに連絡があってな。俺達がこの半年間何をしていたのかを色々話したんだ。ほんで、その時にお前とラランの事、そしてお前の右腕が無くなった事なんかも話した」

「私の腕の事もか?」

「ああ・・・・・・ラピュス、お前のその無くなった右腕、もしかしたら戻す事ができるかもしれないぜ?」

「何?」


 無くなった右腕が戻る、それを聞いたラピュスはフッとヴリトラの方を向く。勿論ラランも同じ様なヴリトラを見ていた。


「・・・正確には新しい右腕を付けて以前の様な状態にする、だけどな」

「新しい腕?」


 言葉の意味が理解できずに小首を傾げるラピュス。ラランも分からず無巣かしい顔を見せている。だがリンドブルムは理解しているのか真剣な顔でラピュスを見つめていた。

 ヴリトラは静かに立ち上がり、ラピュスのベッドの前までやって来ると腰を曲げて顔をラピュスの顔の前まで持ってくる。突然顔を近づけるヴリトラにラピュスは少し緊張したのか頬を少し赤く染めた。


「・・・機械鎧だよ」

「・・・!機械鎧?」

「ああ、お前に機械鎧の右腕を取り付けるんだ。そうすればお前はまた右腕を取り戻す事ができる」

「それはつまり、私を機械鎧兵士にするって事か?」

「・・・そうだ」


 ラピュスはヴリトラの顔を見ながら全身に緊張を走らせた。自分も七竜将やブラッド・レクイエム社の兵士達と同じようにサイボーグになる。ラピュスは一瞬頭の中が混乱したが、すぐに落ち着いて頭の中を整理した。そしてゆっくりと深呼吸をしてからヴリトラの顔を見て口を動かす。


「・・・私が機械鎧兵士になれば、この失った右腕が戻って来るのか?」

「元の生身の腕じゃなくて鋼鉄の腕だけどな・・・」

「・・・それで、もし機械鎧兵士になったら、私はどうなってしまうんだ?」

「どうにもならない。無くした体の一部を手に入れて更に強い力を手に入れる事ができる。ただ、機械鎧兵士になればソイツは終わらない戦いの世界に身を投げ出す事になっちまう。多くの人間を敵に回し、下手をすれば常に命を狙われる立場になり、安心して暮らす事ができなくない生活が待っている」


 機械鎧兵士の宿命をヴリトラから聞かされ、ラピュスは更に緊張を走らせた。目の前にいるヴリトラやリンドブルムはそんな世界で常に生きて来たという事を考えると、自分がどれだけ安全な生活をしていたのかという事を実感させられた。

 そんな事を考えているラピュスを見ていたヴリトラはそっと顔をラピュスから離して話を続ける。


「・・・どうするラピュス?機械鎧兵士になればお前はまた戦士として戦場に立つ事ができる。だが、このままでいればお前は戦いの無い生活を送ることができる・・・お前はどっちの道を選ぶ?」

「・・・・・・ヴリトラ、私に対してその問いかけは愚問という物だぞ?」

「ん?」


 ラピュスの言葉にヴリトラは小首を傾げた。ラピュスはヴリトラを真剣な顔で見つめるとベッドから立ち上がってヴリトラと向かい合う。


「当然、私は機械鎧兵士になる道を選ぶ」

「・・・隊長」

「おお?」


 立ち上がり自分の答えを迷わず口にするラピュスを見たラランは無表情のまま声を出し、リンドブルムは意外そうな顔を見せる。そんなラピュスをヴリトラは真剣な顔のまま見つめていた。


「いいのか?機械鎧兵士になれば普通の騎士だった時よりも激しい戦いの日々が待ってるんだぞ?常に戦いの世界に身を置き、死ぬまで戦い続けなければならない。今まで以上に過酷な道になるが、それでも本当に機械鎧兵士になるのか?」

「私は騎士であった父の様な存在になりたくて姫騎士になった。だが、今の私は利き腕を失い戦士として無力な存在になってしまった。私は父の想いを引き継ぐ為にこれからも騎士として生き続ける。それができるのなら、どんなに辛い日々が待っていようと私はそれを受け入れて生きて行く!」

「・・・・・・」

「それに、自分の世界がブラッド・レクイエムによって滅茶苦茶になろうとしている時に私だけ戦いの世界から消えようなどとは思っていない。自分の世界を守る為に私は戦い続ける。それに、あの女にも借りを返したいからな・・・」


 そう言って自分の右腕を奪った女、ジャンヌの事を思い出すラピュス。その借りを返す為にも自分は戦える体を手に入れたい、それが彼女の心を燃え上がらせていた。

 そんなラピュスを見たヴリトラは腕を組んで笑みを浮かべる。


「決まりだな。じゃあ、早速行くか」

「えっ?早速って・・・私はまだ入院中なんだぞ?」

「それなら大丈夫だ、本条先生からも許可は下りてる。それに、機械鎧を体に付ける為に手術も本条先生がやるから詳しい話をする為に同行するんだ」

「そうなのか・・・」

「そんな訳だから、早く着替えてくれ。前にジル達が退院した時に着る服なんかを持って来てくれたんだろう?」

「あ、ああ・・・」

「じゃあ、その服を着てくれ。ララン、お前はラピュスの着替えを手伝ってくれ」

「・・・分かった」


 ラピュスの着替えを頼まれたラランは無表情のまま頷く。既に彼女はこっちの世界の服がどんな物なのかを理解している為、着替えさせるのは簡単だった。


「・・・それじゃあ、男は出てって」

「ハイハイ、分かってますって」


 ヴリトラは軽い返事をしながら病室から出ていき、リンドブルムのその後を追う様に出て行く。二人だけになるとラランは早速ジルニトラ達が用意していた服を紙袋から出してラピュスの着替えを手伝い始めた。入院着を脱ぐとラピュスの体には包帯が巻かれており、それを見たラランの表情が曇る。


「・・・隊長、まだ痛む?」

「いや、大丈夫だ」

「・・・こんな風になったなんて、可愛そう・・・変わってあげたい」

「ありがとう。だが、心配ない。私は機械鎧兵士として生まれ変わるんだ。右腕も元の様にならなくてもちゃんと戻ってくる」

「・・・うん」


 ラピュスの微笑を見ながらラランは頷き、着替えを進めて行く。やはり右腕が無い分、着替え辛い為随分と時間が掛かった。

 数分後、ヴリトラとリンドブルムが病室の外で待っていると、ラランと着替え終えたラピュスが出てきた。ラピュスは髪をいつものポニーテールにし、白と茶色のボーダーの長袖の上に緑のジャケットを着ており、紺色のジーパンを穿いている。そして右腕部分はヴリトラと同じように垂れていた。


「なかなか似合ってるぜ?」

「そ、そうか?」

「ああ」

「ラピュスはスタイルがいい方だからね」


 ヴリトラとリンドブルムに格好を褒められて照れるラピュス。ラランはそんな照れるラピュスを無表情のまま見上がている。


「さて、準備も整った事だし、師匠に行こうか?病院の入口前に車が止めてあるからそれに乗って行くぞ」


 準備が整いヴリトラ達は病院の入口へ移動する。ラピュスにとっては数日ぶりの外なので久しぶりにリフレッシュできる事に少し胸が弾んでいる様子だった。

 エレベーターを降りて一階に下りたヴリトラ達は入口に向かって歩いて行く。途中、清美と会って共に入口へ移動する。その間に他の入院患者や看護師、受診に来ている人などとすれ違い、ラピュスはその大勢の人を目にして驚きの顔を浮かべていた。そんな光景を見ながら歩いているとヴリトラ達は病院の入口前に到着する。そして、入口の前には高級車である黒い「ロールス・ロイス・ファントム」が二台停まっていた。その内の先頭に停まっている運転席にニーズヘッグが乗っており、後ろのもう一台の運転席にはオロチが乗っており、ヴリトラ達の姿を見ると軽く手を上げて挨拶する。二人もヴリトラ達と同じように特殊スーツではなく私服を着ていた。ニーズヘッグは白い長袖の上に黄土色のジャケットを着てジーパンを穿いており、オロチは青い長袖に黒いコート、そしてニーズヘッグと同じ様にジーパンを穿いている。


「さ、乗ってくれ」

「これも、自動車なのか?」

「ああ、しかも高級車だ俺達が乗っていたバンとは比べものにならないくらいのな」

「コ、コウキュウ、シャ?」

「いいから、早く乗れよ」


 ヴリトラに言われてラピュスは戸惑いながらもファントムの後部席に乗り、ヴリトラは助手席に乗った。リンドブルム、ララン、清美はオロチの乗るファントムの後部席へ乗り込み全員シートベルトをする。


「よし、出してくれ」

「おう」


 ニーズヘッグはヴリトラに指示されてファントムを走らせ、オロチもそれに続きアクセルを踏んだ。二台の高級車は病院の敷地から道路に出てアレクシアのいる場所へ向かう。道路を走っているとラピュスは外を眺めながら驚きの顔を浮かべた。自分がいたファムステミリアとは全く違う景色を目にし、ラピュスは何度もまばたきをする。


「・・・此処が、ヴリトラ達の世界なのか?」

「ああ、そうだ・・・て、お前こっちの世界に来た時に見てなかったのか?」

「その時はラピュスは重傷を負ってて気絶してただろう?」

「ああぁ、そうだったな・・・」


 こっちの世界に戻って来た時の事を思い出してヴリトラはパチンと指を鳴らす。そんな会話をするヴリトラとニーズヘッグの後ろでラピュスは景色を眺め続けていた。すると、ふとある事に気付いてラピュスはヴリトラの方を向く。


「ところで、私達はこれから何処へ行くんだ?」

「『タイカベル・リーベルト社』の本社ビルだ。ジャバウォック達は先にそこに行ってる」

「タイカベル、リーベルトシャ?」

「師匠は民間警備会社の社長をやっててな。俺も七竜将を結成する前はそこの社員だったんだ」

「ミンカン、ケイビガイシャ・・・ブラッド・レクイエムと同じ様なものなのか?」

「いや、アイツ等は傭兵を各地に派遣する会社だ。タイカベル・リーベルトは警備を主業務にしている会社なんだ」

「警備、か・・・つまり、人々を守る事が仕事なのだな?」

「ああ、そんなところだ」

「そうか・・・ところで、お前の師匠であるアレクシア殿はどんな方なんだ?」


 ラピュスがアレクシアの事について訊ねるとヴリトラは外を眺めながら懐かしそうな顔を見せる。そしてゆっくりと口を開けて説明し始めた。


「・・・アレクシア師匠は俺が家族と左腕を失った時に俺に機械鎧兵士にならないかと誘ってくれた人だ。そして俺と同じ皆藤流剣術の使い手でもある」

「えっ?ヴリトラと同じ剣術を?」

「ああ、師匠は俺が生まれる前に俺の親父に弟子入りして剣術を教わっていた。そして俺が生まれた直後に免許皆伝したんだ。俺も物心つく時から剣術を教えて貰ったけど、まだ完全に技を体得しれ来ていなかったんだ。そんな俺に師匠は剣を教えてくれた。つまり、彼女は俺の師匠であり、姉弟子でもあるんだ」

「・・・何という偶然なんだ」

「俺もそう思ったよ。師匠が俺の後見人になってくれた事や剣術を教えてくれた事、そして機械鎧兵士にならないかって誘ってくれた事も俺が自分の師匠の息子だからだってな・・・」

「・・・お前を助けてくれたのはお前の父上への恩返しって事なのか?」

「さぁな?師匠は詳しい事は教えてくれなかった。『自分自身で答えを見つけてみなさい』とかなんとか言ってな」


 アレクシアの人柄を聞いたラピュスはなぜか不思議な感覚に包まれた。まだ会った事も無いのにアレクシアが凄い人間ではないかと感じていたのだ。ラピュスは外を眺めながらヴリトラの育ての親であり剣の師匠であるアレクシアに早く会いたいと思った。

 病院を出てから三十分後、ヴリトラ達の乗ったファントムは大きな高層ビルの前で停車した。一同がファントムから降りて目の前に立つ巨大なビルを見上げる。入口の真上には英語でタイカベル・リーベルトと書かれてあった。


「着いたか・・・久しぶりだな、此処に来るのも」

「ああ、一年ぶりだな・・・」

「お~い、お前等ぁ!」


 ヴリトラとニーズヘッグがビルを見上げていると、ビルの中から私服姿のジャバウォックが出てきた。紺色のコートの下に茶色の服を着てウッドランドの迷彩模様の入った長ズボンを履いている。

 ジャバウォックはヴリトラ達の前に来ると簡単に挨拶をし、ラピュスの方を向いてニッと笑う。


「よぉ、ラピュス。久しぶりの外はどうだ?」

「ああ、悪くないな」


 ラピュスはジャバウォックの方を向いて笑い返し、そんなラピュスの顔を見てヴリトラ達も小さく笑う。すると清美が両手をパンパンと叩いて注目を集めた。


「ハイハイ、挨拶はそれくらいにして、アレクシアの部屋へ行きましょう?」

「ああ、その方がいい・・・」


 清美の隣に立っているオロチもそう言い、ヴリトラ達は「それもそうだな」と言う様な顔で話を終わらせる。


「んじゃ、行きますか。アレクシアさんは最上階の社長室にいるぜ?ファウとジルもそこだ」

「そっか。じゃあ、久しぶりに師匠に挨拶しに行かなきゃな」


 ヴリトラは少し嬉しそうに笑いながらアレクシアに会いにビルに入る。ラピュス達もその後に続いて入って行くのだった。

 新しい腕と力を得る為に機械鎧兵士になる事を決意したラピュスはアレクシアに会いに向かう。今まで以上に深く戦いの世界へ足を踏み入れる事になってもラピュスの覚悟の強さを見てヴリトラ達は彼女の意思の強さに改めて驚くのだった。


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