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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十二章~戦慄の要塞補給基地~
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第二百二十話  陽動作戦開始 銃撃の中での戦い!

 小型爆弾を設置していたヴリトラ達の下にニーズヘッグからの通信が入る。ニーズヘッグがユートピアゲートの情報を伝えようとした瞬間、基地内に警報が鳴り響く。ジークフリートによってヴリトラ達の潜入が気付かれてしまい基地内に一気に広がってしまった。

 物陰に隠れて周囲の様子を窺うヴリトラ達。彼等は警報が鳴った後、すぐにその場を移動して目立たない場所に身を潜めたのだ。基地の中は警報によって最大の警戒態勢に入ったBL兵達が走り回ってヴリトラ達を探し回っていた。


「クソォ~、一気に警戒が厳しくなっちまったな・・・」

「だが、どうして私達の存在がバレたんだ?」

「分からない。だが、現に俺達の潜入に気付いた奴等が俺達を探し回っている。急いで脱出して小型爆弾を爆破させよう」


 ヴリトラは最悪の状態になる前に基地を脱出する事を提案し、ラピュス達もそれに同意し頷く。ヴリトラは小型通信機に指を当ててニーズヘッグ達に今後の事を説明する。


「いいか皆?此処は敵の基地内だ、もしこんな所で戦闘が起こったらあっという間に囲まれちまう。そうなる前に脱出するしかない。ニーズヘッグ、お前達の爆弾を残り幾つだ?」

「もう手元に爆弾は無い。全部セットし終えた」

「そうか、こっち小型爆弾は全部仕掛け終えた。本当は司令室のある本棟にも爆弾をC4を仕掛けたかったんだけど、ジークフリートとジャンヌがいる以上は諦めるしかない」

「・・・・・・ヴリトラ、さっき言いそびれたんだが・・・」

「ん?」


 突然話の内容を変えて来たニーズヘッグにヴリトラは小首を傾げる。ジャバウォックとジルニトラも同じようにニーズヘッグの話に耳を傾ける。


「さっきユニットハウスの中でパソコンを見つけてな。そこからこの基地のコンピューターにハッキングをしたんだ。そこでこの基地にユートピアゲートがある事が分かった」

「ユートピアゲート?それって、ジークフリートが言っていた俺達をこの世界へ送った次元空間転移装置の事か?」

「ああ、間違いない。此処はブラッド・レクイエムの補給基地のひとつで奴等は此処にあるユートピアゲートを使い、向こうの世界へ戻って様々な物資を調達していたらしい」

「何て奴等だ・・・」


 ヴリトラはブラッド・レクイエム社が自由に元の世界へ戻って物資を手に入れ、再びファムステミリアに戻って来ていたという事を聞かされて悔しそうな顔を浮かべる。


「それだけじゃない。奴等は此処である程度物資を調達した後にはこの補給基地をセメリト王国侵攻の為に前線基地にすると書かれてあった」

「何だと!?」

「此処をセメリト侵攻の前線基地に?」


 ジャバウォックとジルニトラは声を上げ、それを聞いたラピュスは驚きながら二人の方を見た。

 話を聞いたヴリトラは鋭い表情でニーズヘッグの話を聞いており、やがてゆっくりと口を動かした。


「・・・どうやらこの基地は完全に破壊しないといけないらしいな。そしてこの基地のユートピアゲートも」

「・・・おい、ヴリトラ。まさかお前、此処にあるユートピアゲートを破壊するなんて言うんじゃねぇよな?」


 ジャバウォックがヴリトラの考えている事を読んで訊ねた。するとヴリトラはジャバウォックの方を向いて頷く。


「バカを言うな!ただでさえ俺達の存在が敵にバレて基地内は危険な状態なんだぞ?そんな時にユートピアゲートを破壊しに行けば敵に見つかって囲まれちまう。そうなったらそれこそ逃げ場が無くなるぞ?」

「そうよ。此処は一度退却して、また後日このユートピアゲートを破壊しに来ましょう?」


 このまま基地に留まる事を反対するジャバウォックと彼と同意見のジルニトラはヴリトラを説得する。ラピュスは黙って三人の会話を聞いていた。するとヴリトラは落ち着いた様子で二人の方を見る。


「だが、もしここで俺達が逃げれば奴等は次に俺達が潜入する事を予想して警戒を更に厳重にするはずだ。そうなったら基地を破壊する事は愚か、潜入も難しくなる」

「そ、それはそうだが・・・」

「それにだ、今ユートピアゲートを破壊しておかないと奴等は更に多くの物資を調達してセメリト王国侵攻の準備が進んじまう。基地だけを破壊してもまた作り直されてより強固な基地に変わっちまうが、ユートピアゲートを破壊できれば基地を致命的なだめーずを追わせるだけじゃなく奴等の補給路を絶つ事ができる。ユートピアゲートを破壊するかしないかで俺達と奴等の優劣が変わってくるんだ」

「俺もヴリトラの意見に賛成だ。今破壊しておかないともう二度と破壊のチャンスがやって来ないかもしれないぞ?」


 ヴリトラの背中を押す様にニーズヘッグも破壊の賛成する。二人の話を聞いた他の七竜将のメンバーはしばらく黙り込んで考えた。確かに今やっておかないとブラッド・レクイエム社はより守りを固めてしまう。ユートピアゲートの破壊が難しくなるのは明らかだ。するとジャバウォックがヴリトラの方を見て真剣な表情を見せる。


「分かった、やろうぜ」

「ここまで来た以上は奴等に何か傷を負わせておかないとね」

「私、頑張る!」

「僕達も構わないよ?」

「厄介事に巻き込まれるのにも慣れた・・・」


 ジャバウォックに続いてジルニトラも頷き、小型通信機の向こう側からはファフニール、リンドブルム、オロチの声が聞こえてくる。七竜将全員がユートピアゲートの破壊に賛成し、ヴリトラは隣にいるラピュスの方を見た。


「ラピュス、聞いての通り、俺達はこれからユートピアゲートを破壊しに行く。巻き込んじまって悪いが、付いて来てくれるか?」

「・・・ハァ、何を今更。お前達と一緒に行動した時から私はこうなる事は覚悟していた。お前がついて来るなと言っても私は勝手について行くからな?」


 今更何が起きてももう驚きもしないラピュスを見てヴリトラは少し驚きの顔を見せる。ジャバウォックとジルニトラも少し意外そうな顔を見せていたがすぐに笑みを浮かべた。


「ヴリトラ、ラピュスはアンタが思っている以上に強くなったみたいよ?」

「ああ、もう少し、コイツの力と度胸を信じてやれ」

「い、いや、俺は別にそういうつもりじゃ・・・」


 ヴリトラが二人の方を見て顔を横へ振る。ラピュスはそんなヴリトラの顔を見ると小さく笑って見せた。すると今度は小型通信機からニーズヘッグの声が聞こえてくる。


「お~い、話はまだ終わってないんだが?」

「おっとっと、ワリィワリィ」

「ハァ・・・それでヴリトラ、お前達はこの後はどうするんだ?」

「俺達はユートピアゲートを破壊しに行く。ジャバウォックが敵の武器庫からC4を手に入れたからな、それをセットする」

「分かった。じゃあ俺達は敵の注意を引き付けておく。その間にC4を仕掛けろ」

「僕達も動くよ。もともと僕達はヴリトラ達が脱出する時に敵の注意を引く為の囮役だったからね」

「頼む。だけど無理はするなよ?ヤバくなったらすぐに脱出するんだ」


 ニーズヘッグのチームとリンドブルムのチームが敵の注意を引き付ける囮役を買い、ヴリトラは真剣な表情を浮かべる。彼等の為には素早く正確にC4を仕掛けないといけない重要な役割である事を心の中で自分に言い聞かせた。


「ニーズヘッグ、ユートピアゲートが何処にあるが分かるか?」

「ああ、ユートピアゲートのデータを見つけた時に位置も特定した。基地を偵察した時に四つの塔に囲まれた台があっただろう?」

「ああぁ、実験場みたいな所か?」

「あれがユートピアゲートの起動装置だ。あの台の様な場所にユートピアゲートを開いて元の世界とファムステミリアを繋げる入口を作るみたいだ」

「そういう事か・・・つまりあの塔の様な装置を壊せばユートピアゲートは使えなくなるんだな?」

「そうみたいだ・・・」


 ユートピアゲートの情報を聞いたヴリトラは装置のある方角を向く。ラピュス達も同じように装置のある方を見て鋭う表情を浮かべる。


「よし、俺達はその装置を破壊しに行く。お前達は俺達がC4をセットし終わるまで敵の注意を引いててくれ!」

「了解だ」

「リンドブルム、お前達がジーニアスに乗って空から奴等の相手を頼む!」

「分かった!」

「了解・・・」


 ヴリトラの指示を聞いたリンドブルムとオロチは崖の上から警報を流し騒がしくなっている基地を眺めながら返事をする。二人の後ではアリサとジーニアスが何の話をしているのか分からずに不思議そうな顔をしていた。


「ヴリトラ、まず俺達が騒ぎを起こして敵を俺達のところに集める。お前達はそれまで動くな?俺達が注意を引く前にお前達が見つかっちまったら意味が無いからな」

「分かった、それじゃあ頼むぞ?」


 そうニーズヘッグに言ってヴリトラは通信の電源を切り、他のメンバー達も一斉に小型通信機のスイッチを切る。ニーズヘッグはユニットハウスの窓から周囲を警戒し、敵の姿が無いのを確認するとユニットハウスから出た。ファフニールとラランもそれに続き、三人は姿勢を低くしたまま近くにある木箱の陰に隠れながら辺りを見回す。遠くでは多くのBL兵達が騒ぎ、ヴリトラ達を探している姿があった。ニーズヘッグは鋭い目でそんなBL兵達を見つめる。


「さて、どうしようかねぇ・・・」

「どうって、暴れた敵に私達の居場所を教えるんでしょう?ヴリトラ達が作業をし易いようにする為に・・・」

「確かにそうだが、ただ騒ぎを起こして敵の視線を集めるだけだと囲まれて俺達の方が危ない。ここは敵の隙を突いて奇襲を仕掛ける。そうすれば敵も混乱して俺達も有利になる」

「成る程」

「・・・で、どうするの?」


 ラランがどう攻めるか訊ねるとニーズヘッグはバックパックから手榴弾を一つ取り出して安全ピンを抜くとそれをBL兵達の方へ投げた。放物線状に投げられた手榴弾はBL兵達の真上から彼等の足元に落ちる。BL兵達は足元を転がる手榴弾を見つけると驚きの反応を見せた。


手榴弾グレネードだぁ!」


 一人のBL兵が声を上げ、他のBL兵達もその場から離れようとする。だがその瞬間に手榴弾は爆発し周りにいるBL兵達を吹き飛ばした。爆発音を聞いて遠くにいる別のBL兵達も一斉に爆発した方を向く。BL兵達はゾロゾロと爆発した所へ集まり、それを見たニーズヘッグはニッと笑い右腕の機械鎧から内蔵機銃を出した。


「敵が集まって来たぞぉ・・・それじゃあ、奇襲作戦開始だ!」


 ニーズヘッグが攻撃開始の合図を出すとファフニールも右腕の機械鎧から内蔵機銃を出し、ラランもベレッタ90を手に取る。そして三人は木箱の陰から飛び出しBL兵達を一斉に銃撃した。

 遠くから銃声と爆発音が聞こえ、隠れていたヴリトラ達は音のした方を向く。


「始まったみたいだな・・・」

「ヴリトラ、私達は動かないのか?」

「まだ早い。騒ぎが起きてすぐに出て行ったらまだ移現場に向かっていない敵兵と鉢合わせする可能性が高い。もう少し隠れていよう」


 ラピュスに説明したヴリトラは物陰から周囲の様子を窺いながら時を待った。ラピュス達も姿勢を低くして静かにその時を待つ。

 一方、ニーズヘッグ達は基地の西側へ移動しながらBL兵達と交戦していた。木箱やコンテナの陰に隠れながら内蔵機銃で攻撃しBL兵達の注意を引く。BL兵達も物陰に隠れながらMP7で応戦していた。既にニーズヘッグ達の周りには十人以上のBL兵が集まっており、少しずつニーズヘッグ達との距離を詰めようとしていた。


「ニーズヘッグ、思った以上に敵が集まるのが早くない?」


 ファフニールは内蔵機銃を撃ちながらニーズヘッグに声を掛けた。ニーズヘッグはコンテナの陰に隠れて内蔵機銃の弾倉マガジンを機械鎧の中から取り出して新しい物と交換している。


「どうやら俺達の近くに敵が集まってたみたいだな!」

「これじゃあ奇襲を仕掛けたのに何の意味も無いよぉ!」

「・・・絶体絶命」


 徐々に数を増やしていくBL兵達。既にニーズヘッグ達を前、左右から取り囲む形に入っており、このままでは逃げ道を塞がれてしまう程危険な状態だった。ニーズヘッグは自分の作戦ミスに表情を歪めながら内蔵機銃を撃つ。


「このままじゃいずれ機銃の弾も尽きる。そうなる前に敵の中に穴を開けてそこから脱出するぞ!」

「分かった!」


 ファフニールは内蔵機銃を出したままギガントパレードを左手に持ち、何時でも動ける準備をする。ラランはベレッタ90をしまい突撃槍を両手でしっかりと握った。二人を見たニーズヘッグは左手でアスカロンを握りコンテナから飛び出すチャンスを窺う。


「よし、アイツ等の銃撃が止んだ瞬間に走る。ララン、お前は俺におぶされ」

「・・・何で?」

「俺とファフニールは機械鎧兵士だから大丈夫だが、普通の人間であるお前がこんな銃弾が飛び交う中に出て行ったらあっという間に蜂の巣だ。お前がお前は安全な所まで運んでやる」

「・・・分かった」


 確かにニーズヘッグの言っている事が正しい、そう感じたラランは素直に頷きニーズヘッグの下へ行く。ニーズヘッグは姿勢を低くしてラランに背中を向けるとラランはゆっくりとニーズヘッグにおぶさった。ラランが乗ったのを確認しニーズヘッグはゆっくりと立ち上がる。背中にラランの体重と鎧の重さがズッシリと掛かるがニーズヘッグは重いとは感じなかった。

 何時でも飛び出せる準備ができた三人は再びコンテナの陰で飛び出すタイミングを待つ。すると、前の方にいるBL兵達の銃撃がピタリとやむ。どうやら弾倉交換に入ったようだ。


「よし、行くぞ!」


 そのタイミングを見たニーズヘッグは声を上げてコンテナの陰から飛び出し、ファフニールもその後に続いた。二人がコンテナの陰から飛び出したのを見て左右のBL兵達はMP7を撃つ。弾丸は二人の方へ真っ直ぐ迫って行くが、二人はアスカロンやギガントパレードで向かって来る弾丸を全て弾き落して行く。二人が向かった先にいるBL兵達も走って来るニーズヘッグ達を見て新しい弾倉の入ったMP7を乱射するが先頭を走るニーズヘッグがアスカロンで弾丸を弾き落とす。


「正面からの銃撃が俺達に効くか!」


 そう叫んだニーズヘッグはアスカロンのスイッチを入れるとアスカロンを勢いよく横に振る。アスカロンの刀身は鞭状となり前にいるBL兵達に向かって伸びて行く。そしてそのままアスカロンの刀身はBL兵達の体を切り裂き、BL兵達はその場に倒れた。


「穴が開いた!このまま突っ込むぞ!」

「うん!」


 アスカロンを元に戻したニーズヘッグはBL兵達が死体を跳び越えて走り続け、ファフニールもそれに続く。だが後ろからはまだ大勢のBL兵達が銃撃して来ており、鬱陶しく思ったファフニールは頬を膨らませる。ファフニールはBL兵の死体を跳び越えるのと同時に空中で振り返り後ろにいるBL兵達の方を向いた。そして右胸の機械鎧の装甲を開き、中からリニアレンズを出すとリニアレンズは黄色く光り出す。


「いい加減にして!」


 ファフニールがBL兵達に文句を言うのと同時にリニアレンズから粒子弾が発射される。粒子弾は真っ直ぐBL兵達の方へ飛んで行き、BL兵達の足元に当たると大爆発を起こした。BL兵達は爆発に巻き込まれて大きく跳んで地面やコンテナに叩きつけられた。それを見たファフニールは「よし!」と言いたそうな顔で着地しニーズヘッグの後を追う。

 危機的状況から脱出したニーズヘッグ達はそのまま走り続けて態勢を立て直せそうな場所を探す。しかし、三人が進む先に二台のジープが急停車し道を塞ぐ。ジープからはBL兵が数人下りてMP7と超振動マチェットを構える。更にジープに取り付けてあるミニミで三人を狙うBL兵もいた。ニーズヘッグ達は立ちふさがるBL兵達に驚き足を止める。


「しまった!先回りされた!」

「どうするの?」

「・・・これだけの人数なら余裕だ。戦うぞ!」


 BL兵達と戦う事を決めたニーズヘッグはラランを下ろしてアスカロンと内蔵機銃を構える。ラランも突撃槍を構え、ファフニールはギガントパレードを両手でしっかりと握った。BL兵達もニーズヘッグ達を見て銃器を構え、双方とも何時でも戦闘を始められる態勢に入る。


「ララン、MP7を持っている奴等は俺とファフニールで何とかする。お前はマチェットを持っている奴と戦え」

「・・・うん」

「・・・さてと、戦闘開始だ!」


 ニーズヘッグが叫び、三人がBL兵達に向かって行こうとした、その時、突如何処から銃声が聞こえ、それと同時にMP7と超振動マチェットを構えるBL兵が倒れた。周りのBL兵達は突然の出来事に驚き、ニーズヘッグ達も何が起きたのか分からずに呆然としている。


「大丈夫ーーっ!?」

「・・・ッ!この声は!」

 

 聞こえて来たのはリンドブルムの声だった。ニーズヘッグ達はフッと声のした方を見ると、上空からジーニアスの背中に乗って自分達を見下ろしているリンドブルム、オロチ、アリサの姿があり、リンドブルムは右手にライトソドムを握りながら左手を振っている。どうやらさっきのはリンドブルムの支援攻撃だったようだ。


「遅いよぉ、皆ぁ!」

「ゴメンゴメン!僕達は空から敵を攻撃するよ!」

「お前達はそのまま地上で敵の相手をしろ・・・」

「分かったぁ!あと、危なくなったら援護してねぇ!」


 ファフニールはリンドブルム達に援護を頼み、それを聞いたリンドブルムは苦笑いを浮かべる。すると地上のBL兵達がミニミやMP7で空を飛んでいるジーニアスに狙いをつけ、それを見たオロチはジーニアスの背中を叩いた。


「ジーニアス、離れろ!狙われている・・・」

「うわああぁ!」


 突然声を掛けられて驚くジーニアスは急いでその場から移動した。BL兵達は上空を飛ぶジーニアスに向かって銃器を乱射、弾丸はジーニアスの近くを通過し、それを見たジーニアスは驚く。


「うわああっ!攻撃して来たのだぁ~!」

「落ち着け、弾は私は防ぐ・・・」

「うわ、うわあああぁ!」


 ジーニアスは取り乱しているせいか無茶苦茶に飛行をし、背中に乗っているリンドブルムやオロチは振り落されないように必死で捕まっている。アリサはオロチにしがみ付き半泣き状態で叫んでいた。

 空を飛んでいるジーニアスが撃たれているのを見てニーズヘッグ達はBL兵達に向かって走り出す。ジーニアスに気を取られていたBL兵達はニーズヘッグ達の接近を許してしまい迎撃できなかった。ニーズヘッグはアスカロンでジープから降りているBL兵二人を斬り捨て、ファフニールはミニミを構えているBL兵達をギガントパレードで殴り飛ばす。そしてラランは突撃槍でBL兵の胴を貫き、BL兵はその場に倒れた。


「よし・・・おーい!もう大丈夫だぞぉ!」

「ありがとー!」


 ニーズヘッグが上空にいるリンドブルム達に安全を伝え、リンドブルムも大きな声で礼を言う。ジーニアスはようやく落ち着いたのか飛行状態が安定し、ゆっくりと上空を飛び回る。すると、ニーズヘッグ達が走って来た方向から大勢の声が聞こえ、ニーズヘッグ達はフッと振り返った。


「チッ!もう追いついて来たか・・・」

「ニーズヘッグ、どうする?」

「・・・俺達の目的はヴリトラ達がC4をセットするまで敵の注意を引き付ける事だ。さっきは囲まれていたから仕方なく逃げたが、今度はリンドブルム達がいる!」

「それじゃあ・・・」

「ああ・・・リンドブルム!これから此処に大勢の敵さんが来る。お前達は上空から援護してくれ!」

「了解!」


 援護を頼まれたリンドブルムはダークゴモラも抜いて両手に持つ銃を強く握る。オロチも斬月を右手に持ち、アリサはMP7を構えた。地上の三人も自分達の得物を持ち、走って来た方を見て遠くから近づいて来る大勢のBL兵達を見つめる。


「さぁ、行くぞ皆!」


 ニーズヘッグの言葉を合図にニーズヘッグ達は走り出し、リンドブルム達もジーニアスに乗って敵の方へ向かって行く。戦いは少しずつ激しさを増して行き、やがて基地にいる戦力の殆どがニーズヘッグ達の方へ向かう。そしてヴリトラ達もそれに乗じてユートピアゲートの装置を破壊しに向かった。

 陽動作戦により敵の注意を引き付けるリンドブルムとニーズヘッグのチーム。その隙にヴリトラのチームはユートピアゲートの破壊へ向かう。上手く行ってると思わえる作戦だったが、この時、ヴリトラ達の作戦に感づいた者がいる事を彼等をまだ知らなかった・・・。


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