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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第十二章~戦慄の要塞補給基地~
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第二百十六話  浮かび上がる森林基地の謎

 ヴァルトレイズ大陸で数少ないと言われている聖賢竜と出くわしたヴリトラ達は見事に聖賢竜を降参させる事に成功した。そして聖賢竜からブラッド・レクイエム社の詳しい情報を聞こうとする。

 戦いが終り、周りの岩や倒れている木に腰かけて聖賢竜を囲む様に休むヴリトラ達。聖賢竜もその場に座り込んで目の前で岩の座っているヴリトラの向かい合っている。


「成る程、奴等は三週間も前からこの森林を出入りしていたのか・・・」

「そうなのだ。突然森林にやって来て森林の真ん中の木々を切り倒し、大地を見た事のない鉄の怪物で平らにしていってそこに奇妙な形の建物を建て始めたのだ」

「平らにする鉄の怪物・・・多分ブルドーザーやショベルカーとかだろうな。それで他には?」

「あとは・・・数日前からこの森林や周辺を飛び回っている鉄の鳥や鉄の怪物がいつの間にかその基地にやって来ていた事ぐらいなのだ」

「アパッチやM1戦車の様な兵器か、そんな物までこの森林に・・・ん?」


 ヴリトラはふと何かに気付いて口を止めた。


「どうした、ヴリトラ?」


 突然言葉を止めたヴリトラにラピュスは尋ねる。ヴリトラは腕を組みながらしばらく考え込み、やがて聖賢竜の方を見て口を動かす。


「なぁ、お前はさっき『いつの間にか』って言ったよな?」

「ん?言ったのだ」

「それは気付いたらその基地にあったって事なのか?」

「そうなのだ、空の上から奴等に気付かれないように確認したのだ。ドキドキしたのだ」

「騒音や変な音とかは聞こえたか?」

「音?・・・いや、聞いていないのだ」

「・・・・・・」

「それがどうかしたのだ?」


 聖賢竜は再び考え込むヴリトラを見て小首を傾げながら訊ねた。周りのラピュス達もヴリトラが何を考えているのか気になり彼をジッと見つめている。


「さっきからどうしたの?」

「何か引っかかる事でもあるのか?」


 リンドブルムとジャバウォックが訊ねるとヴリトラは二人の方を向いて聖賢竜を指差す。


「いや、コイツはさっきいつの間にか基地に来ていたって言っただろう?それはつまり、アパッチや戦車が気付かれる事なくこの森林の基地にやって来たって事になる」

「確かにそうとも考えられるな・・・だが、それがどうしたんだよ?」

「おかしいだろう?アパッチや戦車が動けばプロペラ音や走っている時の音が森林に広がるはずだ。そうなると誰だろうとこの森林に兵器が入って来た事に気付く。だけど、コイツはいつの間にか来ていたと言う」

「それって・・・・・・あっ!」


 ヴリトラの言いたい事に気付いたリンドブルムはハッとする。


「もし、森林の外から森林の中に基地にヘリや戦車が来れば音で気付くのに彼は聞いていないって言ってる。つまりアパッチとかは最初からあの基地にあったって事だよね!?」

「そうだ。だけど三週間前まで何も無かったこの森林に基地を造る事はできてもアパッチや戦車を音も無く運ぶなんて不可能だ。その基地には何かあるはずだ」


 今から自分達が向かう基地には何か大きな秘密がある。その事にヴリトラ達は表情を鋭くし、更に注意する事を考えた。周りで表情を鋭くするヴリトラ達に聖賢竜は驚きの表情を浮かべている。


「話を戻すけど、その基地は何時頃からできているのか知ってるか?大きさは?」

「確か・・・奴等が来てしばらくの間は何やら基地を造っていたせいかその基地のある方が騒がしかったのだ。でも、一週間前には静かになっていたのだ。かなり大きな基地だったのだ」

「一週間前には基地ができあがっていたって事か。しかもかなりデカい基地と来てる、コイツは少々厄介だな・・・」

「ちょっと待ってくれ、ヴリトラ」


 考えているヴリトラにラピュスが声を掛け、ヴリトラや周りの七竜将達が一斉にラピュスの方を向く。


「聖賢竜に話ではブラッド・レクイエムは三週間前にこの森林に来たのだろう?そして一週間前には基地ができあがっていたと・・・」

「ああ」

「つまり、奴等は僅か二週間で基地を完成させたと言うのか?」

「そう言う事になるな」

「そんな事が可能なのか?たったの二週間で大きな基地を完成させるなど」


 ラピュスは基地の完成までの時間があまりにも短い事に納得ができなかった。何もない所で木を切り、地面を平らにして広い敷地を作り、建物を建てるなど、この世界の常識では考えられないからだ。驚くラピュスを見てヴリトラは自分の左手を動かしながら言った。


「機械鎧兵士が五十人くらいいれば多少大きな基地でも二週間で造る事ができる。それに奴等には俺達の世界から持ち出した道具や材料も大量にあるはずだ。その気になればもっと早く造る事もできるだろうさ」

「そうなのか・・・はやり、お前達の世界とファムステミリアは随分と技術の発展が違うんだな」


 改めて七竜将の世界の凄さを知るラピュス。ラランとアリサも二人の会話を聞いて少し驚いている。すると、ヴリトラとラピュスの会話を聞いていた聖賢竜が二人の声を掛けて来た。

 

「あのぉ、君達はさっきから何の話をしているのだ?世界だのファムステミリアがどうとか話しているけど、どういう事なのだ?」

「ん?・・・あぁ~、お前も奴等の被害者なんだから、知る権利があるよな。実はな・・・」


 ヴリトラは聖賢竜に自分達、七竜将がファムステミリアとは違う世界から来た住人で、ブラッド・レクイエム社が何者なのかを詳しく説明した。ヴリトラから話を聞いた聖賢竜は大きな目を見張って驚き、ヴリトラや他の七竜将のメンバーを見回す。


「信じられないのだ、このファムステミリアとは違う世界が存在して、君達はその世界から来たのだ?」

「ああ、そうだ」

「私達も最初は信じられなかったが、七竜将の力と使う武器を見て信じる様になったのだ」


 驚く聖賢竜にラピュスはチラッとヴリトラの左腕を見ながら話す。

 聖賢竜は七竜将の体を見て更に驚く。最初は変わった鎧を身に付けていたとばかり思っていたが、それが機械の手足だと聞かされて顔を近づけて機械鎧をジーっと見つめる。


「確かによく見るとこれは鎧ではないのだ。これが噂で聞く義肢という物なのだ?」

「そうだ、私達が知っている義肢よりも遥かに優れている物だ」

「それじゃあ、ブラッド・レクイエムとか言う者達もそのマシンメイル、なのだ?それを身に付けているのだ?」

「ああ、あの者達の力は普通じゃない。多くの国の騎士達が彼等の敗れて命を落としている。ブラッド・レクイエムを倒せるのは七竜将と極僅かな戦士ぐらいだ・・・」

「そ、そんなに恐ろしい者達がなぜこの世界にいるのだ?」


 ラピュスの話を聞いて恐ろしくなったのか聖賢竜は声を震わせる。ヴリトラはゆっくりと立ち上がり肩を軽く回した。


「俺達もそれが知りたくて奴等を追ってるんだ。それに元の世界に戻る方法も探している。奴等が知っているはずだからな」

「そうなのだ、君達も大変なのだ・・・」


 色々事情があるのだと知り聖賢竜はヴリトラの方を向いて呟く。ヴリトラは聖賢竜を見て小さく笑うとラピュス達の方を見て手をパンと叩いた。


「さて、そろそろ行こうか?早いところ地下通路を通って奴等の基地に向かおう。聖賢竜のいたあの洞穴から地下通路へ行けるんだったよな?」

「ああ、間違いない」

「よし、皆、行くぞ!」


 ヴリトラが洞穴の方を向いてゆっくりと歩き出し、ラピュス達もその後に続いて歩き出す。すると、聖賢竜がヴリトラ達を見てまばたきをした。


「何処へ行くのだ?」

「お前がいたあの洞穴には樵達が森林で作業をする時に使っている地下通路があるんだ。そこからブラッド・レクイエムの基地の近くんだよ。地下を通れば敵に見つからないし、迷う事も無いしな」


 聖賢竜の方を向いてそう話したヴリトラは再び前を向いて歩き出す。聖賢竜は歩いて行くヴリトラ達を見ながら再びまばたきをする。そして大きな口を開けて驚くべき事を言い出した。


「恐らく、その地下通路は使えないと思うのだ」

「・・・・・・はぁ?」


 ヴリトラ達は足を止めて聖賢竜の方を向く。


「おい、それはどういう事だよ?」


 最後尾にいたジャバウォックが聖賢竜を見上げながら理由を尋ねる。聖賢竜は森林の奥を見ながら説明を始めた。


「実は一週間くらい前に僕が森林の中にいるブラッド・レクイエムの事を調べていた時に奴等が森林のあちこちに散らばって何かしてたのだ。一度だけギリギリまで近づいて確かめてみたら、奴等は岩の間や切り株を調べていたのだ。そしたら隠し通路の入口が見つかって、そこに爆薬の様な物を仕掛けて破壊したのだ」

「何だって?」

「それってまさか、地下通路の出入口なのか?」

「そこまでは分からないのだ」


 驚くジャバウォックの聖賢竜に確認するニーズヘッグ。聖賢竜に分かるはずも無く、彼はただ大きな顔を横に振った。

 ブラッド・レクイエム社の予想外の行動に驚いたヴリトラ達の表情は鋭くなり、一同はその場で立ち竦む。


「でも、もしブラッド・レクイエムが爆破した隠し通路の入口が地下通路に繋がっている物だったとしたら、例え地下通路を使っても外に出る事はできないわよ?」

「そ、そうだよねぇ、どうしよう?」


 ジルニトラとファフニールは地下通路が使えない事に難しい顔と驚きの顔を見せて話をする。だがその隣にいるオロチは鋭い表情のままある事を考えていた。


「いや、それ以前にどうして奴等は森林に隠し通路の入口があると分かったんだ・・・?」

「あっ、確かに!」


 オロチの言葉にファフニールもハッとしてブラッド・レクイエム社が地下通路の出入口の事を知っていた理由を考えた。


「恐らく、前に基地を偵察に来た騎士達を攻撃した後、奴等はこの森林の中を徹底的に調べたんだろう。そしてその時に地下通路の出入口を見つけ、敵に利用される前に爆破して使えないようにしたんだ」

「じゃあ、アイツ等が出入口を見つけたのって・・・」

「調べている事に偶然見つけたんだろう」

「ハァ~~?何よそのありえない偶然は!?」

「いや、俺に言われても・・・」


 全くの偶然で地下通路が使えなくなった事に納得できないジルニトラはニーズヘッグに文句を言い、ニーズヘッグは困り顔でジルニトラを宥めた。だが、どんな理由であっても地下通路が使えなくなってしまったのは事実、ヴリトラ達は基地へ敵に見つからずに基地へ近づく方法を失ってしまったのだ。

 地下通路が使えなくなり、ヴリトラ達はこの後どうするかを考え始める。


「どうする、ヴリトラ?」


 ラピュスがヴリトラに訊ねるとヴリトラは腕を組んだままラピュスの方を向く。


「どうするもこうするも、地下通路が使えない以上、このまま基地に向かって進むしかないだろう?」

「だが、この森林は既にブラッド・レクイエムが手中にある。森林のあちこちをブラッド・レクイエムの機械鎧兵士が徘徊しているはずだ。地上を進むのは危険じゃないのか?」

「他に方法は無いだろう?連中の基地が森林の中央にあるって事は分かってるんだ。木や岩の陰に隠れ場がら進んで行けば何とかなる」

「中央にあるって言うだけで正確な位置が分からないんじゃどうしようもないだろう」

「・・・いいや、位置を特定する方法はちゃんと考えてある」

「え?」


 意外なヴリトラの言葉にラピュスは声を出す。ヴリトラはゆっくりと視線をラピュスから聖賢竜に向け、ラピュスも聖賢竜の方を見る。聖賢竜は二人に見られている事に気付いてフッと二人に視線を向けた。


「・・・?どうかしたのだ?」

「実はちょっと頼みがあるんだ」

「頼み?」


 ヴリトラの頼みとやらに小首を傾げる聖賢竜。ラピュスもヴリトラが何を考えているのか分からずに不思議そうな顔でヴリトラを見ている。それからヴリトラは自分の考えた案をラピュスやリンドブルム達に説明した。

 緑の囲まれた広い森林。その真ん中に周りの木々と全く違う雰囲気の場所がある。ブラッド・レクイエム社の基地だ。そこは平らになった地面のあちこちに自動車が移動する為の道路があり、無数のコンテナが並ぶ様に置かれてあった。その近くには倉庫やユニットハウスの様な物が多く建てられ、隣には数台のジープ、軍用トラック、M1戦車が停車している。離れた所にあるヘリポートにはアパッチとヴェノムが停まっていた。基地の中心には二階建ての小さな建物が建てられており、何よりその基地の中を大勢のBL兵が徘徊している。そしてその基地を囲む様にフェンスが張ってあり、いたる所に見張り台が建てられBL兵が周囲を警戒していた。

 その基地から数2K程離れた位置の上空では聖賢竜は飛んでおり、その背中にリンドブルムとオロチが乗り双眼鏡でブラッド・レクイエムの基地を覗いていた。


「・・・あれがブラッド・レクイエムの基地だね」

「思っていたよりも大きいな・・・」

「うん、でも此処からだとまだ何も見えない・・・もう少し近づく?」

「いや、止めておいた方がいい。上空から近づくとすぐに見つかってしまい却って危険だ。一度下りてヴリトラ達に位置を知らせるぞ・・・」

「分かった・・・それじゃあ、このまま下りて」

「分かったのだ」


 リンドブルムは自分を乗せている聖賢竜の背中を擦って降りるように指示を出し、聖賢竜もゆっくりと降下し始める。下りて行く間、オロチとリンドブルムは遠くに見える基地をジッと見つめていた。

 地上ではヴリトラ達は上を見上げながら降りて来る聖賢竜を待っている姿があった。実はヴリトラの考えた案とは聖賢竜に乗ってブラッド・レクイエム社の基地の位置を特定すると言う単純なものだったのだ。


「さて、敵さんの基地はどこにあるのかなぁ?」

「・・・おい、ヴリトラ。何でわざわざ聖賢竜に乗って敵の基地の位置を探させたんだ?ただ空を飛んで探すだけならオロチに任せればいいだろう?」

「そうだよね、どうしてあのドラゴンを?」


 ジャバウォックとファフニールがリンドブルムとオロチを聖賢竜に乗せた理由を訊ねるとヴリトラは上を指差しながら言った。


「アイツは俺達よりもずっとこの森林に詳しい。だからもし基地の周りに他の建物があった時、それがどんな物なのかを聖賢竜にすぐに訊けるように一緒に確認してもらったんだよ」

「成る程な。これだけ広い森林だ、奴等が他にも基地の様な場所を作っていても不思議じゃない」

「あの子ならこの森林の事は何でも知ってるからすぐに教えて貰えるもんね」

「ああ、そして何より・・・」

「「ん?」」


 突如低い声を出すヴリトラにジャバウォックとファフニールは思わず真剣な表情を見せる。周りのラピュス達も低い声を出すヴリトラに気付いてジッと彼を見つめた。


「・・・オロチのジェットブースターの燃料を節約する為だ」

「あだっ!そんな事かよ!」


 ヴリトラのおとぼけな答えにジャバウォックはガクッとなりツッコム。周りにラピュス達も呆れ顔でヴリトラを見ていた。するとヴリトラは真面目な顔でジャバウォックの方を向く。


「そんな事なんて言うけどなぁ、オロチのジェットブースターの燃料はもう殆ど無いんだぞ?イザという時以外には使わないようにってオロチにも言ってある。無駄遣いすると後が大変だろう?」

「ああぁ、分かった分かった」


 普段チャランポランなのにたまに真面目になるヴリトラにジャバウォックはめんどくさそうな顔をしながら軽く返事をして宥める。ファフニールは苦笑いをしており、ラピュス達は呆れ顔のままヴリトラを見ている。

 しばらくすると聖賢竜が下りて来てゆっくりと着地する。そしてリンドブルムとオロチも聖賢竜の背中から飛び降りた。


「お疲れ、どうだった?」

「思ってた以上に大きな基地だったよ。警戒もかなり厳重そうだし」

「ヴリトラ、どう攻略する・・・?」

「ウム・・・やっぱり地上から少しずつ近づいて行くしかないな」

「やっぱりそうだよね・・・」


 地上から近づくしかないという方法にリンドブルムは面倒そうな顔で言った。周りのラピュス達も「仕方がない」と言う様な顔をしている。ヴリトラは地面に降ろしてある荷物を持ってラピュス達の方を向いて真剣な目で見つめた。


「そうと決まれば、早速出発だ。二人とも、基地の方向はこっちでいいんだよな?」

「うん、距離からして2Kぐらいだったと思う」

「よし、森林の中には多くの敵がいるはずだ。注意して行くぞ」


 ヴリトラ達は荷物をまとめて基地のある方角へ歩き出した。そんなヴリトラ達の後ろ姿を聖賢竜はジッと見つめており、しばらくすると一歩前に出て大きな口を動かす。


「あのぉ・・・」

「ん?」


 突然聖賢竜に呼び止められて足を止める一同。聖賢竜はゆっくりと歩きヴリトラ達の前までやって来ると大きな目で彼等を見つめる。


「僕も連れて行ってほしいのだ」

「「「「「「「「「「・・・ええぇ!?」」」」」」」」」」


 予想外の言葉に一同は声を揃えて驚く。


「僕もこの森林に住む者としてアイツ等をやっつけたいのだ。その為に君達について行き、一緒にアイツ等をやっつけたいのだ!」


 自分の住んでいる森林を荒らすブラッド・レクイエム社を見過ごす事はできない。故にヴリトラ達について行くと言う聖賢竜をヴリトラは黙って見つめる。


「どうする?ヴリトラ」

「・・・まぁ、コイツはこの森林の事に詳しいしな。連れて行ってやろう」

「しかし、これ程図体のデカい奴を連れて行くと目立つんじゃないのか・・・?」

「大丈夫だろう、此処はコイツにとっては庭みたいなもんだ。敵を見つけた時にどうすればいいのかぐらいは分かってるはずだ」

「その通りなのだ」


 聖賢竜は頷き、それを見たオロチ達は若干不安なのか目を細くして聖賢竜を見つめる。だがヴリトラとリンドブルムは笑いながら聖賢竜を歓迎した。


「それじゃあ、奴等の基地を破壊するまでの間、よろしくな?」

「ハイなのだ」

「・・・ところでヴリトラ、一緒に行く仲間になったんだから、何時までも聖賢竜って呼ぶのはどうかと思うよ?」

「それもそうだな。何か名前を付けてやらないと・・・」


 ヴリトラとリンドブルムは聖賢竜にどんな名前を付けるか考えだし、ラピュス達は「必要な事か?」と言いたそうに二人を見ている。


「・・・・・・よし!こんなのはどうだ?」


 そう言ってヴリトラは笑いながら自分の考えた名前をリンドブルム達に話した。

 ノーティンク大森林に来てからのブラッド・レクイエム社の動きを知ったヴリトラ達は基地に何かあると察する。そして基地へ向かう為に聖賢竜を仲間に加え、ヴリトラ達は改めてブラッド・レクイエム社の基地に向けて出発するのだった。


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