第二百九話 ワズロの町の終戦
心に抵抗と覚悟を抱きながらも黒騎兵と化したビビットを倒したラピュス達。実の姉を斬ったレレットは心に深い傷を負うもビビットの様に強い姫騎士になる事を誓い、ビビットをブラッド・レクイエム社の束縛から解放する。それは彼女がより強く成長した瞬間でもあった。
ラピュス達がビビットとの戦いを終わらせた頃、ヴリトラとリンドブルムもM1戦車と激戦を繰り広げていた。二人は物陰に隠れながら数m先のM1戦車の動きを警戒してどう動くかを計算している。M1戦車は二人が隠れている物陰の方へゆっくりと進んでおり、砲塔のハッチからはBL兵が重機関銃の「ブローニングM2」を握り、何時でも撃てる状態にいた。
「そろそろ決着とをつけないとマズイな・・・」
「ヴリトラ、どうするの?」
「こうなったら仕方がない。リンドブルム、俺が奴の注意を引くからその隙にM1戦車の砲塔に飛び乗れ」
「分かった!」
作戦を決めた二人は再びM1戦車の方を向く。そして、M1戦車が速度を落とした瞬間にヴリトラは物陰から飛び出してM1戦車の左側面へ回り込むように走る。それを見たBL兵はヴりオラを狙ってM2を乱射した。銃口から吐き出される無数の弾丸はヴリトラに向かって真っ直ぐ飛んで行くがヴリトラは森羅でその弾丸を全て弾き落す。BL兵の意識は完全にヴリトラに向けられ、リンドブルムはそれを物陰から覗いていた。
「よし、今だ!」
リンドブルムはタイミングを計り、物陰から飛び出しM1戦車に向かって走り出した。だが、M2を撃っていたBL兵はリンドブルムの存在に気付き、慌てて狙いをリンドブルムに変えM2を乱射する。気付かれた事にリンドブルムは舌打ちをするも素早く動いて銃撃を全てギリギリでかわし少しずつM1戦車に近づいて行く。そして一瞬の隙を突いてBL兵の額をライトソドムで撃ち抜く。撃たれたBL兵がそのまま車内へずり落ちる様に消えて行った。
M2を撃つBL兵がいなくなりチャンスと思ったリンドブルムはそのままM1戦車に近づこうとした。ところが、ハッチから別のBL兵が姿を現してM2を握りリンドブルムを狙う。
「ゲッ!?」
「よくもやってくれたな!」
仲間を殺されてご立腹のBL兵がM2を発砲する。リンドブルムは素早く横へ跳んで間一髪で回避した。それからBL兵はリンドブルムを追い掛ける様にM2を乱射する。そこへヴリトラが森羅を両手で握りながらジャンプしM1戦車の砲塔へ飛び乗って来た。BL兵は狙いをヴリトラに変えて撃とうとするがヴリトラは素早く森羅を振りM2の真っ二つにする。
「リンドブルム、今だ!」
ヴリトラの合図でリンドブルムは高くジャンプし、BL兵を見下す形でライトソドムを撃つ。BL兵は額を撃ち抜かれてそのまま動かなくなり、そこへリンドブルムが手榴弾の安全ピンを抜き、ハッチ目掛けて手榴弾を投げる。手榴弾はハッチから車内へ入り、それを見たヴリトラは急いでM1戦車から飛び降りる。リンドブルムも着地するのと同時に走り出してM1戦車から離れ、その数秒後にM1戦車が爆発した。
煙を上げるM1戦車を離れた位置で見つめるヴリトラとリンドブルム。二人は他に敵がいないか周囲を警戒した後にゆっくりと武器を下ろした。
「フゥ、やっと片付いたな・・・」
「うん、ちょっと手間取っちゃったけどね」
苦笑いをしながら隣にいる相棒を見るヴリトラとリンドブルム。現に二人はラピュス達と別れた後、なかなかM1戦車に近づけずかなり苦労していた。それでも二人は生身でしかも対戦車兵器も使わずにM1戦車に勝ってしまったのだ。
「ラピュス達、大丈夫かな?」
「分からねぇ、とりあえず通信機で連絡を・・・あっ、しまった。俺の通信機はラピュスに貸したんだった」
「じゃあ、僕が連絡を入れてみると。とりあえず最初はラピュス達に・・・」
リンドブルムがラピュス達に連絡を入れようとした時、彼の小型通信機からコール音が鳴り、リンドブルムは小型通信機のスイッチを入れて応答した。
「ハイハ~イ?」
「私だ、ラピュスだ」
「ラピュス?大丈夫なの?」
「ああ、戦いには勝った。ただ、ヴィクティ殿が戦死してしまった・・・」
「ヴィクティ?白薔薇戦士隊の?」
「ああ・・・」
ラピュスの元気の無い声を聞き、リンドブルムは真剣な表情を浮かべた。それを見たヴリトラも何が遭ったのか想像がつき同じように真剣な顔を見せる。
「・・・それで、パリーエ王女?」
「最初は落ち込んでおられたが、『戦場では死と隣り合わせだ。落ち込んでもいられない』とおっしゃられていた・・・」
「そっか・・・ところで、そっちの黒騎兵はビビットさんだったんだよね?・・・レレットさんは?」
リンドブルムがレレットの事を訊ねるとラピュスは黙り込み、しばらくして小型通信機からラピュスの声が聞こえて来た。
「・・・泣いていた。どんな理由があるとはいえ、実の姉を斬り二度も死なせることになってしまったのだかな・・・」
「・・・・・・」
ラピュスの言葉を聞いたリンドブルムは黙って静かに俯く。するとヴリトラはリンドブルムの肩を指で突き、リンドブルムはフッと顔を上げる。ヴリトラは手を出して「通信機を貸せ」とリンドブルムに伝えた。それを理解したリンドブルムは小型通信機を耳から外したヴリトラに手渡す。そしてヴリトラはそれを自分の耳に入れた。
「ラピュス、聞こえるか?」
「ヴリトラか?」
「ああ、それでレレットは今はどうしてるんだ?」
「・・・今は落ち着かれてビビット殿の遺体の前に座り、祈りを捧げている」
「そっか・・・」
ヴリトラはレレットの状態を聞いて真剣な顔のまま目を閉じる。しばらく黙っていたヴリトラはゆっくりと目を掛けて煙を上げるM1戦車を見ながら口を動かした。
「・・・ラピュス、俺が以前言った事を覚えているか?『人を殺して何も感じないのは異常者だけだ』って言うの?」
「ん?ああ、覚えている・・・」
「俺達もお前達騎士も戦場に出ている以上は敵の命を奪う事になる。それは避けられない事だ。だから俺達は人殺しと言う罪を背負いながら生きていかないといけない。それはある意味で死ぬ事よりも辛い事だろう。しかし、自分の肉親を殺してしまったというのは他人を殺す事とは比べものにならない位の苦痛だ。レレットも表では普通に振る舞っているとは思うが、心の中では深く自分を責めているに違いない・・・しばらくは側にいて彼女を支えてやってくれ」
「ああ、分かった」
ラピュスはヴリトラの頼みを聞いて返事をする。それを聞いたヴリトラは小さく頷き、改めて周囲に敵がいないかを確認した。
「ラピュス、そっちに他の敵はいるか?」
「いや、此処にはいない。私達だけだ」
「そうか。こっちもM1戦車を片づけたところだ。一度合流して状況を確認しよう。お前達は今何処にいるんだ?」
「北の正門から北東の方に150mほど行った所にある噴水の前だ」
「分かった、今からそっちに行く。そこでジッとしてろ」
「ああ!」
ヴリトラは小型通信機をリンドブルムに返すとヴリトラは北の正門の位置からラピュス達のいる噴水の位置を計算して方角を調べ始める。リンドブルムが小型通信機を耳にはめると、今度はジャバウォックの声が小型通信機から聞こえて来た。
「おい、ヴリトラ!聞こえてるか?」
「ジャバウォック?そっちは大丈夫?」
「んん?リンドブルムか・・・ああ、こっちは大丈夫だ。さっきまで例の黒騎兵どもと戦っていたけどな」
「そっちも?・・・それで怪我は?」
「大丈夫だ。俺達は平気だが、遊撃隊の騎士達と後から来た白薔薇戦士隊、黄金近衛隊の騎士達が何人が怪我をした。だが大した傷じゃない」
ジャバウォックはデュランダルを背負いながら左手で耳に付いている小型通信機に指を当てながら周りを見回して状況を説明する。ファフニールとアリサは傷を負っている騎士達の応急手当てをしており、動ける遊撃隊の騎士達はMP7やベレッタ90を構えて周囲を警戒していた。
状況を聞いたリンドブルムは戦死者がいない事にホッとして胸を撫で下ろす。
「そっか・・・よかったよ、犠牲者が出なくて・・・」
「ああ、まったくだ」
リンドブルムとジャバウォックが会話をしていると今度がニーズヘッグの声が聞こえて来た。
「二人とも、聞こえるか?」
「ニーズヘッグ、無事だったんだね?」
「一応な・・・だけど、こっちでは三人やられた・・・」
ニーズヘッグの方では戦死者が出たと聞かされ、リンドブルムとジャバウォック、そしてまだ通信を切っていなかったラピュスの顔が鋭くなる。
「三人死んだのか・・・?」
「ああ、黄金近衛隊で二人、白薔薇戦士隊で一人な・・・」
ニーズヘッグから戦死した騎士の事を教えられたラピュスは目を閉じながら俯き歯を食いしばる。それを近くで見ていたラランはラピュスの口から出た言葉を聞いて誰かが戦死した事を理解し表情を曇らせた。
「他の騎士達も何人か傷を負っているが今ジルニトラが手当てをしている」
「お前達はどうなんだ?」
「俺とオロチも少しやられたが騎士の連中と比べたら大した怪我じゃない」
「そうか・・・」
ニーズヘッグ達が無事である事を聞いてラピュスは安心する。
「まぁ、幹部並の強さを持つ黒騎兵を相手に生き残ったんだ。今はそれでよかったと思うべきだろう・・・」
「そうだね・・・」
ジャバウォックとリンドブルムはとりあえずニーズヘッグ達が無事なのを喜ぶべきだと話し、ラピュスもそれを聞いて黙って小さく頷く。
全部のチームの状況を確認し合った七竜将は今後どう動くかを話し合う。ヴリトラとリンドブルムはラピュス達と合流する為に街道を全力で走っており、他の三チームはその場で待機している。
「それでこの後はどうするの?」
リンドブルムが走りながらヴリトラに今後の事を訊ねる。
「とりあえず、俺達はこのままラピュス達と合流する。ジャバウォック達には怪我人の手当てが終わり次第、他に敵がいないか周囲を調べる様に伝えてくれ」
「了解」
ヴリトラの言葉を聞き、リンドブルムは小型通信機を使ってジャバウォック達に指示を出す。その後、二人は無事にラピュス達と合流してブラッド・レクイエム社の戦力が残っていないかを確認に移る。幸いワズロの町に侵入してきた敵は全員倒したらしく、他の敵の姿は見当たらなかった。この瞬間に短いようで長かったワズロの町での戦いは終わりを告げる。
終戦から一時間後、ヴリトラ達はワズロの町の兵士や町の住民達と協力し合って町の片づけや死体の処理を行う。ブラッド・レクイエム社によって破壊された民家の瓦礫や壊れた荷車など、使えなくなった物などを一ヵ所に集め、戦死した兵士や騎士達の遺体は町にある教会前の広場に運んだ。
「な、なんと・・・」
戦いが終り、町も落ち着いた為、虹色亭にいたヴァルボルトやパティーラム、ローシャルにガガトラ、そして王族達の護衛に就いていたアリサ、ザクセン、ポーリーが外に出て教会前にやって来た。一同は教会前に並べられている騎士や兵士達の遺体を見て固まっている。布を掛けられている遺体の近くでは騎士や兵士達の仲間が座り込んだりなどして泣いている姿があった。
その光景を眺めているヴァルボルト達の近くではヴリトラ、ラピュス、ジルニトラ、パリーエが立っており、パリーエの一枚の羊皮紙を手にしている。そこには何やら人名らしい言葉が細かく書かれてあった。
「・・・白薔薇戦士隊、姫騎士七名、一般女性騎士十四名。ワズロの町の防衛隊兵士二十四名。レヴァート王国黄金近衛隊、近衛騎士二名。今回の戦闘で合計・・・四十七名の騎士、兵士の死亡が確認されました・・・」
「四十七名・・・」
パリーエからの報告を聞いたローシャルは彼女の方を向いて口を動かす。パリーエは羊皮紙を持っている手に力を入れて頷く。そう、彼女が持っていた羊皮紙は今回の戦いで戦死した者達の名簿だったのだ。
戦死者の報告が終るとラピュスが一歩前に出てローシャル達の方を見る。
「ブラッド・レクイエム社が町に奇襲を仕掛けて来た時に町の住民達も彼等に襲われて亡くなっています。住民達の被害の方が大きく、五十人近くの死亡が確認されました」
「なんと言う事だ・・・それで、敵はどうなったのだ?」
「町に攻めて来て敵部隊は全て倒しました。遺体を確認すると敵の人数が全部で二十人であった事が分かりました」
「た、たった二十人の敵に四十人以上の騎士や兵士が敗れたと言うのか・・・クウゥ!」
ブラッド・レクイエム社の想像以上の力と脅威にローシャルは俯いて悔しがる。ヴァルボルトとパティーラムも改めてブラッド・レクイエム社の恐ろしさを理解し暗い顔を見せている。ポーリーは遠くにあるヴィクティの遺体を見てフッと目を逸らしながら悲しそうな顔を見せており、アリサとザクセンも目の前に並べられている遺体を見つめながら気の毒そうな顔をしていた。
「・・・ところで、此処にはお主達しかおらんが、他の者達はどうしたのだ?」
ヴァルボルトがヴリトラ達を見て他のメンバーや騎士達の姿が無い事に気付きヴリトラに訊ねた。ヴリトラはチラッと北の正門の方を向きながら説明をする。
「戦いの後片付けに行きました。あと、敵兵士の遺体を片づけたり色々と・・・」
「そうか・・・」
「あと、レレットは?」
ヴリトラはレレットの話をしながらゆっくりと振り返る。並べられている遺体から少し離れた所に地面に座り込んでいるレレットの姿がある。その後ろではリンドブルムとラランの姿があり、三人の前には安らかな顔のビビットの遺体が置かれてあった。
レレット達の方を見ていたヴァルボルト達はビビットの遺体を見て驚いており、特にザクセンはヴァルボルト達以上に驚いている。
「あ、あれはビビット!どうしてアイツが・・・」
「ビビットは武術大会の時に遺体をブラッド・レクイエム社に奪われました。奴等の手によって体を作り変えられ、何らかの方法で無理矢理蘇生させられたんです。そして今回のワズロの町の奇襲に参加していた・・・」
「ビビットが、ブラッド・レクイエムに・・・?」
ヴリトラの説明を聞いたザクセンは驚きながら訊き返す。ヴァルボルト達もビビットがブラッド・レクイエム社側にいた事と死んだはずの彼女が生き返っていた事を聞かされて耳を疑い、驚きを隠せないでいる。
「最初は心を持たない人形の様だった彼女がラピュス達との戦いの最中に自我を取り戻し、最後はレレットの手によって・・・」
「レレットがビビットを斬ったと・・・?」
ザクセンの問いにヴリトラは頷く。ラピュスは暗い顔で俯いており、パリーエも気の毒そうな顔をしていた。ヴァルボルト達がレレットの方を見ると彼女はビビットの前で座り込んだまま祈りを捧げており、その後ろでもリンドブルムとラランが同じように祈りを下げている。
「・・・ブラッド・レクイエムは死者すらも生き返らせる事ができるのか?」
ヴァルボルトが恐る恐るヴリトラの方を向いて訊ねるとヴリトラはジルニトラの方をチラッと見る。
「俺も詳しくは分かりません。そっちの方はジルの専門分野ですから、彼女に説明してもらいましょう」
「ちょ、ちょっと、この状況でバトンタッチ?」
「命に関係する事は俺よりも衛生兵であるお前の方が詳しいだろう?」
「まったくもう・・・」
押し付けられて少々不機嫌そうなジルニトラはヴァルボルト達の方を向き、真剣な表情となって説明を始めた。
「・・・確かに、あたし達のいた所では不完全ではありますけど、死者を蘇生させる事ができます。ですから、あたし達と同じ所にいたブラッド・レクイエムにもそれが可能なはずです」
ジルニトラの説明を聞いたヴァルボルト達は驚愕の表情を浮かべる。死者を生き返らせるなど神にしかできないような事をする者達がいると聞かされたのだから無理もない。パリーエも驚いてジルニトラの方を向いているが、ラピュスはビビットが死んだ事を知っており、彼女が蘇生した姿をその目で見ている為、何よりブラッド・レクイエム社がどれ程の組織なのかを彼女は理解している為、あまり驚かなかった。
「死者をも生き返らせる者達・・・そんな者達とどう戦えばよいのだ・・・」
「大丈夫です。いくら死者を生き返らせる事ができてもアイツ等も所詮は人間、同じ人間であるあたし達に勝てないはずがありません」
「それに、俺達七竜将は奴等に対抗する為の知識と技術を持ち合わせています。奴等の好き勝手にはさせませんよ」
動揺するローシャルにジルニトラとヴリトラが安心させるように声を掛けた。ローシャルはまだ少し不安のありそうな顔で二人を見る。するとヴァルボルトがゆっくりとローシャルに近づく。
「ローシャル王、我々はブラッド・レクイエムから宣戦布告を受けました。つまり、完全に彼等を敵に回した事になります。こうなってしまった以上、彼等と戦うにはお互いに助け合わなければなりません。これ以上罪の無い民や騎士達の命を奪われないようにする為にも、力を貸していただけませんか?」
「ヴァルボルト王・・・・・・確かに、こうなってしまったからには我々も覚悟を決める必要がありますな」
ヴァルボルトとローシャルの二人の王は互いに向かい合う。同じ敵を持ち、その者達から大切な民や騎士達を殺されてしまった彼等にとっては過去の戦争の事や立場などを考えてはいられなかった。
「ヴァルボルト王、貴方がたと同盟を結ばせて頂きたい。もしレヴァート王国に何かあれば必ず力をお貸ししましょう」
「願ってもない事です。こちらもストラスタ公国に危機が及んだ時は全力で助力させて頂きます」
ヴァルボルトとローシャルは握手を交わし、同盟を結ぶ事が決定された。ワズロの町で起きた惨劇によって両国の王は過去の出来事や立場など小さな事で時間をかけている場合ではいないと理解したのだ。握手を交わす二人は目の前に並ぶ戦死者達の遺体を見つめる。二人の握手は今日死んでしまった者達に対してこれ以上彼等の様な犠牲者を出さないという誓いでもあったのだ。ヴリトラ達はその光景を黙って見守っている。
ワズロの町での戦いは終わった。しかしその戦いで出た犠牲は決して少なくない。ヴァルボルトとローシャルはこれ以上ブラッド・レクイエム社の手によって犠牲を出さない為にも正式に同盟を結ぶことにした。そしてそれはレヴァート王国はブラッド・レクイエム社に対抗する為の心強い味方と新たな絆を得た瞬間でもあったのだ。




