第十八話 二人の小さな勇士
七竜将に拠点であるズィーベン・ドラゴンが完成した直後にラピュスからレヴァート王国騎士団の団長が七竜将に会いたいと聞かされる。その面会の日の正午に依頼所で会う事になった七竜将はそれまで自由行動を取る事にした。その中でリンドブルムはラランとバッタリ出会い行動を共にする。そしてそんな二人は町に響き叫び声を聞きつけて走るのだった。
リンドブルムとラランが叫び声のした方へと走って行くと、小さな人だかりを見つける。住民達の隙間を取って行く二人は人の少ない場所で小さな女の子の服を掴み無理矢理立たせようとしている二人の男を見つける。
「さっきの叫び声はあの子の?」
「・・・多分」
声の持ち主が女の子だと知るリンドブルムとララン。二人の目に金髪の三つ編みをした女の子の服を掴んでいるガッシリとした体で腰に剣を収めているガラの悪い男と、その隣で腰に短剣を収めている貧弱そうな体でズル賢そうな顔をした男の姿があった。
周りで住民達が怯える様に離れた所から三人を見ていた。
「おいガキ!お前がぶつかったせいで俺の子分が怪我しちまったじゃねぇか?」
「兄貴~、腕がいてぇよぉ~」
「ぶつかって来たのはそっちだもん・・・!」
ヘラヘラと笑いながら自分の右腕を抑える貧弱そうな男、ウソをついているのが一目で分かる。そして自分の服を掴んで睨みつけている男を涙を流しながら男を見上げる女の子。その二人の男の顔を見たラランは持っている突撃槍を強く握る。
「・・・あれは『コルボロの翼』の傭兵」
「コルボロの翼?あの二人も何処かの傭兵団の人間なの?」
傭兵団の名前らしき言葉を聞いてリンドブルムは隣のラランに尋ねる。ラランはリンドブルもの方を向いて表情を変えずに頷いた。
「・・・そう。傭兵団って言ってもあの二人だけだけど」
「あらっ・・・たった二人?」
「・・・カッコつかないとか、強そうに見せる為っていった理由で二人だけの傭兵団を作ったみたい」
「わぁ~、何て単純な理由・・・」
二人だけで傭兵団を作り、名乗っている男達にリンドブルムは苦笑いで男達を見る。ラランは一度小さく溜め息をついた後、面倒そうな顔で話しを続けた。
「・・・でもあの二人、見ての通り性格が悪いから仲間が出来なくて依頼も殆ど入ってこない。次第に傭兵からならず者みたいになっていって今では誰もアイツ等に依頼なんてしない」
「確かにあの性格なら納得・・・あれ?」
リンドブルムは三人から少し離れた所で戸惑いながら立っている女の子に気付いた。からまれている女の子の連れの子のようだ。だが、リンドブルムとラランはその女の子の事を知っていた。
「マリちゃんだ!」
「・・・本当だ」
そう、その女の子はバロンの孫のマリだったのだ。二人はマリに下へ駆け寄り声を掛ける。
「マリちゃん!」
「・・・あっ!リンドブルムのお兄ちゃん!」
「あの子、マリちゃんの友達?」
「う、うん。あのおじさん達がぶつかったターニャちゃんを苛めるの。お兄ちゃん、助けてあげて!」
マリの友達であるターニャという女の子を見てリンドブルムは真剣な顔を見せる。一方でラランは突撃槍を握って構えている。もう彼女の中ではどうするか答えが決まっているようだ。そんなラランを見てリンドブルムはまばたきをする。
「・・・行くの?」
「・・・当然。私は騎士、町や住民を守るのが仕事」
マリの真剣な表情にリンドブルムは最初から答えを知っていたのか笑ってラランを見る。そしてマリの頭を擦って優しく声を掛けた。
「普通、僕等は報酬を貰わない限り動かないけど、マリちゃんに頼まれちゃ断れないからね?」
「・・・ありがとう!」
ウインクをしてマリの頼みを聞くことしたリンドブルムを見てマリは笑顔になり礼を言う。傭兵でありながら報酬無しで頼みを聞くリンドブルムを見てラランは意外そうな顔を見せる。彼女の中では傭兵は報酬を貰わないと動かないような存在だったのだろう。
ガラの悪い男はターニャの髪を掴み無理矢理顔を自分の方へ向けて睨みながら見下ろす。
「オメェの親から治療費貰わねぇとな。家何処だ?」
「痛い!」
「・・・止めて」
声を掛けられて振り向く男達。そこには突撃槍を握り男達を睨んでいるラランの姿があった。その後ろではリンドブルムが頭を掻いている姿があった。
「何だ、またガキか?」
「・・・お~お~、お嬢ちゃん可愛い声でちゅねぇ~?危ないから帰りまちょうねぇ~?」
「・・・バカにしないで」
男達の反応にラランはムッと二人の男を睨み付ける。周りでは小さな二人に子供が自分達よりも遥かに大きな男達に立ち向かっている姿を見て住民達がざわめきだす。
ターニャの髪を掴んでいたガラの悪い男は髪から手を放し、腕を組んでラランを睨み付ける。だがラランは怯む事無く突撃槍を構える。
「・・・その子から離れて。でないと騎士団の詰所に連行する」
「連行?・・・・・・成る程な、お前、王国騎士団の人間か。しかも姫騎士様だな?」
「えぇ?兄貴、こんなちっこい騎士がいるはずないじゃないですかぁ?」
「オメェは聞いた事ねぇか?数ヶ月前に王国最年少で姫騎士になった奴がいるって話を?」
「あっ、はい。確かに聞いた事は・・・て、コイツがそうなんですか?」
「間違いねぇ・・・」
ガラの悪い男はラランの事を知っているのか、噂を思い出し、彼女の姿を見て直ぐに確信した。貧弱そうな男は意外そうな顔を見せてラランを見つめる。ガラの悪い男はラランを睨みながら腰の剣を抜き、切っ先をラランに向ける。
「だがなぁ、いくら優秀な姫騎士様と言っても所詮はガキだ。コイツを倒して騎士団に金を要求するっていうのも悪くねぇ」
「ハハハ、そうっすねぇ」
「俺はなぁ、騎士の事だ大っ嫌いなんだよ。強いからとか王国に仕えてるからとか言って偉そうにしている騎士がなぁ」
自分達は傭兵として必死で生きているのにもかかわらず、騎士達は王国に仕えて何不自由なく生活している、その醜い嫉妬が男の心を覆っていた。男は剣を構えてラランに敵意の向ける。ラランも突撃槍を構えて男を睨み付ける。
そんな時、後ろに立っていらリンドブルムが間の抜けた様な声を出しながらラランの隣まで歩いてきた。
「はぁ~あっ、つまらない事で騎士を憎むなんて、大人げないと言うか何と言うか、みっともないですよ?」
「ああぁ?何だテメェ?」
「またガキか?しかも今度は騎士じゃねぇ普通のガキじゃねぇか」
「あらら、子供にからむチンピラの常套句ですね?・・・て言うかさぁ、おじさんさっきからへらへらと笑いながら話してるけど、右腕は痛くないんですか?」
リンドブルムが貧弱そうな男の右腕を指差して尋ねると、男は忘れていたのかハッと思い出してまた腕が痛むふりを見せる。そんな男を見てリンドブルムはジト目で、ラランはくだらなそうに見ていた。
「今更遅いですよ・・・」
「・・・バカみたい」
「うるせぇ!」
子供二人にツッコまれて怒り出す男。もう一人のガラの悪い男は剣を二人の間に振り下ろし、顔の真横で止めた。男はさっきから大きな態度を取っているリンドブルムとラランが次第に気に食わなくなってきたのか、苛立ちを見せてきた。
「おい、ガキども。いい加減にしねぇと怪我どころじゃすまねぇぞ?俺達はまずこのガキの親から治療費を貰ってから――」
「そのガキは何処にいるんですか?」
リンドブルムが小首を傾げながら尋ねる。男達はリンドブルムを見た後に自分達の足元にいるターニャに視線を向ける、がそこにターニャの姿はなかった。驚いた男達が辺りを見回すと、離れた所でマリに慰められていターニャの姿を見つける。
さっきまで足元で震えていた筈の子供が自分達から離れた所にいる事に驚きを隠せない男達。ラランもターニャを見て少し驚いている。
「アンタ達がラランと話をしている間に僕があそこに避難させたんです」
ニッと笑いながら説明するリンドブルム。リンドブルムと外見とは裏腹に、自分達に気付かれる事なくターニャを連れ出した俊敏さに言葉を失う男達。ラランはリンドブルムの実力を知っていたからか、少し驚いただけで直ぐに表情を戻して男達を見つめる。
「・・・もう、あの子にこれ以上危害は加えさせない」
「そういう事♪」
「こ、このガキどもぉ~!よくも俺達をここまでコケにしやがったなぁ!」
「も~許さねぇ!たっぷり可愛がってやるからなぁ!」
男達は剣と短剣を強く握りリンドブルムとラランを睨み付ける。そんな二人にラランは突撃槍を構え、リンドブルムは両腕を回して準備運動を始める。周りの住民達も更にざわめき始め、マリはターニャを連れて住民達の所まで非難した。
周りが騒ぎ始める中、小さな傭兵と姫騎士、大きな二人の傭兵が相手を睨み合っている。そして先に動きたのは男達の方だった。
「死ねぇ!ガキ共!」
ガラの悪い男が剣を勢いよく振り下ろした。リンドブルムとラランはその振り下ろしをそれぞれ横に跳んで回避する。リンドブルムは左に、ラランは右に跳んだ。着地したラランは男に向けて突撃槍を構えて勢いよく突く。男はラランの突きをかわして再び剣で反撃した。ラランは迫ってくる斜め切りを突撃槍で払って攻撃を防ぐ。そのまま休む事なく男に三連突きを放った。咄嗟に連撃に男は一瞬驚いたが剣でギリギリ突きを払った。
男は態勢を立て直す為に後ろに跳んでラランから距離を作る。ラランは離れた男を見ながら頭上で突撃槍を回した後に再び突撃槍を構え直す。
「ちぃ!ガキのくせに生意気なぁ・・・」
「・・・そのガキに押されているのは、誰?」
「クッ!こ、この野郎ぉ~!」
挑発されて頭に血が上って行く男をラランはジッと見つめている。背丈や体力では男の方がラランよりも上だが、戦闘の技術はラランの方が遥かに上だった。いくら男に力があってもその力を上手く使いこなせなければ宝の持ち腐れだ。ラランは力がない分、突撃槍を使いこなす程の技術を身につけて力の無い部分をカバーしている。戦いはラランの方が有利であった。
ラランが戦っている時、リンドブルムも貧弱そうな男と一戦を交えていた。男の短剣の攻撃をリンドブルムは腰に手を回しながら余裕の表情で回避している。
「こ、このガキ、避けるんじゃねぇ!」
「避けないと死んじゃうじゃないですか?」
振り回される短剣をかわしながらリンドブルムは男の無理な要求を困り顔で答える。この時でもリンドブルムが回避行動の疲れも見せずに両手を腰に回したままだった。男の連撃が止まり一瞬隙が出来ると、リンドブルムはジャンプして男の真上まで跳ぶ。そして男の後頭部を両足で踏みつけて踏み台にし、男の真後ろに着地する。
「ごわぁ!」
男は踏み台にされた時の力に耐えられず顔面から俯せに倒れた。周りの住民達もそんな男の失態に笑いを堪えている。男は顔を上げ、起き上がると後ろを向いて背を向けているリンドブルムを睨み付けた。
「テ、テメェ!俺を踏み台にしやがって~!」
背を向けたまま振り返ろうともしないリンドブルムに向かって走る男は持っている短剣でリンドブルムの背中を刺そうと突っ込んでいく。そして短剣をリンドブルムの背中に刺そうとする、だがリンドブルムは切っ先が刺さる直前に振り返る様に上半身を捻じりながら横へずらして切っ先をかわした。そのまま男の手首を掴み勢い男を投げ飛ばした。
「うおぉ~~~!」
小さな体とは裏腹に大人を投げ飛ば程の力を持つリンドブルムに驚き男は叫びながら地面に叩きつけられる。リンドブルムは仰向けに倒れている男を見ながら首を左右に倒しながら肩を鳴らした。
リンドブルムが一方的に男を倒している姿を見てラランは改めてリンドブルムの力に驚く。
「・・・凄い、何であんなに力があるの?」
小さい体で大人を投げ飛ばす程の力、リンドブルムが傭兵で別世界から来た、そして右腕が機械鎧になっている、これらの理由だけでもリンドブルムが、いや七竜将が普通の人間でない事は納得が出来るが、改めて見るとやはり驚いてしまう。
「おい、コラァ!何よそ見してるんだぁ!」
ガラの悪い男がリンドブルムの方を向いているラランに怒鳴りながら剣を構えて走って来る。それに気づいたラランが突撃槍を構えて男を見つめる。突撃槍を握る手に力を入れる。すると突撃槍に突然風が纏われていき、ゆっくりと目を閉じるララン。男がラランの近くまで来ると、気配を感じとったように目を開いて勢いよく突撃槍で男を突いた。その瞬間、槍先が男の体に刺さる前に男の体はまるで宙に打ち上げられる様に吹き飛ばされた。
「・・・烈風天馬槍!」
「うぉわぁーーー!」
技の名を叫んだラランと打ち上げられながら叫び声を上げる男。男は叫びながら地上に叩きつけられ、持っていた剣は男の顔の真横に突き刺さった。
それを離れた所で見ていたリンドブルムと貧弱そうな男は二人の声を聞いて振り向いた。
「おおぉ!凄い!」
「あ、兄貴ぃ~!」
兄貴分の男が倒された事に動揺する男。そこへ意識を戦いに戻したリンドブルムが隙だらけの男を見て右手を強く握って拳を作る。そのままとこの懐に入り込み、右手、つまり機械鎧の拳で男の腹部にパンチを撃ち込む。パンチが命中した瞬間、男の体に大きな衝撃が走った。
「鉄拳、鬼殺し!」
「ぐほぉ!?」
突然腹部に走るとてつもない衝撃と痛みに男は声を漏らすが、そのまま勢いよく飛ばされて行き地面に叩きつけられる。
一瞬にして二人の幼い子供が大の大人二人を倒してしまった事に驚きざわめく住民達。二人の内ラランは姫騎士だから考えられる事だが、もう一人のリンドブルムが勝った事は信じられないようだ。見た目はラランと同じ位で見慣れない服を着ているだけであとは何も変わったところが無いからだ。だが彼等はリンドブルムの服の下の機械鎧の腕の事を知らない、だから納得ができないのだ。周りで驚いている住民達を見てリンドブルムは何処か楽しそうにしていた。
「フフフ、皆驚いてる♪」
「・・・何で楽しそうなの?」
笑ってるリンドブルムに近寄ってジト目をするララン。そんなラランに気付いて軽く挨拶をしたリンドブルムは倒れている二人の男を見た。
「どうするの?このボロボロの翼の二人は?」
「・・・コルボロの翼。後で来る騎士達に詰所に連れて行ってもらう」
「そっか・・・あっ!そうだ、マリちゃん達は?」
リンドブルムはマリ達の事を思い出して辺りを見回す。そして少し離れている所で自分達を見ているマリとターニャを見つけて駆け寄った。ラランもゆっくりと歩きながら二人の下へ向かって行く。
「大丈夫?二人とも」
「うん、ありがとう。やっぱりリンドブルムのお兄ちゃん達は強いね?」
「ハハハ、そうかな?」
強いと言われて頭を掻きながら笑うリンドブルム。そんなリンドブルムをやれやれと言いたそうに首を横へ振るララン。そこへターニャがラランに近寄ってきてゆっくりと頭を下げる。
「あのぉ・・・ありがとうございます、騎士様・・・」
「・・・別にいい。それよりも、騎士様は止めて?歳はあんまり変わらないんだし」
「え?でも、姫騎士様は貴族の人だから礼儀正しくしなさいって・・・」
「・・・私も平民の出。だから貴方達と変わらない。だから、その必要はない」
「そ、そうなんですか。・・・分かりまし・・・」
礼儀正しく言おうとするターニャを見てラランはジッと彼女の顔を見つめる。そんなラランの顔を見てターニャは慌てながら話し方を直した。
「あっ!え、ええっと・・・・・・分かった、ありがとう」
「・・・それでいい」
「フフフ」
「・・・何?」
隣で小さく笑うリンドブルムにラランはジッと見つめた。リンドブルムは笑顔のまま首を横に振る。その顔を見て納得のいかない様子を見せるララン。二人が話しをしていると、ターニャは足元に落ちている潰れた花を拾い上げた。
「ターニャちゃん、それ・・・」
「うん、今日お爺ちゃんにプレゼントしようと思ってたお花・・・」
「ん?どうしたの?」
ターニャの持っている花に気付いて尋ねるリンドブルム。ターニャは涙目で花を見つめ、隣のマリが事情を説明する。
「さっきあの二人のおじさんにぶつかった時にこのお花を踏まれちゃったの。おじさん達がぶつかって来たんだよ?それなのにおじさん達、ターニャちゃんが悪いって・・・」
「それでさっきに至ったって訳か・・・」
あの状況の理由に納得したリンドブルムは腕を組んで頷く。目の前で泣きじゃくっているターニャを見て可哀そうに思ったのか、リンドブルムはターニャの足元に落ちている数枚の花びらを拾い上げた。それをターニャの目の前まで持って来たリンドブルムはターニャの肩を軽く叩く。
「ターニャちゃん、こっち向いて」
「・・・え?」
「いい?見ててね?」
リンドブルムが自分の手の上の花びらを見る様にターニャに話す。涙目で顔を上げるターニャ、ラランとマリもリンドブルムの方を不思議そうに見る。リンドブルムは手の上に乗っている花びらをゆっくりと握り、もう片方の手で握った手を軽く数回叩いた。そしてリンドブルムが握った手を勢いよく振ると、彼の手に一輪の花が握られていた。しかもその花はよく見ると青い薔薇だったのだ。
「ほら」
「うわあぁ!凄い、青いお花だぁ!」
突然現れた青い薔薇に驚くターニャ。ラランとマリも目を丸くして驚いていた。さっき花びらを握っていただけの手の中に見た事の無い青い薔薇があったのだ、驚くのも当然だ。だがリンドブルムは楽しそうにしている。なぜならリンドブルムのやったのはただの手品だったのだから、それを見て驚いてくれるララン達を見て笑顔を見せていたのだ。勿論、持っている青い薔薇も白い薔薇を色のついた水を吸わせて染めた物だ。
リンドブルムは持っている青い薔薇をターニャに渡して微笑みかける。
「これあげるからもう泣かないで?一輪しかないけど、これをお爺ちゃんにプレゼントしなよ」
「え?いいの?」
「うん。君の持っていた花に釣り合うか分からないけど・・・」
「ううん、こんなに綺麗なお花見た事ない。ありがとう」
リンドブルムから青い薔薇を受け取ったターニャは涙を拭って礼を言う。そんな時、ラランは何かに気付いてリンドブルムの肩を叩く。
「・・・そろそろ正午。依頼所に行かなくていいの?」
「あっ!そうだった。早く行かないとニーズヘッグに怒られちゃう!」
「・・・私もコルボロの翼の事を報告するから一緒に行く」
「そう。じゃあ今から行こう!」
「・・・うん」
二人は依頼所に行く為、マリとターニャに挨拶をして依頼所に向かって走り出す。その途中に住民からコルボロの翼の騒ぎを聞いてやって来た騎士達に事情を説明してもうダッシュした。
走り去って行くリンドブルムとラランを見てマリとターニャは小さな二人の勇士に心の中で感謝するのだった。