第百七十六話 盗賊戦開始! 紅の魔女の乱入
クロロスプレッシャーを使い獅子王の牙を隠し通路から出す事ができたヴリトラ達は盗賊達と対峙し、遂に直接対決が始まった。デガルベルと言う一つの鉱石を巡って二つの戦力が今ぶつかる。
ヴリトラ達が戦いを始めた頃、岩山の東側へ続く隠し通路では頭達と別行動を取っている盗賊達が東側にいるジャバウォック達に奇襲を仕掛ける為に隠し通路を進んでいる。ランプの灯りだけで狭い通路を進む盗賊達の表情には既に僅かに疲労が浮かんでいた。
「おい、まだ着かねぇのか?」
「もう少しだ、喚くんじゃねぇよ」
先頭を歩く盗賊が後ろにいる仲間の盗賊に声をかける。他の盗賊達も疲れたのか言葉数が少なる表情が曇っている。
「東側にいる敵を仕留めたら急いでお頭達の所へ戻るぞ。さっさと敵を全滅させてデガルベル鉱石を手に入れるんだ」
「だけどよ、敵にはあの噂になっている七竜将って連中がいるんだろう?見た事の無い武器と人並み外れた体力を持ってる化け物みたいな連中に本当に勝てるのか?」
「何言ってやがるんだ、化け物みたいって言われてるだけで所詮は人間だろう?人間なら俺達にだって倒せるはずだ」
「で、でもよぉ・・・」
「おっかねぇのか?だらしねぇ奴だな」
「な、何だとぉ!?」
七竜将の力を警戒する者と軽く見ている者とで小さな言い争いが始まり盗賊達は足止める。そんな会話を他の盗賊達は呆れ顔で見守っているだけだった。すると、盗賊達が進んでいる方向から白い煙がゆっくりと近づいて来て、それに気づいた盗賊達は驚きながらその煙を見ている。
「おい、何だよあの白い煙は?」
「煙?・・・な、何だありゃ!?」
「ま、まさか、山火事か!?」
「バカ言うな、こんな草木も殆ど無い岩山で火事なんか起きるか!」
煙の正体は勿論催涙ガス。ジャバウォック達が自分達の方に向かって来る盗賊達を警戒し、隠し通路の入口を見つけてそこからクロロスプレッシャーを使い催涙ガスを噴出したのだ。
徐々に近づいて来る催涙ガスは驚く盗賊達を包み込んでいき、盗賊達は頭達と同じように咳と涙に襲われた。
「な、何だこの煙、目が沁みるぞ!?」
「ど、毒の煙か!?」
「これじゃあ、この先には進めねぇぞ!どうするんだ!?」
「と、とにかく、一番近くの出入口から外に出るぞ!」
盗賊達は完全に催涙ガスに怯んでしまい急いで元来た道を戻って行く。既に煙を吸ってしまった彼等は涙とクシャミが止まらずに、表情はグチャグチャになっている。それでも彼等は催涙ガスから逃れる為に必死で隠し通路を進んでいくのだった。
隠し通路で盗賊達が催涙ガスから必死になって逃れようとしている頃、ジャバウォック達は岩山の南東の方へ洞窟を探しながら向かっていた。ニーズヘッグに教えられた隠し通路の入口に催涙ガスを流し込んだ後、ジャバウォック達はヴリトラ達の下へすぐに向かえる様にできるだけ南側の方を調べる事にしたらしく、南東の方に進んでいるのだ。
「クロロスプレッシャーを起動させてから既に十分、そろそろガスが一番近くにある隠し通路の入口の隙間から漏れてもいい頃なんだがな」
「それなら岩とかで隠されてても何処に入口があるのか分かるもんね?」
「ああ、それに東側に向かっている盗賊達がいればガスに当たって混乱し、外に出て来るはずだ。まぁ、どの出口から出てくるかまでは分からねぇけど、隠し通路を使えなくさせる事はできる」
「奴等の奇襲を封じる事はできるという訳だな・・・」
ジャバウォック達は周囲の岩や岩壁を見回して毒ガスが漏れていないか探しながら歩いており、三人の後ろではアリサ達も周囲を警戒しながらジャバウォック達について来ている。しかし、今のところ何処からも催涙ガスは漏れていない。
「あの、どうして南東に移動するんですか?」
「ヴリトラ達に何かあった時にすぐに合流できる様にする為にはできるだけ南側にいた方がいいだろう?それに俺達ば鉱石の調査に来ただけで盗賊を殲滅するという命令は受けていない。倒さなくてもいい相手なら放っておけばいいさ」
「もっとも、奴等の方から攻撃して来た時は別だがな・・・」
「そ、そうですか・・・」
冷たいオロチの一言にアリサは思わず顔が引きつる。懲罰遊撃隊の騎士や白銀剣士隊の隊員達も目を丸くしながらオロチ達を見ている。そんな時、ジャバウォック達の歩いている道の先にある大きな枯れ木の根元にある小さな岩が横に動き、その下から人一人が通れるくらいの穴が姿を現した。そしてその穴から催涙ガスと大勢の盗賊が姿を現す。
「あ、あれは!」
「早速お出ましか・・・」
突然現れた盗賊に驚くアリサと「やはり来たか」と言いたそうに笑うジャバウォック。二人の周りではオロチ達が武器を構えずに警戒し盗賊達の動きを見ている。
盗賊達が全員隠し通路から出てくると、涙を拭いながら外の空気を吸った。
「オホッ!オホッ!酷い目に遭ったぜ」
「何なんだ、この煙は・・・?」
穴から出てくる催涙ガスの正体が分からない盗賊達はただ目を擦りながら空に昇って行く催涙ガスを見ていた。すると、盗賊の一人が自分達を見ているジャバウォック達に気付いて驚きの顔を見せる。
「お、おい!騎士団だ!」
仲間の声を聞いた盗賊達も一斉にジャバウォック達を見て持っている武器を構えた。そんな盗賊達を見てアリサ達も武器を構えようとするが、その前にジャバウォックがアリサ達を止める。そして冷静に盗賊達を見ながら腕を組んだ。
「お前、獅子王の牙だな?」
「そ、そう言うお前等は何だ?騎士団の人間ではなさそうだが・・・」
「・・・・・・も、もしかして、あの変な格好をしている三人が、七竜将の隊員なんじゃないのか?」
「おおぉ、よく知ってるな」
ジャバウォックが意外そうな声を出し、それを聞いた盗賊達は驚いて一歩後ろに下がる。だが武器の構えを解く事はなった。
「・・・そ、そうかぁ!なら、お前等を倒せば俺達は一躍有名人って事だな。デガルベル鉱石とお前等の持つ武器を手に入れて俺達は無敵の盗賊団になるって事だ!」
「ついでに女も手に入れていい思いをさせてもらうぜ」
「チッ・・・」
「ううぅ!」
オロチとアリサは盗賊達を見て舌打ちをしたり、寒気を感じたりなどそれぞれ反応を見せる。だが、ファフニールだけは全く相手にされておらず、その事に気付いたファフニールは頬を膨らませて不機嫌そうな顔をしていた。
そんな盗賊達の態度を見たジャバウォックは後頭部をボリボリと掻きながらめんどくさそうな顔をする。
「ハァ・・・どうやら、向こうさんはヤル気満々の様だな」
「ジャバウォック、やるならさっさと終わらせるぞ・・・?」
「うん!私、あの人達嫌い!」
オロチとファフニールはそれぞれ怒りを胸に抱きながら盗賊達を睨み、斬月とギガントパレードを構えて何時でも戦える態勢に入った。そんな二人を見てジャバウォックは困り顔で腕を組む。
「・・・しょうがないな。話し合いも通じそうにないし、だけどできるだけ殺さない様にしろよ?俺達は殺し屋じゃないんだから――」
ジャバウォックが話していると、オロチとファフニールは彼の話を最後まで聞かずに盗賊達に向かって行く。そして盗賊達に向かって巨大な戦斧とハンマーを振り下ろして攻撃する。二人が攻撃をした直後、轟音と砂煙を上げながら近くにいた盗賊達は衝撃で宙を舞いながら叫ぶ語絵を上げた。
「おいおい、話は最後まで聞けよ・・・」
「ふ、二人はどうしちゃったんですか?」
「女として、自分達を軽く見ていた盗賊達に頭に来たんだろう?・・・いやぁ、女は怒ると怖いねぇ?」
同じ女としてジャバウォックの発言を注意するべきか悩んだアリサであったが、盗賊達を相手に大暴れしているオロチとファフニールに驚き、注意する事もできなかった。それから物の数分でジャバウォック達の前に現れた盗賊達は全滅、その半分以上が瀕死の状態だったという。
そしてヴリトラ達も目の前に現れた盗賊達と交戦している最中だった。その中でジージル達白銀剣士隊は離れた所から弓でヴリトラ達と戦っている盗賊達を狙っている。
「総員、放てーーっ!」
ジージルの合図で白銀剣士隊の弓兵達は一斉に矢を放つ。もの凄い勢いで飛んで行く矢は盗賊の腕や脚に刺さり、盗賊達に少しずつダメージを与えている。しかし、それでも何本かは地面に刺さったり、岩で弾かれたりなどしていた。盗賊達も弓を持っている者がが大きな岩の上や枯れ木の陰から白銀剣士隊に向かって矢を放ち反撃する。だが白銀剣士隊程の腕は無く、矢は一本の命中しなかった。
「相手の弓兵は素人同然よ!恐れずにこのまま攻撃を続けなさい!」
「「「「「ハイ!」」」」」
弓兵達はジージルの言葉で士気を高め、そのまま矢を放ち攻撃を続ける。盗賊達はその矢の腕を脅威と感じ、何とか先に潰そうとするが、ヴリトラ達がその行く手を阻んでいた。
剣を持った盗賊がヴリトラに向かって突っ込んで行き、袈裟切りを放ち攻撃をするがヴリトラはその斬撃を意図も簡単に森羅で防ぐ。それに驚き、一瞬の隙ができた盗賊の剣を払って素早くカウンター攻撃をする。森羅の刃が盗賊の体に大きな切傷を作り、盗賊は仰向けに倒れた。そこへ次の盗賊が右から槍を持ってヴリトラに襲い掛かろうとするが、ヴリトラは素早くジャンプして、円を描く様に盗賊の空中を跳んで盗賊の背後の回り込む。そして隙だらけの盗賊の背中を森羅で斬る。盗賊は何もできずにその場に俯せで倒れた。
「フゥ・・・」
盗賊を二人倒してヴリトラは小さく息を吐く。そんな彼の背後から剣を持った別の盗賊が襲い掛かり、それに気付いたヴリトラが振り返り様に反撃しようとする。だが次の瞬間、盗賊は左からの現れたラピュスの攻撃を受けてそのまま飛ばされ、地面に叩きつけられる様に倒れた。ヴリトラは突然のラピュスの援護に少し驚きながら彼女の方を見つめる。
「ラピュス・・・」
「油断するな?」
そうヴリトラの忠告するラピュス。するとヴリトラは左手でオートマグを抜き。ラピュスの方に向けて発砲した。ラピュスの背後には手斧を持った盗賊の姿があり、ヴリトラの銃撃を受けてその場に倒れる。どうやらラピュスを背後から襲おうとしたらしい。
ラピュスは自分が背後から狙われていたことを知ってヴリトラの方を向いた。ヴリトラは森羅の峰を肩の付け、オートマグを指で回しながら小さく笑う。
「そう言うお前もな?」
「フッ、そうだな」
笑いながら相手をカバーし合うヴリトラとラピュス。二人は互いに背を向けて目の前にいる盗賊達を見て武器を構える。そんな二人から少し離れた所ではリンドブルムがライトソドム一丁で五人の盗賊を相手にしていた。剣や槍などでリンドブルムを攻撃する盗賊達。だが。その攻撃全てをリンドブルムは軽々とかわしていた。
「なんてすばしっこいガキだ!」
「大人しく食らいやがれ!」
「お断りします!」
攻撃が当たらずイライラしている盗賊達の連続攻撃をかわし、リンドブルムは盗賊達から距離を取る。そして素早くライトソドムを撃って反撃する。放たれた弾丸は盗賊達に全て命中し、五人の内三人は倒れて動かなくなった。その光景に生き残った二人は驚き撃たれた箇所を手で押さえながら後退する。
「何なんだこのガキ?見た事の無い武器を使いやがる・・・」
「こ、これが噂の七竜将だけが使う未知の武器なのかよ・・・」
「それにあの体力・・・アイツ、本当に人間なのか?」
盗賊達がリンドブルムの戦闘能力に驚き武器を持ったまま話し合う。そんな様子をリンドブルムと彼の近くにいた懲罰遊撃隊の騎士二人がMP7を構えながら見ていた。
「大人しく投降してください。これ以上戦ってもどちらが有利にあるかを目に見えてるはずです」
リンドブルムが投降を勧めると盗賊達は小声で話し、投降するかを相談し始める。いくら自分達の力に自信があったとしても、相手が未知の武器を使って攻撃して来るのでは勝ち目がない。盗賊達はそんな考えをしていると盗賊の頭が剣を構えて鋭い表情をヴリトラ達に向ける。
「ふざけんじゃねぇぞ、俺達がお前等の様などこの馬の骨とも分からない様な傭兵どもに降参するとでも思ってんのか!?」
頭だけは戦意を失わず戦い続けようと剣を構え続け、それを見た周りの盗賊達は頭の行動にまばたきをしながらただジッと見つめていた。そしてリンドブルム達は頭の行動に目を細くしている。
「・・・貴方と貴方の部下は今その馬の骨に追い込まれているって事を理解していますか?」
「黙れガキ!七竜将だか何だか知らねぇが、目立って調子に乗っているような奴はろくな生き方も死に方もできねぇんだよ!」
「僕達は別に目立とうとしている訳じゃないんですけど・・・」
「て言うか、今のは追い詰められている盗賊の言うセリフではないな・・・」
リンドブルムの後ろに立っている男性騎士が静かな声で呟く。
「お前等を此処で皆殺しにして俺達がデガルベル鉱石を手に入れるんだ。そして、俺達はそれを使いこの国で最強の存在となる!傭兵も王国騎士団も敵わねぇ無敵の存在になぁ!」
右手に剣を持ったまま両手を掲げ、笑顔で叫ぶ頭。そんな頭を見ていたヴリトラは左手で顔を隠しながら俯き、右手の森羅をゆっくりと下ろした。
「ハァ・・・くだらない」
「何っ?」
小声で呟くヴリトラの方を向いて頭は訊き返した。するとヴリトラは左手を顔から離しゆっくりと顔を上げて頭をジッと睨みつける。
「・・・力で人に恐怖を与えて自分に従わせる、そんな事をして誰がアンタ達を受け入れるって言うんだ?結局は独裁者として憎まれるだけの哀れな人生を歩むだけだろう」
「ハッ!何をカッコつけてやがる?そう言う事は俺を倒してから言うんだなぁ!」
頭は剣を両手で握りながらヴリトラに向かって走り出す。ラピュスはヴリトラを守ろうと彼の前に立つがヴリトラはラピュスの肩にそっと手を置いて止める。ゆっくりと前に出たヴリトラは森羅を両手で構えながらジッと頭を見つめて意識を集中させた。そして頭が一定の距離まで近づくとヴリトラも頭に向かって走り出し、二人はすれ違い様に剣を振り攻撃する。互いに背を向けた状態で動かなくなる二人、ヴリトラは黙って前を見ており、頭はゆっくりと笑い出す。だが次の瞬間、頭はその場でうつぶせに倒れる。
「お、お頭ぁ!」
頭がやられた事に盗賊達は驚き、ラピュス達もヴリトラと頭を見て目を見張っている。
「・・・安心しろ、峰打ちだ。死んじゃいないよ」
ヴリトラは周りの者達にそう言って死んでいない事を伝えるとゆっくりと盗賊達の方を向く。
「どうする?アンタ達の頭は倒れた。まだやるか?」
「うう!」
ヴリトラの強さに驚き、盗賊達は完全に戦意を喪失する。十数人いた盗賊もヴリトラ達との戦闘で大勢が戦死し、生き残っているのはたったの五人だった。生き残った盗賊達はもう勝ち目はないと感じて持っていた武器を捨てて投降しようとする。だがその時、突如盗賊達の頭上から何者かが飛び下りて盗賊達の前に着地する。それはあのフード付きマントを着た女性だった。
「おっと!?」
「何、あの人?」
突然現れた女性に驚くヴリトラとリンドブルム。女性はゆっくりと姿勢を直してヴリトラ達の方を見ながら不敵な笑みを浮かべる。
「お、お前は!」
「そうだ、俺達にはまだコイツがいた!」
「まだ俺達に勝機はあるぞ!」
女性の登場に投降しよとしていた盗賊達の態度が一変する。女性は手に持っている大きな物に巻かれている布をゆっくりと取り始めた。すると布の下からは銀色の輝く大鎌が姿を見せる。大鎌を取り出した女性を見て警戒するヴリトラ達であったが、次の瞬間、女性は右手に持つ大鎌を横に構えて勢いよく左回転し自分の後ろに立っている盗賊達は全員斬り捨てた。盗賊達は何が起きたの理解する間もなくその場に倒れて息絶える。
「ウフフフ♪あたしはねぇ~、弱い奴を助ける気なんてないのぉ。だって、あたしは弱い奴を仲間とは思ってないも~ん」
死んだ盗賊達を見下ろしながら不敵な笑みのまま呟く。盗賊達を瞬殺した女性を警戒しながら武器を構えるヴリトラ達。女性はゆっくりと振り返り自分を見ているヴリトラ達を見て笑いながら手を振った。
「ハァ~イ、こんにちは♪レヴァート王国騎士団と有名な傭兵隊の皆さ~ん」
「・・・アンタ誰だ?盗賊達の仲間か?」
「仲間ぁ?じょ~だん言わないでぇ、そんなはずないじゃな~い」
「そうなのか?盗賊達の態度から見て、アイツ等はアンタを仲間と思ってたみたいだけど・・・?」
「コイツ等が勝手にそう思ってただけ、正直あたしは迷惑してたのよねぇ~」
盗賊達は女性を仲間だと思っていたが、女性は仲間と思っていない。この複雑な関係にヴリトラは何かあると感じて表情を鋭くし、リンドブルムもヴリトラの隣までやって来て同じように鋭い視線で見つめた。すると女性は静かにフード付きマントを外す。マントの下には胸元を露出している紅色の鎧と腕甲、トレットを身に付けており、腰には二本の短剣が納められている。更に革製のベルトを付け、後ろには透明の液体の入った小瓶が幾つも付いていた。女性は大鎌を背中に回し両手でクルクルと回し始める。
「それよりも、人に名を聞く時はまず自分から名乗るのがれーぎってやつじゃないのぉ~?」
「・・・そりゃ悪かったな?・・・俺はヴリトラ、それでこっちはリンドブルム」
「あらぁ、可愛いボウヤねぇ?あたしは『ペルシェアラ』、よろしくね?」
「ペルシェアラだと?」
女性の名前を聞いたラピュスは驚き、ヴリトラとリンドブルム、そして周りのジージル以外の騎士達も一斉に彼女の方を向いた。そんなヴリトラ達を見てペルシェアラは再び不敵な笑みを浮かべる。
盗賊達に圧勝したヴリトラ達であったが、そこにペルシェアラを名乗る女性が乱入してくる。仲間であるはずの盗賊達を躊躇なく殺すその女性をヴリトラ達は危険と判断、強い警戒心を向けるのだった。




