第百六十四話 いざ反撃! 勝利の鍵は武器の入れ替わり?
一人でヴリトラ達四人と互角に戦うデーモン。彼は七竜将の動きを常に先読みして対応している。だが唯一情報の無いラピュスの行動だけは先読みできず、少しだけ攻略の糸口が見えて来た。これを機にヴリトラ達の反撃が始まり、より戦いは白熱化し幼稚している。
ラピュスの騎士剣を火焔剣で止めるデーモンは腕に力を入れてラピュスを押し戻そうとする。ラピュスも両腕に力を入れ押し返そうとするが、機械鎧兵士の力には敵わず、疲れが出てきて表情も崩れていく。
「小娘、俺の背後に回り込んだ事は褒めてやる。だがその行動が俺の怒りを買った。ただの人間に背後を取られるなど、これ程の屈辱を受けた事はない!」
「それはお前の虚栄心が生んだ失敗だ。相手を見下し、自分はヴリトラ達には負けないと言う思い上がりがお前に隙を作らせたのだ!」
必死で火焔剣を止めるラピュスはデーモンを睨み付けながら彼の欠点を言い放つ。それを聞いたデーモンの表情には更に鋭さが増し、ラピュスにとてつもない殺気を向ける。
「・・・やはり、貴様から先に始末してやるわ!」
デーモンはラピュスに死刑宣告をして火焔剣を持つ腕に更に力を入れラピュスを押し倒す。押されて体勢を崩したラピュスはその場に座り込んでしまい、デーモンはの炎の纏った火焔剣をラピュスに向かって振り下ろそうとする。そこへヴリトラが自分の背を向けているデーモンに向かって跳んで行き、森羅を鞘に納めた。
「皆藤流剣術壱式、煉獄居合!」
ヴリトラは勢いよく鞘から森羅を抜いてデーモンに居合切りを放った。しかし、その事に気付いたデーモンは素早く振り返り、ヴリトラの居合切りを火焔剣で防いだ。
「チッ!居合切りを簡単に止めやがったか!」
間合の読み難い居合切りをアッサリと止められた事に悔しがるヴリトラ。ラピュスへの攻撃を邪魔されたデーモンはヴリトラを睨みつけて内蔵機銃を向ける。
「これからこの小娘を殺るところだ、邪魔をするなぁ!」
「仲間が殺されるところを黙って見過ごすバカがいるかぁ!」
声を上げ名がら内蔵機銃を連射するデーモンとその銃撃を森羅で弾くヴリトラ。弾丸を防ぎながらデーモンとの距離を縮めるヴリトラはデーモンが攻撃範囲に入ると素早く森羅で攻撃した。デーモンは火焔剣で森羅を止めると火焔剣に纏われている炎の勢いをより強くする。
「アチッ!」
勢いを増した炎の熱にヴリトラは怯んでしまい、その隙を突いてデーモンは森羅を払いヴリトラに炎の突きを放つ。ヴリトラは体を左へ反らしギリギリで突きをかわすが炎の突きが右肩を掠めて小さな切傷と火傷を負ってしまう。
「グゥ!?」
肩から伝わる痛みと熱さに声を漏らすヴリトラは表情を歪ませた。そんなヴリトラを見て笑みを浮かべたデーモンは再び内装機銃をヴリトラに向けて撃とうとする。だがデーモンの左側面からジャバウォックが現れてデュランダルを勢いよく振り下ろして攻撃する。それに気づいてデーモンはジャバウォックのいる方角と正反対の方へ跳んで振り下ろしを回避した。だが跳んだ先にはニーズヘッグが回り込んでおり、背後からアスカロンで攻撃しようとする。
「甘いわ!」
デーモンを背後にいるニーズヘッグに言い放つと右腕の機械鎧の肘から刃が飛び出して肘打ちをする様にニーズヘッグに刃で攻撃をした。それを見たニーズヘッグは一瞬驚くも冷静に刃をかわしてデーモンから距離を取りアスカロンを構える。
「アイツ、あんな所にも短剣を隠していたのか・・・」
ニーズヘッグは遠くから肘の内蔵超振動短剣をしまうデーモンをジッと見つめる。未だに大きな隙を見せないデーモンに四人は微量の汗を流す。
「・・・あれだけの連撃を受けてもまだ余裕の表情を見せているなんて、アイツ、幹部クラスの中でも上の方なのかもしれないな・・・」
ヴリトラは右肩の傷を見た後にデーモンの戦い方を観察して実力がどれ程のものなのかを計算する。そんな時、小型通信機からコール音が鳴り、ヴリトラは小型通信機のスイッチを入れた。
「こちらニーズヘッグ、ヴリトラ、ジャバウォック、聞こえるか?」
「ああ、聞こえている」
ニーズヘッグの声を聞いたヴリトラは返事をし、ジャバウォックも小型通信機から聞こえてくるニーズヘッグとヴリトラの声を聞いていた。その隣ではラピュスが騎士剣を握ってデーモンを警戒しながらジャバウォックが通信をしている姿を見ている。
「これだけ攻撃してもアイツは表情一つ変えない。俺達の中で誰が動けば次に誰が動いて攻撃するのかを完全に知り尽くしている」
「だろうな、アイツの動きを見れば分かる」
「なら、少し戦い方を変えてみないか?」
「変えるって、普段の戦い方とは違う方法で戦うと逆に隙を作ることになるかもしれないぞ?」
「ああ、だからほんの少しだけ戦い方を変えるんだよ」
「「?」」
ニーズヘッグの言葉に意味が分からずに難しい顔を見せるヴリトラとジャバウォック。ラピュスは通信の内容が聞こえず、ジャバウォックの表情を見てまばたきをしていた。
それからしばらく通信をしていると、話がまとまりヴリトラ達は小型通信機のスイッチを切る。そしてジャバウォックはラピュスに通信の内容をは説明した。
「そんな方法で戦うのか?」
「ああ、これなら大きく戦い方を変える訳じゃねぇから隙もでき難い」
「だがそれだと私達が戦い難くなるのでは?」
「デーモンを倒すにはそれが一番安全な方法だ。それに今回のポイントはお前だラピュス。上手くアイツに一太刀入れてくれよ?」
笑いながらラピュスに期待するジャバウォックにラピュスは複雑な顔で頷いた。ラピュスに説明し終えるとジャバウォックはヴリトラとニーズヘッグに向かって手を振り、二人もジャバウォックの方を向いて頷く。そしてヴリトラ達はデーモンの方を向いて武器を構える。
「じゃあ、早速始めますか・・・」
ヴリトラは笑いながら視線を動かしてラピュス達の方を見る。そんなヴリトラをデーモンは目を鋭くしてジッと見つめていた。
(奴等、通信機を使って何かの作戦を伝え合ったな?・・・だが、どんな作戦を取ろうと俺には通用しない!俺はお前等の行動パターンや攻撃方法を研究し尽くしてどのタイミングでどう攻めて来るのかが手に取るように分かる。だからこそジークフリート司令はレヴァートの同盟国であるセメリトに俺を送り込んだのだ。お前達と遭遇した時に必ず始末できるようにな)
自分なら絶対に七竜将には負けない、その自信を心の中で呟くデーモンは火焔剣を構えてバラバラになっている七竜将を警戒した。そんな時、最初に動いたのはニーズヘッグだった。ニーズヘッグは左腕から内蔵機銃を出してデーモンに向かって発砲する。デーモンは弾丸を全て火焔剣で弾き落とし、自分もニーズヘッグに向けて内蔵機銃を撃とうとした。そこへヴリトラは森羅を構えながらデーモンに向かって走って来る。それに気づいたデーモンは内蔵機銃の銃口をニーズヘッグからヴリトラに向けて発砲した。ヴリトラは弾丸を弾きながらデーモンに向かって行く。その姿を見たデーモンは呆れ顔を見せる。
「なんだ、また同じ方法で攻める気か?学習能力の無い連中だ」
デーモンはヴリトラに無い属機銃を撃ちながらまだ動いていないジャバウォックとラピュスの気配を探る。
(他の二人に動く気配は無しか・・・なら、さっさとこの二人を片づけてあの小娘を始末する!)
ヴリトラとニーズヘッグを片づけた後にどう動くかを考えたデーモンはニーズヘッグの銃撃を弾きながらヴリトラに発砲する。そんな中、ヴリトラは突如右へ跳び、森羅の持ち方を変えるとそれを投げ槍の様にデーモンに向かって投げつけた。
「何!?刀を投げた?」
驚くべき行動にデーモンは一瞬驚いたが、飛んで来て森羅をかわした後に姿勢を低くし今度はニーズヘッグに向けて内蔵機銃を撃つ。ニーズヘッグはアスカロンで弾丸を弾きながらヴリトラの下へ走る。二人が合流するとデーモンは銃撃を止め、ヴリトラを見ながら嘲笑った。
「ハハハ、刀を投げるとは予想外だったが、結局俺には傷を負わせる事はできなかったな?それどころかお前は刀を失い丸腰の状態となった、どうするつもりなのだ?」
「・・・フン、丸腰?それは違うな」
ニーズヘッグはそう言って分かり返すと、それを見たデーモンは何を言っているのか理解できずにただ二人を見ていた。その時、突然背後から何かが飛んで来る気配を感じて振り返る。そして自分の顔に向かって飛んで来る物をギリギリでかわしてそれを目で追う。よく見るとそれはラピュスの使っていた騎士剣だった。そしてその騎士剣はヴリトラの方へ飛んで行き、ヴリトラは自分の真横を通過しようとする騎士剣の柄を掴み、騎士剣を構える。
「騎士の剣だと?・・・・・・まさか!?」
何かに気付いたデーモンは再び振り返ってラピュスの方を向く。そこにはヴリトラの森羅を持つラピュスの姿がありその隣ではデーモンがデュランダルを片手で持ち手を振っている姿があった。
「上手く行ったな、ヴリトラァ~?」
「ああ!こっからが本番だ!皆、気を引き締めて行けよ!」
ヴリトラの言葉に隣にいるニーズヘッグや遠くにいるラピュスとジャバウォックは力強く頷いた。
そんな会話をしていると、デーモンは突如笑い出す。
「フ、フフフフ、ハハハハハッ!何をするのかと思えばただ武器を交換しただけではないか?そんな事をして一体何になると言うのだ?」
ヴリトラ達の行いを小馬鹿にするデーモンをヴリトラ達を黙って見ている。
「例え武器を交換したとしても使う者の戦い方が同じなら何の意味もない。寧ろ使い慣れていない武器を使って戦い難くなるだけだ」
「確かにな。だが、使い慣れない武器を使うなら、使いやすい戦法を使えばいいだけだ」
「何だと?」
ヴリトラの言葉にデーモンは思わず聞き返した。デーモンがヴリトラと話をしている時、ラピュスは森羅を持ちながら感覚を確かめる。
「・・・私が普段使っている剣よりもずっと軽い。これならいつもより速く振る事ができる。だが、これだけ軽いと敵に重い一撃を与える事はできないか・・・」
「確かにそうだが、その分切れ味はお前の使う剣よりも優れているぜ?」
ラピュスの隣に立っているジャバウォックがラピュスを見ながら言った。ラピュスはふとジャバウォックの方を向いて不思議そうな顔をする。
「日本刀は刀身が長く緩やかなカーブを描いているから騎士剣よりもよく切れる。しかもそれはメトリクスハートを埋め込んだ超振動刀、鋼鉄の鎧だって細切れにできるぜ」
「そ、そんなに凄い物なのか?この森羅は?」
「ああ。ソイツをお前が使えば必ず奴は隙を見せるはずだ」
ジャバウォックの言葉にラピュスは森羅を見つめ、ゆっくりと両手で構える。握った感覚も少し違うが戦うのに支障はない。そう感じたラピュスはデーモンのを見て鋭い視線を向ける。
デーモンは振り返って森羅を構えながら自分を見つめているラピュスを見て舌打ちをした。
(あの女が超振動の日本刀を持ったか・・・・・・成る程、奴等、俺があの小娘の戦い方だけ読めないから奴に強力な武器を渡して戦わせる事にしたのか。そうなるとただでさえ動きが読めないあの小娘がより複雑な動きをしてくる、考えたな・・・)
ヴリトラ達の考えを理解したデーモンは舌打ちそして自分を挟むヴリトラ達を警戒した。ヴリトラはラピュスの騎士剣を両手で持ちながらデーモンを見つめる。ラピュス達も自分の武器を持ってデーモンに何時でも攻撃できるようにした。
「さて、この剣は森羅よりも重いから攻撃のタイミングを少しずらさないといけないな・・・まぁ、戦って行けばすぐに感覚が掴めるだろう!」
そう言ってヴリトラは騎士剣を構えてデーモンに向かって走り出す。それを見たデーモンは内蔵機銃をヴリトラに向けて発砲した。ヴリトラは銃撃を回避しながら距離を詰めて行き、デーモンの左側面に回り込むと勢いよく騎士剣を横に振って攻撃する。だが、森羅より重い騎士剣で攻撃した為、動きが若干遅く、デーモンは簡単にその攻撃を見切った。
「バカめ、やはり使い慣れていない武器を使うと攻撃の速さも落ちる。あの日本刀より遥かに遅いわ」
デーモンは左腕の機械鎧でヴリトラの斬撃を止めようとする。超振動剣の様な鉄をも切り裂く武器とは違う普通の剣なら機械鎧を盾にすれば十分防げる、そう考えたのだ。しかし、騎士剣がデーモンの機械鎧に当たった瞬間、予想以上の衝撃が機械鎧からデーモンに伝わった。
「何っ!?何だこの重さは・・・!」
「油断したな?今までは普通の人間であるラピュスが騎士剣で攻撃をしてきたが、今は機械鎧兵士である俺が使ってるんだ。当然剣を振る力もラピュスとは比べものにならない位強い。今までと同じ感覚で防御していると危ないぜ?」
「き、貴様ぁ!」
余裕の笑みを浮かべるヴリトラを見てデーモンは睨み付けた。すぐに騎士剣を払い火焔剣で反撃をする。ヴリトラは騎士剣で素早く火焔剣を止め、それと同時にデーモンは火焔剣の刀身に炎を纏わせる。炎と高熱で一瞬怯んだヴリトラは一歩下がった。するとデーモンがヴリトラに意識を向けている隙に今度は背後からラピュスは森羅を構えて走って来る。
「チイィ!今度はこっちか!」
ラピュスの気配に気づいたデーモンは振り返りながら火焔剣を横に振って近づいて来るラピュスに攻撃する。ラピュスは森羅を素早く森羅でデーモンの横切りを止め、刃が触れ合う箇所から大量の火花が飛び散った。
「ううっ!」
「フン、こっちの方は剣を変えてもあまり変わらないようだな?」
「それはどうかな!?」
ヴリトラがラピュスに視線を向けているデーモンに向かって騎士剣を振り下ろした。デーモンは火焔剣でラピュスに攻撃しながらヴリトラの振り下ろしを左手で止める。
「フフフ、さっきは油断したが、今度はお前が使っている事を計算して全力で止めさせてもらった。もうお前の攻撃は通用せんぞ?」
「・・・フッ」
「何がおかしい?」
突然小さく笑うヴリトラにデーモンは尋ねる。するとヴリトラは笑いながらデーモンを見つめた。
「俺の事ばかり気にしてていいのか?」
ヴリトラがそう言った直後、ラピュスは火焔剣を払い、デーモンに連続切りを放つ。気付いたデーモンはその全ての攻撃を火焔剣で止めているが、その表情には若干驚きと焦りが見えている。
(コイツ、一撃の重さが大した事ないが、攻撃の速さがさっきとは違う!?・・・まさか、さっきの剣よりも軽い日本刀に持ち替えただけで、ここまで速さが変わるとは・・・!)
ラピュスの攻撃速度の変化に驚きを隠せないデーモンは必死でラピュスの連撃を防いでいく。機械鎧兵士でもないただの人間の騎士に押されている事が自分でも信じられないデーモンは微量の汗を垂らし始める。やがて、これ以上抑え切れないと判断したデーモンは騎士剣を掴んでいる左手を離してヴリトラとラピュスから距離を取る為に大きく跳んで離れた。
「お、おのれぇ!武器を変えただけでこの俺が押されるとは!なら距離を取り、ロケット弾で吹き飛ばしてくれるわ!」
接近戦では自分が不利だと考えたデーモンは距離を取ってロケット弾で攻撃する作戦に出た。だが、それを見逃す程ヴリトラ達はお人好しではない。
「そんな事させるかよ!」
いつの間にかデーモンの右真横にジャバウォックの姿があり、それを見たデーモンは驚く。
「お前、一人でも俺達に余裕で勝てるって言ったよなぁ?・・・そう言うのを、自惚れって言うんだぁ!」
ジャバウォックは叫ぶ様にデーモンに左アッパーを撃ち込んだ。
「ぬぉおおおおおっ!」
高く打ち上げられるように殴られたデーモン。そんなデーモンの後ろではニーズヘッグがデーモンと同じ高さまで跳び上がって左足の膝関節の装甲を動かし、マイクロ弾でデーモンを狙っていた。
「き、貴様っ!?」
「お前に殺された連中の苦しみを、少しは思い知れ!」
「や、やめろぉ!」
ニーズヘッグはデーモンの言葉に耳を貸す事なくマイクロ弾を発射する。マイクロ弾は真っ直ぐデーモンの背中へ向かって飛んで行き、彼の背中に直撃して爆発した。
「ぐがああああああああぁ!」
爆発の中から聞こえてくるデーモンの断末魔。その直後に爆発の中だ更に大きな爆発が起きた。どうやらデーモンの機械鎧の自爆装置が起動したようだ。そして黒い煙の中からデーモンが使っていた火焔剣の降ってきて地面に突き刺さる。地上ではヴリトラとラピュスが爆発を見上げている姿があった。
「まさか、武器を変えただけでこうも形勢が変わるとはな・・・」
「ああ、小さな戦いの変化が私達を勝利に導いたのだろう」
「それだけじゃないさ。あの野郎が自分の力に酔い、自分の計算した通りにしか敵が動かないと思い込んでいた事が奴の敗因だったんだ」
「成る程・・・」
「と言うか、それ以前にたった一人で四人と戦おうと考えている時点馬鹿げてるけどな?」
「フッ、偉そうに言うだけの事はあると言って少しは奴の実力を認めていたじゃないか?」
「あぁ~・・・それは、そのぉ~」
困り顔のヴリトラを見てラピュスはクスクスと笑う。そこへジャバウォックとニーズヘッグが合流し、四人は遠くで戦いが終わったの確認して喜んでいるリンドブルム達の方を見た。
「何とか終わったな?」
「ああ」
「・・・だけど、大きな犠牲を払ってしまったのも事実だ」
マービングの部隊を守れなかった事にニーズヘッグとジャバウォックは低い声を出す。セメリト王家から騎士達の警護を任されたのに一部隊を全滅させてしまった事に二人は情けなく思っている。
「・・・とにかく、リンドブルム達と合流してレイグリーザに戻ろう。敵部隊を倒したとはいえ、まだ俺達の仕事は終わってない」
「ああ、そうだな」
「行こう」
ヴリトラ達は周囲を確認しながらリンドブルム達の下へ戻って行く。それからヴリトラ達は簡単に傷の手当てをしてカイネリアの部隊を守りながらレイグリーザへ戻って行った。
デーモンに勝利したヴリトラ達。だが、マービングの部隊は全滅し、カイネリア達の部隊も負傷してしまう。七竜将や懲罰遊撃隊にとって、今回の戦いは苦い勝利になってしまった。