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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第八章~消えていく隣国の剣~
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第百六十一話  デーモン隊襲来! 冷酷な悪魔の火焔剣

 ドリアードの部隊に勝利したリンドブルム達はセメリト王国騎士隊と共に任務先へと向かう。それから無事に任務を終えたリンドブルム達はまたブラッド・レクイエム社から襲撃される事を考えで臨戦態勢でレイグリーザへ戻るのだった。

 日が沈みかけて空がオレンジ色の染まって行く中、首都レイグリーザまであと5K程の所まで来たリンドブルム達。これまでブラッド・レクイエム社からの襲撃は受けておらず、順調に進んでいた。


「ここまでブラッド・レクイエムからの奇襲は一度も無かったね」

「ああ、だが、まだ安心はできない。レイグリーザに戻るまで気を抜くなよ」


 バンの助手席から外を見るリンドブルムにニーズヘッグが運転をしながら忠告をする。リンドブルムの腕や頬にはドリアードの戦いの時に負った傷を手当てした後があり、後部座席に座っているジルニトラも同じように手当てをしていた。


「ジルニトラ、傷は痛む?」

「平気よ。あたしを誰だと思ってるの?七竜将の衛生兵よ?こんな傷、あたしの治療ならすぐに痛みが引くわ」


 心配するファフニールを見ながらジルニトラは笑いながら答える。その様子を見えファフニールもホッとしたのか笑みを浮かべた。


「・・・そう言えば、セメリト王国の騎士の人達はどうかな?」

「仲間の兵士が全員殺されてしまったんだ。未だにショックを受けて落ち込んでるだろうな」


 ニーズヘッグの話を聞いて後部の窓から顔を出して前を見るファフニール。先頭を馬に乗って歩いているマービング達生き残りの四人の騎士達。その内の一人は大きな荷車に乗っており、その荷車にはブラッド・レクイエム社によって殺害された兵士達の遺体が積まれている。全て布を上から被せられており、武器なども荷車の隅に置かれてあった。


「・・・私達がしっかりしていれば兵士の人達も死なずに済んだのに」


 兵士達を守れなかった事に罪悪感を感じて表情を暗くするファフニール。運転しているニーズヘッグとリンドブルム、ジルニトラはファフニールを視線だけ動かして黙って見ている。そこへ馬に乗ったラランとアリサがバンの隣にやって来た。


「落ち込まないでください。あれは仕方がなかったんですよ」

「アリサさん・・・でも・・・」


 自分をフォローしてくれるアリサを見るファフニールだったが、やはり責任を感じており表情を暗いままだった。そこへ今度はラランがアリサと隣でファフニールとリンドブルムを見つめる。


「・・・前にガバディア団長が言った。後悔するよりも反省する事が大事って」

「そうです。次にどうすればいいのかをしっかりと考えて二度と同じ様な事が起こらないようにする事が大切ですよ」


 姫騎士達の励ましを聞いたファフニールは少しずつ表情を変えていき、やがて小さく笑いながら力強く頷いた。


「・・・そうだね。うん、もう二度とあんな事は起こさせないように頑張る!」


 元気になったファフニールを見て笑顔を見せるアリサと無表情のまま頷くララン。リンドブルム達も何時ものファフニールに戻った事を確認して笑みを浮かべる。

 しばらく進んで行くと、遠くにY字の分かれ道が見えてニーズヘッグ達はバンの中からそれを確認する。


「あの分かれ道を右に行けばレイグリーザはもうすぐだな」

「うん!・・・あれ?」


 分かれ道を見ていたリンドブルムは自分達から見て左の道から一団が歩いて来る光景を見つけた。その一団は馬に乗った騎士や歩いている兵士達で構成されており、その中には白いジープの姿もある。その一団がヴリトラ達だと気付いたリンドブルムは助手席の窓から顔を出して手を振り大声を出す。


「お~~い!ヴリトラァ~!」


 ヴリトラの名を叫ぶリンドブルム。遠くのジープの助手席からはヴリトラはリンドブルム達の方を見て手を振っている姿が見えた。運転席ではジャバウォックが小さく笑っており、後部座席ではオロチが無表情のまま斬月を肩に立て掛けてリンドブルム達を見ていた。しばらくして分かれ道で合流したヴリトラ達はそれぞれ仲間の下へ向かい無事を確認し合う。


「リンドブルム!皆!」

「ヴリトラ、大丈夫だった?」

「ああ、俺達はブラッド・レクイエムの連中と出くわす事はなかった。そっちはどうだった?」

「それが・・・」


 ヴリトラの問いかけにリンドブルムは表情を少し曇らせて後ろを向く。ヴリトラや彼の後ろにいたラピュス、ジャバウォック、オロチはマービング達の後ろにある荷車に積まれている兵士達の遺体を見て何が遭ったのかを察し表情を鋭くした。


「・・・攻撃を受けたのか?」

「うん、ブラッド・レクイエムの強襲部隊にね・・・」

「俺達はソイツ等の交戦したんだが、奴等、ヴェノムを所持してやがったんだ」

「ヴェノム?アメリカの中型軍用ヘリか?」

「ああ。アイツ等、空中から銃をぶっぱなって来て兵士達を一瞬で全滅させたんだ・・・」


 ニーズヘッグから詳しい話を聞いたヴリトラは真剣な表情で彼等を見つめる。ラピュスとジャバウォックも同じように黙って話を聞いていた。


「何とかブラッド・レクイエムの部隊は倒したけど、生き残ったセメリト王国の騎士隊はマービング隊長と三人の騎士だけだった」

「そうか・・・」


 兵士達を守れなかった事に責任を感じているリンドブルムを見てヴリトラはそっと頭に手を置いた。


「あまり自分を責めるなよ?相手がヴェノムを所持していたのは流石に予想できなかったんだから」

「うん、分かってる・・・」


 ヴリトラとリンドブルムが静かに話をしているとラピュスの下にラランとアリサがやって来て無事を確認し合う。


「アリサ、ララン!大丈夫だったか?」

「ハイ、私達はなんとか」

「・・・平気」

「そうか・・・」

「ただ、ブラッド・レクイエム社との戦闘で何人かが負傷を・・・」

「何?大丈夫なのか?」

「あっ、ハイ。ジルニトラさんが応急処置をしれくれましたから」


 仲間の騎士達が無事だと知ってホッと一安心するラピュス。

 ヴリトラ達が話をしていると、彼等の下へ馬に乗ったカイネリアが近づいて来た。彼女は馬から降りると荷車に積まれている仲間の兵士達の遺体を見てゆっくりと目を閉じ俯く。


「・・・カイネリアさん、ごめんなさい。僕達がついていながら貴方の仲間達を・・・」


 リンドブルムはカイネリアに下へ行き、ゆっくりと頭を下げて謝罪した。するとカイネリアは振り返りリンドブルムと視線を合わせる。


「・・・ヴァルトレイズ大陸、いや、ファムステミリアでは常に生死と隣り合わせだ。騎士として、兵士として生きる者達も常にその事を覚悟している。彼等は兵士として目の前の現れた敵と戦い、そして死んだ。・・・貴方達のせいではない」

「カイネリアさん・・・」

「それに、もし貴方達がいなかったらマービング達も死んでいたかもしれないのだ。寧ろ、彼等を守ってくれた事に感謝している」


 兵士が死んだ事でリンドブルム達を責める事もなく、逆に感謝するカイネリアにリンドブルムは目を見張って意外そうか顔を見せる。ファフニールも同じ様な表情を見せており、ヴリトラ達はカイネリアとリンドブルムの会話を静かに見守っていた。

 カイネリアはゆっくりと姿勢を直し、今度は馬に乗ったまま暗い表情をしているマービング達に鋭い視線を向ける。


「見たところ、マービング達は殆ど怪我を負っていないみたいだが・・・大方、彼等が敵に恐れを成して戦おうともせずに身を隠していたのだろう?」

「うっ!」


 図星を突かれて反応するマービング。他の男性騎士達も同じ様な反応を見せ、それを見たカイネリアは呆れ顔で溜め息をついた。


「自分の部下達が殺されたと言うのにお前達は戦おうともせずに怯えて隠れていたのか!?」

「ま、待ってくださいカイネリアさん!確かに彼等は戦いに参加していませんでしたが、それは僕達が隠れている様に指示したんです」


 何もしなかったマービング達に喝を入れるカイネリアにリンドブルムは宥めた。カイネリアはリンドブルムの方を向くと腕を組んで首を横に振る。


「いいや!例え貴方達が隠れている様に指示したとしても、それを振り切ってでも仲間の仇を討つ事こそが部下を死なせてしまった部隊長としてのせめてもの落とし前というものだ」

「うへぇ~、仲間に対してはメチャクチャ厳しいな、カイネリアって?」

「そ、そうだな・・・」


 カイネリアの迫力を見て小声で話をするヴリトラとラピュス。他の七竜将や姫騎士達もカイネリアの表情を見て少し驚いている様子だった。


「・・・い、言いたい放題言ってくれるな、カイネリア!」


 一歩的に責められていたマービングは我慢できなくなったのか馬を下りてカイネリアの前までやって来て互いに睨み合う形になった。


「お前はアイツ等の恐ろしさを知らないからそんな事が言えるのだ!」

「例えどれ程強大な力を持った敵であったとしても何もせずに怯えている時点でお前は騎士として失格だ!」

「何を言うか!?空を飛ぶ鉄の大きな鉄の竜に乗って遠くから攻撃して来る様な連中にどう戦えばいいのだ!」


 互いに自分の意思を相手にぶつけ合うマービングとカイネリア。徐々に険悪な雰囲気になっていく事にヴリトラ達も困り顔になって行く。そんな時、何処からか低い音が聞こえて来てその場にいた一同は一斉に反応する。


「何だ、この音は?」


 ラピュスが聞いた事の無い音を聞いて周囲を見回す。だが、ヴリトラ達七竜将やララン、アリサの二人はその音の聞き覚えがあり警戒心を強くする。


「おい、リンドブルム。この音は・・・」

「うん、僕達の前に現れたブラッド・レクイエムの強襲部隊が使っていたヴェノムのプロペラ音と同じ音だ!」


 またブラッド・レクイエム社のヴェノムが近づいて来る事に気付いたリンドブルム達は武器を手に取り、ヴリトラ達もそれぞれ自分の得物と手にする。カイネリアは聞いた事の無い音に警戒しており、マービング達はプロペラ音を聞いて怯えた表情を見せていた。

 プロペラ音は徐々に大きくなり、ヴリトラ達はプロペラ音の聞こえる方向を向くと遠くからヴェノムがこちらに向かって飛んで来る姿が見える。それはリンドブルム達が遭遇したドリアードの部隊のと同じ黒いブラッド・レクイエム社のヴェノムだった。


「やっぱりヴェノムか・・・」

「ヴリトラ、あれがヘリコプターという乗り物なのか?」

「ああ、軍用のヘリで多くの兵を乗せて移動する事ができる」

「じゃあ、あの中にはブラッド・レクイエムの兵士が?」

「いるだろうな」


 ヴリトラからヴェノムの情報を聞いて緊張を走らせるラピュス。ジャバウォック達も近づいて来るヴェノムを見ながら何時でも攻撃できる様に臨戦態勢に入る。カイネリア達は見た事の無い空飛ぶ物体を見て目を丸くしていた。


「・・・あれが空を飛ぶ鉄の竜?だが、あんなのは見た事がないぞ」

「き、来たぁ!」

「また襲って来るぞぉ!」


 驚くカイネリアの隣でマービングや男性騎士達は怯えながらうずくまり震える。その情けない姿を見たカイネリアは呆れながら自分の騎士剣を抜く。


「皆!我々セメリト王国の騎士達を襲った敵が現れた!殺された者達、そして連れ去られた者達の為にも必ず勝つのだ!」

「「「おぉーーっ!」」」


 カイネリアの号令で騎士や兵士達は武器を取り声を上げる。それを見たヴリトラ達は無茶をしないでほしいと心の中で祈っていた。やがてヴェノムはヴリトラ達の頭上を通過してレイグリーザへ続く道の真上でホバリングする。これでヴリトラ達は首都に逃げ込む事ができなくなった。


「逃げ道を塞がれたか」

「逃げる気など無い・・・」


 ジャバウォックとオロチが頭上でホバリングしているヴェノムを見上げながら呟いていると、ヴェノムの側面のドアが開き、BL兵がMP7でヴリトラ達を狙う。


「アイツ等、また空から一方的に攻撃するつもりか!?」

「そんな事はもうさせない!」


 ニーズヘッグとリンドブルムはマービングの隊の兵士達を空から蜂の巣にされた時の事を思い出して表情を鋭くしライトソドムと内蔵機銃の銃口をヴェノムに向けて発砲した。BL兵は銃撃して来た二人を見てヴェノムの中に隠れる様に下がる。ヴェノムも上昇して銃撃されない様にヴリトラ達の周りをグルグルと回りながら様子を窺う。だがそこへ、ジェットブースターで空を飛んだオロチがヴェノムの正面に現れ、両脚の機械鎧の内蔵されている三連式マイクロ弾を発射する。ヴェノムのパイロットは突然放たれた六発の小型マイクロ弾に驚きすぐに対応できず、全てのマイクロ弾はコックピットに命中し爆発した。

 コックピットから火が上がり、ヴェノムは空中で回転し始める。それを見てヴェノムを落す事に笑みを浮かべるヴリトラ達。だが、側面のドアから無数の人影が飛び降りてヴリトラ達の数m前に全員が着地する。そしてヴェノムは回転しながら降下していき、平原の中へ落ちて爆発した。ヴリトラ達はヴェノムから脱出した人影を見て武器を構える。そこにはドリアードと共に任務に就いていたデーモンとその指揮下のBL兵達の姿があり、全員超振動マチェットやMP7を手にしている。人数はデーモンを含めて十人、ドリアードの部隊より一人多かった。


「奇襲されておきながらあれだけ冷静に対応するとは、流石は七竜将と言っておこうか」

「お前が隊長か?」


 ヴリトラがデーモンを見ながら訊ねるとデーモンは不敵な笑みを浮かべた。


「いかにも。ブラッド・レクイエム社強襲部隊隊長のデーモンだ」

「強襲部隊、ドリアードと同じですか」

「そうだ。それにしても、ドリアードの隊のヴェノムが戻って来た時は正直驚いた。まさか、アイツがやられてしまうとはな」


 仲間がやられたのにその事について何も感じていないのかデーモンは笑い続けている。それを見たヴリトラやリンドブルムは不快に思いデーモンを睨み付けた。そこへカイネリアが一歩前に出てデーモンに騎士剣を向ける。


「貴様等が我が国の騎士達をさらった者達の一味か!なぜ我が国の騎士を襲う!?」

「フン、別にこの国の騎士でなくてもよかったのだ。我々はただ優秀は騎士を欲しているだけなのだからな」

「騎士を欲する?さらった者達を自分達の仲間に引き入れるつもりか?」

「話す必要も無かろう?お前も我々と来ればその理由が分かるのだからな」


 挑発しながら笑うデーモンにカイネリアはギリッと歯を食いしばり睨み付ける。そんなカイネリアの肩にジャバウォックがそっと手を置いた。


「挑発に乗るな・・・・・・俺達が彼女達に付いている以上、お前等の好き勝手になさせねぇぞ」

「ドリアードはあたし達を四人相手にして負けたのよ。七竜将全員が揃っている状態でアンタ達に勝ち目が思えないけど?」


 ジャバウォックの隣でジルニトラはサクリファイスを持ちながらデーモンに警告をする。デーモンはマントの下から機械鎧の両腕を出して腕組みをしながら鼻で笑う。


「アイツは敵を軽く見る性格でな。だが俺はアイツと違う、常に敵の力を計算して慎重に戦う性格だ。お前等こそ、七人揃っているからと言って油断していると痛い目を見るぞ?」

「ご心配ありがとう。俺達もアンタと同じで相手の力を計算する慎重な戦い方をするんだ。そして、俺達は互いに仲間を信じ合っている」


 ヴリトラは小さく笑いながら自分の仲間達を自慢する様に言い返す。


「フッフッフ、そうか。それならその実力がどれ程のものか見せて貰おう・・・・・・ん?」


 笑っていたデーモンが突如何かに反応してリンドブルム達が通って来た道の方を見る。そして鬱陶しそうな顔で舌打ちをした。


「・・・その前に招かざる客が来たようだ」

「ん?」


 理解できないヴリトラ達はデーモンが見ている方向を向く。そこには何と右腕の機械鎧がボロボロになり、特殊スーツの至るところが焼け焦げて火傷をしているドリアードの姿があった。被っていた略帽は無くなり、額からも血が垂れている。


「デ、デーモン・・・」

「ドリアード!?」


 瀕死のドリアードを見て驚くリンドブルム。彼と共に戦ったニーズヘッグ達も同じように驚いている。


「ど、どうして生きてるのよ?」

「確か、ジルニトラのグレネードを受けたよね?」

「・・・恐らくグレネード弾を受ける直前に右腕の機械鎧を盾にして直撃を避けたんだろう」


 ジルニトラ、ファフニールが驚く隣でニーズヘッグがドリアードの姿を見て何が遭ったのかを分析する。

 ドリアードはヴリトラ達を気にする事なくボロボロの体を引きずってデーモンの下へ歩いて行く。


「た、助けてくれ、デーモン・・・借りは必ず返す・・・」

「バカが。勝手に行動しておいて、負けた挙句生き恥を晒す気か?」

「デーモン・・・」


 助けを求めるドリアードを見てデーモンは腰に納めてある直剣を抜いて両手で構えた。


「もう貴様の様な小娘など当てにしていない。いや、寧ろ目障りだ!」

「デ、デーモン・・・何を?」


 突然直剣を構えるデーモンに驚きドリアードは後ろに下がる。


「消えろ、ブラッド・レクイエムの面汚しがぁ!」


 デーモンは地を蹴りドリアードに向かって跳んだ。デーモンが直剣の柄に付いている小さなスイッチを押すと突然刀身が炎を纏い出し、そのままドリアードの体に袈裟切りを放つ。


「うああああああぁ!」


 斬られた箇所から痛みと熱さを身に受けてドリアードの断末魔が平原に広がる。躊躇無く仲間を斬り捨てるデーモンの姿にヴリトラ達は表情を固めた。ドリアードを斬り捨てた後、デーモンは後ろに跳んで元の位置に戻る。するとドリアードはゆっくりと仰向けに倒れ、それと同時に機械鎧からブザー音が鳴り響き機械鎧は大爆発を起こしドリアードの体を跡形も無く吹き飛ばす。爆風で体勢を崩さない様にヴリトラ達は体に力を入れて踏み止まる。爆発が治まると、そこには粉々になった機械鎧の残骸しか残っていなかった。


「フフフ、驚いたか?これは我がブラッド・レクイエムが開発した『火焔剣ヒートブレード』だ。刀身の中に可燃性のある液体を流し込み、スイッチを入れる事によって刀身に炎を纏わせ斬撃と同時に相手の体を焼き払う事ができる」


 自分の武器を自慢げに話すデーモンをヴリトラ達は黙ったままジッと睨み付けていた。


「彼女はお前の仲間だろう!助けを求めていたのになぜ殺した!?」


 ラピュスは仲間を殺したデーモンの行いが気に入らず、睨み付けながら声を上げる。デーモンは火焔剣のスイッチを切り、刀身の炎を返すとゆっくりと火焔剣を鞘に納めた。


「弱者は我等に必要ない!戦う事のできなくなった者はただのクズだ!」

「くううぅ!」


 仲間をクズ扱いするデーモンの冷酷さにラピュスは拳を強く握りしめる。そこへヴリトラが怒りで震えるラピュスの肩に手を置いた。


「奴等には仲間意識なんてものは無い。あるのは人を傷つけ、仲間を利用するという意志だけだ・・・」

「ああ。だが、その中でも奴は特に酷い・・・流石は悪魔デーモンのコードネームを持つだけはあるって事か・・・」


 ヴリトラとニーズヘッグがデーモン達を見てブラッド・レクイエム社の冷酷さを口にし表情をより鋭くした。


「さぁ、これで邪魔は無くなった。早速始めようか、七竜将!」


 デーモンが笑いながら改めて七竜将の戦闘開始を宣言する。デーモンの周りにいるBL兵達もデーモンがドリアードを殺した事に何も感じていない様子で武器を構えた。静かな平原で再び激しい戦闘が始まろうとしている。

 任務を終えて合流したヴリトラ達。だが、レイグリーザを前にデーモンの部隊が現れてヴリトラ達の行く手を阻む。ドリアード隊よりも恐ろしいデーモンの部隊にヴリトラ達は勝てるのだろうか。


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