第百三十五話 再会と亀裂 ヴリトラVSラピュス!
ヴリトラ達のチームが元老院の特務隊と遭遇する。だが、その特務隊の隊長がラピュスだと知り一同は愕然とする。この瞬間、ヴリトラ達にとって今までに経験したのことない最も過酷な戦いが始まるのだった。
予想外の人物の登場に表情を固めるヴリトラ達。その一方でラピュスは鋭い表情でヴリトラ達をジッと見つめており、右手に持つハイパワーを強く握るのだった。
「・・・お前、本当にラピュスなのか?」
「・・・ああ・・・」
突然のラピュスの登場にヴリトラは驚きながら尋ねる。そんな質問にラピュスは表情を変えること無くゆっくりと頷いた。
「それじゃあ、お前の後ろにいる他の六人は・・・」
ヴリトラはラピュスの後に現れた六人の特務隊の騎士達の方を見ると騎士達はラピュスと同じようにフードをめくって顔を見せる。その下からは今までヴリトラ達と共に戦ってきた第三遊撃隊の騎士達の顔が出て来た。四人の男性騎士に二人の女性騎士、その顔を見てヴリトラ達は更に驚き目を見張る。
「アイツ等!第三遊撃隊の騎士達!?」
「どうして彼等が!?」
第三遊撃隊の騎士達が元老院の特務隊として自分達の前に現れた事に未だに驚くニーズヘッグとリンドブルム。だが、一番驚いていたのはラランだった。自分が副隊長を務めている遊撃隊が自分の前に敵として現れたのだから。
「・・・皆、どうして?」
「副隊長・・・」
「ララン・・・」
「・・・・・・」
戸惑うラランの顔を見て騎士達は目を反らした。その表情にはやり切れないような気持ちが感じられ、ヴリトラ達と戦うのが不本意だという事を表している。勿論それを見たヴリトラ達もその事は直ぐに分かった。
ヴリトラはその事を理解した上でラピュスの方を向く。彼女の表情は鋭いままだが唇を目立たないように噛みしめており、何を耐えているような気持ちが伝わって来る。
「・・・ラピュス、分かり切っている事を聞くようで悪いんだけど念の為に訊くぜ?・・・どうして此処にいるんだ?」
「・・・決まってるだろう?お前達を処刑する為だ」
「・・・ッ!」
ヴリトラの表情が若干歪む。分かっていても直接本人の口から聞かない事には納得できなかったのだろう。ヴリトラの隣にいるリンドブルム達もラピュスの口から出た言葉にショックを受けていた。
「まさか、お前達まで俺達が反逆者だという事を信じているんじゃないよな?」
「・・・・・・」
ヴリトラの質問にラピュスは答えなかった。代わりに持っているハイパワーの銃口をヴリトラに向ける。そして六人の騎士達もマントの下からMP7やベレッタ90を出して構えた。
「・・・私は、騎士として王国の為にお前達と戦う」
「俺達よりも元老院の言う事を信じるのか・・・?」
「・・・・・・そうだ!」
しばらくの沈黙の後にラピュスは声に力を入れて答えた。その言葉を聞いたヴリトラはラピュスをジッと見ながら森羅を構える。リンドブルムとラランは向かい合う二人を見て驚きと戸惑いの表情を浮かべている。そんな中でニーズヘッグはさり気なく小型無線機のスイッチを入れた。数回コール音が鳴ると応答音が聞こえる。しかし、ニーズヘッグは一言も喋らずにラピュス達の方を見てアスカロンを構えた。
「・・・ラピュス、前に話したよな?俺達七竜将を絶対に裏切らない事、それを約束した上で俺達はレヴァート王国に力を貸すと契約をしたはずだ。何のどうして俺達を裏切る?」
「先に王国を裏切ったのはお前達だろう」
「俺達は裏切っていない!全部元老院の仕組んだ事だ。俺達が恩を仇で返す様な事はしないって事はお前達が一番よく知ってるはずだ!ましてやお前と長い間苦楽を共にしてきたラランとアリサがいるんだぞ?お前はそんな二人が反乱を起こしたと信じてるのか!?」
自分達よりも付き合いの長いラランとアリサまでもが王国を裏切ったと疑うラピュスにヴリトラは声を上げながら訊ねる。自分の戦友であり優秀な部下である二人までも反逆者として見るラピュスの態度にヴリトラは怒りを感じていたのだ。ラピュスは自分を睨むヴリトラにハイパワーを向けながら冷たくどこか寂しさを感じられる視線でヴリトラを見つめていた。
「・・・此処は戦場だ。戦場では如何なる場合でも私情を挟んではいけない、それが戦士の心構えだ。だから私はラランとアリサが裏切ったのか否か、その答えはどうでもいいのだ。ただ国の為に戦うのみ!」
「お前、本気でそう言ってるのか・・・?」
ラピュスの冷たい言葉にヴリトラは耳を疑いラピュスを呆れる様な顔で見つめて訊き返す。リンドブルムとラランもラピュスの口から出た信じられない言葉を聞いて驚きのあまり言葉を失う。以前のラピュスなら決してそんな事は言わなかった、なのに今自分達の前にいるラピュスはただ命令に従うだけの存在になっていたのだ。ニーズヘッグだけはラピュス達をジッと見つめながら話を聞いており、その間彼の小型通信機は繋がったままだった。
同時刻、離れた所にいるジャバウォック達は小型通信機から聞こえて来た言葉を聞いて驚きの表情を浮かべている。彼等は通信に応答してずっと誰かの声を待っていたのだが、小型通信機から聞こえてきたヴリトラ達の声を聞き、ラピュスが特務隊となってヴリトラ達の前に現れたのを知った。そう、ニーズヘッグが小型通信機のスイッチを入れたのはジャバウォック達にラピュス達の事を知らせる為だったのだ。
「一体どういう事なんだ?どうしてラピュス達がヴリトラの前に・・・」
「しかも第三遊撃隊を連れて、あたし達を倒し為に送り込まれたってヴリトラの声が聞こえたわ。どうしてあの子がそんな事を・・・」
ファフニールと合流したジャバウォックとジルニトラは小型通信機に指を当てながらヴリトラ達の声を聞いていた。やはり二人もラピュスが元老院の言う事を信じて自分達を討伐しに来た事が信じられないようだ。
「ラピュスさんがそんな事するはずないよ!今までずっと一緒に戦ってきた仲間だもん!」
ミルバに跨りながら二人に意見するファフニール。ジャバウォックとジルニトラもファフニールの方を向いて真面目な顔を見せた。
「落ち着け、ファフニール。信じられないのは俺とジルニトラも同じだ。だが現にラピュスはヴリトラ達の前に現れてアイツ等を攻撃しようとしている」
「そうね。でも、あの子が元老院の言葉だけであたし達を反逆者と信じて討ちに来たとは考えにくいわ。きっと何か理由があるはずよ?あの子があたし達を討ちに来た大きな理由が・・・」
「その理由って?」
三人がラピュスがどうして元老院に従って自分達を討ちに来たのか考えようとする。その時、突然遠くから銃声が聞こえて三人の近くに無数の弾痕が生まれた。
「ッ!銃撃!?」
「まさか!?」
突然の銃撃に驚くジャバウォックとジルニトラは銃声の聞こえた方を向くと、三人から西に100m離れた位置にMP7とベレッタ90を構えている数人の特務隊、つまり第三遊撃隊の騎士達の姿があったのだ。
「アイツ等、遊撃隊の連中か!?」
「隠れて、また撃って来るわよ!」
「ミーちゃん!」
ジャバウォックとジルニトラが近くにある大きな岩の陰に隠れ、ファフニールもミルバに声を掛けて二人が隠れている岩の陰に移動させる。その直後、再び第三遊撃隊は発砲して来て岩に無数の弾痕ができていく。
「お前等、大丈夫か!?」
「ええ、何とか。それにしても、いきなり撃って来るなんて・・・」
「あの人達、私達の事を本当に反逆者だと思ってるの?」
「分かんないわよ!でも、彼等があたし達を本気で殺そうとしているのは確かね」
「それじゃあ・・・」
ファフニールは嫌な予感がし、悲しそうな表情でジルニトラを見る。ジルニトラはサクリファイスを構えながら岩の陰から顔を出して第三遊撃隊の様子を窺う。
「安心しなさい。あたしだって何度も一緒に戦ってきた戦友達を殺す気は無いわ」
「ああ、まずはアイツ等を動きを止める。その後に色々と話を聞かせて貰えばいい」
ジルニトラもジャバウォックも第三遊撃隊の者達を殺す気は無いと知って安心するファフニール。ミルバから降りてギガントパレードを構えながら二人と同じように岩から顔を出して様子を窺う。仲間だった者同士の望まない酷な戦いが遂に始まってしまった。
オロチ達の方でも戦闘が始まっていた。オロチがアリサとガズンに合流した直後に第三遊撃達とも接触し、話をする間もなく戦いが始まり三人は岩陰に隠れて銃撃を凌いでいた。
「アイツ等、本当にお前等の仲間だった奴等なのか?」
岩陰に隠れながらガズンが近くのオロチとアリサに尋ねる。弾丸が岩に命中する度に石片が飛び散り、それに驚くガズンは思わず目を閉じてしまう。オロチは無表情のまま岩から顔を出して相手の位置を確認する。
「間違いない。さっきの通信でヴリトラとラピュスの会話を聞いた・・・」
「そうかい。それにしても、スゲェ攻撃だなぁ・・・これがお前等の使う銃って言う武器の力なのか?」
「そうだ・・・」
銃に驚くガズンと敵の様子を窺うオロチ。そんな二人に挟まれているアリサは俯いて持っているベレッタ90を見つめていた。
「・・・隊長、皆・・・」
暗い表情でラピュスと遊撃隊の仲間達の事を呟くアリサ。やはり彼女もラランと同じで仲間から銃口を向けられた事がショックだったようだ。オロチは様子を見るのを止めるとアリサの方を向いて無表情のまま口を開いた。
「アリサ、何時まで落ち込んでいるつもりだ?落ち込んでいてもこの状況は変わらないぞ・・・」
「・・・・・・」
「そんな事をしている暇があるのならどうすればこの状況を抜け出せるのか、そして仲間達と戦わずに済むのかを考えろ・・・」
「戦わずに?」
オロチの言葉を聞いたアリサは顔を上げてオロチの方を向いた。オロチは斬月を手に取り、刃をジッと見つめる。
「私はアイツ等と命を賭けた戦いをするつもりはない。嘗て共に戦った者達を殺す程、私達七竜将は腐っていないという事だ・・・」
「オロチさん・・・」
「それに、これは私の勘だがラピュス達は望んで私達と戦ってるのではないと思う・・・」
「え?それって、どういう事ですか?」
アリサはオロチの言葉の意味が理解できずに訊き返す。するとオロチは斬月を下ろして第三遊撃隊のいる方角を向いた。
「それは直接彼等から聞けばいい。もっともここまで激しく攻撃して来るのだから、すんなりと捕まってくれるはずはないがな・・・」
「だろうな」
オロチの言う事に同意するガズンは隣にいるガルバの頭を撫でながらオロチとアリサの方を向いて言った。
「だから、多少は彼等にも痛い目に遭ってもらう事になる。お前もそれくらいは覚悟しておけ・・・?」
「・・・分かりました」
アリサはオロチの言葉にゆっくりと頷きながら返事をした。仲間達と戦い、彼等を傷つける事になるが上手く行けば全員無事で戦いを終わらせる事ができる。アリサはベレッタ90を握り、オロチに仲間達の命運を託すことにした。
オロチは斬月を両手で持ち、両足に力を入れて高くジャンプし、近くの木の枝の上に飛び乗った。遠くから銃撃している第三遊撃隊も木の枝に飛び乗ったオロチに気付いて彼女に向かって発砲する。オロチが飛んで来る銃弾を冷静に全て斬月で弾き落とす。
「・・・どんな事情があるにしても、お前達は仲間に銃を向けたんだ。ケジメはつけてもらうぞ・・・!」
鋭い表情で呟くオロチは勢いよく跳んで第三遊撃隊の方へ向かって行く。第三遊撃隊も自分達に向かって来るオロチに驚きながら銃器を撃ち応戦するのだった。
遠くから聞こえてくる銃声を聞き、ヴリトラ達も反応して緊張を走らせる。ラピュスは銃声のした方を視線だけを動かして見ており、しばらく聞いたらゆっくりとヴリトラの方を向いた。
「・・・どうやら他の皆も始めたようだな」
「ジャバウォック達か・・・」
ヴリトラは森羅を構えながらラピュスの言葉を聞いてジャバウォック達も他の遊撃隊の騎士達と戦いを始めた事に気付く。ヴリトラの後ろにいるリンドブルム達も自分の武器を手に取り、ラピュスと彼女が連れて来て騎士達を見て武器を構えた。騎士達も銃器を構えて何時でも発砲できる態勢に入っている。
「ヴリトラ、私達も始めるぞ」
「・・・ラピュス、もう一度訊くぞ?お前達は本当に俺達が反乱を起こしたと信じているのか?」
もう一度自分達を疑っているのかラピュスに尋ねるヴリトラ。そんな質問にラピュスは小さく溜め息をつき、ハイパワーを右手から左手に持ち替えながらヴリトラを見つめた。
「何度も言わせるな。私は一国の騎士に過ぎない、王国が決めた事に首を突っ込んで真実を知る資格など私には無い。私達は騎士は国の為に、国に住む民の為に反逆者と言われるお前達を討つのだ。私情を持ち込む事などできない」
ラピュスは右手でマントの脱ぎ捨て、後ろにいる六人の騎士達も続けてマントを脱ぎ捨てた。マントの下からはラピュス達が何時も身に付けている鎧とマント現れ、腰には騎士剣が納められている。ラピュスは空いている右手で騎士剣を抜き、切っ先をヴリトラに向けながらハイパワーを顔の前まで持って来た。戦闘準備の整ったラピュスを見てヴリトラは目を閉じながら一度息を吐く。そしてゆっくりと目を開いてラピュスをジッと睨んだ。
「ラピュス、俺はこれまで何度もお前の騎士としての意思やプライドを見て来た。そしてお前は本当に心身ともに強い姫騎士だと思ったよ。だけど、今のお前にはその強さがまるで感じられない。自分の騎士としての生き方を見失ったように見える・・・」
「ッ!・・・此処はファムステミリア、お前達のいた世界とは違うのだ。別の世界から来た者が騎士の生き方で知ったような事を言うんじゃないっ!」
一瞬表情が歪んだラピュスはヴリトラを睨んでハイパワーを撃った。ヴリトラはラピュスの銃撃をかわしてラピュスに向かって走り出す。向かって来るヴリトラにラピュスはハイパワーを連続で撃ち応戦するもヴリトラは森羅で弾丸を弾いたり回避したりなどして全て防いで近づいて行く。
「ラピュス隊長!」
「下がってください!」
ラピュスの後ろに控えていた騎士達もラピュスを援護しようとMP7とベレッタ90でヴリトラを狙う。すると、突然銃声が聞こえて騎士達の持っている銃器が全て弾かれて宙を舞った。
「な、何だ!?」
騎士達は突然の出来事に驚いて声を漏らす。そして銃声のした方を向くとリンドブルムがライトソドムとダークゴモラを構えている姿が目に飛び込む。騎士達の銃器はリンドブルムの銃撃によって弾き飛ばされたのだ。銃器を失った騎士達にラランとニーズヘッグが突撃槍とアスカロンを持って突っ込んで行く。向かって来る二人を見て騎士達も騎士剣を抜いて二人を迎え撃つ。ラランは騎士の斬撃を突撃槍で防ぐと素早く騎士剣を払って隙のできた腹部に蹴りを撃ち込む。ラランは三人の騎士をジッと見つめて突撃槍を構える。
「・・・皆、どうしてこんな事をするの?」
「副隊長、これも上からの命令なんです。悪く思わないでください」
「私達は王国の騎士、命令があれば例え戦友だった相手とも剣を交えるわ・・・」
「・・・本当に私達を反逆者として見ているの?」
「それは・・・」
ラランの質問に言葉を詰まらせる男性騎士。他の男性騎士や女性騎士も騎士剣を構えながら目を逸らしており、それを見たラランはこの戦いは彼等の望んだものでない事と直感した。
「・・・皆、こんな戦いは望んでないんでしょう?」
「な、何を言っているの?こんな時に時間稼ぎ?」
「俺達は自分の意思で戦ってるんです!」
呆れから騎士達が動揺した。ラランと離れた所で別の騎士達を相手しているリンドブルムやニーズヘッグがその騎士達の反応を見て気付く。
(呆れかに何か隠してるな・・・)
(何か理由があるみたいだけど、まずはこの戦いで皆を止めないと!)
ニーズヘッグとリンドブルムは心の中で呟き、まずは目の前で騎士剣を構えている騎士達を止めるが先と考えた。ニーズヘッグはアスカロンを構えて目の前に男性騎士と女性騎士を見つめ、リンドブルムもライトソドムとダークゴモラをホルスターに納めて目の前の男性騎士を見て構える。騎士達は自分達の前に立つ機械鎧兵士二人に驚きながらも騎士剣を握り続けた。
そしてヴリトラも銃撃を防ぎながらラピュス近づいて行き、ラピュスの目の前まで来るとラピュスの左手を蹴ってハイパワーを弾く。
「クッ!」
ハイパワーを失ったラピュスは両手で騎士剣を握り、目の前に立つヴリトラに袈裟切りを放った。ヴリトラも森羅でラピュスの斬撃を払って防ぎ反撃をする。しかしその斬撃をラピュスは後ろに軽く跳んで回避し突きを放つ。迫って来る切っ先をヴリトラは体を右に反らしてかわし、そのまま森羅で反撃した。ラピュスは騎士剣を両手で強く握り迫って来る森羅の刃を騎士剣で止める。森羅と騎士剣の刃が交わりそこから火花と金属が削れる音が広がった。
「「・・・・・・」」
お互いに相手を見つめながら黙って歯を食いしばるヴリトラとラピュス。僅か十数秒の刃の交じり合いにもかかわらず二人の間には激しく戦意がぶつかり合っていた。
「・・・どうしても俺と戦うつもりか?」
「まだそんな事を言っているのか?お前も戦士ならいい加減に認めろ。私とお前達はもう仲間ではない、敵同士なんだ!」
「少し前まで戦友だった相手を敵として求めろって言われて素直に認める奴なんていない。少なくとも俺達七竜将はそんな甘っちょろい奴等の集まりなんだよ!」
「そんな甘い感情を持っていたら、この世界では生きていけないぞ!?言ったはずだ、此処はファムステミリア。お前達のいた世界とは違う!」
ラピュスは両手に力を入れて森羅を押し戻し、森羅が離れた瞬間に騎士剣で連続切りをヴリトラに撃ち込む。ヴリトラもラピュスの連撃を森羅で防いでいき、二人の戦いは更に激しさを増して行った。
「お前達は王国に反乱を起こした重罪人と判断された!だから私は王国騎士としてお前達を討つ!」
「それは元老院の出した答えだろう!お前自身はどう考えてる?元老院がウソをついているとお前には分かるはずだ。なのに何で元老院の言いなりになる?そんなに元老院を敵に回すのが怖いのか!?」
「お前に私達の世界の何が分かると言うんだ!?貴族として生きる以上、騎士として戦い以上、私達は王国には従うのが当然の事だ!」
「何時からそんなに石頭になっちまったんだ!?」
「これが私の考え方だ!今も昔も変わらない!」
森羅と騎士剣の刃が交差して火花が飛び散る中、ヴリトラとラピュスは睨み合う。猛獣達が住む森の中で傭兵の青年と姫騎士は自分達の想いをぶつけ合うのだった。
ラピュス達第三遊撃隊とぶつかるヴリトラ達。嘗ての戦友達とぶつかり合う双方は自分達の思いと正義を胸に目の前の敵と刃を交え合う。この神と悪戯とも言える戦いはどの様な結末を迎えるのだろうか。