第百二十三話 緊迫 元老院議長との対決!
ヴァルボルトと対面し、ブラッド・レクイエム社の事を説明したヴリトラ達。ヴァルボルトも七竜将の話を聞き、次に七竜将がレヴァート王国でどの様な立場に置くかを話そうをした。だがそこへ元老院のファンストが会話に割り込んでくる。
謁見の間に広がるファンストの声に、ヴァルボルトやパティーラム、ヴリトラ達は全員ファンストの方を向く。上級貴族達もファンストの方を向いて驚いていた。
「どうした?ファンスト」
ヴァルボルトはファンストの方を向いて訊ねるとファンストは腰を曲げながら玉座に座っているヴァルボルトを向いた。
「陛下、私はこの者達を我が国に迎え入れる事に反対です!」
「何?」
突然のファンストの反対進言にヴァルボルトは訊き返した。上級貴族達もファンストの進言にざわめきだし、パティーラム達王族やガバディア達騎士も驚きの表情を浮かべる。勿論、七竜将や姫騎士達も同じだった。
「・・・あれがファンスト公か」
「ファンスト?」
ラピュスの言葉を聞き、ヴリトラはふとラピュスの方を向く。
「ラピュス、ファンストって、パティーラム様が言っていた元老院の?」
「ああ。私も直接見るのは初めてだが、間違いないだろう。・・・エドワード・ガ・ファンスト。レヴァート王国元老院の議長でこの国でも一二を争う程の実業家だと聞いている。王族に近い上級貴族の出身で彼の家系は長年に渡って王族を支えて来たと言われていた」
「言われていた?」
引っかかる言い方にヴリトラは小声で訊き返す。
「彼が元老院の議長になられてから王国の方針が随分変わったらしい。貴族と平民の扱いには大きな差が出て、一定の条件を満たしていない平民には重要な職に付かせないと決めたのだ。更に言えば、騎士や王国戦士こそがこの国で真の戦士と言うべき存在、それ以外の戦士、特に傭兵は名前だけ立派な弱者と決めつける差別主義者で王国から傭兵に依頼する時はまともな報酬を与えない事にしている」
「ハッ、大した差別者だな?」
呆れる様な顔でファンストの方を向くヴリトラ。ラピュスもジッと遠くでヴァルボルトと話をしているファンストを見つめていた。
「そして彼は王家に近い上級貴族の出身、元老院の最高権力者である事を利用し、元老院の全てを自分の思い通りに動かそうとしている。他の元老院議員の発言で気に入らないものは全て却下し、逆らう者は迷わずに罰を与えるんだ。だから他の元老院の方々も皆、彼を嫌っている」
「まぁ、差別主義者なら嫌われるのは当然か・・・。それにしても、お前は随分と元老院の事に詳しいな?」
「全てガバディア団長から聞いた話だ。それに私も一応貴族の肩書きを持っているからな、自然とそう言う情報が入ってくるんだ」
「成る程・・・」
「因みにファンスト公は私達の様に平民が騎士になれる事や姫騎士になった平民出の騎士が貴族になるという決まりも気に入らないらしい・・・」
「貴族と平民を差別する様な奴なら当然の考え方だろう・・・」
ラピュスの説明を聞いてファンストがどんな人物なのかをある程度理解したヴリトラはジーっと目を細くしてファンストを見つめる。二人の後ろで話を聞いてたリンドブルム達もファンストを見つめて不愉快そうな顔をしていた。
「どの世界にも一人はいるものね?他人を平気で差別する最低な連中が」
「貴族制のある国では珍しくない事ですよ」
ジル二トラが呆れながらファンストを見つめ、その隣で跪いているアリサがジルニトラに小声で話し掛ける。
「ただ、レヴァートは他の国と比べるとまだマシな方です」
「どういう事?」
「レヴァート以外の国、以前戦争をしたストラスタや同盟国のセメリトの差別は大きく、特に最大の国家であるコラール帝国は酷過ぎます」
「そんなに酷いの?」
「ええ、貴族と平民の暮らしに大きな差が出るほど・・・」
アリサの話と表情だけでジルニトラはコラール帝国がどれほど酷い国なのか想像がついたのか表情を歪めた。その帝国と比べたらレヴァートはまだマシなんだなと考えながらファンストの方をもう一度向く。
ファンストは持っている杖で床をカンカンと叩きながら少し苛立ちを見せる様な態度でヴァルボルトと話をしていた。
「陛下もお聞きになったはずです。此奴等はそのブラッド・レクイエムとか言う連中と同じ国から来たのですぞ?だったらいつ我等を裏切って襲い掛かって来るか分かりません。ましてや金で動く小汚い傭兵ども、国の為にも即刻、此奴を追放すべきです!」
「落ち着け、ファンスト。彼等はブラッド・レクイエムによってこの大陸に連れてこられたのだと聞いたであろう?」
「我等を欺く為のデタラメに決まっています!」
「では、お主は彼等がブラッド・レクイエムの仲間だという証拠があると申すのか?」
「あります。証拠は奴等の武器と姿です!」
ファンストは杖の先を七竜将に向けて大きな声を出す。ヴァルボルトや上級貴族達は全員七竜将の方を向き、ヴリトラ達の装備している武器と機械鎧を纏っている姿を見た。
「此奴等の姿や武器は以前武術大会で見かけたブラッド・レクイエムの連中とそっくりです。こんな複雑な義肢や武器は今のこの大陸の技術では作れません。つまり奴等と大きく繋がりがあるという証拠です!」
ヴリトラ達はファンストが口にした強引な証拠に呆れ顔になる。機械鎧と未知の武器を持っているからブラッド・レクイエム社の仲間、七竜将はブラッド・レクイエム社と同じ場所から来たのだから、同じ装備や義肢を持っていても不思議ではない。だが、それだけでブラッド・レクイエム社の仲間でヴァルボルト達の敵だと決めつけるにはあまりにも無茶苦茶だった。
ヴァルボルトはファンストの言葉を聞きて頭痛がしてきたのか頭を抱えて顔を横に振った。
「ファンストよ。お主の国を思う気持ちはよく分かった。だがな、今の発言は七竜将の者達に対して失礼極まりないぞ?彼等は我々の国を何度も救ってくれた。そして、武術大会の時も襲われた我が国の騎士達を助けようとしてくれたのも事実だ」
「しかし、彼等は皆殺されました。そして近衛騎士のビビットの遺体も盗まれてしまう始末、奴等がわざと見逃したという事も考えられますぞ?」
「・・・お待ちください!」
声を上げながら立ち上がるラピュス。七竜将に対して失礼な言葉を何度も口にするファンストに流石に我慢の限界が来たのか、ラピュスはファンストをジッと睨み付けた。周りの上級貴族やヴァルボルト達も声を上げるラピュスに驚いて彼女に注目する。
「ファンスト公!今の聞き捨てなりません、取り消してください!」
「・・・ラピュス・フォーネとか言ったな?貴様、たかが姫騎士の分際で儂に意見するつもりか?」
「例え元老院の議長でおられるファンスト公でも、仰って良い事と悪い事があります!七竜将は今日まで私達と共に多くの敵からこの国を守ってきました。それは紛れもない事実です!そして、彼等は武術大会で我が国の騎士が死んだ事に大きな責任を感じていました。先の海賊の一件でも・・・。国の為に尽くしてくれた彼等を、私の戦友を侮辱するのは止めて頂きたい!」
「そうです!彼等は何時どんな時でもこの国の民を考えてくれる優しい心を持っています。その彼等を悪く言うのは、私達が許しません!」
「・・・最低」
ラピュスに続いてアリサとラランもファンストに抗議する。王国内でも大きな権力を持つファンストに真っ向から抗議する三人の姫騎士に周りの上級貴族達は驚き、ヴァルボルトやパティーラム達も目を見張って見つめている。庇われたヴリトラ達も意外に思ったのか立ち上がる三人を見上げて見ていた。
「き、貴様等ぁ!平民上がりの騎士風情が上級貴族で元老院の議長である儂を侮辱するとは、ただでは済まさんぞぉ!?」
自分よりも位が下のラピュス達に文句を言われてプライドを傷つけられたファンストはラピュス達に杖を突きつけながら三人に怒鳴りついた。
「陛下の前で上級貴族に逆らう事がどれだけ愚かな行為か分かっておらんようだ。今すぐに貴様等の姫騎士の称号を剥奪し――」
「いい加減にしろよ?」
ファンストが話している最中に突然立ち上がり話に割り込んで来たのはヴリトラだった。ヴリトラはファンストをジッと睨み付ける。
「何だ!?傭兵風情が貴族の話に首を挟むな。引っ込んでいろっ!」
「うるせぇぞ、ハゲ」
「ハ、ハゲェ!?」
ファンストは自分のスキンヘッドを指摘されて驚きと怒りを感じながらヴリトラを睨む。するとヴリトラに続いてリンドブルム達、残りの七竜将もゆっくりと立ち上がるファンストの方を見る。
「いいか?俺達はな、例え貴族達から金でしか動かない連中だとか、傭兵なんて信じられないとか言われようが別に気にはしない。俺達はそう言う存在なんだからな?」
「でも、僕達の友達を傷つけたり、横暴な事で人を傷つけても何も感じない様な人は許せないんです」
「特にアンタみたいな自分に従わない人間は平気で切り捨てたり、人を比べて平気で差別する様なおっさんは大っ嫌いなんだよ」
ヴリトラに続いてリンドブルムとジャバウォックもファンストに抗議し出す。姫騎士達に続いて傭兵達まで元老院に盾突く姿にもはや上級貴族達は目を疑っていた。そしてファンストも傭兵が自分に盾突く姿に顔を真っ赤にして怒っている。
「お、おのれぇ~~!傭兵ごときがこの儂に刃向うとはぁ~~!許さん、この場で全員処刑してくれる。者ども!その大罪人どもを――」
「ファンスト!」
ヴァルボルトが力の入った声でファンストの名を叫び、それを聞いたファンストは言葉を止めてヴァルボルトの方を向く。
「お主は何をやっておるのだ?上級貴族に無礼な態度を取ったとはいえ、独断で騎士の称号の剥奪、そして国の為に尽くしてくれた者達を処刑するなど以ての外!」
「しかし、陛下・・・!」
「今回はお主に原因がある!・・・それにだ、お主も我がレヴァート王国元老院の議長であればもう少し気を長く持て。直ぐに感情的になり気に入らないものを排除するようではお主は子供と一緒だぞ?」
「・・・・・・失礼しました」
渋々頭を下げて謝罪するファンスト。ヴァルボルトのおかげで何とか緊迫した謁見の間は治まり、ファンストを見ながら一度溜め息をつくヴァルボルトはゆっくりとラピュス達の方を向いた。
「すまなかったな、フォーネ、ヴリトラよ?ファンストの口が過ぎた、どうか許してやってほしい・・・」
「い、いえ。私達もつい興奮してしまい、失礼しました・・・」
ラピュス達も自分達の立場を思い出して跪きながら謝罪する。それを見てヴァルボルトも静かに頷きながら彼女達を見つめた。
「今回がこちらが無礼を働いた為、処分を下すつもりはないが、お主達もこの国の民である以上、上級貴族への態度に注意してもらいたい」
「「「ハッ」」」
「「「「「「「ハイ」」」」」」」
ヴリトラ達は跪いたまま声を揃えて返事をする。しかし、ファンストは自分の無礼な態度には反省をしてはいるが、ヴリトラ達に何の処分も無い事は納得できない様子だった。
「へ、陛下。私めの発言が原因とはいえ、この者達の何の処分も無いのは納得できません。此奴等を・・・」
「ファンスト・・・」
納得できないファンストをジッと見つめて声を掛けるパティーラム。王女に睨まれた事でこれ以上言うのは自分の立場が悪くなると察しがファンストは一歩下がって黙り込んだ。
謁見の間の空気が落ちついて行き、騒いでいた上級貴族達もようやく静かになる。それを確認したヴァルボルトは改めてレヴァート王国での七竜将の立場についての話に戻した。
「では、お主達のこの国での改めて話したいと思う。聞けばお主達七竜将はそこにいるフォーネとガバディアの二人から指示を受けて動くらしいな?」
「ええ、ストラスタ公国との戦争の時にそう言う内容で力を貸すという事を条件にしましたから・・・」
「成る程。お主達はブラッド・レクイエムの者達に唯一対抗できる戦士だ。もし、この国で奴等が暴れるような事があれば、お主達には何度も戦場出てもらう事になる。ただ、フォーネもガバディアも立場上忙しくなり、お主達に依頼を伝える事ができない時もあるだろう。その時は代わりに使者を送り依頼をするのだが・・・」
「・・・俺達は二人からしか指示を受けないという条件で契約したのですが・・・」
「勿論、その事は分かっておる。できる限りは二人に依頼を伝えさせるつもりだ。だが、フォーネも遊撃隊から青銅戦士隊に配属された。つまり仕事の内容も変わってくる。どうか使者を送りという契約内容だけは変えてもらいたい」
「・・・・・・」
ヴリトラは最初に交わした契約内容を変えるか考えこむ。契約内容を途中で変えるのか傭兵としてのルールに反する事だ。しかし、ヴァルボルトも自分達の事を良く思ってくれており、自分達もこの国では色々と世話になっている。アッサリと断る事に抵抗があった。悩んだ末にヴリトラは顔を上げてヴァルボルトの方を向く。
「・・・分かりました。依頼内容を伝える者が二人以外の人物になる、という内容だけ変更します」
「え?ヴリトラ?」
ヴリトラの後ろに控えていたリンドブルム達が驚きの表情を浮かべる。
「本当に変えるの?途中で契約内容を変えるなんて今までなかったじゃないか?」
「ああ、お前らしくないぜ?」
「理由を聞かせろ・・・」
リンドブルムに続いてジャバウォックとオロチが変更の理由を尋ねる。ヴリトラはゆっくりと振り返り説明した。
「単純な理由さ。俺達はこの国には何度も世話になった。陛下が言ったようにラピュスやガバディア団長も騎士団としての立場があるから毎回俺達に会いに来るのは難しい。それに陛下がこうして直接頼んでるんだ、こっちの都合だけで断るのは失礼だろう?」
「それはそうだけど・・・」
一理あるヴリトラの説明にジルニトラは難しい表情を見せる。ジャバウォックやオロチも真面目な表情で考えこんだ。するとそこへリンドブルムが微笑みながらヴリトラを見つめて口を開いた。
「僕はヴリトラがそれでいいと思うならそうしてもいいと思うなぁ?」
「リブル?」
契約内容の変更に賛成するリンドブルムを見て意外そうな顔をするジャバウォック。
「確かに、僕達の都合だけで王様の頼みを断るのは良くないよ。色々とこの国でお世話になってるのも本当だし」
「そうだよね。私もそれでいいと思う」
「俺達のリーダーはヴリトラだ。ヴリトラについて行くだけだよ」
リンドブルムに続いて笑顔で賛成するファフニールと少しクールに呟くニーズヘッグ。残りの三人もリンドブルムの説明を聞き、顔を見つめ合ってもう一度考える。そして答えを出してヴリトラの方を向いた。
「分かった。俺も恩を仇で返すほどバカじゃねぇ」
「今までも何度もヴリトラについて行って上手く行ったんだもんね?」
「今回もそうしてみよう・・・」
「おいおい、買いかぶり過ぎだぜ?」
ジルニトラとオロチの言葉に苦笑いを浮かべるヴリトラ。そんな会話を隣でまばたきをしながら見ていたラピュス達は心の中で思った。「謁見の前に入る前に廊下で散々ヴリトラを小馬鹿にしていたのに、少し矛盾している・・・」と。
話を終えたヴリトラはヴァルボルトの方を向いて小さく笑う。
「という事で陛下。依頼をする使者がラピュスと団長以外の者が来る、という内容に変更します」
「重ね重ねスマンな?・・・その代わりと言っては何だが、お主達がこの城へ自由に出入りできるようにしよう。何か用があれば城に来るとよい」
「ありがとうございます」
頭を下げて礼を言うヴリトラ。ラピュス達も続いて頭を下げ、その姿を見たヴァルボルトやパティーラム、ガバディアは小さく笑っていた。上級貴族達の中にも静かにヴリトラ達を見つめたり、驚きの表情を浮かべている者もいる。だが、その中でファンストだけは気に入らなそうな顔で舌打ちをしていた。
それからしばらく今後の事などを話してヴァルボルトとの謁見を終えたヴリトラ達はガバディアと共に廊下を歩いて城の出口へ向かっていた。
「しかし、お前達には本当に驚かされたぞ?まさか、陛下の御前であんな騒ぎを起こし、ファンスト公に抗議するとは」
「お騒がせしました、団長・・・」
「なぜ謝る?陛下は気にするなと仰られたのだ。それにファンスト公の件も明らかにファンスト公に非があった。お前達は彼の権力に屈することなく抗議したのだ、儂はお前達を見て胸がスッとしたぞ?」
謝罪するラピュスを見下して笑いながら話すガバディアにラピュスは少しだけ表情を明るくし顔を上げた。二人の横や後ろを歩いているヴリトラ達も二人を見ながら歩いている。
「だが、ああいう事はこれっきりにしておけ?気付いて入りと思うが、ファンスト公は上級貴族以外の人間は平気で見下し、自分の権力を使い気に入らない相手を切り捨てようとする方だ。これ以上あの方を敵に回すようなことをすれば、どんな嫌がらせをして来るか分からんぞ?」
「分かっています」
「ハイ」
ガバディアの忠告を聞いたラピュスとヴリトラは返事をし、リンドブルム達も真剣な顔で頷く。
ヴリトラ達が廊下を歩いていると、向かっている先にある大きな柱の陰からゆっくりとパティーラムが姿を見せた。
「・・・!姫様?」
突然現れたパティーラムにラピュスは足を止め、ヴリトラ達もそれに続くように立ち止まる。パティーラムはゆっくりとヴリトラ達に近づいて行き軽く頭を下げた。
「皆さん、この度はファンストが大変失礼な発言をして申し訳ありませんでした・・・」
「姫様、顔をお上げください」
「いいえ。友人に不快な思いをさせてしまったのですから、上に立つ者として謝罪するのは当然の事です」
ファンストの無礼を代わりに謝罪するパティーラムにヴリトラ達は戸惑いの表情を見せる。そこへ、一緒にいたガバディアが不思議そうな顔で小首を傾げた。
「んん?友人?・・・フォーネ、それはどういう事だ?」
「え?・・・い、いえ、それは・・・」
「?」
更に戸惑いを見せるラピュスはガバディアはジーっと見つめる。
「その事では私が説明します」
「姫様?」
「とりあえず、此処で立ち話も何ですので場所を変えましょう?私の部屋へ」
「ええぇ!?パ、パティーラム様の部屋へ、ですか・・・?」
王女の部屋へ招待された事にヴリトラは驚き、ラピュス達も一斉に驚く。
「ええ、遠慮なさらずにどうぞ。・・・私も、お聞きしたい事がありますから・・・」
笑いながら歩き出すパティーラム。ヴリトラ達は目を丸くしながらパティーラムの背中を見つめ、ゆっくりと後をついて行くのだった。
元老院最高責任者であるファンストと一悶着起こしたヴリトラ達。だが彼等がファンストの権力に屈することなく抗議し、自分達の勇気と根性を上級貴族達に見せつける。この先、上級貴族達がヴリトラ達をどう受け止めるのか、それによりヴリトラ達の王国内での立場は更に変わってくることになるだろう。