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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第六章~荒ぶる海の激闘~
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第百十五話  強襲! 上級BL兵の戦力!


 街へ侵入したBL兵達と遭遇したラピュスとララン。応戦するも機械鎧兵士の強大な力の前にラピュスとララン以外の騎士、自警団員達が全員殺されてしまう。二人は駆けつけたヴリトラによって助けられて港へ戻ろうとするも三人の前に上級BL兵が立ち塞がりヴリトラはそれを迎え撃つのだった。

 ヴリトラが上級BL兵と戦っている頃、港の戦いは一段落ついていた。数十人もいたBL兵達は全員倒れ、その中に七竜将がボロボロになりながら立っている。バラバラになっていた二つのチームは合流し、港の中央で周囲を見回していた。そんな彼等の目の前にはブラッド・レクイエム社の中型船が停泊している。


「何とか片付いたな」

「ああ・・・」


 倒れている大勢のBL兵の中でジャバウォックとオロチはデュランダルと斬月を握りながら他に敵がいないかを確認する。その近くではリンドブルム達も同じように得物を握りながら周囲を警戒していた。


「それにしても、凄い数だったね?」

「確かにな。港に倒れている連中だけでもざっと五十人はいる」

「甲板の上にいる奴等も全員倒したし、もう敵は残ってないでしょう?」

「分からないよ?もしかするとまだ船の中に敵がいるかもしれない」

「おいおい、勘弁してくれよ。コイツ等全員を倒すだけでもかなりの体力と弾薬を使ったんだぞ?」


 船内を警戒するファフニールにニーズヘッグは疲労の表情を浮かべながら言った。そこへジャバウォックとオロチも合流する。


「ファフニールの言っている事も一理あるぜ?まだ船内には奴等の隊長がいるだろうし、まだ戦力を隠している可能性も十分ある」

「私達に雑魚共の相手をさせて体力を奪い、そこを残りの戦力で一気に攻撃し倒すと考えているかもしれない・・・」

「うわぁ~、セコイ戦い方ねぇ?こっちはたったに七人しかいないのに・・・」

「立派な戦略だ。こんなものをセコイと言っていたら全ての作戦がセコイ事になるぞ・・・?」


 敵の攻め方について話し合っているジルニトラとオロチ。ジャバウォックはそんな二人の会話を聞いて街の方を親指で差した。


「正確には六人だ。ヴリトラは街へ向かった敵を追いかけに行ったからな」

「ああぁ、そう言えばさっき通信で言ってたっけ?」


 リンドブルムはジャバウォックの方を向いて通信の内容を思い出す。

 実はヴリトラが街へ向かった直後にジャバウォックがリンドブルム達にヴリトラの行動を知らせており、それを聞いてリンドブルム達はBL兵と戦いながらジャバウォックとファフニールに合流して残りにBL兵達を倒し、今に至るという訳だ。


「ヴリトラ、大丈夫かしら?」

「心配ねぇよ、あんなチャランポランな野郎でも肩書は俺達七竜将のリーダーだ。たった数人の機械鎧兵士に苦戦するほど弱かねぇ」

「褒めてるのか小馬鹿にしてるのか分かり難い言い方ねぇ・・・?」


 ニッと笑いながらヴリトラの事を話すジャバウォックをジルニトラは呆れる様な顔で見る。周りのリンドブルム達も苦笑いをしたりジト目をしたりと色々な表情で二人の会話を聞いていた。

 そんな時、六人の前に停泊しているブラッド・レクイエム社の船の甲板から誰かが姿を見せてリンドブルム達を見下ろす。それは港を襲撃した部隊の隊長であるマーメイドだった。


「驚いたわ?まさかたった数人の傭兵達に私の可愛い部下達がやられちゃうなんて」

「「「「「「!」」」」」」


 マーメイドが姿を見せた事に気付いたリンドブルム達も自分達の武器を構えて一斉に甲板の方を向く。そして甲板の上で不敵な笑みを浮かべながら自分達を見下ろしているマーメイドを見つけるのだった。


「貴方が隊長ですか?」

「ええ、その通りよ。私はブラッド・レクイエム社海上強襲部隊隊長、マーメイド。よろしくね?」

「マーメイド・・・」


 ジッと甲板の上のマーメイドを見つめるリンドブルム。マーメイドは自分の細い体を見せびらかす様に体をくらせて笑う。


「そうよ~。どう?人魚のコードネームを持つに相応しい私のこのプロポーション?」

「・・・確かに見た目は綺麗ですね」

「リンドブルム?」


 ライトソドムとダークゴモラを下ろしてマーメイドを真剣な表情で見上げているリンドブルムをファフニールは意外そうな顔で見つめ、他の七竜将のメンバーもリンドブルムを見ながら同じ様な顔を見せていた。


「あら~♪アンタみたいな子供にも私の魅力が分かるのねぇ~♪」


 幼いとは言え、男に自分の美しさを認められた事が嬉しいのかマーメイドは笑ってリンドブルムを見つめる。するとリンドブルムは真剣な表情から呆れる様な顔へと変わって口を開いた。


「でも、中身は見た目と比べものにならないくらい醜いですね」

「んん?」


 リンドブルムの言葉に反応したマーメイドの顔から笑顔が消えて彼女はリンドブルムをジッと見つめる。


「どんなに見た目が美しくてもブラッド・レクイエムの様な人殺し集団に入る様な人の心なんてたかが知られてます」

「人殺し集団とは言ってくれるわねぇ?そう言うアンタ達だって金の為の他人の命を奪う人殺しじゃない」

「確かに。でも、僕達は貴方達の様に人の命を奪って快楽を得るほど腐ってませんから」

「・・・ガキのくせに言ってくれるじゃない?」


 リンドブルムの言葉にマーメイドは次第に苛立ちを見せ始めてくる。一方でリンドブルムの周りにいたジャバウォック達は何処か誇らしそうな顔でリンドブルムを見ながら笑っていた。

 甲板の上ではマーメイドは不機嫌そうな顔で七竜将を見下ろしながら腕を組んでいる。


「フン、成る程ね。ジークフリート司令の言った通り、無駄に正義感が強い連中だわ」

「人を殺す事に何の躊躇もせず罪悪感を感じないアンタ達にそんな事言われたくないわね?」

「いいわ。それじゃあその罪悪感を感じない私達がアンタ達を八つ裂きにしてあげる!」


 マーメイドはそう言って指をパチンと鳴らした。するとマーメイドの後ろから大きな影が四つ飛び出した。その四つの影はリンドブルム達の左右に二人ずつ彼等を挟む形で降り立つ。その四つの影はヴリトラの前に現れたのと同じ長身の上級BL兵だった。彼等はそれぞれ大型ハンマー、鎖付き鉄球、野太刀、サコーM60を装備している。


「何だコイツ等?」

「今までの敵とは雰囲気が違うよ?」


 突然現れた上級BL兵達に驚くニーズヘッグとジルニトラ。リンドブルム達は互いに背中を合わせて自分達を挟む上級BL兵をジッと睨む。


「フフフフ、彼等はブラッド・レクイエム社の中でも特に優秀な機械鎧兵士達よ。機械鎧も普通の物よりも性能が良く、武器も強力な物を使っているの」

「優秀・・・そうか、コイツ等が噂で聞いたのことあるブラッド・レクイエムの上級兵士か・・・」


 オロチは聞いた事のあるブラッド・レクイエム社の上級機械鎧兵士の事を思い出して斬月を構えながら鋭い視線を目の前に立つ上級BL兵に向ける。


「ウフフ、今までの機械鎧兵士と一緒と思っていると痛い目に遭うわよ・・・さぁ、アンタ達、ソイツ等をギタギタにしてあげなさい!」


 マーメイドはリンドブルム達を取り囲んでいる上級BL兵に指示を出し、彼等もマーメイドの命令を聞き持っている武器を構えた。リンドブルム達も目の前で武器を構える敵を見て自分達の武器を構える。


「上級か・・・確かに今まで戦ってきた機械鎧兵士とは一味違うみたいだな」

「ああ、こりゃあさっきの戦いよりも面倒そうだ」

「数ではこっちが勝るが、誰も上級兵士との戦闘経験が無い。油断するなよ・・・」


 ジャバウォック、ニーズヘッグ、オロチがそれぞれ上級BL兵を警戒しながら他の仲間達にさり気なく忠告する。一同は仲間の言葉を聞き、更に警戒心を強くして目の前に立つ上級BL兵を見た。その直後、ギガントパレードとほぼ同じくらいの大きさの大型ハンマーを持つ上級BL兵が大型ハンマーを振り上げて目の前のリンドブルム、ファフニール、ジルニトラに攻撃をした。三人は上級BL兵の振り下ろしを跳んで回避し直撃を免れるのと同時に大型ハンマーの頭は地面を叩き、大きく地面を凹ませながら轟音を立てる。

 突然背後から聞こえて来た轟音にジャバウォック、ニーズヘッグ、オロチは驚き振り返った。そこへ野太刀を持つ上級BL兵が二人に向かって勢いよく野太刀を横に振って攻撃して来た。それに気づいた三人も大きく跳んで斬撃を回避し上級BL兵達から距離を取った。


「チッ!あんなデカい刀を軽々と振り回すとは・・・!」

「これは今まで以上に気合を入れないと本当にマズイかもな」

「武器だけじゃねぇ、機械鎧の内蔵兵器にも注意しろよ?」


 三人がそれぞれ斬月、アスカロン、デュランダルを構えて目の前で野太刀と鎖付き鉄球を持つ上級BL兵を見ながら話をする。そんな彼等から少し離れた所ではリンドブルム達がサコーM60、大型ハンマーを持つ上級BL兵と向かい合っていた。


「軽機関銃とハンマーか・・・ハンマーの方はファフニールに任せるよ」

「えぇ?私一人で戦うのぉ?」

「だって僕とジルニトラは銃器を使ってるから・・・」

「酷~い!」

「・・・いや、冗談だよ、冗談」


 大型ハンマーを持つ上級BL兵を自分一人に押し付けようとするリンドブルムに頬を膨らませて怒るファフニール。そんなファフニールにリンドブルムは苦笑いを見せた。そこへジルニトラがサクリファイスを構えながら二人に注意する。


「二人とも、ふざけるのはそれくらいにしなさい?相手は既にヤル気満々みたいだから」


 ジルニトラの言葉を聞き、二人は武器を構え直して上級BL兵の方を向く。ジルニトラの言うとおり、二人の上級BL兵は戦いたいたそうな様子を見せている。三人は今までとは違うBL兵を目にし気を引き締め直す。そしてそれぞれの戦いが今始まった。

 港でリンドブルム達が上級BL兵と戦いを始めたのと同時刻、街の広場でもヴリトラが大剣を持つ上級BL兵と刃を交えていた。二人の刃がぶつかる度に火花が飛び散り、刃が触れ合うと火花と金属が削れる高い音が広がる。その光景をラピュスとラランは離れた所で見守っていた。


「流石に今まで戦ってきた連中とはパワーが違うな。一撃一撃が重い・・・!」


 ヴリトラは一度距離を取り体勢を立て直する直ぐに上級BL兵に向かって跳んで行き森羅で攻撃する。だが上級BL兵は大剣を軽々と振ってヴリトラの斬撃を防ぎ素早く反撃した。ヴリトラも素早く後ろに下がって大剣をかわすと再び攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃も回避されて上級BL兵は後ろに跳びヴリトラから距離を取り、数m離れた所で大剣を構えた。たった数秒間の短い攻防で伝わって来る緊張感にラピュスとラランは驚き黙り込んでいる。


「凄い戦いだ。お互いに相手の攻撃をギリギリでかわしている・・・」

「・・・少しでも気を抜けば負ける」

「ああ、まさにその通りだ」


 二人が深刻そうな顔で見守っている中、ヴリトラは上級BL兵との戦闘を続けている。敵に向かって走りッていき、森羅で連続切りを放った。上級BL兵はその連続切りを大剣で全て防ぎ、大剣を右手だけで持ち勢いよく外に向かって払う。大剣の払いによって体勢を崩したヴリトラは「しまった」と言う様な表情を見せ、上級BL兵は空いている左手で隙を作ったヴリトラにパンチを撃ち込んできた。ヴリトラは咄嗟に左腕の後前腕部を盾にしてそのパンチをギリギリで防ぐ。パンチを防いだ時の衝撃が機械鎧の左腕から伝わりヴリトラの表情が歪んだ。上級BL兵のパンチの力に抑えてヴリトラは勢いよく飛ばされ、飛ばされた先にある大量の木箱の中に突っ込む。


「ヴリトラ!」


 殴り飛ばされたヴリトラに思わず叫ぶラピュス。ラランも驚きの表情でヴリトラの方を向く。ヴりトラがぶつかった事で粉々になった木箱からは砂煙が上がり、その中から顔に擦り傷、全身埃まみれになったヴリトラが姿を出した。


「イッテテテ、ミスったぜ・・・」


 頭を擦りながら顔を上げるヴリトラは上級BL兵の方に視線を向ける。すると、上級BL兵はヴリトラを見ながら機械鎧である両腕の肩の装甲を動かした。すると装甲の中から銃身の様な物が飛び出して銃口をヴリトラに向ける。


「ゲッ、マジかよ!?」


 向けられた銃口を見て驚くヴリトラ。その直後に銃口から無数の弾丸が吐き出されてヴリトラに向かって飛んで行く。ヴリトラは急いでその場から移動すると弾丸は壊れた木箱の残骸に命中し、木箱を更に粉々にした。


「おいおい、機銃かよ!?」


 バラバラになる木箱を見て驚くヴリトラであったが直ぐに視線を上級BL兵に戻し、森羅を構えながら走り出す。上級BL兵は機銃を撃ち続けながら向きを変える。走るヴリトラの足元に無数の弾痕が生まれ、ヴリトラはそれに怯む事無く上級BL兵との距離を縮めていく。そして敵が間合に入るとヴリトラは袈裟切りを放ち攻撃した。だが次の瞬間、上級BL兵の機械鎧の両足の裏から轟音と共に煙が吹き出て上級BL兵は高く飛び上がりヴリトラの斬撃をかわした。


「何!?」


 突然高く飛び上がった上級BL兵に驚くヴリトラ。空を見上げると上級BL兵は両足の裏から炎を噴き出して宙に浮いている姿が飛び込んできたのだ。勿論ラピュスとラランも驚いて浮いている上級BL兵を見上げている。


「う、浮いている!?アイツもオロチと同じ様に空を飛べるのか?」

「・・・ちょっと厄介」


 今まで空を飛んだBL兵を見た事のないラピュスは今日が徐々に不利になっていく事に気付いて汗を流し始めた。ラランも無表情ではあるが汗を流している。だがそれはヴリトラも同じだ、彼も今まで多くのBL兵と戦って来たが空を飛ぶBL兵は一度も見た事がなかった。


(クソォ~、空を飛ぶ機械鎧兵士はオロチで見た事があるが、敵で見るのは初めてだ。どうやって対処する?)


 オロチ以外の空を飛ぶ機械鎧兵士を見るのは初めてだがそれほど驚いていないヴリトラ。だが敵として戦うのは初めての経験である為、どう戦えばいいのかは分かっていない。ラピュスの読み通り、ヴリトラは不利になっていった。


(オロチの機械鎧の性能は本人から聞いているから連続飛行時間や加速速度何かは分かるが、ブラッド・レクイエムの機械鎧については全く情報が無い!つまり飛行時間とかが異なる可能性も・・・)


 心の中で上級BL兵の機械鎧の性能の事を考えていると上級BL兵は宙に浮いたまま機銃で攻撃を仕掛けてきた。それに気づいたヴリトラは咄嗟にその場から移動して銃撃を回避する。


「とととっ!こっちが考え事をしてるのにお構い無しかよ!」


 ヴリトラは遠慮無く発砲して来る上級BL兵を睨みながら走る。宙に浮いている敵に攻撃するには自分の遠距離攻撃の武器を使うしかない。ヴリトラは右手に森羅を持ち左手でオートマグを抜くと走りながら上級BL兵に向かって撃った。だが上級BL兵は持っている大剣で弾丸を弾いて防いでしまう。


(クソォ!やっぱ銃は効かないか。だが機械鎧のマイクロ弾は破壊力がある分、銃弾よりも遅い。銃が防がれるのならそれより遅いマイクロ弾なんて当たらない!どうすれば・・・)


 空中の敵に攻撃する手段がない事に悩むヴリトラは上級BL兵に注意して走りながら考えた。銃器もマイクロ弾も効かず、ジャンプしても届かない。高い所に上ってそこから飛び掛かるという手もあるが相手は空中を自由に移動できる。攻撃を回避された後に攻撃されれば自分は避けられず格好の的になってしまう。

 地上を走っているヴリトラを空中で嘲笑うかのように見下しながら銃撃し続けている上級BL兵。ヴリトラもそんな彼を悔しそうな表情で見つめている。すると突然何処からか銃声が聞こえ、上級BL兵のフルフェイスマスクに何がか当たった。


「!」


 突然顔に伝わる衝撃に驚く上級BL兵は銃撃を止めて周囲を見回す。そして遠くからハイパワーを構えて自分を狙っているラピュスを見つけた。その隣にはラランがMP7を持って同じように見上げている姿もある。

 銃撃が止み、足を止めたヴリトラも上級BL兵に銃撃したラピュスを見て驚き目を見張る。


「ヴリトラ、今だ!攻撃しろ!」


 ヴリトラの方を向いて叫ぶラピュスにヴリトラは彼女が隙を作ってくれた事を理解しハッとする。一瞬驚いたがラピュスが作ってくれた僅かなチャンスを逃さない為にヴリトラは上級BL兵の方を向いて左腕を向ける。機械鎧から小型マイクロ弾が姿を現し、ヴリトラは隙を見せている上級BL兵に狙いを付けた。


「支援射撃、ありがとよ!」


 礼を言った瞬間、ヴリトラは小型マイクロ弾を二発発射する。小型マイクロ弾は真っ直ぐ上級BL兵に向かって飛んで行き、それに気づいた上級BL兵は迎撃しようとする。だが反応が遅れてしまい小型マイクロ弾を撃ち落とす事も避ける事もできない上級BL兵は小型マイクロ弾を受けて大爆発を起こした。

 空中で起きた爆発にヴリトラ達は爆風と爆発で起きた光に耐えながら立っており、爆発が治まると三人は上を見上げる。そして空から上級BL兵の使っていた大剣、そしてボロボロに壊れた機械鎧が落ちてきた。三人は大剣と機械鎧が落ちた所に集まり合流する。


「大丈夫か?」

「ああ、助かったよ。だけど、無茶をするなぁ?下手をすればお前、アイツに蜂の巣にされてたかもしれないんだぜ?」

「だが、お前は私が蜂の巣にされる前に奴を倒した。やり方は危なかったが勝てたのだから良いじゃない?」

「いや、結果論だろう、それ?」


 ヴリトラは困り顔でラピュスの無茶の行動を指摘する。だが当の本人は何処か嬉しそうな顔でヴリトラの顔を見ている。


「それに、お前を信じていたからな」

「・・・!」


 ラピュスの口から出た言葉にヴリトラは驚く。それと同時に目の前で微笑むラピュスに思わず目を反らして頬を少し赤く染めた。この時ヴリトラは目の前に立つ姫騎士を可愛いと思っていたのだ。

 二人の会話をしている姿をジーっと黙って見つめていたララン。やがて表情がつまらなそうなジト目に分かって行き、我慢できなくなったのか口を開いた。


「・・・いつまでそうしてるの?」

「ん?・・・あ、ああ!そうだな・・・」

「すまない」


 少し慌てた様な態度で返事をするヴリトラと微笑みながら謝るラピュス。二人を見てラランは一度小さく溜め息をつきMP7と突撃槍を握り周囲を見回した。


「・・・もう他に敵はいない」

「ああ。街に入ったのは俺が見たさっきの連中だけのようだし、もう心配ないだろう」

「だが、念の為に他の避難場所の様子も見に行った方がいいんじゃないか?」

「だけど、港では今でもリンドブルム達が大勢の敵と戦っている。急いで戻らないといけないし・・・」


 この時のヴリトラはリンドブルム達がBL兵達を全員倒して上級BL兵達と戦っている事を知らない為、急いで港へ戻らないといけないと考えていたのだ。勿論ラピュスとラランもその事を知らない。それ故に二人も港へ真っ直ぐ向かうか他の避難所を確認するかを悩んでいた。すると、ラランが二人を見上げながら突撃槍とMP7を握る。


「・・・私が見て来る。二人は港へ行って」

「ララン。だがそれでは・・・」

「・・・私は平気。もし敵になっても油断しないし、危なくなったら直ぐに逃げる」


 ラランはラピュスを見上げながら真剣な表情を見せる。それを見たラピュスもさっきまでの油断していたラランとは違う彼女を見て安心したのか静かに頷く。


「分かった、お前に任せる。ヴリトラもそれでいいか?」

「え?あ、ああ。お前がそれでいいなら・・・」

「決まりだな。ララン、頼んだぞ?」

「・・・ハイ」


 ラランは返事をして広場に来た時に通って来た道へ戻り、他の避難所の様子を見に行く。残ったヴリトラとラピュスは急いで港の方へ戻って行った。

 突如現れた上級BL兵に苦戦したヴリトラであったがラピュスの助力でなんとか倒す事に成功する。そして港でもリンドブルム達が別の上級BL兵と戦いを繰り広げていたのだった。


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