第百十三話 白熱! 七竜将VSブラッド・レクイエム!
港に上陸して来たブラッド・レクイエム社の機械鎧兵士達と激闘を始める七竜将。圧倒的に人数で不利にもかかわらず、彼等は怯む事無く戦うのだった。
それぞれ機械鎧の内蔵兵器や自分達の技量を最大限に使い、襲い掛かってくるBL兵達を倒していく七竜将。その中でヴリトラ達のチームは港の中央でBL兵達の攻撃をかわしながら一人ずつ倒していく。
「皆藤流剣術壱式、煉獄居合!」
鞘に納めた森羅を構えたヴリトラは力強く抜刀し、目の前でマチェットを構えている三人のBL兵を斬り捨てる。BL兵達は断末魔を上げて仰向けになり息絶えた。ヴリトラが森羅を払って刀身に付いている血液を払い取ると、二人のBL兵が離れた所からMP7でヴリトラに狙いをつけて発砲する。だがヴリトラはそれに気づいて咄嗟に大きく跳びその場から移動、BL兵達の銃撃をかわした。
「チッ!次から次へと!」
銃撃して来たBL兵達を見ながらヴリトラは左手でオートマグを抜いてBL兵達に反撃する。オートマグの弾丸は一発ずつBL兵達に命中し、BL兵達はその場に倒れて動かなくなった。
BL兵への反撃を済ませて態勢を立て直そうとするヴリトラはふと周りを見て自分を取り囲む数人のBL兵に気付く。その全員がマチェットとMP7を構えていつでも攻撃できる状態にいた。
「ほんっとうに切りがねぇなぁ!少しは休ませろよ!」
自分を囲んでいるBL兵達を睨みつけながら愚痴るヴリトラは森羅とオートマグを構える。BL兵達をヴリトラを見つめながら自分の武器を構えてヴリトラへの攻撃を開始した。
ヴリトラから少し離れた所ではジャバウォックがデュランダルを構えてBL兵達と戦っていた。MP7の銃撃はデュランダルを盾代わりにして防ぎ、銃撃が止まるとその一瞬の隙を突いて走り出し、MP7を撃って来たBL兵をデュランダルで薙ぎ払う。そして休む事無く構え直して自分を取り囲んでいるBL兵達を睨み付けるのだった。
「まったく!倒しても倒しても出てきやがる。一体何人いやがるんだ!?」
既に七竜将が戦いを始めて三十分は経っているのだが、BL兵の数は一向に減らない。港には既に七竜将に倒されて息絶えているBL兵の死体があちこちに倒れており、戦いの激しさを物語っている。
ジャバウォックは自分の足元に倒れているBL兵の死体をチラッと見た後に目の前でマチェットを構えている三人のBL兵を見てデュランダルを強く握り、相手の出方を待った。
「フン!数で押そうとしても俺達に勝てねぇぜ?もっと頭を使いな!」
ジャバウォックが笑いながら目の前にいるBL兵達を挑発すると、マチェットを構えていたBL兵三人が左腕をジャバウォックの方に向けて突き出した。すると彼等の左腕の機械鎧の後前腕部の装甲が開き、中から小型ミサイルが姿を現した。そして三人のBL兵は一斉に小型ミサイルをジャバウォックに向けて発射する。
「ミサイルか!?」
突然撃って来た小型ミサイルを見て一瞬驚くジャバウォックであったが、冷静に小型ミサイルを見るとデュランダルをバットの様に勢いよく振り、三つの小型ミサイルを全て湾内の方に打ち飛ばした。小型ミサイルは空中で爆散し、破片は海の中へと落ちていく。
全ての小型ミサイルを破壊する事に成功したジャバウォックが再びBL兵達の方を見ると小型ミサイルを撃って来た三人のBL兵が再びマチェットを構えてジャバウォックに向かって跳んで来た。ジャバウォックは咄嗟にデュランダルを横に構え直してBL兵達の斬撃をデュランダルで止める。デュランダルと三つのマチェットの刃が交わって高い金属音と火花が飛び散り、ジャバウォックは歯を食いしばりながらBL兵達を見つめた。
「俺がミサイルに気を取られている間に一気に距離を詰めるって言う作戦は悪くねぇ。だが、俺には通用しねぇぜ!」
ジャバウォックは両腕に力を入れ、デュランダルを力一杯横に振り、三人のBL兵を薙ぎ払った。そしてそのままデュランダルを上段構えに持ち、勢いよく振り下ろす。そして地面に刃が触れた瞬間に周囲に衝撃波が広がり周りのBL兵達を全員吹き飛ばした。
「見たかぁ!俺の必殺、ジャイアントインパクトの力をーーっ!」
ジャバウォックはBL兵達を吹き飛ばしながら技の名前を叫ぶ。だが彼の周りにいたBL兵は全員吹き飛ばされ、地面に叩きつけられて気を失ったり、海に落ちるなどして誰もジャバウォックの技の名前を聞いていなかった。
デュランダルをゆっくりと持ち上げて周囲を見回すジャバウォックはまだ敵がいないかと警戒した。
「どうやら、粗方片付いたみたいだな。それじゃあ、ヴリトラかファフニールの援護に・・・」
ジャバウォックが二人の救援に向かおうとした時、ブラッド・レクイエム社の船の船尾側の甲板から数人のBL兵が勢いよくジャンプして上陸して来た。そのままジャバウォックの前に立ち塞がり彼の行く手を阻む。それを見たジャバウォックは舌打ちをしてデュランダルを構え直した。
「本当に・・・何人いやがるんだぁ?」
めんどくさそうな声を出しながら目の前のBL兵を見るジャバウォックは地を蹴り、立ち塞がるBL兵達に突っ込んで行った。
ファフニールも大勢のBL兵達に囲まれながら何とか持ち堪えている。ギガントパレードの柄の部分でBL兵のマチェットを防ぎ、マチェットを払って直ぐにギガントパレードで殴り飛ばすという攻撃を何度も繰り返して少しずつ数を減らしているも戦況はまるで変わらないかった。
「うう~、まだこんなにいるのぉ?」
目の前でマチェットやMP7を構えているBL兵を見てファフニールは疲労の表情を浮かべる。そんなファフニールにお構いなしにBL兵達は攻撃を続けた。マチェットを勢いよく振りおろし、ファフニールは後ろに避けてギガントパレードで反撃しBL兵を地面に叩きつける。そこへ今度は背後からマチェットを持ったBL兵が二人迫り、ファフニールに襲い掛かって来た。だがファフニールはBL兵に気付いていたのかギガントパレードを両手で持ち、振り返りながら勢いよく横に振った。ギガントパレードの頭はBL兵の脇腹にめり込みふっ飛ばした。
「ハァ、もぉ~やんなっちゃうよぉ~!」
ファフニールは一度溜め息をつくと不機嫌そうね顔で大きな声をだし、BL兵達を睨む。そこへMP7を持ったBL兵が三人、高くジャンプして空中からファフニールに狙いを付けて引き金を引く。銃口から吐き出された無数の弾丸は真っ直ぐファフニールに向かって行き、ファフニールも迫って来る銃弾を見て素早くは回避して。
「わっととと!」
ギリギリで銃撃を回避したファフニールが前を向くと、そこにはマチェットを持つBL兵の姿があり、BL兵はマチェットを勢いよく振り下ろした。ファフニールは咄嗟に体を横へ反らしてその斬撃をかわすとBL兵の腹部に蹴りを入れる。BL兵は蹴り飛ばされてそのまま海に落ち、それを見届けたファフニールは海に背を向けて周りで自分を取り囲むBL兵を見た。
「・・・いくらなんでも多すぎだよぉ~!もう沢山倒したんだから、いい加減に退却してぇ~!」
疲れきった様な声を上げるファフニール。だがファフニールは疲れを感じてはいるが、決して恐怖は感じていなかった。ただ多すぎる敵と戦うのが面倒になっているだけなのだ。そんなファフニールを見てBL兵達は自分達の武器を構えて戦いを続けようとする。
港の中央でヴリトラ達が戦っているのと同時に、港の右側ではリンドブルム達が別のBL兵達と激しい戦いを繰り広げている。こちらも大勢の敵を僅か四人で戦うという不利な状態であったが、リンドブルム達は苦戦している様子は見せていなかった。
「よっ、ほっ、はぁ!」
BL兵の斬撃や銃撃を回避しながらライトソドムとダークゴモラを撃って応戦するリンドブルム。彼の銃撃は正確で一発で敵の急所に当たり、殆ど無駄撃ちをする事無くBL兵達を倒していった。彼の背後から一人のBL兵がMP7を構えてリンドブルムの背中を狙っていると、リンドブルムは視線だけを動かして自分を狙っているBL兵を見て高くジャンプをした。リンドブルムはそのまま自分を狙っていたBL兵の上を放物線状に移動してBL兵の背後に着地してライトソドムの銃口をBL兵の後頭部に向ける。
「・・・避けてみな!」
そう告げた瞬間、リンドブルムは引き金を引きBL兵の頭を撃ち抜く。撃たれたBL兵はそのまま倒れて動かなくなり、リンドブルムはBL兵が死んだのを確認すると直ぐにその場から移動する。そしてそんな彼をほかのBL兵が銃撃しながら追いかける。リンドブルムはダークゴモラをホルスターにしまってライトソドムに付いているスイッチを押した。するとライトソドムの銃身にスパークが発生する。リンドブルムはレールガンシステムを起動させたのだ。
「くらえぇ!」
大声を上げながら引き金を引くリンドブルム。銃口から轟音と共に超高速の弾丸は放たれて遠くにいるBL兵の体を貫通する。そしてその後ろにいた別のBL兵達も機械鎧の腕や体次々にを貫かれて一斉にその場に倒れた。
「やったぁ!」
大勢のBL兵を倒せたことに喜ぶリンドブルム。そこへマチェットを持ったBL兵がリンドブルムの隙を突いて跳びかかり襲って来る。リンドブルムはそれに気づいてライトソドムで反撃しようとした。だが次の瞬間、跳びかかって来たBL兵は無数の弾丸を体に受け、全身を蜂の巣にされながら後方へ飛ばされて木箱へ突っ込んだ。
粉々になった木箱の中で動かなくなるBL兵を見るリンドブルム。そんな彼の下にサクリファイスを持つジルニトラが近寄って来る。
「油断しちゃダメよ?」
注意するジルニトラの方を向いて苦笑いを見せるリンドブルム。すると、突然ジルニトラの背後から二人のBL兵が右腕の機械鎧に内蔵されている超振動刃を出してジルニトラに跳びかかって来た。それに気づいたリンドブルムとジルニトラはフッとBL兵達の方を向いて反撃しようとする。すると、突然何者がかBL兵を切り付け、BL兵はなにが起きたのかも理解できずにその場に俯せに倒れた。少し驚いた顔を見せるリンドブルムとジルニトラは倒れたBL兵の後ろに斬月を担いでいるオロチの姿を見つける。
「お前もだろう?ジルニトラ・・・」
「・・・ハハハ、そうね」
自分もオロチに忠告されて小さく笑うジルニトラ。リンドブルムも二人を見て微笑みながら彼女達の下へ走り合流する。三人はいつの間にか大勢のBL兵に取り囲まれていた。
「ヤバイわねぇ、いつの間にか囲まれちゃったわ・・・」
「どうするの?」
「ジルニトラ、お前のレーザーで何とかならないのか・・・?」
「できない事は無いけど・・・」
三人はそれぞれ仲間の背中を守りながらどうやって切り抜けるかを話す。そんな三人にBL兵達をジリジリと近づいて来る。だがその時、突然三人を取り囲んでいるBL兵達は何者かの攻撃を受けてその場に一斉に倒れた。よく見ると、倒れているBL兵達の体には深い切傷の様な物が付いている。驚く三人の前にアスカロンを鞭状にしているニーズヘッグが頭上から降りて来た。
「よぉ、お前達、生きてるか?」
「ニーズヘッグ、助かったよ!」
「まったく、余計な事してくれちゃって」
「ああ・・・」
「フッ、そんな事言って、結構ギリギリだったんだろう?」
「ハハハ、まぁね?」
笑いながら話し合うニーズヘッグとジルニトラ。リンドブルムも笑っており、オロチは相変わらず無表情なままだった。すると再び大勢のBL兵が四人の下に集まり、一斉に武器を構える。それを見たリンドブルム達も揃って武器を構え、目の前のBL兵達をジッと睨む。
「それにしても、本当に数が多いね?」
「ああ、ヴリトラ達の方にもかなりの人数がいるみたいだ」
「これはちょっと攻め方を変えた方がいいんじゃないの?例えば、兵士よりも船を狙って攻撃するとか」
「船にはまだ大勢の武装した機械鎧兵士がいる。しかも甲板にはブローニングM2も付いている、迂闊に近づいたり攻撃するとこっちがミンチになりかねない・・・」
船を攻撃する事に反対するオロチはチラッとブラッド・レクイエム社の船の方を向いた。甲板にはブローニングM2を構えてるBL兵やMP7、モスバーグ、M1バズーカなどを装備しているBL兵など大勢の姿がある。リンドブルム達から見えるだけでもまだかなりの人数が船に待機していた。
「確かにそうだね。それじゃあ、船の上の敵に警戒しながら目の前の敵を倒していくしかないって事かぁ・・・」
「そういう事だ。気を引き締めろ・・・」
「ハイハイ」
リンドブルム達は目の前で武器を構えながら自分達をジッと見つめている大勢のBL兵達を見つめ返した。BK兵達は目の前にいる僅か四人の敵をフルフェイスマスクの下から睨み付け、攻撃の隙ができるのを待つ。すると、ニーズヘッグとオロチが地を蹴ってBL兵達に向かって走り出す。それを見たBL兵達は二人に向かってMP7を発砲した。二人はアスカロンと斬月を器用に動かして迫って来る弾丸を弾き落としていく。そして自分達の攻撃範囲にBL兵が入ると武器を構え直して反撃した。
「おぉらぁ!」
ニーズヘッグはアスカロンの刀身を鞭状にして目の前とその後ろにいる大勢のBL兵を攻撃した。鞭の様にしなる刃は大勢のBL兵を切り裂き、それと同時にBL兵達の叫び声が広がる。攻撃を終えるとニーズヘッグは足を止めてアスカロンの刀身を元に戻した。そこへBL兵がマチェットを構え左右からニーズヘッグを挟む形で迫って来る。
「チッ、挟み撃ちかよ」
左右から走って来るBL兵を見て舌打ちをするニーズヘッグは左を向いてBL兵の斬撃をアスカロンで防ぎ、マチェットを払うと直ぐに袈裟切りを放ち倒した。そして休む間もなく振り返り、もう一人のBL兵の斬撃をかわしてアスカロンで斬り捨てる。挟まれた事に気付き、襲ってきたBL兵二人を倒すまでに掛かった時間は僅か十二秒だった。
「俺のアスカロンは蛇腹剣だ。遠近のどちらからでも攻撃できる、油断してると死ぬぞ?」
ニーズヘッグはアスカロンを払いながら周りにいるBL兵達に言い放つ。BL兵達はニーズヘッグの遠距離と近距離のどちらからも可能な武器に驚いたのか、武器を構えながら一歩ずつ下がり出す。それを見てニーズヘッグは相手の士気が下がり出していると感じ好機と思ったのか小さく笑うのだった。
そしてオロチも愛用の大型超振動戦斧、斬月を巧みに操り、BL兵達と戦っていた。斬月を頭上でグルグルと勢いよく回しながら周りにいるBL兵達を下がらせていき、敵との間に距離ができると斬月を回すのを止めて構え直し、一気にBL兵達との距離を詰める。
「フッ・・・!」
巨大な斬月を細い腕で勢いよく横に振り攻撃するオロチ。BL兵達はマチェットや機械鎧の腕を盾代わりにしてオロチの斬撃を防ごうとするも、超振動の刃を持つ上に重さとナノマシンで強化されたオロチの力が加わった斬撃を細いマチェットや機械鎧で止められるはずがない。斬月はマチェットや機械鎧を粉々にしながらオロチの前にいる四人のBL兵を真っ二つにした。
目の前で胴体を真っ二つにされた仲間を見てほかのBL兵達も驚き一歩下がる。BL兵達は目の前で斬月を片手で回しているオロチを見ながらMP7やマチェットを構えて警戒する。オロチは回している斬月を止めてジッと自分を見ているBL兵達に視線を向けた。
「・・・どけ」
「「「「「!」」」」」
鋭い視線を向けて低い声を出すオロチを見てBL兵はビクッと驚く。オロチは表情と声を変える事なく話を続けた。
「これ以上私達に戦いを挑むなら、私達も全力でお前達を斬るぞ・・・?」
静かにBL兵達を威圧するオロチ。斬月の刃を光らせながら睨みつけて来るオロチを見てBL兵達は固まる。だが、船の上からはブローニングM2でオロチを狙っているBL兵がおり、目の前にいるBL兵達の方を向いているオロチの隙を突いて銃撃しようとしていた。
BL兵がオロチに狙いをつけて引き金を引こうとした瞬間、オロチはフッと船の方を向き、自分を狙っているブローニングM2に向かって斬月を投げつけた。
「!」
突然斬月を投げつけて来たオロチを見て驚くBL兵。斬月は回転しながらブローニングM2の方へ飛んで行きBL兵もろともブローニングM2を粉々にした。そして斬月はブーメランの様にUターンしてオロチの手の中に戻る。どうやらオロチは最初から自分が船の上から狙われている事に気付いていたようだ。
「・・・私が船の上の敵を気にしていないと思っていたか・・・?」
鋭い表情のまま目の前に立つBL兵達を見ながら言うオロチ。BL兵達が怯えながらオロチを見ていると、船の甲板に待機していた大勢のBL兵達が甲板から飛び下りて港に着地しオロチと向かい合っているBL兵達と合流する。新たな増援にBL兵達の士気は元に戻り、オロチを見て武器を構え直した。それを見たオロチは目を細くしながらBL兵達を見つめる。
「仲間が増えて戦意が戻ったか・・・」
投降する気の無いBL兵を見てオロチは悲しそうな、そして哀れむような表情を見せる。そこへリンドブルム達が合流し、オロチと共に目の前に立ち塞がるBL兵達の方を向いた。
「オロチ、こっちは片付いたよ。そっちは?」
「見たの通りだ。また船から増援が来た・・・」
「えぇ~!?もう二十人は倒したわよ?」
「俺達の予想以上にあの船には機械鎧兵士が乗っているみたいだな」
既にリンドブルム達は二十人以上のBL兵を倒し、それでも目の前にはまだ十数人のBL兵が立っている。そしてヴリトラ達の方にも二十人近くのBL兵がおり、合計で五十人以上の大部隊である事が判明した。
目の前で武器を構えるBL兵達を目にリンドブルム達は警戒しながら自分達の体力、銃器の弾薬などを確認する。
「どうするの?このまま戦い続けたらこっちの体力が持たないわよ?」
ジルニトラが長期戦になれば自分達が不利になると考えてサクリファイスを握りながら尋ねる。するとニーズヘッグは自分の右腕の機械鎧を見た後にBL兵の方に視線を戻す。
「まだ俺達には機械鎧の内蔵兵器がある。それをフルに使えばまだ十分戦えるさ」
「うん。体力が尽きる前に全員やっつけちゃおう!」
「最小限にしろ?私達は殺し屋じゃないんだ・・・」
「分かってるよ」
オロチの方を向いてライトソドムとダークゴモラを構えるリンドブルム。ニーズヘッグも右腕の後前腕部の装甲を動かして機銃を出し、ジルニトラは手の甲の装甲を簡単に動かしてレーザーが撃てるかどうかを確認している。そしてオロチも両脚の下腿部の外側の装甲を動かして中からマイクロ弾を出し、異常が無いかを確認すると再び装甲を戻した。
「それじゃあ、こっから俺達も全力で行くか」
「OK!」
「・・・て言うか、最初から全力で戦えばよかったんじゃないの?」
「敵の規模がどんなもの分からないのに貴重な弾薬やマイクロ弾を使う事はできないだろう・・・?」
ファムステミリアでは貴重な自分達の機械鎧の弾薬などを無駄に使う事ができずに今まで使わなかったが、流石に大勢の機械鎧兵士を相手に通常の武器だけでは限界がある。そう考えたリンドブルム達は機械鎧の内蔵兵器を使う事を決意したのだ。
「きっとヴリトラ達も使っているだろうし、こっちもそろそろ使ってもいい頃でしょう?」
「確かに、死んじゃったら意味が無いからね」
「そういう事。・・・それじゃあ、行こうか?」
準備が整ったリンドブルム達は機械鎧の内蔵兵器を起動させて第二ラウンドに突入した。
一方でヴリトラ達はあれからかなりのBL兵を倒したのか、疲れた表情を見せながら倒れているBL兵達の中に立っていた。だがそれでもまだ周りには十人以上のBL兵が三人を取り囲んでいる。
「ハァ・・・あれからかなりの人数を倒したけど、それでもまだこれだけいるのか・・・」
「私、もうそろそろ限界かも・・・」
「機械鎧の内蔵兵器の弾なんかもそろそろ限界だ。まだ敵の隊長も残ってるし、これ以上は使えないぞ?」
「分かってる。だが此処で俺達が死んだらカルティンの町の人達も危険に・・・・・・んん?」
ヴリトラはふと何かを見つけて言葉を止める。彼の目には数人のBL兵が中央の街道を通って街へ入って行く姿が映ったのだ。それを見たヴリトラは目を見張って驚きの表情を浮かべる。
「マズイ!敵が街へ入った!」
「ええぇ!?」
「確かにマズイな。街ではまだラピュス達が自警団員達を避難させているはずだ。一人ずつならまだしも、大勢の機械鎧兵士を一度に相手にするのはラピュス達にはキツすぎる!」
ラピュスやラランは一度一人でブラッド・レクイエム社の機械鎧兵士と戦い、機械鎧兵士との戦闘を経験している。だが複数の機械鎧兵士を相手にしたら勝ち目はない。このままではラピュス達の身が危ないと感じたヴリトラはジャバウォックとファフニールの方を向いた。
「二人とも、此処を任せていいか!?」
「え?」
「俺は街へ行ってあの機械鎧兵士達を止める!」
「ラピュス達を助けに行くの?」
「ああ、このままだとアイツ等の命が危ない!俺が行って倒してくる。終わったら直ぐ戻るから何とか持ち堪えてくれ!」
ラピュス達を助けに行くと言うヴリトラの言葉を聞いてヴリトラを見つめる二人。ヴリトラの行動は仲間を助けるという行為だ、止める理由など二人には無かった。
「分かった、行って来い!」
「その代り、終わったら出るだけ早く戻って来てね?」
「ああ、ありがとう!」
笑うジャバウォックとファフニールを見て笑い返すヴリトラは森羅を握り中央の街道へ向かった。残ったジャバウォックとファフニールは機械鎧の内蔵兵器を使う準備をし、目の前の敵を見ながら武器を構えるのだった。
港中で繰り広げられる激闘。七竜将は持てる力と技術を使いBL兵を次々に倒していく。その中で数人のBL兵が街へと侵入、ヴリトラはBL兵を止める為に単独で街へ戻って行った。