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機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第六章~荒ぶる海の激闘~
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第百十二話  ブラッド・レクイエム進撃 港で始まる死闘!


 遂に湾頭までやって来たブラッド・レクイエム社の中型船は湾内には侵入しながら砲塔とスナイパ―ライフルで攻撃を仕掛けてくる。七竜将も最初の砲撃で二手に分かれてしまったが全員無事でブラッド・レクイエム社の攻撃を回避しながら反撃の機会を窺うのだった。

 港の左側へ移動したヴリトラ、ジャバウォック、ファフニールの三人は港の隅に積まれている大きな木箱の陰に隠れて敵の銃撃を凌いでいた。ヴリトラは右手に森羅、左手にオートマグを握り木箱の陰から顔を出してブラッド・レクイエム社の船の様子を窺っている。


「どうだ、ヴリトラ?」

「まだ湾内に入ったばかりだな。船は砲塔が港全体を射程に入れられる位置にいる」


 ヴリトラの後ろで状況を訊いて来るジャバウォックにヴリトラは湾内を覗きながら尋ねる。すると覗き込んでいるヴリトラの顔の近くを銃撃されて木箱に弾痕が生まれ、驚いたヴリトラは咄嗟に顔を引っ込めた。


「とととっ!とにかく、今の俺達の装備の中に遠くにいる敵を攻撃できる武器は無い。奴等が湾内の中心に来ればこっちの攻撃も届く、それまでは何としても持ち堪えるぞ?」

「でも、向こうには砲塔があるんでしょう?あれの前じゃ何処に隠れても爆風で吹き飛ばされちゃうよ」


 ファフニールが船の船首にある小型の砲塔の事を思い出してヴリトラに隠れるのは無意味ではないかと話す。ヴリトラは心配そうな顔をするファフニールを真面目な顔で見た。


「確かにあの砲塔はかなりの威力だ、ある程度の物は簡単にふっ飛ばしちまうだろう。だが、それでも普通の銃撃くらいなら防げるし奴等の視界に移らないよう隠れる事もできる。隠れても無駄だと言って隠れずに姿を見せるよりはずっとマシさ」

「ああ。それに警戒していれば例えアイツ等が砲撃して来ても、撃たれる直前に逃げれば大丈夫だ」

「つまり、隠れていれば砲撃だけに注意して私達の負担を減らす事ができるって事?」

「勿論、銃撃は防げると言って油断するのはダメだ。少しでも俺達の負担が減ればいいって考えるくらいにしておくって事だよ」


 ヴリトラとジャバウォックの説明を聞いて納得する様に頷くファフニール。説明を終えたヴリトラは再び木箱の陰からブラッド・レクイエム社の様子を窺った。そして砲塔が自分達が隠れている木箱に狙いを付けている事に気付く。


「ヤバい!こっちを狙ってるぞ!」


 ヴリトラの言葉を聞いて驚きの表情を浮かべるジャバウォックとファフニール。三人は急いでその場から走って離れ、その直後に砲塔は火を吹き、積まれている大量の木箱を吹き飛ばした。


「「「うわあああああぁ!」」」


 爆風で吹き飛ばされながら声を上げる三人。俯せに倒れた三人は急いで起き上がり船の方を向く。そして甲板から自分達を狙っている狙撃手と対空用のブローニングM2を見た。


「ええいっ、クソォ!」


 狙いをつけてくるBL兵達を見て悔しそうに声を上げたヴリトラは急いで立ち上がり走り出した。ジャバウォックとファフニールもヴリトラの後を追い走り出す。BL兵達はそんな走っている三人に向かってPSG1を発砲する。ブローニングM2はまだ射程内に入っていないのか火を吹かないが、それでも三人の足元にはPSG1の弾痕ができ、ヴリトラ達に襲い掛かる。

 三人は怯む事無く走り続けており、ファフニールは走りながら機械鎧の内蔵機銃を船に向けて撃った。だが弾丸は届かずに船の側面に当たったり、海に落ちたりしてBL兵達にダメージを与えられなかった。


「ダメ、全然当らない!」

「だから言っただろう!?まだ攻撃するには遠すぎるって?」

「奴等は全力で攻撃する為に必ず湾内に入って俺達との距離を縮めて来る。それまでは耐えるんだ!」


 ヴリトラとジャバウォックの言葉を聞き、悔しそうに内蔵機銃をしまうファフニール。港の中央の方へ逃げる三人をブラッド・レクイエム社は容赦無く攻撃し続けた。

 港の右側ではリンドブルム、ニーズヘッグ、ジルニトラ、オロチの三人が倉庫と倉庫の間にある細い隙間に隠れて走っているヴリトラ達を見つめて表情を歪めていた。


「ヴリトラ、ジャバウォック、ファフニール・・・」

「お願いだから上手く逃げてよね・・・」


 三人を心配するリンドブルムと逃げ延びる事を願うジルニトラ。二人と誓うではニーズヘッグとオロチが鋭い表情で逃げている三人と少しずつ湾内に入って来ているブラッド・レクイエム社の船を見ている。


「・・・ねぇ、助けに行った方がいいんじゃない?」

「ダメだ、今俺達がアイツ等の所に行ったら全員あの砲塔の餌食になっちまう。もし集まっているところを撃たれたら全滅だぞ?」


 ヴリトラ達の事を心配するリンドブルムを止めるニーズヘッグ。助けに行きたいのはニーズヘッグも同じだが、七竜将が全滅してしまえばもう誰もブラッド・レクイエム社を止める事はできない。町と仲間を守る為にニーズヘッグはジッと耐えていた。


「で、でもこのままじゃ三人が・・・」

「アイツ等はあの程度でやられたりしない。それは俺達が誰よりもよく知ってるはずだろう?」

「それは、そうだけど・・・」

「それにもし此処で助けに行ったらヴリトラも『バカな事をするんじゃない!』って怒ると思うぞ?」

「ああ、ヴリトラならそう言うだろうな・・・」


 ニーズヘッグの考えに同意したオロチも話に加わり頷きながら言った。それを聞いてリンドブルムはまだ少し不安そうな顔をしながら遠くで回避行動を取っているヴリトラ達を見つめた。すると今度はジルニトラがリンドブルムの頭にポンと手を置いて軽く撫でた。


「心配なのは分かるわ?でも、仲間だったらもう少しアイツ等の事も信じてやんなさい」

「・・・分かった」


 自分の頭を撫でるジルニトラを見上げてリンドブルムは頷く。

 しばらく隠れていると、ブラッド・レクイエム社の船がようやく湾内の中央まで入ってくる。これで七竜将の攻撃も船に届くようになった。


「ブラッド・レクイエムの船が湾内に入った・・・」

「これであたし達の攻撃も届くわね!」

「それじゃあ、さっそく反撃開始だ!」

「うん!」


 リンドブルム達は倉庫の隙間から出ると一斉に走り出して武器を構える。リンドブルムがライトソドムとダークゴモラを構えて甲板にいる狙撃手に狙って引き金を引いた。銃声と共に弾丸が放たれて狙撃手の体や頭に命中し狙撃手を倒した。近くにいた別のBL兵達も仲間が倒された事に驚き、反撃する為にMP7やブローニングM2でリンドブルム達に狙いを付ける。


「悪いけど、撃たせないわよ!」


 ジルニトラは自分達にMP7とブローニングM2を向けているBL兵達に気付き、素早くサクリファイスを構えて引き金を引いた。銃口から吐き出された無数の弾丸はBL兵達に向かって飛んで行きBL兵に命中した。

 右側からリンドブルム達の攻撃を受けて数人のBL兵がやられたのを見て甲板の中央に立っているマーメイドは鬱陶しそうな顔でリンドブルム達を見ている。


「何をやっているの?たかが七人の傭兵に!」

「で、ですが、こちがが反撃する前に奴等が攻撃をして・・・」

「言い訳してる暇があるならさっさと倒しなさい!」


 マーメイドは言い訳をするBL兵に喝を入れながら耳に入れたある黒い小型通信機のスイッチを入れて何処かに連絡を入れ始めた。しばらくすると小型通信機から男性の声が聞こえてくる。


「こちらブリッジ」

「私よ、船の速度を上げて。急いで港に着けて皆を上陸させなさい!白兵戦に持ち込んで一気に叩くわ!」

「ハッ!」

「それと、砲員に港の右側にいる連中を撃つように伝えなさい!」

「了解!」


 ブリッジにいる者達に指示を出して通信を切るマーメルド。その直後に船は速度を上げ、砲塔も右側に砲身を向けて攻撃して来るリンドブルム達に狙いを付けた。それに気づいたリンドブルムが砲塔を見て目を見張る。


「マズイ!こっちを狙ってるよ!」

「ニーズヘッグ!マイクロ弾で砲塔を壊して!」

「ダメだ、間に合わない。皆バラけろ!」


 ジルニトラはマイクロ弾で砲塔を破壊するようニーズヘッグに言った。既に狙いを付けられており、マイクロ弾を撃つ時間が無いと悟ったニーズヘッグはリンドブルム達に回避行動を取る様に伝える。そして砲塔がリンドブルム達に向けて砲弾を撃とうとした、次の瞬間、突然砲塔が爆発して火と煙を上げた。


「な、何!?」


 いきなり砲塔が爆発した事に驚くマーメイド。砲塔の近くにいたBL兵達は砲塔の爆発で吹き飛ばされ、甲板に叩きつけられたり、海に落ちる者もいた。

 自分達を狙っていた砲塔がいきなり爆発したのを見てリンドブルム達も驚いていた。


「どうなってるんだ?いきなり砲塔が吹っ飛んだぞ?」

「暴発でもしたか・・・?」

「違う、あれだよ」


 ニーズヘッグとオロチは煙を上げている砲塔を見ているとリンドブルムが指を差した。三人がリンドブルムの指差すを方角を見ると、そこには港の中央で左腕を突きだしているヴリトラの姿があった。そしてヴリトラの左腕の機械鎧の装甲が少し動いている。どうやら内蔵されていた小型マイクロ弾で砲塔を攻撃したようだ。

 ヴリトラはリンドブルム達の方を向いてニッと笑い、彼の両隣ではジャバウォックとファフニールが同じようにリンドブルム達の方を向いて笑っている姿があった。それを見てニーズヘッグ達も納得したのかヴリトラ達を見て笑い返す。


「成る程、ヴリトラの小型マイクロ弾か」

「砲塔があたし達に向いた瞬間にマイクロ弾を撃ったって訳ね」


 ヴリトラに助けられて笑いながら話すニーズヘッグとジルニトラ。そして笑いながら黙ってヴリトラの方を向いているリンドブルムと無表情のままのオロチ。口には出さないが彼等は心の中でヴリトラに感謝していた。

 小型マイクロ弾で砲塔を破壊されてしまい、マーメイドはヴリトラ達の方を向き表情を険しくして震えている。どうやら相当頭に来ているようだ。


「アイツ等、よくも私の船をぉ!」


 マーメルドは甲板の隅へ行き長方形の軍用スチールケースを開き、その中から細長い筒状の物で上下に穴が開いて銃握グリップが付いている銃器の様な物を取り出した。それを持って船首の方へ移動すると、港の中央になっているヴリトラ達に向けてその筒状の物を肩に担ぎ狙いを付ける。

 港からマーメイドの持っている筒状の物を見てヴリトラ達は目を見張って驚いた。


「ゲッ!バズーカァ!?」

「『M1』か、あれは撃っても切っても爆発の破片でやられちまうぞ!」


 ヴリトラとジャバウォックはマーメイドの持っている「US M1バズーカ」を見て驚き、ファフニールもギガントパレードを構えて驚いていた。


「死になさい!」


 ヴリトラ達に狙いを付けたマーメイドは引き金を引きM1を撃った。放たれたロケット弾は真っ直ぐヴリトラ達に向かって飛んで行き、ヴリトラ達は走ってその場から離れる。そしてロケット弾はヴリトラ達が立っていた場所に命中し爆発し、注意に破片をまき散らす。ヴリトラは爆発した直後に振り返り飛んで来た破片を森羅で弾き、ジャバウォックもデュランダルを盾にして破片を防ぐ。ファフニールもギガントパレードの大きな頭を盾にして防いだが幾つかは掠って頬や脚を切ってしまう。


「大丈夫か!?」


 破片を凌いだヴリトラは船を警戒しながらジャバウォックとファフニールに声を掛けた。


「俺は何ともねぇ」

「私はちょっとほっぺと脚を切っちゃったかな・・・」

「大丈夫か?」

「うん、そんなに深い傷じゃないし」


 心配するジャバウォックにファフニールは微笑んで答えた。表情を見て心配ないと感じたヴリトラとジャバウォックは大丈夫だと悟り船の方を見る。ブラッド・レクイエム社の船は既に十数m手前まで近づいて来ており、船首からはマーメイドやMP7を持つBL兵がヴリトラ達を狙っていた。


「このまま一気に上陸するわよ。上陸しやすい様に撃ち続けなさい!」


 マーメイドの命令でBL兵達は一斉にMP7を発砲する。三人は素早く移動して銃撃を回避し、走りながらオートマグ、マイクロウージー、内蔵機銃で反撃した。だが甲板にいたBL兵達も素早く跳んでヴリトラ達の銃撃をかわし、甲板にいた五人のBL兵は全員港に上陸した。だがマーメイドは港には下りず、ヴリトラ達の視界に入らない甲板の奥へ移動している。そして遂にブラッド・レクイエム社の船が港に着いてしまった。


「フフフ。さぁ、ここからが本番よ。楽しませてね?七竜将」


 港を見ながらマーメイドは不敵な笑みを浮かべる。それと同時に船から武装した大勢のBL兵が現れて船首の甲板から次々に港へ上陸していく。

 上陸して来たBL兵達を見てヴリトラ達は再び驚きの表情を浮かべる。その数はヴリトラ達が確認できるだけでも二十人以上はいるからだ。ソフィーヌ海賊団と比べると数は少ないが、機械鎧兵士の実力を考えれば海賊達以上に厄介で不利な戦況だった。


「何て数なんだ!」

「こんなにも機械鎧兵士がいたの!?」

「コイツは、ちぃとばかり骨が折れそうだな」


 周りで自分達を取り囲む機械鎧兵士達を見て表情を歪めながら話すヴリトラ、ファフニール、ジャバウォックの三人。そんな三人を見ながらBL兵達はMP7やマチェットを構えてジリジリと距離を詰めていった。

 そしてリンドブルム達も目の前に立ち塞がる大勢のBL兵達を鋭い目で見つめながら武器を構えている。


「うわぁ~、何だか沢山出て来たよぉ?」

「あの大きさの船だ、これだけ大勢いても不思議じゃない・・・」

「これは、海賊達を相手にするよりも厄介かもねぇ~・・・」


 目の前で武器を構えるBL兵達を見てめんどくさそうな顔をするリンドブルムとジルニトラ、そして無表情のまま敵を見つめるオロチ。それぞれ表情を違っていても全員が目の前の敵に警戒をしている。そんな三人をチラッと見たニーズヘッグはアスカロンを構えてBL兵達の方を向きジッと彼等を睨んでいる。


「お前等、目の前の敵だけに気を取られるなよ?まだ船からこっちを狙ってる連中もいるんだからな」


 ニーズヘッグに言われて三人は停泊している船の方を見る。彼の言うとおり、船の甲板からブローニングM2で自分達を狙っているBL兵達の姿が見えた。そしてその隣にはPSG1を構えている者もいる。


「これは、今までの戦いで一番苦労しそうだね?」

「まったくね」

「呑気に話すのはそこまでだ。来るぞ!?」


 リンドブルム達は目の前のBL兵達の方を向いて武器を構える。それと同時にBL兵達もMP7を発砲し、マチェットを構えるBL兵達も四人に向かって跳んで行く。そしてリンドブルム達も各自、目の前の敵や船から自分達を狙っているBL兵達に対して攻撃を始めた。

 港の中央ではヴリトラ達が先に戦闘を始めていた。森羅を両手で構えながら目の前のBL兵と刃を交えているヴリトラ。ヴリトラの森羅とBL兵のマチェットの刃がぶつかり火花と金属が削れる様な高い音が港に広がる。ヴリトラはしばらく剣を交えていたが、直ぐにマチェットを払ってBL兵に袈裟切りを放ち倒してしまう。だが、休んでいる暇はない。ヴリトラの背後から別のBL兵が二人、マチェットを振り下ろして斬りかかって来た。ヴリトラは咄嗟に振り返り、森羅を横にしてBL兵の振り下ろしを防ぐ。


「クソォ、おちおち休む暇もないぜ!」


 次から次へと襲って来るBL兵を見て愚痴をこぼすヴリトラ。そしてその二人のBL兵の斬撃を止めているとヴリトラの背後からまた別のBL兵がマチェットを構えて襲い掛かって来た。ヴリトラはそれに気づくも目の前の敵のマチェットを止めていて動けなかった。BL兵のマチェットがヴリトラの背中に迫っていく、する突然BL兵が勢いよく何かに殴り飛ばされて海に落ちて行った。驚いたヴリトラの視界にギガントパレードを持ったファフニールが飛び込んでくる。どうやらBL兵を殴り飛ばしたのはファフニールのようだ。


「助かったぜ、ファフニール!」

「どういたしまして!」


 ファフニールに礼を言うヴリトラにそんな彼に笑顔を見せるファフニール。ヴリトラは礼を言うと目の前にいる二人のBL兵の方を向き直して素早くマチェットを払い、二人のBL兵に横切りで反撃をした。斬られたBL兵達はその場に仰向けに倒れて動かなくなる。


「それにしてもすごい数だね?」

「ああ、一瞬の油断もできねぇな!」


 二人が互いに背中を合わせながら自分達を取り囲むBL兵達を見ていると、突然BL兵達の真上に大きな影で出来てBL兵達は一斉に上を向く。そして真上からデュランダルを振り下ろしながら落ちて来るジャバウォックを見つけた。


「どおりゃあーーーっ!」


 声を上げながら落ちてくるジャバウォックは勢いよくデュランダルを振り下ろしてBL兵達を攻撃する。ジャバウォックの斬撃で衝撃が周囲に広がり、ジャバウォックの真下にいた数人のBL兵達は斬られて息絶えるも、大勢のBL兵が回避に成功して生き延びていた。ジャバウォックも二人と合流して三人は三方向を見つめながら互いの背中を守る体勢になる。そして再びBL兵達がヴリトラ達を取り囲む。


「無事か?お前等」

「ああ、今のところはな!」

「でも、敵をやっつけても全然数が減らないよ!?」

「しかもまだ船にはコイツ等の隊長さんまでいる。かなり厄介だぞ・・・!」


 自分達を囲み、MP7を構えて何時発砲してもおかしくない状態のBL兵達をを見て汗を流し始めるヴリトラとファフニール。だがジャバウォックだけはまだ余裕の表情を見せていた。


「何言ってるんだよ?これだけ敵が集まってくれるのなら、寧ろ都合が良いぜ!」

「ええぇ?」

「どういう意味だよ?」

「こういう意味だ!」


 ジャバウォックの発言を聞き、驚くファフニールと不思議そうにジャバウォックを見るヴリトラ。するとジャバウォックはデュランダルを左手に持ち、機械鎧の右腕を突きだした。すると後前腕部の装甲が動いて中から銃口の様な物が姿を見せる。銃口の前で小さな火が燃え上がり、それを見たジャバウォックはニッと笑う。そして次の瞬間、銃口からもの凄い勢いで炎が吹き出て目の前に集まるBL兵を焼き払った。


「「「「「うおぉーーーっ!?」」」」」


 突然の炎にBL兵達の断末魔が港に広がる。BL兵達を襲った炎の正体はジャバウォックの機械鎧に内蔵されている火炎放射器によるものだったのだ。その光景を見て、ヴリトラとファフニールはジャバウォックの火炎放射器の事を思い出したのか目を見張っている。


「おおぉ!それがあったか!」

「それなら大勢の敵がいても安心だね!」

「だからと言って油断するなよ?コイツの燃料もいずれ尽きる、最後まで気を抜くな!」

「分かってる!」

「うん!」


 ジャバウォックの忠告を聞いてヴリトラとファフニールは自分の武器を構えて目の前の敵に意識を集中する。そしてほぼ同時に地を蹴り、敵に向かって行った。

 始まってしまった七竜将とブラッド・レクイエム社の激闘。人数でも装備でも圧倒的に不利な七竜将であったが、彼等は決して怯まなかった。自分達の力と仲間を信じて彼等は目の前の敵に戦いを挑む。


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