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プロローグ

 時は西暦2031年。この時代の世界は犯罪の多発、内戦の激化、人々の平和な日常は悪夢へと変わっていた。これを機に兵器会社は強力な銃火器、戦車などの戦闘車両を開発して世界中の軍隊やテロリストに提供している。そのおかげで戦争や紛争は更に激しさを増し、命を落とす者が後を絶たない。更に多くの死者を出した軍は民間人を誘拐、強制参加をさせて人員を補充させ、民間警備、民間軍事会社への契約を始める。当然、家族を連れて行かれた民間人も反論する。政府も民間人の反感を買う事を望んではいない。そこで、政府はある計画を立ち上げた。その名も「機械鎧計画マシンメイルプロジェクト」。

 機械鎧マシンメイルとは、軍や民間警備会社などに所属している戦士が戦いや事故で失った体の一部分を補うために装着する戦闘用の義肢である。機械鎧の義手や義足は強力な人工筋肉を強度な装甲で覆い、その中に多数の武器を内蔵している。機械鎧を纏った人間は常人離れした力を手に入れる。だが、力が増すのはあくまで機械鎧を施した部分だけで、それ以外の生身は今までと変わらない。それにより、機械鎧と生身の力のバランスが悪くなり、戦闘は勿論、生活にも支障が出る。それを防ぐために機械鎧を纏った人間には「ナノマシン」が注射される。ナノマシンを注射する事でそのナノマシンが人間の電気信号や筋肉を刺激し、生身の部分も機械鎧に匹敵する筋力を手に入れる事が出来るのだ。更にナノマシンには治癒能力を高める機能もあり、怪我をしても常人以上の速度で回復する。これにより戦士達が戦死する確率も減り、無駄に人員を補充する事も無くなった。そして機械鎧を施された者達を、人々は何時しか「機械鎧兵士マシンメイルソルジャー」と呼ぶようになった。

 機械鎧兵士が投入された事で軍や民会警備会社などの戦力は大幅に上がり、テロリストや犯罪者も激減していった。だが、軍だけは違った。敵国が機械鎧兵士を投入して来たのだから、当然抵抗する為に自国も機械鎧兵士を投入する。しかし全ての国が機械鎧を手に入れる事が出来る訳ではない。機械鎧を開発、装着するには莫大な開発資金と技術、そして機械鎧を纏う事を承諾する者が必要なのだ。機械鎧を纏う、それは自分の生身の部分を捨てて機械鎧を装着するという事、自分の大切な体を失ってまで力を手に入れようとする者はいない。そしてそんな国に機械鎧兵士を提供する組織も現れつつあったのだ。


――――――


 大雨の降る日本の町。激しい雨音が響く中、街でサイレンが響き渡っていた。パトカーに救急車が一軒の家のまで止まっており、その家の周りを野次馬が囲み、大勢の警察官がその野次馬を抑えている。野次馬が囲んでいる家は広い敷地のある和風の家で、その敷地の中には道場の様な物が建っている。その道場には「皆藤流剣術道場」と書かれた立札が掛けてあった。多くの警察官と担架を持った救急隊員が家と道場を行き来しており、家の中は見るに堪えない光景だった。家の至る所に大量の血痕と弾痕があり、床は血の海となっていた。その中に倒れている二人の男女。男の方は三十代後半で仰向けで倒れ、剣道着を着ている。男は皆藤流剣術の師範のようだ。そして女の方は三十代前半でごく普通の服を着てエプロンを付けて俯せで倒れていた。どうやら主婦で男の妻と思われる。警察官が周りを調べ、救急隊員が二人の手当てをしようとするが、二人とも体中に無数の銃創があり、既に息を引き取っていた。


「酷いなぁ・・・」

「ああ、とても人間のする事じゃねぇよ・・・」


 家の中を調べている二人の警察官が倒れている二人の遺体を見て小声で話をしている。この時、警察は他の部屋が荒らされた形跡がない事から物取りの犯行ではない事を既に掴んでいる。


「強盗とかじゃねぇんだよな?」

「そりゃそうだろう。たかが強盗でここまで銃を乱射するか?しかも遺体にはもの凄い銃創があるし、明らかに恨みによる犯行だろう。それもかなりの重武装をした連中の・・・」

「やっぱそうだよな。しかもこの大雨だろう?雨音で銃声も掻き消されちまうから犯行時刻は割り出すのも難しそうだ」

「それを分かっててやったに違いないからな。犯人はかなり組織化された連中だろう・・・」


 警察官が犯人の手口、動機などを話していると、男女の遺体が担架で外に運ばれて行く。後には人の形をくっきりと残した血の池だけが残る。周りの警察官や鑑識官が調査を続けようとすると、家の外から別の警察官の声が聞こえてきた。


「おーい!救急隊員、道場に来てくれ、生存者がいるぞ!」


 声の反応して外を見る警察官達。救急隊員が呼ばれて外に出ると、離れた所にある道場で一人の警察官が手を振っている姿が目に映った。近くにいた数人の救急隊員が救命道具と担架を持って道場の方へ走って行き、道場の中へ入ると、そこは家の中ほど酷くはないが、悲惨な状況だった。道場の真ん中で一人の少年が仰向けに倒れていた。栗毛の短髪に近くの中学校の制服と思える学ランを着ている。彼も血まみれで、周りには先に来ていた警察官が応急手当てをしていた。


「どいてくれ!状態はどうなんだ?」

「ああ、出血が酷いがまだ呼吸がある。あと、左腕がズタズタだ。銃で撃たれたり、何かとてつもない力が加えられて複雑に骨折している」

「くっ!急いで応急処置を、この子だけでも助けるんだ!」


 警察官から少年の状態を聞いた救急隊員はその場ですぐに応急処置を行った。止血をし、酸素吸入をしながら刺激を与えないように慎重に担架に乗せて救急車まで運び、その近くの病院まで急行した。

 病院に着くと、少年はストレッチャーに乗せられて手術室へ真っ直ぐに向かっていく。手術室に着き、麻酔をかけられた少年は手術台の上で眠る様に意識を失っている。病院に着いた時には既に虫の息だった少年。周りでは医師達が意識の無い少年をジッと見つめている。


「おい、こりゃ無理だろう・・・」

「左腕が複雑に骨折しているんだ、切断しないと助からないぞ」

「でも、この子はまだ中学生よ?腕を無くしたら・・・」


 少年の心配をしながら話しをしている医師達。するとそこへ一人の医師が手術室へ入って来た。手術服を着た女性医師で見た目は三十代前半位の女だった。入って来た女性医師をの方を見て静まり返る医師達。雰囲気からしてこの女性医師が執刀医責任者のようだ。


「何を取り乱しているの?子供の命がかかっているのよ、もっとしっかりしなさい」

「先生、ですが、この子の将来を考えて、切断は・・・」

「切断しないとこの子は確実に死んでしまうのよ?迷うことは無いでしょう。命があれば、まだ希望はあるわ。準備をして、早く!」

「「「ハ、ハイッ!」」」


 女性医師に言われて他の医師達も準備に取り掛かる。女性医師は意識の無い少年を見つめる。


「私はこれから貴方の腕を切る、貴方は腕を一本失って生きていかなくてはならないけど、死んでしまっては全てお終いなの。許してね?」


 少年の額にそっと手を置いて静なに謝罪する女性医師。周りでは準備を終えた医師達が女性医師を見つめる。それを確認した女性医師もマスクをはめ、メスを取り手術を開始する。手術が実に六時間も掛かった。

 手術は無事に終わると、少年は病院の個室に移されて眠りについている。外は既に夜になっており、時計も十一時を回っている。執刀をした女性医師は手術服のまま病院内の椅子に座り、コーヒーを飲んでいる。手術帽を外して黒い長髪が垂れて彼女の肩にかかる。疲労が一気に出たのか女性医師は首を降ろして俯いた。


「ふぅ・・・」

「お疲れ様」


 声を掛けられた女性医師は顔を上げて前を向くと、そこにはスーツ姿の女性が立っていた。長い金髪に澄んだ目をし、女性医師と同じで三十代前半位の外国人の女性だった。だが、顔が少し日本人に近くもある。


「あら、誰かと思ったら貴方だったの?『アレクシア』」

「疲れて機嫌が悪そうね?『清美』」


 アレクシアと呼ばれる金髪の女性と清美と呼ばれる女性医師、どうやら二人は顔見知りで名前を呼び合う程仲が良いようだ。清美は椅子にもたれて持っている紙コップのコーヒーを口にしながらアレクシアを見上げた。


「貴方が来たって事は、あの少年の事を聞きに来たって事でしょう?」

「流石ね、話が早いわ」


 自分が何をしに来たのかを察した清美を見てアレクシアはニッコリと笑う。清美は小さく溜め息をつき、またコーヒーを一口飲む。そしてどこか呆れる様な顔をした。


「貴方も物好きねぇ?家族を失い、更に片腕を失ってしまったあの子を引き取ろうなんて・・・」


 疲れた様な声で言う清美はアレクシアを見た。そして残りのコーヒーを全て飲み干し、紙コップを握りつぶすと近くのゴミ箱に投げ捨てた。


 本条清美。日本でも五本の指に入ると言われている優秀な外科医でノーベル賞も取った事のある人物だ。アレクシアとはある事で因縁があり、もう何年も付き合っている。清美の話しを聞いていたアレクシアは笑顔から真剣な表情へと変わった。

 

「何の罪もない子供達が家族を奪われて行き場を無くしているのよ?助けるのは当然でしょう?私も似たような立場だからね」

「それは分かるわ。貴方も幼い時に家族を事故で無くして、一人ぼっちだったもんね?」


 過去を振り返り静かに話しをしているアレクシアを見て清美も目を閉じながら静かな声を出した。


 アレクシア・ソルマレティア・桜田。アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれたアメリカ育ちのハーフで、元アメリカ陸軍の大佐をしていた女性。陸軍時代は若くして教官を務めており、同僚達からは「アメリカ軍の母」とまで言われた優秀な佐官だったが、母親の故郷である日本の犯罪率が高くなっている事を知り、軍を退役して日本で民間警備会社を立ち上げる。現在は社長業を務めながら身寄りのない子供達を引き取るなどをしている。


「それで、その男の子は今何処にいるの?」

「個室よ。しかもICU」

「ICU、集中治療室に?・・・手術は成功したんでしょう?どうしてそんな所に・・・」

「左腕を切断したのよ?それに体中の至る所に傷を負ってるの、何時急変してもおかしくないわ」


 少年は左腕の傷が最も酷かったが、それ以外にも体中に傷を負っており、意識が戻るまで安心はできない状態の為、清美の判断でICUに入れてあるのだ。

 ICUにいる事を聞かされたアレクシアは危険な状態では会う事が出来ないと判断したのか、黙って窓から外を見る。雨は既に止んでおり、雲も無くなって星空がアレクシアを照らしていた。


「それじゃあ、会う事は出来ないわね。でもよく助かったわね?聞いた話だと左腕はボロボロで出血も酷かったんでしょう?」

「ええ。その場にいた警察官が応急手当てをしてくれてたからね、だから助かったのよ」

「そう、それじゃあその警察官の人達に感謝しないとね」

「何で貴方かが感謝するのよ?」

「アハハハ」


 なにもされていないアレクシアが警察官に感謝するという事を聞いて清美は笑いながら尋ねる。アレクシアも清美の方を向いて笑った。清美も立ち上がってアレクシアの隣にやって来て同じように空を見上げる。


「そう言えば、その男の子って剣道に道場で一人で倒れってたらしいわよ」

「一人で?」

「ええ、確か・・・皆藤流剣術って言う・・・」

「!?」


 皆藤流、その名を聞いたアレクシアの表情が急変する。アレクシアは清美の両手肩を掴んで前後に揺らし始める。


「皆藤流、確かにそう書いてあったのね?その道場は!?」

「ど、どうしたのよいきなり・・・」

「どうなの!?」


 感情的になり、アレクシアは清美に尋ねる。清美は自分の肩を掴んでいるアレクシアの両手の上に自分の手を置いてとにかくアレクシアを落ち着かせる。


「落ちついて。そうよ、確かに皆藤流剣術道場って調書には書かれてあったわ。あの子は道場で一人倒れていて、ご両親は自宅で射殺されたらしいわ・・・」

「そ、そう・・・」


 確認してようやく落ち着いたのか、アレクシアは両手を清美の肩からどかした。両手を降ろして窓にもたれるアレクシアを見て清美は小首を傾げた。彼女の知っているアレクシアは常に冷静で、ちょっとの事では取り乱さない程の神経の持ち主だ。そのアレクシアが取り乱すのを見て、清美も不思議に思った。


「一体どうしたのよ?貴方らしくないわね」

「ええ・・・ごめんなさい・・・」


 顔に手を当てて謝罪するアレクシア。自分を落ち着かせようとゆっくりと深呼吸をする。その姿を見て、今度は清美がアレクシアの肩に手を置いた。


「落ち着いた?」

「・・・ええ」

「それで?一体どうしたって言うの?その皆藤流の道場の事を何か知っているの?」

「・・・・・・実は」


 アレクシアは自分と皆藤流道場の関係を話し出す。それを聞いた清美は目を見張って驚く。それからしばらく二人な何かの話しをしだし、しばらくしてアレクシアは帰って行った。残った清美は少年の居るICUへ行き、ベッドの上で酸素マスクをはめながら眠っている少年をしばらく見つめるのだった。


――――――


 日差しが強い青空。その下にある大きな病院の一室、そこは少年が眠っているICUだった。部屋には誰も居らず、少年の寝ているベッドの周りには沢山の機材が置かれてある。生体モニターには安定した数値が映されており、少年の右腕には点滴がされ、体中に包帯が巻かれていた。

 あの手術から既に三日も経っているが、少年は未だに意識を戻さず眠り続けたままであった。そして少年の家を襲撃した犯人もまだ捕まっておらず、警察も少年から事情を聞こうとずっと病室の外で目を覚ますのを待っている。手掛かりがない以上、警察の頼みの綱は犯人の顔を見たであろう、少年に頼るしかなかったのだ。


「・・・・・・う、うう」


 ベッドで眠っていた少年の目が動く。目はそのままゆっくりと開き、目を覚ました少年は辺りを見回す。見覚えの無い部屋で自分は何で寝ているのか、混乱しながらも必死で思い出そうとしていた。


「あ、あれ・・・僕は、どうして・・・痛っ!」


 起き上がろうとした瞬間に体中に強烈な痛みが走った。少年は痛みに耐えながらゆっくりと体を起こしてもう一度部屋を見回す。そして自分が酸素マスクをしている事、点滴をしている事、そして・・・。


「・・・っ!な、無い・・・僕の・・・左腕が・・・」


 自分の左腕が無い事に気付き、少年は自分の目を疑う。そんな中、突然ドアが開き、部屋に誰かが入って来た。少年は驚いてドアの方を向くと、カルテを持った看護婦の姿が目に入る。看護婦の姿を見て黙り込む少年、そして少年が起きている姿を見た看護婦も驚いてカルテを落とした。


「あっ!・・・君、目が覚めたのね?大丈夫?私の言ってる事が分かる?」

「・・・・・・あ・・・ハ、ハイ、分かります」

「そう、よかったわぁ。貴方、三日も眠り続けていたのよ?」

「三日も・・・?あの、それってどういう・・・」


 少年は看護婦から話しを聞こうとする。だが看護婦はナースコールのスイッチを入れて何処かへ連絡を入れる。少年が目を覚ましたことに驚き話しを聞く余裕がないようだ。


「こちらICU三号室。患者さんが目を覚ましました、直ぐに本条先生を読んでください!」


 看護婦はナースコールのスイッチを切ると落したカルテを拾い部屋を出ていこうとした。少年は出ていこうとする看護婦を呼び止めようと声を出す。


「あ、あのぉ、ここは何処なんですか・・・?」

「ごめんね!今から先生を呼んで来るから、細かい事は先生から聞いてね?それじゃあ!」


 看護婦は少年の話しもろくに聞かずに部屋を出ていってしまった。残った少年は一人ベッドの上で俯き、自分の無くなった左腕部分にそっと手を置いた。一体何があったのか、どうして自分の左腕がないのか、分からないことだらけだった。今の少年には少しでも情報が必要だった。

 それからしばらくして病室に白衣を着た清美が二人の看護婦を連れてやって来た。少年はやって来た清美と看護婦に少し驚きはしたが、直ぐに落ち着いて清美の顔を見上げる。清美は少年のベッドの前までやって来ると、微笑んで少年を見つめる。


「気分はどう?」

「ハ、ハイ・・・大丈夫です。ただ、体中が・・・」

「痛むのね?まだ傷が完全に塞がっていないのよ。もうちょっと辛抱して」


 清美は少年に安否を確認し、直ぐに良くなることを話す。そんな時、少年は外から何やら騒がしい声が聞こえてくることに気付いてドアの方を見る。少年の視線の先を見た清美はドアの方を見ながら説明する。


「あれは警察の人間よ。貴方が目を覚ました事で騒ぎ出したの」

「け、警察・・・?」

「大丈夫よ、私達が居る間は入って来ないわ。でも、退室した後はどうなるか・・・」


 自分達が出て行った後に警察関係の人間達が雪崩れ込んでくる、それをさり気なく伝える清美。そんな清美の話しを聞いて少年は俯き黙りこむ。そんな二人のやり取りを二人の看護婦は苦笑いをしながら見ている。

 少年が俯いている姿をチラッと見て、清美は話がそれた事に気付き、話を再開する。その時の清美の顔はさっきの様な笑顔ではなく、真剣な顔だった。


「話がそれたわね。まず、貴方自身も色々混乱しているかもしれないけど、最初に貴方の左腕の事、そしてどうして左腕がそうなったのかを説明するわね・・・」


 清美は三日前に少年の家で何が起きた事を確認するように話していき、その後に命を助けるために左腕を切断した事、両親が死んだ事を全て話した。話しを聞いた少年はショックのあまりベッドに座ったまま体を前に倒して泣き出した。清美と看護婦達はそんな少年を気の毒そうに見ている事しか出来なかった。

 しばらく泣き続けていた少年は落ち着いたのか、ゆっくりと顔を上げる。目元にはまだ涙が溜まっており、頬は涙のせいで赤く腫れている。少年は残った右手で涙を拭い、清美の方を向いて小さな声を出した。


「あの・・・僕はこれからどうなるんですか・・・?」

「それは・・・」

「それは私が話すわ」


 病室に突然聞こえてきた声に少年と清美、看護婦達はフッとドアの方を向く。すると、ドアが開き、外からアレクシアが入って来た。突然現れた知らない外国人に少年は戸惑っている。清美は歩いてくるアレクシアを見て腰に両手を当てる。


「今は医師が患者さんと話をしているの、貴方の話はもう少し後にしてよね?」

「ごめんなさい、この子が目を覚ましたと聞いて居ても経っても居られなくて」

「まぁ、気持ちは分かるけどね」


 アレクシアと清美が少年には聞こえない声で何かを話している姿を少年はただ黙って見ていた。すると話しを終えたアレクシアが少年の方へ歩いて来て挨拶をする。


「はじめまして、私はアレクシア・ソルマレティア・桜田よ。よろしくね」

「ハ、ハイ、はじめまして・・・」


 礼儀正しく微笑んで挨拶をしてくるアレクシアに少年は少し頬を赤くして返事をする。簡単な挨拶を終えると、アレクシアはゆっくりと少年の顔に自分の顔を近づけ、鋭い目で少年を見つめる。いきなり鋭い目をしてくるアレクシアに少年は驚いて顔を少し下げた。


「早速で悪いんだけど、貴方に質問があるの」

「え?質問・・・?」

「貴方・・・・・・機械鎧兵士に、ならない?」


 突然、機械鎧兵士にならないかと言われた少年。だが、このアレクシアの質問が少年の人生を大きく変えていく事を、この時は誰も知らなかった。



そして、十年の月日が流れた。

今作が小説家になろう初の作品です。みなさん、お時間がありましたら覗いていってください。

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