プロローグ
私が小説家になろうと思ったのは小6の時だ。
初めはなんとなく物語を書いていただけ。
そして、それを母がたまたま読んで、
『海沙が書いたの? すごく面白いね』
そう褒められたのが嬉しくていくつも書いた。
そうしていく内に、小説を書くことが日常になっていた。
中学を卒業して高校生になった今もそれは変わらない。
でも、私の日常はもう一つ加わった。
――それは、友達としゃべること。
中学から一緒の綾と結が、高校になってできた友達を連れてきてくれて、いつも一緒にしゃべってる。
しゃべってる時にときどき恋愛の話になる。
私は恋をしたことがなかった。
たぶん、これからもずっとないだろうな……。
なんて考えていたこともあった。
それをみんなに言ったら、
『そんなことじゃ恋愛小説書けないよ』
って笑われた。
私も書いてて、少しはこんな恋をしたいな……なんて思ったことはある。
でも、いまいち『好き』って思える人がいない。
理想が高いわけじゃない。ただ、そういう人がいないだけ。
私は、優しくて礼儀正しい人と付き合いたい。
――でも、現実は違った。
私がこんな人と付き合うなんて、誰が予想できただろう……。