1日の終わり
夕日が辺りを染める時刻、彼女は1人屋上に来ていた。
1日の終わりにここから街を見下ろすのが彼女の数少ない楽しみの1つなのである。
暖かい夕日が世界を包み、オレンジ色の光が彼女の美しい漆黒を照らした。
今日もそれなりに愉快でそれなりに退屈な1日だったと彼女は憂鬱な気分に浸るが、ふと聞こえてきた仲間の声でそれも台無しにされる。
彼女は群れるのが嫌いだ、孤独を愛している。
ただ、ずっと孤独ではいられないことも理解している。だからこの時間は彼女にとって孤独だけを愛する事の出来る限られた貴重な時間でもあった。
時間の経過と共に夜の色が濃くなり、周りの空気から温かさが薄れる。
終わりが近付いているのだ、今日の終わりと孤独の終わりが。
彼女は名残惜しそうに溜め息を吐くと、そこから飛び降りた。
解釈はどのようにも出来るお話なつもりで書きました。
テーマは夕陽とカラスかな?