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無理の無いV生活  作者: 織田璃空


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20/21

20.AGVCO、開幕直前顔合わせをしてみた。

(GW中仕事を必死にこなしていたら火曜日終わっていました……更新飛ばしてごめんなさい)

――AGVCO、開幕直前。


 プロゲーマーチーム、『アルテミス・ゲーミング』主催によって約一ヶ月間開催されるオンラインサーバー。僕、礼威君、ヒロ君の『ぶいろうくみ』もご招待いただいたので参加出来ることになった。

 僕らは今回、サーバー内で『ギャング』として活動する。ボスは経験者であるということから礼威君に務めてもらうのだけれども――


『はじめまして、D&F Stars所属の松井めぐです』

『は、はは……はじめまして!』

「はじめまして」

『ども~』


 一緒にギャングをやることになったヒロ君の実の姉である沙綾さんが連れてきたのが、礼威君の推しである松井めぐさんだった。


『米澤さん、私のこと推してくれていたんですよね? ありがとうございます♡』

『あ、いや……今でも推しです! ゲーム配信とかめっちゃ見てます!』

『え、嬉しいです!』


『……これ、めちゃくちゃ舞い上がってるよね?』

「しっ、ヒロ君……邪魔しちゃ駄目だよ」


 若干、引き気味のヒロ君。どうもどうも~なんて挨拶を交わしているふたりが落ち着くと、沙綾さんが「私は自己紹介必要ないわよね? ポチは必要かしら?」とポチことサーニャさんに自己紹介を促す。あんまりなニックネームだけど、サーニャさんと沙綾さんのこの関係性はずっと前からなのでつっこまないでおく。


『スタビの二期生! さーちゃん先輩の犬こと、サーニャです! アクションゲーはそこそこ得意なつもりっす!』

「はじめまして、サーニャさん」

『先輩お久しぶりです』

『沙綾さんとサーニャさん、トラトラのコラボ以来でしたね、お久しぶりです』


――と、ここで流れ的に「ん?」と思う人がいたら凄い。


 松井さんが自己紹介した時、ヒロ君は「ども~」としか言わなかった。それが意味するところは顔見知りで、別に久しぶりではないという事だ。

 事情を知らない人がこの状況に遭遇したとしたら、松井さんとヒロ君が実は裏で交際している! とかって疑うかもしれない。でも実際のところは松井さんと沙綾さんが元々友人で、アイドルとして売れる前からヒロ君にとってはお姉さんの友達、という存在だったらしい。それを抽選会の直後に知らされ、僕と礼威君は驚いたし、礼威君は「羨ましい……!」と気持ち悪く(失礼)悶えていた。……うん、思い返してもあの時の礼威君は気持ち悪かった(追撃)。


『ゆう――ヒロ君、この前は弟への誕生日プレゼントのアドバイス、ありがとうね。おかげで喜んで貰えたよ』

『それは何より。無難すぎたかなとも思ったんだけど』

『ううん、凄く喜んでた。中身もだけど、推しのアドバイスで決まったプレゼントだって知って、私が引くぐらい喜んでいたもの』

『え、俺が助言したって教えちゃったんですか?』

『私は正直者なのさ。えっへん』

『くぅ……推しが可愛すぎる……』


 松井さんとヒロ君の会話を聞きながら礼威君が悶えている。それに対して沙綾さんが「礼威君、ほんとにめぐのこと好きなのね……」と感心したような、ドン引きしたような微妙なリアクションをしていた。……サーニャさんは、「弟君紹介して欲しいっす!」と何故かがっついていた。


『えーと、礼威君が気持ち悪く悶えているので進行代わるけど』

「辛辣ぅ……」

『まあ、事実だしね?』


 僕のツッコミにヒロ君は苦笑しつつ話を続ける。


『今日は交流会ということで礼威君が作ってくれた非公開サーバーで練習します。AGVCOはガチガチにカスタマイズされたサーバーなので、このサーバーには無いものも多いけど、操作感とか雰囲気に慣れつつ、親睦を深めようというのが今日の趣旨です』


 ヒロ君の説明に全員がわかったという旨の相槌を打つ。礼威君もどうやら少し冷静になったらしい。


『えーと、取り乱してすみませんでした。ヒロ君が言うように、このサーバーは標準的な仕様で立てているのでやれることは多くないです。なので、会話しつつ打ち解けていけたらいいなという感じでやっていきましょう』


 礼威君の言葉に皆が「はーい!」と答えて、誰ともなく苦笑する。学校みたいだ。


『それじゃあ、時間ですしここから配信を始めましょうか。皆さん、よろしくお願いします』


 礼威君の言葉をきっかけに、僕らはそれぞれ待機画面になっていた配信を切り替え、マイクをONにする。


『あ~、配信入りました~』


 礼威君から始まり――


『皆、聞こえてる?』


 ヒロ君が続き――


『音量は大丈夫?』


 沙綾さんが音量チェックを促し――


『画面、ちゃんと切り替わってます?』


 サーニャさんが画面切り替えの確認をして――


『えーと、はじめましての方ははじめまして、いつもの方は今夜もよろしくお願いします♡』


 松井さんがリスナーに挨拶をして――


『――炭酸水、おいすぅぃ~!』


 僕は、炭酸水を飲んだ。


:なんでだよw

:もう持ちネタになってんじゃん

:味を占めたな、飲んでるのフレーバー無しらしいけど


 リスナーが反応してくれて、サーニャさんが「これが噂の……!」とオーバーリアクションしてくれて、松井さんが「わ、私も何か飲んだ方が良いかな?」と続けてくれた。


――うん、良い雰囲気だ。


:コメントは削除されました

:コメントは削除されました


 僕のアンチか、松井さんのファンかは分からないけれど、ちょっとよろしくないコメントも最近の配信より目立つ。まあ、多人数コラボともなれば注目されるし、こういうことも起きやすいのかもしれない。――許容は出来ないけれどもね?


『えーと、今日はもうすぐ開催するAGVCOを前に、ちょっとした交流会です。不慣れなメンバーに俺が最低限のレクチャーをしつつ、始めて顔を合わせる人もいるのでこれを機に仲良く出来たら良いな、といった感じの会です』


 礼威君の説明にうちのコメント欄で「沙綾とサーニャはわかるとして、なんでまつめぐが?」という疑問が流れる。それは他でも同様だったようで、それを拾った沙綾さんが「あ、めぐと私が友達だから」とあっさりバラした。


『別に秘密でも何でもないしね』

『沙綾ちゃんとはかなり前からの友達なんです』


:ほえ~、しらんかった

:初めて明かされた話じゃない?

:ワイ、沙綾も推してるけど初めて聞いたぞ


「沙綾さんと松井さんの関係を初めて知ったって、うちのリスナーさんもビックリしてるみたいです」


 僕がそう言うと、松井さんが「あ、私のことはめぐって読んでください!」と言い出す。……え、アイドルさんに向かって、名前呼び……? も、燃えない……?


『礼威さんも名前で呼んでくださいね? これは、あなたの推しの命令です♡』

『お、俺が……め、め、め……めぐ、さん、を……?!』

『礼威君、落ち着いて……壊れちゃってるよ?』

『おもしろ』

『うひゃひゃ!』


 心配するヒロ君、落ち着いたトーンで面白いと評する沙綾さん、バカウケしているサーニャさん。


「それじゃあ、めぐさん……あらためて、よろしくお願いします!」

『はい、久遠さん! 礼威さんも、よろしくね?』

『は、はひぃ……』


:はひぃw

:雑談とかでちょいちょい喋っていたけど、マジで推しなんだなぁ…

:推しからの命令だなんて、うらやましい…


『めぐさん、礼威君をあまりからかわないでね? 純情なオタクを弄んだら駄目だよ?』

『ヒロ君、酷いなぁ……そんなこと言うと、沙綾ちゃんから聞いた秘密……バラしちゃうぞ?』

『おい、馬鹿姉貴何吹き込んだコラ』

『誰が馬鹿姉貴だって……?』


:はじまらんw

:大丈夫か? このコラボ…

:サーニャは楽しそうだぞ


 なんだかなぁ……そう思いながらも、僕はこのめちゃくちゃで、自然体なこのコラボを楽しんでいた。

 操作に不慣れだった松井さんあらため、めぐさんもゲームをよく遊んでいるということですぐに慣れ、バーチャシティ・シリーズ未経験だという沙綾さんとサーニャさんも持ち前のセンスですぐに僕以上に適応していた。


:経験値、久遠の方があったはずなのに…

:不憫、だがそれがいい

:今日は女医ネキいないのかな?

:いたら、きっと悶えていることだろう…

:ここに病院を建てよう

:そういう使い方じゃないと思うよ?


 コメント欄も楽しそうで何より。


:コメントは削除されました

:コメントは削除されました

:コメントは削除されました

:コメントは削除されました

:コメントは削除されました


――配信も推し活も、楽しいのが一番だよ。

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