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屋上に呼び出しって、それはもう告白じゃん!……って思った俺がいました。

作者: 藤花ケイ
掲載日:2026/01/05

「放課後、屋上に来て」


そんなメールが届いたのは、教室が賑わう昼休み。

送り主の名前は宝塚 絵麻、幼馴染だ。


賑わう教室の中で俺はただ一人、


え?

これはもう完全に告白じゃん!


とクラスの隅っこでなぜか手が震えていた。


けど、こんなすぐに意識しちゃうとかチョロい男じゃん。


内心、自嘲しつつ

絵麻のことだから絶対裏がある。


そう俺は思った。

懐疑心から数少ない友人に相談する。


そうして俺の黒歴史が増える事となったのだ。



**********



5限目の休み時間。


「次の授業、しんどくない?」


疲労からか、そう話す生徒の声が多く聞こえてくる。


あのメールは昼休みの終わり頃に届いた。

俺はすぐ友人に相談しようとしたが

タイミングが悪くあの時はチャイムが鳴ってしまった。


―――今しかない。


俺は勢いよく席を立つと、隣の教室へと向かった。


教室の扉を開け

廊下を一人歩く。


......足が重い。

どうしてだ?


……緊張してるのか俺?


まだ告白と決まった訳でもないのに。

自分でも緊張してて笑える話だ。



そう思った瞬間、肩に違和感を覚えた。


「ツンツン。ねぇ聞いてる?」


後ろを振り向けば絵麻がいた。


「ごめん、話聞いてなかった。」


そう聞き返すと、絵麻はクスッと笑って


「今日の放課後のこと覚えてるよね?優〜!」


「あぁ、覚えてるよ。それで?」


絵麻は親指を立て


「それなら大丈夫!本当に大事なことだから頼むよ!」


そう言って、どこかへと行ってしまった。


……なんなんだ、アイツ。

だけど頭からはどうしても

あのメールが離れなかった。



深く息をつくと、俺は隣の教室の扉を開けた。


中に入ると、いつもの二人が並んで喋っている。


「お、久しぶりでござるな、優!」

先に気づいたのは直也だった。


飯田直也。

アニメとゲームが好きで、かなりの変人だ。

正直、恋愛相談の相手として向いているのか怪しい。


「お久しぶり。元気してた?直也と透!」


「おひさ!優ちゃん、僕は元気だぞ〜!」


彼の名前は三島 透。

小柄で、モテるこいつは俺の幼馴染だ。


「で?急にどうしたでござるか?何か焦ってるみたいであるが……」


直也はただ事ではないと察したようだ。


……言うしかない。


「実はさ」


一拍置いて、言葉を続ける。


「絵麻に放課後、屋上に来てくれないかって言われたんだ。」


二人の表情が変わる。

拳を強く握りしめ、俺は――


「これって、告白なのかな?」

と言った。


自分で言っててかなり恥ずかしい。

というか、なんか自分ダサくない?


心の中でそう叫ぶ。


直也は深く溜息をつくと、


「お久しぶりに話しかけてきたと思ったら、自慢でござるか?」


「某はネットでもリアルでも恋愛をしたことないのでござるよ?」


……そりゃ、そうなるよな。


一方で、透は少し考えてからこう言った。


「絵麻って昔から僕に優の話ばかりしてきたよね」


「だから可能性はあるんじゃないかな?」


その言葉が、胸に残った。

時計を見ると、次の授業まで残り2分。


俺は直也の冷たい視線から逃げるように

教室へと出て行った。


**********



放課後、5時過ぎ。

部活のない生徒がほぼ帰り

周りには部活生しかいない。


俺は、一人屋上に向かう。


屋上のドアを開け

二、三歩進むと大きな風が吹く。

まるで、風が応援したかのように。


「絵麻。待たせたよね、ごめん」


絵麻のいる場所へと走って向かう。

心臓の音がうるさい、早く静かにしてくれ。


過緊張する俺を横目に絵麻は話し始めた。


「ねぇ、優はさ。私のことどう思ってるの?」


突然の質問。

彼女の顔を見ると

瞳から真剣さが窺える。


「俺は、大事な幼馴染だと思ってるよ」


「そう……」


俺は、静かに頷いた。


「……私、実は告白したいの」


……え?


その言葉を聞いた瞬間、勝ったと思った。


この流れは、完全に告白だ。

いや、それしかない。

他のことなどあり得ない。


心の中で、ガッツポーズをしていると――


「実は私さ、クラスのとある女の子が好きみたいなの……」


「え?」


多分、あの時の俺は口を大きく開いていたに違いない。それほど衝撃的だった。


「そっ、そうなんだ」


無意識に震える声。

その後の絵麻は暴走していた。


「その子、めちゃくちゃ可愛くてさ。趣味も合うし」


「この間は、お家デート?的な物もしたのよ!」


彼女の好きの気持ちが溢れ出し、それは洪水を引き起こしていた。


そして、この瞬間。俺はただの勘違いダサ男として終わる。


「恋の相談できてよかった!やっぱり持つべき物は"親友(ゆう)"だね」


———グサッグサッ


言葉の刃で傷つけられた俺と愛を語る絵麻。

そうして俺はただの勘違い男として終わったのであった。

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