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第二章

第二章では、西村の日常に少しだけ焦点を当てています。

第一章とはまた違う静けさを感じていただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

夕日が街を赤く照らす頃、彼はどこかへ向かって歩いていた。行き着いた先は家ではなく、幼稚園だった。中からは子供達の笑い声が聞こえてきた。


「すいませーん」


「あぁ、西村さんお待ちしてました」


「すいません、いつもこの時間まで預かってもらっちゃって」


「いえいえ大丈夫ですよ、陽菜ちゃんいつもお友達と楽しそうに遊んでますよ」


保育士さんと話していると、部屋の奥から妹が西村目掛けて飛び込んで来た。


「お待たせ陽菜」


「陽菜ちゃんまた明日ね!」


「せんせいばいばーい」


「先生それじゃあ、今日もありがとうございました」


西村は、学校が終わるとそのまま幼稚園へ向かう。それが、彼の日常だった。


帰り際に西村が『ねぇ陽菜、今日の夜ご飯何食べたい?』と聞く。


「ハンバーグ」


「いいよ、じゃあスーパー寄ってこうか」


西村は陽菜と一緒に夕食の買い出しのためにスーパーへ向かった。到着してすぐカゴとカートを手に取り押していた、そして陽菜は西村の制服の裾を掴んで歩いていた。野菜コーナーから玉ねぎを取り、肉コーナーへ進む。


「えぇーと合いびき、あった」


そしてその場を去ろうとした時、横の方から自分を呼ぶ誰かの声が聞こえた。声の方へ顔を向けてみるとそこには飯田がいた。


「西村くん?」


「あれ、飯田さん?買い物?」


「うん、うち両親がふたりとも忙しいから夕飯はいつも私が作ってるの」


「そうなんだ」


すると飯田は彼の後ろに隠れている陽菜に気づいた。


「西村くん、その子は?」


「あぁ、妹の陽菜。さっき幼稚園に迎えに行ってそのまま来たんだ」


「そうなんだ、ていうか西村くんも買い物?」


「あぁうん、陽菜がハンバーグ食べたいって言うから材料買いに来たんだ」


「そうなんだ、良い…お兄ちゃんなんだね」


西村は『…そんなことないよ』と言いながらも内心照れていた、その表れか彼の顔はとても柔らかい笑みが浮かんでいた


「あっごめん引き留めちゃって、また学校で。じゃあね陽菜ちゃん」


飯田はそう言って陽菜の頭を撫でてその場を去った。別れ際に陽菜が飯田に『ばいばい』と言いながら手を振っていた。


飯田の姿が見えなくなると、さっきまで静かだと思っていたスーパーの中が、いつの間にかいろんな音で満ちていた。


「はぁ……」


別に騒がしいのが嫌いな訳じゃない、学校だって沢山の人であふれてる。けど、今は少し……耳につく気がする。


買い物を終え、陽菜と並んで帰り道を歩く。住宅街の中は静かで、時間がゆっくりと流れているようだった。さっきまでは“うるさい”と思っていたのに、今はなぜか“寂しい”と感じている自分に気づく。


そして角を曲がると、自宅が見えてきた。西村の家は住宅地の中にある、ごく普通の一軒家だ。玄関に入ってすぐ、西村は陽菜に手洗いうがいをするように言う。靴を脱ぎ、洗面所へと向かう妹。洗面台の横に置いてある踏み台を前に置き、その上に乗って手を洗った。妹が洗い終わった後、西村も続けて手を洗った。


手洗いうがいを済ませると、西村は台所へ向かう。レジ袋から買ってきたもの、そして冷蔵庫から材料を出した。まな板を置き、包丁を手に取る。すると自身のスマホをスタンドに置き、レシピサイトを開いた。


玉ねぎを手際よく刻み、いくつかの下準備を済ませる。西村の動きに、迷いはなかった。


西村は、普段からこうしてレシピを見ながら料理をしている。毎日毎日、妹のために……。


数分後、ハンバーグのタネを冷蔵庫に入れ30分ほど寝かす。その間に着替えを済ませ、洗濯物を取り込んで畳む。気づけば、下ごしらえを寝かせる時間は過ぎていた。


フライパンを温め、冷蔵庫からタネを取り出した。そして容器からタネを出しフライパンに乗せる。ジュージューと音が鳴り、徐々に焼き上がっていく。


「陽菜?もうすぐできるから座って待ってて」


西村は完成したハンバーグを切っておいたブロッコリーと一緒に皿に乗せ、テーブルまで持って行った。西村が『はい、じゃあ食べよう!』と言って陽菜と一緒に手を合わせる。『いただきます』ふたりでそう言い、夕食を食べ始める。


「美味しい?」


「うん!」


西村は心の底から嬉しそうな表情をした。


毎日、こうして妹との生活を続けている。それが、西村の日常だった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

第二章では、西村の“当たり前の日常”を書きました。

次章では、また少し違った一面を描いていく予定です。

よろしければ、引き続きお付き合いください。

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