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第020章 〈影〉

2075/4/8 a.m.3:30 悠真自室


悠真は深い眠りについていた。学校中がしんと静まり返っている。誰かが起きていたとしても教師か、夜に適した能力者だろう。

しかしそんな静寂の中、突如学校中に警報が鳴り響く。


[緊急L3事態発生、外装バリアの消失を確認、端末の指示に従い、速やかに行動を開始してください。]


それを聞き、悠真は飛び起きる。同時にパソコンに電源が付き、ゼロさんが映る。


「これって…」

「悠真様、何者かが学校に侵入したようです。端末は何と表示していますか?」


悠真は寝起きで震える手で、枕元に置いてあった端末を掴んだ。

そこには


[指示:即座に男子寮の地下避難所へ逃げてください]


「逃げろって書いてある。」

「賛成です。現状、悠真様のランクはB相当です。逃げたほうが賢明でしょう。」

「そうします。」


悠真は最低限の道具が詰めてあるバッグを背負う。


「あ、悠真様、その前に如意合金の破片をパソコンから時計に移してください。」

「そっか、今の状態だと動きにくいですね。」


-2075/4/8 a.m.3:32 男子寮廊下-


廊下に出ると、他の生徒たちも最も近い階段へ向かっていた。


「あ、白斗!」

「悠真か、逃げるぞ!」

「とりあえず今は協力か…」

「避難所に行くぞ。学校のバリアを割れるなら相手は少なくともSランク以上だ!」


白斗とともに避難所へ向かう途中、突然周辺の影が揺れ動く。


「なんだ!?」

「まさか…」


蛍光灯が照らしきれないあちこちの影の中からガスボンベが投げ出される。


「悠真!これを!」


白斗はどこからかガスマスクを取り出し、装着する。悠真へもガスマスクを投げる。悠真はそれを素早くキャッチし装着する。

直後、ガスボンベが破裂し、周辺にガスが満ちる。


「これは…?」

「マドレプリクトだ。過去に見たことがある。こいつは催眠ガスで吸い込めばたちまち眠っちまうぞ。」

「そんなものまであるのかよ!」

「しかもこいつは軍用だな、周りの生徒がどんどん眠ってくぞ。」


ガスが廊下を満たし、視界が白く霞む。

生徒は悠真と白斗を除いて、次々と床に崩れ落ちていった。


「……くそ、避難所まであと少しなのに!」


白斗が歯噛みする。


「眠らせに来た、つまり――」


悠真は、背中に冷たいものが走るのを感じた。


「最初から、俺たちに戦いをさせる気はないってことか。」


その瞬間、端末が短く振動した。


[警告:避難経路Bが遮断されました]

[警告:生徒の昏睡を複数確認]


「……やられたな。」


白斗が低く呟く。


「影は、俺たちを倒す気じゃない。“眠らせて、連れていく気だ”」


その言葉に、悠真は思い出す。

――影に見られている感覚。

――ずっと前から続いていた視線。


「……ゼロさん」


悠真が時計に小さく呼びかける。


「はい、悠真様」

「これ……俺、狙われてませんか?」


一瞬の沈黙。


「……否定できません。」


悠真は考える

(騎士を潰すためか?…だったら相手は魔人?違う、復活までまだ1年以上あるはずだぞ…)


「悠真様、一つ、確実に逃げられる策があります。」

「それは?」

「如意合金を破片をたどることでそちらに転送させます。」

「そんなこともできるんですか?」

「ええ、ただ白斗を信用できるかがまだわかりません。」

「…いや、やろう。少なくともガスマスクをくれた恩は返したい。」

「では…」


しかし、その時、影が一段と揺れる。水面のように波紋が起きる。


「何!さらに何かが!?」

「おいおいおいおい、もしかして…」

「白斗、知ってんのか?何が来るんだ!?」

「テラフォ、ゲフンゲフン、巨大ゴキブリだ!」


影の中から全長2mはあろう巨大ゴキブリが這い出して来る。


「き、気持ちわりぃ!」

「こいつは、いよいよまずいなぁ。こいつらが出てくんのはさすがに予想外だぜ。いや、妥当か?」


悠真は一瞬だけ迷い、言う。


「……逃げる方法がある。」

「マジか?」

「俺だけじゃない。 二人とも助かる方法だ。」


短い沈黙。


「…協力を持ちかけたのは俺のほうだしな。」


白斗は肩をすくめた。


「分かった。どうせこのままでも詰みだ。その方法に賭けてやる!」


巨大ゴキブリが、甲高い羽音を立てて迫ってくる。

影の中から、さらに二体、三体、次々と這い出す。


「多いなクソ……!」


白斗が後ずさる。


「ゼロさん、今です!」

「了解しました。転送を開始します」


悠真の時計が変形を開始する。破片が分離し、姿を変える。質量が増え、変形し、棒のような形状となる。


「よう悠真、助けに来たぜ!」

「悟さん!」

「悠真、それが秘策なのか?」

「そうだ。こちらは悟さん。」

「よろしくな、そっちのガキ。」

「よし行くぞ!ゴキブリ駆除だ!」

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テラ〇ォーマー草
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