第018章 〈冥界狼王・Ⅰ〉
2075/4/6 p.m.3:45 男子寮訓練場
入学からの戦闘&用事続きだった3日間と比べ、この数日間はあまり出来事が無かった。しかし悠真は相変わらず違和感を感じていた。初任務の時から影に何かが潜んでいるような感覚。気にせずに毎日訓練をしていたが、やはり悪寒がする。
「ん?おぉ、悠真じゃねぇか。」
「始、お前も訓練か?」
「ああ、そうだ悠真、お前最近何かに見られてる気がしないか?」
「お前もなのか。」
「それのせいで夜も不安で眠れないぜ。」
始の言葉を聞き、悠真は確信した。影の中に何かがいる。
(何者かの能力攻撃を受けているのか?しかし、今のところ危害を加えられていないしな…)
「あー、うだうだ考えても仕方がねぇ。悠真、模擬戦するぞ。」
「いきなりかよ、仮想ルームか?現実か?」
「安全を考えて仮想ルームにしよう。ただし痛覚を等倍にしてみようぜ。試したこともないし。」
「よし、行くかぁ!」
-2075/4/6 p.m.3:47 男子寮仮想ルーム-
二人がルームに入り、もろもろの設定をする。
「ステージはランダムでいいか?」
「ああ」
[ステージ『GETSUYA』、痛覚1.0倍、再現開始]
周辺が夜に包まれ、空に満月がかかる。
「運がいいぜ、こいつは俺の大好きなステージだ。」
始はそう言うと自身の能力を発動させる。始の肉体は狼に似た姿へと変わり、その上に骨の鎧がかぶさる。さらに骨は変容し、両手剣の形状を作り出す。
「ずいぶんと刺々しい姿だな。ほんと強そうだ。」
悠真も負けじと両手に火炎螺旋を出す
「おっしゃこい!」
「言われなくとも!」
両者は互いにぶつかり合う。炎の螺旋と骨剣が衝突し、火花が散る。
「硬い!」
「当たり前だ、ただの骨じゃねぇぞ。毎日しっかり鉄分取ってんだからなぁ!」
悠真は飛びのき次の技を準備する。
「だったら貫ける技を出すだけだ!弱体化したとはいえメタルスーツを貫いたこいつを止められるか?」
悠真は情報が割れている中で現状のもっとも破壊的な技、火炎突を発動させる。
「そいつは沙耶さんから聞いてるぜ。鎧骨・重戦狼!」
始の鎧の骨がより太く硬く膨れ、追加の装甲も現れる。
「さらに!頭蓋園!」
地面から巨大な頭蓋骨が飛び出し、始を呑み込むように守る。
「それもろとも貫いてやるよ!」
火炎突が頭蓋骨にぶつかる、軽々と砕き貫く。
「そこまでは予想できてるぜ。」
始の腕鎧が特に強化され、そこで火炎突を受ける。
「おらぁ!」
「ぐぅ!」
ドバン
始は大きく弾き飛ばされる。しかし、腕鎧が砕けた以外に特に損傷はない。
「やるじゃねぇか、悠真。」
腕鎧を再生させる。
「そっちこそ、想像以上の防御力だ。」
「こいつを使うつもりはなかったが、仕方ないな。」
始は悠真へ両手の骨剣を投擲する。悠真は軽々とそれを避ける。しかし、悠真の後ろの地面にささった骨剣が動く。
「何!?」
骨剣から背骨でできた触手のような物が伸び、悠真に絡みつく。
「くそ、力強いなぁ!」
「よし悠真、こいつを喰らえ!!」
始は骨で刀身3mはあろう大剣を作り出す。
「おいまてまて!痛み等倍だぞ!」
「問答無用!うっしゃあぁぁぁああ!」
大剣が振り下ろされるその瞬間
「爆雷」
ボン!
「うぉお?!」
悠真の攻撃を受けた始の右腕が突如爆発する。
「火炎突の時か!」
「御名答!さらに!『爆雷』!!」
最初の衝突で骨剣に仕掛けた爆雷を発動させ、高速を抜ける。
「終わりだ!螺旋突・回!!」
それは始の腹にクリティカルヒットする。
「ぐほぅ…」




