表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/34

第016章 〈凍鷹〉

2075/4/3 p.m.8:49 悠真の部屋


悠真は暴走者を殺してから、ずっと違和感を感じていた。まるで何者かに見られているような感覚がある。部屋の暗がりに何者かが潜んでいる感覚が。


「悠真様、初任務成功おめでとうございます。」

「うわぁ!」


いきなりパソコンに電源が入り、ゼロさんが映る。


「なんですか?俺はあれが成功だとは思いませんけど。ていうか見てたんですか?」

「まぁ見ていましたよ。彼は別に悠真様にとって親しくもないでしょう。しかも別に悠真様が殺したわけではないでしょう。」

「まぁそれはそうですけど、人が死ねば悲しむものじゃないんですか?。」

「いえ、私は別に重要でない人物なら、そこまで。」

「むぅ、じゃあ俺もそうすべきかな。」


そんなことを話していると。部屋のドアがノックされる。パソコンの電源が素早く落ちた。悠真がドアを開けると、そこには予想外の人物がいた。


「よ、悠真。」

「お前!日向白斗!」


売店にいた奇妙な男がそこにいた。


「何の用だ?飯はもう食ったぞ。」

「なに、お前の様子を見に来たんだよ。気分が良くないんじゃないかと思ってね。」

「……別に。普通だけど。」


悠真はそう答えつつも、無意識に白斗から半歩距離を取っていた。

売店で感じた違和感が、今になって鮮明によみがえる。


白斗は部屋の中に入り、周りを一瞥する。


「へぇ。思ったより普通の部屋だな。もっとこう、武器とか能力研究の資料とか、ゴロゴロしてるのかと思った。」

「ただの学生寮だぞ。そんなもんあるわけないだろ。」


何もないと思ったのか白斗は悠真の正面に座る。


「まぁいいや、お前は元気そうだし。そうだ、賭けをしないか?」

「賭け?なんなんだ…ていうか勝手に座るなよ。」

「ルールは簡単、俺がコインを投げて表が出ればお前の勝ち、裏が出れば俺の勝ちだ。」

「おい、まだ受けると言ってねぇぞ。」

「まぁまぁ、すぐに終わるぜ。」


白斗は指先で銀色のコインを弾いた。

薄い金属音が、やけに大きく部屋に響く。


「……勝ったら何があるんだよ。」


悠真が警戒を隠さずに言う。コインは空中で回転し続ける。


「乗ったな、お前が勝ったら面白いことを教えてやる。負けたら、そうだな…」


白斗はにやりと笑った。


「俺に飯を奢れ。」


その言葉と同時にコインは落ちる。結果は、


『表』


「あーあ、負けちまったよ。」

「にしてはそこまで残念そうには見えないな。」


白斗は笑みを湛えている。コインをひろい、コインロールをする。


「とりあえず俺は負けた。いいことを教えてやろう。」

「なんだ?」

「今回の時空門発生と暴走の黒幕だよ。」

「何!?」


悠真は驚愕した。やはり、これらの事件は人為的に起こされていたものだったというのか?


「『マドレプリクト(madreplict)』という組織を知っているか?」

「知らない、が、そいつらが黒幕だっていうのか?」

「ああ、俺の兄ちゃんがいる組織でもある。」

「お前の兄だと?」

「ああ。」

「それを俺に教えてどうするつもりだ。」


白斗はうつむきながら答える。


「…兄ちゃんを助けてほしいんだよ。」

「そいつを助けて、俺に何か得はあるか?お前もいまいち信用できない。」

「助けてくれたなら、お前にAランク聖遺物をやる。信用はこれから勝ち取ろう。」

「…そうか、わかった。情報は信じよう。お前に協力するかどうかまだかくていできないがな。」

「感謝する。」



白斗が行ったのち、パソコンの電源が再び付き、ゼロさんが話しかけてくる。


「悠真様、私は強力には反対です。マドレプリクト、聞いたことはありますが今の状態の悠真様では到底勝てないでしょう。」

「俺もそう思うぜ、あいつも、あいつの兄の能力も未知数だしな。多分氷系だろうが。」

「悠真様、悟さん、彼の兄の能力については少し見当がつきます。」

「ほう?」

「ゼロさんわかるんですか?」

「ええ、前回の売店での接触時から目をつけていました。」

「ほう、さすがだぜ嬢ちゃん。合金に籠ってばかりの俺とは大違いだ。」


ゼロさんはパソコンに資料を表示させる。


「今から八年前、つまり2067年の8月12日に警察が暴走事件なのですが、その暴走者の苗字がたしか日向だったはずです。」

「おいおい、まじかよ、その時のそいつの能力は?」

「嬢ちゃん、俺も気になるぜ。」

「巨大な氷の鷹です。処理するのに非常に手間取りました。」


ゼロさんの言葉に、部屋の空気が張りつめた。


「鷹……?」


悠真は画面に表示された資料に目を凝らす。

そこには、氷の結晶で構成された翼を広げる、異形のシルエットが映し出されていた。


「コードネームは__」


ゼロさんが静かに告げる。


「『凍鷹とうよう』。」

「凍鷹……」


その名が重く響く。


「暴走時、周囲半径数百メートルの熱を急激に奪い、上空から氷塊を降らせる能力でした。

被害は甚大、警察が複数名、戦線離脱しています。」

「そんな化け物を……」

「 確認できている情報では記録上は暴走後・消息不明 しかし――」


ゼロさんは一拍置いたのち、語る。


「死亡確認は、されていません。」

「……やっぱりか。」


悠真が息を吐く。


「じゃあ、白斗の話は嘘じゃないと。」

「はい。その点については信用できるかと。」


悠真はそれを聞き、悩んだ。果たして白斗に協力するかどうか。

(やはり今後の白斗の動向を見てから動くか。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ