☆番外002☆ 〈男子寮での生活・悠真の部屋〉
2075/4/1 p.m.3:36 男子寮5階16号室/悠真の部屋
男子寮の部屋は一人部屋が基本で、申請すれば複数人で一緒に住むこともできる。
「昼は荷物をおいてさっさと授業に行ったから分からなかったけど、結構広いな。」
悠真の荷物は簡素なもので、パソコンと私服が数枚、そして学校の結界に検知されないようにぎりぎりまで小さく弱くした如意合金の欠片しかない。この欠片はゼロさんと悟さんが悠真と連絡をとるためにあるのだが、現状まだ反応は無い。
玄関から入るとまず廊下があり、横には独立した風呂とトイレとLDK、一番奥まで進むとそこはベッドとテレビが付いた居間がある。
「しっかりした1LDK、一人暮らしには最適だ。」
そう呟いた直後、悠真はベッドに腰を下ろした。
……沈まない。
想定以上にしっかりしている。訓練後にそのまま気絶しても、姿勢を正されそうな硬さだ。
「これ、硬すぎだろ……」
テレビの前に立ち、リモコンを手に取る。
電源を入れると、見覚えのない内部チャンネルがずらりと並んだ。
『訓練映像アーカイブ』
『能力者向け健康体操』
『事故報告(閲覧注意)』
「最後いらなくない?」
そっと別のチャンネルに変えた。
キッチンに目を向けると、最低限の調理器具が揃っている。
包丁、まな板、電子レンジ、IHコンロ。
「……火、使っていいのかな」
自分の能力を思い出し、調理は能力を使うことにした。
(いや、使うなって言われてないし……)
一通り部屋を見回し、悠真は改めて思う。
(……本当に、ここで生活するんだよな)
窓の外には、同じ形の男子寮がいくつも並び、遠くには訓練区画の壁が見える。
さっきまでいた現実と、今いる場所が、少しだけずれているような感覚。
[ピコン]
机の上に置いたパソコンが、小さく音を立てた。
「?」
起動していないはずなのに、画面が勝手に点灯する。
[接続確認]
一行だけ表示され、その下に小さな文字。
[如意合金通信、最低出力で確立]
「……え?」
悠真が思わず立ち上がると、画面に新たなメッセージが流れた。よく見るとパソコンの横に置いておいた如意合金の欠片がパソコンと融合している。
[居住環境を確認しました、狭くありませんか?]
聞き覚えのある声、この丁寧な言い回し。
「……ゼロさん?」
[はい。問題なく接続できています]
安堵より先に、別の疑問が浮かぶ。
「え、如意合金って機能多彩過ぎない??」
[ああ、そりゃ俺という生命が宿ってるんだからな。]
「あ、悟さん。」
[よ、元気そうだな、俺とゼロの嬢ちゃんはバレないように短時間しか通話できない、もう切るぜ。]
「あちょっと!」
[プツン]
「まぁ短時間とはいえ通信できるしとりあえず安心か。」




