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第009章 〈数値〉

2075/4/2 p.m.4:20 アンダーガーデン本部


悠真は沙耶についていくと、多数の根が絡まった球体の前にたどり着いた。


「これが、根の檻ですか?」

「ええ、そうよ。中に入ることで全てがわかる。」


言われたとおりに球体に近づくと、球体の根が動き、内部に入れるように穴が空いた。

内部は植物のような外観とは異なり、なめらかなシルクのような質感をしている。

中に入り、穴が閉じると、急激な眠気が襲ってきた。


「寝ていいわよ、そっちのほうが正確な数値測れるしね。」


~数分後~


「おーい、起きなさい。測り終わったわよ。」


「あっ、はい!」


悠真が根の檻から出ると、沙耶はパソコンの前に座っていた。パソコンの画面には様々な数値やグラフが表示されている。


「うん、やっぱりいい数値ね。特に反応速度と対応力が高いわ、一般人の約3倍、目的意識に関しては4倍以上よ。見てみる?」


画面の数値を見てみると、基準値を10として様々なものが数値化されていた


フィジカル 117/60点

・筋力13 ・耐久力25 ・持久力21

・肉体速度15 ・反応速度31 ・柔軟性12


サイコ 114/60点

・ストレス耐性24 ・目的意識45 ・自己肯定9

・安定速度7 ・回復速度4 ・精神力25


インテリジェンス 117/60点

・思考速度23 ・対応力32 ・理解力15

・発想25 ・教育9 ・経験13


総合評価 348/180点 基準比:1.93 適正:オールラウンダー


その他etc


「これ、いいほうなんですか?」

「いいほうよ、この学校の一年の平均基準比は約1.6で290点、それより60点近く高いからCランクとしては十分ね。」

「B級の基準比ってどれぐらいですか?」

「基準比2.0ぐらいねB級でも単一が40を超えることはまれだから相当すごいわよ。」


悠真は少し考えたのち、聞いた。


「貴方の基準比は…?」

「4.08の734点よ。まぁこれ一つ欠点があって、筋肉を鍛えまくればとりあえずフィジカルは上がるのよね。だから点数や基準比がたかくてもガラスハート脳筋とかいるのよ。」

「先輩はそうは見えませんね。」

「当然よ、こちとらインテリジェンス300点だもの。……ああそうだ。」


沙耶は画面をスクロールし、ふっと笑みを消した。


「気になる点があるわ」

「気になる点……ですか?」

「ええ。まず__これ」


サイコの欄、自己肯定9

他の数値と比べて、明らかに低い。


「低い、ですよね……」

「低いどころじゃないわ。Cランク帯でも平均は15以上。あなたは、能力の割に自分を信用していないわね?」


悠真は言葉に詰まった。


「次に、安定速度と回復速度」

・安定速度:7

・回復速度:4

「精神が揺れたとき、立て直すのが極端に遅い。

一度崩れると、しばらく回復できないタイプね」

沙耶は画面を閉じ、悠真の方を向いた。

「あなた、力を出すとき……怖くない?」

「……」


図星だった。 怖い。

壊れるのが、失うのが、自分自身が必要とされなくなるのが。


「でもね」

沙耶は椅子から立ち上がり、悠真の肩の高さまで屈む。


「この欠点は、そこまで重く考える必要は無いわじゃない」

「……?」

「ここは“完璧な人間”を作る場所じゃないの。適正に合わせ鍛え上げる場所よ。」


その言葉に、悠真の胸が微かに熱を帯びた。

伊上が後ろから割り込む。


「要するに悠真、あなたは伸びしろの塊よ。」

「伸びしろ……」

「でも、逆に言うと__」


柳田が静かに続ける。


「このまま放置すれば、いつか確実に折れるわ。」


空気が一段、冷えた。


「舞との戦闘、覚えてる?終盤、判断は正確だけど……“退く”選択肢が存在していなかった」


悠真は唇を噛んだ。

(あの時は止まれなかった。下手に防御せずおとなしく退けばあるいは…)


「あなたは、相手の情報にこだわりすぎている。多少は妥協して退いたほうがいいわね。」


沙耶は端末を操作し、最後の項目を表示した。

【その他etc】

・異常反応ログ:有

・高出力時、未定義エネルギー挙動を確認

・感情同期率:測定不能 上限を確認できません


「……測定不能?」

「そう。普通は数値が出る。50%とか60%とか。でもあなたの場合、“感情と力の境界”が曖昧すぎる。」


沙耶は静かに告げた。


「上限がない、感情がそのまま力になるから感情によって能力が激しく左右される。」


沈黙。

悠真は、自分の手を見つめた。

(舞に負けて、酷く不安を感じる。沙耶さんの言葉通りなら…)


「安心しなさい、付いてきて。」

沙耶は背を向け、根の檻がある部屋から連れてただならぬ気配がする鉄の扉の前へ悠真を連れてきた。

扉の前には『地下訓練区画へ』と書かれている。奥から、低く不穏な駆動音が響いてくる。

「次は数値じゃ測れないものを測るわ」

「何を……?」

「実戦適応力、__模擬暴走体制圧テストよ。あなたが折れる側か越える側か__ここで見せてみなさい!」


悠真は一度、深く息を吸った。


「……やります。」

「グッド!」


〈聖遺物紹介〉ランクS聖遺物「根の檻」

情報看破インフォデタックの奇跡を持つ聖遺物、内部に人でも動物でも物でも入れることで様々な情報を見ることができる。しかし、根の檻の使用にはインテリジェンスとサイコの数値がそれぞれ300以上の人物が情報処理を行わなければいけない。現状アンダーガーデンでその条件を満たすのは桐谷沙耶のみである。

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