ギルドの説明の始まり
「そちらの椅子へどうぞ。」
「うん。」
俺はそう促されるままに椅子に座った。
「まずは自己紹介からしましょうか。私はシャリカ。戦士ギルドの職員で今は救世主の皆さんへの様々なサポートをしています。」
「俺はショウ。えっと……プレイヤーで伝わるんだよね?」
「私などのギルドの関係者であれば基本的には問題ありません。しかし他の職業の方々には伝わらない可能性があります。」
そうなるとこれから先、自分から救世主なんて名乗らないといけないことが出て来るのかも?やだなぁ……
「少なくとも私には伝わるので大丈夫ですよ。」
「それは良かったけど……まぁ良いや。シャリカさんよろしく。」
「はい、よろしくお願いします。」
「ショウさんは何か聞きたいことがありますか?」
「特に……あ、マップってないの?この街の。」
「紙の地図であれば有料で購入することが出来ますよ。」
紙かぁ。マップに追加される感じなのが良かったんだけど。
そんな俺の内心を察したのかシャリカさんが少し笑みを浮かべながら話を続けるのだった。
「ショウさんが求められているものは神の加護……プレイヤーの皆さんが使われる地図でしょうか?」
「知ってるの?」
「えぇ。それで合っていますか?」
「そうだけど何かあるの?」
「戦士ギルドに所属するのであれば特典としてこの街の地図……詳細な地図は街の主要部以外はありませんが。それでもこの街を1人で歩き回ることが出来る程度の神の加護での地図をプレゼントさせて頂きます。」
戦士ギルドに入ればマップの追加情報をやるよ。ってことかな。ギルドって3つまでなんだよね?どうしようかなぁ……
「所属出来るギルドって3つまでなんだよね?」
「はい。」
「今決めるのはちょっと難しいかな。」
「こちらを見て頂けますか?」
「見るのは良いけど……え?」
シャリカさんが持っている紙を意識して見た瞬間俺の視界には画面が表示されたのだった。
[ギルドについて]
・様々な種類のギルドが存在します。
・ギルドには同時に3つまで所属することが可能です。
・脱退することで他のギルドに所属することも可能です。
・一度脱退したことのあるギルドに再び加入する為には基本的に特定のクエストを達成する必要があります。
・ギルドに所属することでのデメリットは基本的にはありません。
・ギルドに所属することでそれぞれのギルドに対応した特典を獲得することが可能です。
・一部ギルドには所属する為に何かしらの条件の達成が必要なものも存在します。
・一部のギルドには同時に所属することが出来ない可能性が存在します。
・ギルドに所属することでのメリットは基本的に大きなギルドほど大きくなります。
・ギルドはプレイヤー、AI問わず新規に作成することが可能です。ただしプレイヤーが作成するには様々な条件が存在します。
・各ギルドは何らかの事情により廃止される可能性が存在します。その場合は基本的に補償などはありません。しかし、運営の不手際などが関係した場合はその限りではありません。
*詳細はメニューから見ることが出来るヘルプをご覧ください。
長いけどまとめるとギルドは同時に3つまで所属出来る。脱退も再加入も条件を満たせば出来る。ギルドに所属することで色々メリットがある。それは規模が大きなギルドほど大きくなる。ギルドが新しく出来ることや無くなることもある。今の時点で関係ありそうなのはこの辺りかな?多分。
「少し聞いても良い?」
「勿論です。」
「戦士ギルドって不仲なギルドはあるの?」
「仲が良くないギルドは存在します。しかし戦士ギルドはそのギルドとも取引はしていますし、両方に所属されているプレイヤーの方も沢山いますよ。」
「なんて名前のギルドなの?」
「傭兵ギルドや商人ギルドが代表的でしょうね。」
なんだかシャリカさんの言い方が他人事だね。
「シャリカさんはその2つのギルドについてどう思ってるの?」
「どうですか。商人ギルドの方は交渉が大変なので担当にはなりたくないですね。」
自分が関わらないならどうでも良いってことかな?まぁ、そんなものだよね。
「傭兵ギルドは弱小の癖にキャンキャン吠えながら噛みついてき―……失礼しました。傭兵ギルドに対しては何もありませんよ。」
酷い言い草……ま、良いや。
「他のギルドとの関係は置いておいて、戦士ギルドってどのくらい大きいの?この街で。」
「元々は商人ギルドに次ぐ2位の規模でした。しかしプレイヤーの皆さんがやって来てからは商人ギルドを抜いてトップとなっています。昨日からの話ですので変わる可能性はありますが元々2位だったのでトップクラスなのは変わらないと思いますよ。」
「そっか。」
入っても悪くはなさそうだけどどうしようかなぁ……
そんな風に俺が迷っていることが分かったのかシャリカさんが言葉を発した。
「ショウさんが入るにしろ入らないにしろ、とりあえず戦士ギルドの説明をしましょうか。ショウさんはそれで良いですか?」
「どうせ時間はあるからそれで良いよ。聞いても入るとは断言出来ないけどね。」
「それは当然ですよ。それでは説明させていただきますね。」
「うん。」
俺がそう言うとシャリカさんは棚から紙を取り出し、それを使いながら戦士ギルドの説明を始めるのだった。
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