疑問
「カーネのステータスはどんな感じなの?」
「これ。」
そうカーネが言った瞬間、俺の視界に透けている板のようなものが現れた。ま、乙音がステータスを共有してくれただけなんだけどね。
名前:カーネ
種族:人間
所属:なし
レベル:0
筋力:25
防御:10
敏捷:15
知能:20
器用:10
魅力:10
スキル:なし
称号:なし
ステータスポイント:0
スキルポイント:15
スキルポイントは振ってないのかな?他におかしな?ところは特に何もないね。
「スキルポイントは振ってないの?」
「うん。戦ってみてから決めるつもりだから。」
「スキルが無くても戦えるものなの?」
「初めはなんとかなる。武器があればだけど。」
「あるの?」
「あとで買う。」
「お金あるの?」
「何も確認してないの?」
「してないよ?」
「そう。それなら教えてあげる。初めにこの世界のお金の単位はゴールド。」
「そのままだね。」
「うん。それでプレイヤーは初めから5000ゴールド持ってる。」
「それってどのくらいの価値なの?」
「安物なら買える程度。」
そろそろ聞こうかな。流石に気になってきたからね。
「そっか。ところで1つ良い?」
「何?」
「カーネはどうしてこのゲームに詳しいの?」
「説明を聞いたり読んだりしたから。ショウと違って。」
俺はカーネのそんな言葉を無視して話していくことにした。
「本当にそれだけなの?普段のカーネならそんなに調べないよね?」
「今回は別だから。」
「そう言われると困るんだけど……なんとなく調べただけって思えないんだよね。関係者と繋がってたりしてそうでさ。」
流石にそんなことはないと思ってるけど……調べただけとも思えないのは事実なんだよね。ただ調べる以上のことが思いつかないんだけど。
「私にそんな人脈はない。ただ……」
「ただ?」
「ただ……オープンベータテストに参加してただけ。」
「オープン……発売前に人を集めてデータを集めたりするやつだよね?」
「うん。ただそれだけ。」
そんなものの存在なんてすっかり忘れてたね。でも少し気になることが……
「それならどうして少し言い淀んだの?そのくらいのことなら普通に言えたと思うんだけど。」
「…ショウは一緒にしてくれる?」
「え?配信のこと?」
「そう。」
「良いって言ったよね?流石にこんな短時間で変えることはないよ。それがどうしたの?」
「もしもショウが断ってて、この話を聞いてたらどうしてた?」
「どうって……カーネがそこまですることなんてほとんどないから変えてたんじゃないかな?」
「私もそう思う。」
「うん?それなら初めから言えば良かったんじゃないの?」
「私はショウが嫌なことまでさせるつもりはない。」
えーと……乙音は俺が配信することを嫌がってるけど、乙音が珍しく本気だからって意見を変えて協力するのが嫌ってことかな?乙音って横暴なところはあるけどやっぱり根っこの部分は優しいね。
「何にやけてるの?」
「なんでもないよ。」
「なんでもないのににやけるの?私以外なら引かれても知らない。」
「ここに他の人が居るわけでもないしカーネが引かないなら別に良いよ。」
「…そう。」
「うん。」
少しだけ表情が変わったかな?乙音にしては珍しい感じの表情だね。
暫くして、乙音が言葉を発した。
「一旦戻る?」
「戻る?あー、ご飯?」
「うん。微妙な時間だからお昼ご飯を食べてから色々するつもり。ショウはそれでいい?」
「良いよ。」
「分かった。あ、ログアウトは街なら問題ないけど外だと危ないから気をつけて。」
「危ない?どんな感じに危ないの?」
「外だと身体が残るからキルされるかも。レベルが5になるまでは死んでも何もないけど。」
「6以上だとあるってことなの?」
「一定時間ステータスが半減する。それとゴールドの半分と素材とか消耗品をランダムでロストする。プレイヤーにやられた時はロストの分がそのままキルしたプレイヤーに奪われる。」
「5以下をキルしても得られるものはないってことだよね?」
「うん。でもメリットがなくてもキルする人はいる。損失はほとんどないけど、それでも街に戻されたりするから気をつけて。」
「分かったよ。それじゃあまた後でね。」
「うん。」
ゲームだから悪いこととは思わないけどそんなことをしても面白いのかな?やったことないから分からないや。
お昼ご飯を食べてログインすると乙音が先に待っていた。
「待った?」
「待ってない。私も今来たところ。」
「それなら良いんだけどね。それでこれからどうするの?説明の続きの話?」
「迷ってる。」
「何で迷ってるの?」
「説明の続きをするか、武器を買って戦うか。」
「カーネはどっちが良いの?」
「そろそろ戦いたいけどショウに手伝ってもらうわけだから……どうしよう。」
考えてみたら普段の乙音はこういったゲームを始めるとすぐに戦いに行くような性格だったね。そこまで気を遣わせたくはないから……
「俺も戦いで良いよ。聞きたいことは―あー、いや良いや。」
「何かあるの?」
「スキルの説明を見てないけどフィールドで確認するから大丈夫だよ。他の今聞いておきたいものは聞けてるからね。」
「そ―値引きはレベル1だと5%引きになる。」
「5%?大きくない?」
「大きいけど1人が買える個数には制限があるから。それに効果があるのはメニューから行けるショップだけでプレイヤーとか実際にあるお店では効果が出ない。」
「メニュー……」
メニューからショップを確認してみると色々な物が売っていた。俺は消耗品の類いを一旦置いておいて武器を確認することにした。
【片手剣】3500G
【両手剣】4000G
【短剣】2500G
【刀】2500G
【槍】4000G
【棍棒】3000G
【弓】1500G
思ってたよりも種類があるんだね。購入制限はこの7つはどれも特に無いみたいだね。多分初期武器みたいな感じなのかな。それと弓の値段だけだいぶ安いね。
「今武器のところ見てたんだけど弓の値段だけ安いけど理由って分かる?」
「矢が別売りだから。それに使い回すこともできないから安くなってる。」
「あー、それは安くないとダメだね。序盤だと使えないや。」
「うん。ショウは何か気になるものはある?」
「普通に片手剣かな?特に気になるものがないからだけどね。」
「そう。」
「うん。カーネはいつも通り短剣?」
「うん。」
「ゴールドとか物って渡せるの?」
「近くにいるなら渡せる。」
「それなら2375ゴールド貰える?短剣を買って渡すから。」
「ありがと。」
「うん。これで……大丈夫?」
「大丈夫。」
「それなら良かったよ。」
【片手剣】
耐久値 500/500
製作者 ***
片手で扱うために作られた剣。
製作者は不明だが一説には神が作ったとも言われている。
「この説明って何なの?神って。」
「そのテキストの神は運営のこと。世界観に合わせるためにそうなってるだけ。分かりやすく言えば運営の用意した武器ってだけ。それ以上でもそれ以下でもない。」
「分かったよ。ありがと。」
「うん。」
そうして俺と乙音はそれぞれ片手剣と短剣を購入して手持ち……このゲームではストレージと言うらしい。それに入れることにした。
「ちょっと聞いてもいい?」
「何?」
「ストレージって何か制限あるの?」
「他人の所有物と大きな物は収納出来ない。数とか種類の制限は多分ない。」
「大きいってどのくらいなの?」
「3メートルくらい。武器とかドロップ品で制限を考える必要は基本的にない。」
「分かったよ。」
ストレージを使って何かを盗まれることは無さそうかな。逆もなんだけどね。今のところそんなことをする気はないけど。
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