ギルドへの加入
その後、俺はお昼ご飯を食べ終え少し休んだ後、HWPにログインした。乙音との集合場所はここだから少し待たないといけない。別に少し待つくらい良いけど。
しばらく経った後、乙音がこっちに向かって歩いてきた。
「お待たせ。」
「うん。あ、カーネは戦士ギルドに来たことあるの?」
「あるけど無い。」
急に意味の分からないことを言い出したけど何を言ってるんだろ?そんな俺の雰囲気を感じ取ったのか乙音は言葉を続けていった。
「ベータ版ではある。でも正式版ではない。それだけ。」
「初めからそう言って欲しかったな?」
分かりにくい言い方をした乙音に向かって俺は文句を言った。すると乙音は少し笑みを浮かべながら言葉を返してきた。
「ごめん。」
「本当に思ってるの?」
「うん。ショウの分かるように言ってあげなかったのは悪いと思ってるから。」
……少し腹立つなぁ。本気ならだけどさ。
そんな俺の考えを察したのか乙音が続けて言葉を発した。
「冗談。私も分かりにくいって思ってる。」
「どうせ冗談なのは分かってたよ。でもカーネも分かりにくいと思ってたの?」
「無駄に分かりにくく言ってるって言いながら思ってた。初めからベータ版ではあるって言えば良いだけなのに。」
「それなら言い直せば良かったと思うんだけど?」
「遊びたくなったから。悪いとは思ってる。」
少し笑みを浮かべながら乙音はそう言うのだった……
時間になったので俺は乙音と一緒に受付に向かって行くことにした。
その後、受付でシャリカさんを呼んでもらい朝も使っていた部屋へ3人で向かうことになった。乙音に関しては二つ返事で了承を得ることが出来たので特に問題が発生することはなかった。
全員が椅子に座ると初めにシャリカさんが口を開いた。
「まずは自己紹介からしましょうか。私はシャリカ。戦士ギルドの職員で今は救世主の皆さんへの様々なことをしています。」
「カーネ。」
「カーネさんですね。よろしくお願いします。」
「よろしく。」
シャリカさんは乙音の一言ずつの会話と言って良いのかも分からないような言葉に対して、何一つ反応を示すことは無く話を続けていくのだった。
「それではお話に入りましょうか。ショウさんは何について聞きたいんですか?」
「ちょっと待ってくれる?少しカーネと相談したいからさ。」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
「ありがと。」
急に1人追加した上に話を始めようとした瞬間にちょっと待ってって言うのは正直失礼な気がしなくもないけど……NPCだから別にいっか。
俺がそんなことを考えていると乙音の方から話しかけてきた。
「相談って何?」
その質問に対し俺は乙音の耳元に近づき、乙音にだけ聞こえる程度の声量で答えることにした。
「……相談というか確認だけど、戦士ギルドって入った方が良いんだよね?さっきも言ったけど今は保留してるって感じだからさ。」
「……うん。でも今入るって言う必要がある?向こうは勧誘のために下手に出てる。私はそれならまだ言わずに曖昧な態度をしてて良いと思う。」
俺に合わせてか会話の内容的にか分からないが、乙音もシャリカさんに聞こえない程度の小声で俺の質問に答えた上でそんな質問をしてきた。
俺は入った方が良いか確認したのと保留してるって改めて伝えただけだったんだけどね。ま、話が早いから良いけど。
「……カーネの意見も分かるけどさ、外部に話すのと内部に話すのだと内容も変わってくると思うんだよね。」
「……話す情報はほとんど変わらないと思う。」
「……それは今言っても後で言ってもそうじゃない?それなら少しでも信用を取っておいた方が良い気がするんだよね。」
俺がそう言うと乙音は少し考えるような仕草をした。そうして少し時間が経った後、乙音は静かに言葉を発した。
「……うん。ショウの言うとおりで今言っても後で言ってもほとんど変わらない気がするからショウの好きなタイミングで言って良いと思う。その時は……」
「……いつも通りカーネのことも一緒に伝えれば良いんだね?」
「……うん。」
「……分かったよ。」
乙音は俺やリノムと他の人相手では別人のようになる。必要最低限の言葉で済ませようとしたり、そもそも出来る限り話さないようにしたりする。そんな乙音から配信をしたいなんて言葉が飛び出してくるなんて想像していなくて、俺は本当に驚いた。それと同時に乙音からの手伝ってというお願いを断る選択肢は消滅していた。というか、昨日は色々言ったけど初めから断るつもりなんて無かった。ここまでのやり取りを見てやっぱり俺は頑張ろうと改めて決意した。乙音は別に変わっていないみたいだから。
「ショウ?」
「ごめん、ちょっと考えごとしてた。」
「そう。」
「うん。」
そんなことを考えていると乙音が話しかけてきた。
乙音もだけどシャリカさんを待たせてるわけだからそろそろ話さないとかな。別に乙音とNPCだから待たせてても良いんだけど待たせるメリットも特に無いからね。
「シャリカさんお待たせ。色々聞く前に少し良い?」
「時間はお気になさらなくても大丈夫です。それとどうぞ。」
「戦士ギルドに入るつもりなんだけどどうすれば良いの?俺だけじゃなくてカーネもだね。」
俺がそう言った瞬間シャリカさんは少し嬉しそうな顔を浮かべた。嬉しそうな顔を元に戻したシャリカさんは俺から見て右斜め前方にある棚から2枚の紙を取り出し俺と乙音の目の前に置き、そのまま紙についての説明を始めるだった。
「こちらの紙にサインをして頂ければ完了します。」
「それだけで良いの?」
「皆さんの場合はこれだけです。」
「他の人だとどうなの?」
「様々な書類などが必要となります。こちらとしても様々なことをしなければいけませんので。」
「俺達は良いの?」
「神の加護によって殆どの手続きなどが不要となっていますので問題ありません。」
ゲーム内でまで書類を書くのは不満も出るだろうし当たり前の措置なのかな。楽だし良いけど。
そうして俺と乙音は戦士ギルドに所属することになった。
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