ギルドのシステム
「次は戦士ギルドのシステムについてですね。」
戦士ギルドのメリットとデメリットについては話し終えたらしく、シャリカさんは戦士ギルドのシステムの説明を始めるのだった。
「まずこちらをご覧ください。」
「うん。」
シャリカさんはそう言いながら俺に何かの紙を渡してきた。
その紙に視線を落とした瞬間俺の視界にこのような画面が表示された。
[戦士ギルドについて]
・戦士ギルドは世界の様々な場所に存在します。
・基本的には全ての戦士ギルド間での情報の更新に時間は掛かりません。世界の裏側の戦士ギルドでのクエストの達成などについても即座に共有されることになります。
・戦士ギルドには貢献度が設定されています。
・貢献度はクエストの達成などを行うことで増やすことが可能です。
・貢献度は基本的に減少することはありません。
・戦士ギルドに登録しているプレイヤー同士でパーティーを組むことが可能です。
・パーティーを組むことでクエストの報酬を分け合うことが可能です。
・パーティーはNPCと組むことが出来る場合が存在します。
・何か特別な理由が存在しない場合は所属することを推奨します。
*なお、上記のことはゲームの開始時の戦士ギルドの情報です。プレイヤーなどの行動により内容が変化することがあります。
「え?」
俺はとあるところを見て思わず声が出てしまった。
「どうかしましたか?」
「あ、何でもないよ。」
「そうですか?」
「うん。」
俺の声に疑問を持ったシャリカさんが少し不思議そうに聞いてきたが、俺の言葉に納得したようですぐに引いて行った。
俺は見ていて思わず声が出た部分を改めて確認した。
・何か特別な理由が存在しない場合は所属することを推奨します。
やっぱり運営が入ることを勧めてる……そうなると入るべき……いや別に入るのが嫌なわけじゃないんだけど……俺ってゲームで決められた道を通るのって好きじゃないんだよね。だからちょっとあれなんだけど……
俺がそんな風に考えていると突然頭の中で音が流れた。何かと思ったがそれをしっかり聞いてみると12時に鳴るように設定しているタイマーだった。
「今って12時?」
俺がそう聞くとシャリカさんは背後……俺の正面の壁の上の方を見た。俺も釣られてそっちを見てみると気付いていなかったが壁に時計が設置されていた。その時計でも針はしっかりと12時を指していた。
「いつの間にか12時になっていたようですね。」
俺はその時ふと気になったことがあった。
「休憩ってないの?お昼の。」
人間なら必ず必要だけど、AIなら無くても不思議ではないから聞くことにした。
「ありますよ。ただ私は12時半からと言うだけですね。プレイヤーの皆さんとは違って私達は食事が無いと生きることが出来ませんから。」
「そうなんだ。」
俺はプレイヤーに食事が必要ないか知らないんだけどね。シャリカさんの言い方的に要らないんだろうけど。
「ログアウト……」
ご飯の為にログアウトしようと考えたけど、ログアウトってどういうことになってるんだろう?
「ログアウトって分かるの?」
「皆さんの世界に戻ることでしょうか?それでしたら分かりますよ。」
「戻る……まぁそうだね。あー、シャリカさんって午後から空いてるの?」
「14時からなら空いていますよ。」
「ギルドのことじゃなくて他のことを聞きたいんだけど良い?予約的な。」
「問題ありませんよ。ショウさんは今から戻られるんでしょうか?」
「そのつもりだよ。」
「それでしたら14時以降に受付に私を呼ぶように言って頂ければ問題ありませんのでよろしくお願いします。」
「分かったよ。」
ログアウト=戻るとなると簡単に他の世界と行き来してることになるよね?俺たちってどんな存在なんだろうね?ま、あとで聞くだけだから良いんだけど。
俺は戦士ギルドの前でログアウトし、現実に戻って来たのだった。
俺がリビングに向かうとそこには2人の人影が見えた。1人目はリノム。そして2人目が乙音だった。
ま、俺の家に他の人がいるわけがないから2人の人影って時点でリノムと乙音なのは分かってたけど。
『大翔様、お戻りでしょうか?』
俺がリビングに入るとリノムがそう話しかけて来た。
「午後からはまたログインするけどね。お昼ご飯の用意お願いしても良い?」
『それは勿論ですが5分ほどお待ちください。』
「分かったよ。よろしくね。」
リノムとの会話が終わったこともあり、俺はもう1人と話すことにした。
ソファーに近付いていくと俺ではなく乙音の方から声を掛けてきた。
「HWPやってた?」
「うん。乙音は寝てた?」
「違う。起きてた。」
乙音の性格からして今日の朝ログインしないのは起きていない時くらいだからこれは嘘の可能性が高いかな。
「疑ってる?」
乙音のその言葉に俺はハッキリと答えるのだった。
「うん。」
俺がそう言うと乙音は特に怒りもせず、不満も見せずに説明を始めるのだった。
「今日は本当に起きてた。でも用事があったからログイン出来なかっただけ。」
「そうなの?」
「うん。」
「ところで昨日って何時まで起きてたの?」
「23時くらい。」
「寝たのが?」
「うん。ログアウトはもっと前。」
乙音が新作のゲームを始めて夜更かししないのは意外だった。声には出さなかったが出てもおかしくはないくらいには驚いた。
「私の話はこのくらいで良い。翔は何をしてたの?」
なんだか話を逸らされた気もするけど……逸らす意味がないし気のせいかな。
「俺は戦士ギルドに行ってたよ。午後からも行く予定だけどね。」
「戦士ギルド?どうして?」
「やることが無かったからだよ。地図も無しに街を歩くと迷いそうだったし、フィールドに行くのも俺1人なのはちょっとあれだったから。」
「そう。登録はもうした?」
「まだだけどして何か問題があるの?」
「無い。逆にしない方が問題がある。私はただ聞いただけ。」
「それなら多分午後に登録することになるかな。それで問題無いんだよね?」
「うん。」
「分かったよ。」
やっぱり登録した方が良いみたいだね。俺の性格的にちょっとあれなところもあるんだけど……いつでも抜けられるみたいだし別にいっか。
「乙音は午後からログインするの?」
「するつもり。翔は何をするつもり?」
「ゲームとかプレイヤーの設定とかを聞いたりしようかなって思ってるよ。」
「私がしても良いけど。」
「いや、そこまでしてくれなくても良いよ。魅力の影響か分からないけど丁寧だしね。」
俺がそう言うと乙音は少し……上手く言えない表情になったような気がした。
「何か問題があるの?表情が暗くなった?ような気がするんだけど。」
「問題は無い。でも午後から私も着いて行っていい?」
「え?どうなんだろ?多分大丈夫なんじゃないかな?分からないけど……」
乙音がよく分からないことを言い始めて俺が困惑していると乙音から説明が入った。
「HWPの世界観で説明されるから分かりにくい可能性がある。それにどうせなら私もNPCからの説明を聞いておきたい。何か変わってるかもしれないから。」
乙音が不思議な表情をしたのは多分後者の理由だね。1人で話を聞きに行くのは避けたいけど、俺に頼むのはちょっと恥ずかしいとかそんな感じかな?
そんな乙音の内心を想像して、俺は思わず笑みを浮かべるのだった。
そうしていると乙音から言葉が飛んできた。
「それで、良いの?」
「俺は良いけどAIが受け入れるかは分からないよ?」
「多分大丈夫。」
「そう?それなら午後は適当に合流してから戦士ギルドで話を聞くってことで良い?」
「うん。」
「分かったよ。」
そうして午後からの予定が決まった。
そういえば5分はとっくの前に経ってると思うんだけど……
そう考えてリノムの方を見てみるとリノムは笑みを浮かべながら俺と乙音を見ているのだった。
「ごめんリノム。待たせてたね。」
『いえいえ、お二方の仲が良いのは私としても嬉しいですから。それを見ることが出来るのも嬉しいことですのでお気になさらずに。』
「そうなの?」
『私にとってはそうなのですよ。』
「そっか。とりあえずご飯食べるね。乙音も食べるんだよね?」
「うん。リノムありがとう。」
『有難いお言葉です。』
リノムって俺と乙音の親みたいなものなのかな?祖父母なのかもしれないけど……リノムはリノムだし何でも良いや。
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