ep1 再開
不倫するやつはバカだ。行く末には何も残らない。何も得ない。今になりハッキリとそれがわかった。
中には不倫の末、略奪愛を貫き幸せになった人もいるだろう。しかし現実はそんな甘くない。
家庭がある女はなぜ不倫するのか?純愛か?それとも一時の気の迷いか?
答えは後者だ。ほとんどの既婚女性は配偶者からの愛情表現が足りず、その寂しさの穴埋めでたまたま現れた男に恋をする。同僚だったり、元彼だったり。
しかし配偶者と上手くいっていればどうだ?休日を共に過ごし時間を共有しセックスもお互い求め合う。
そんな既婚女性は不倫などしないだろう。
要は旦那との間に出来た隙間の穴埋めに過ぎないのだ。間男という呼び名がまさにピッタリだ。
誰もが最初はそんなことは思わない。恋に夢中になり、お互いを求め合い、甘い時間に酔いしれるだろう。
しかしそれは錯覚だ。
私自身も本気で愛していたし、愛されていた。と思った方が正解だろう。しかし現実はそんな単純に愛とか恋とかではない。
しかし夢中になればなるほど、体を重ねれば重ねるほど周りが見えなくなる。
まさに盲目。それが不倫だ。
その一時の甘い時間が終わった後、俺は自分の薄暗い寝室でタバコを咥えながら大の字に横になり天井を見つめながら「何も残らなかったな」「得た物は何もねえな」「4年間・・・何だったんだ」と夜が明けるか明けないかの暗闇でつぶやいた。
将士41歳の秋。
離婚してシングルファザーになった俺は息子の中学校の三者面談に来ていた。
小さな街だ。子供の同級生の親には自分自身の同級生もいたり先輩、後輩が数人いる。
その中に元カノで1つ先輩の小百合がいる。小百合は俺が離婚したことで声を掛けてきた。
中学時代の元カノだ。童貞と処女を捧げ合った仲でもある。そんな関係だから別に声を掛けられても不思議ではないが意外なことを言われた。ちょうど自分の面談が終わり帰ろうと階段を3階から下ろうとしたときに小百合とすれ違った。どうやら次の面談の順番だったらしい。
「お~久しぶりだな」「またね」
俺は素っ気なく挨拶程度でその場を去ろうとした。
「ね~。離婚したんでしょ?」突然小百合は聞いてきた。「あ~まあね。ダサくていじりたくなった?」
俺は皮肉交じりに言った。しかし小百合の次の言葉は意外だった。「ライン教えて」意外だった。
元カノとはいえ今まで会えば挨拶する程度にしか関係が無かった。小百合自身今の旦那は再婚で、下の娘は
2歳だった。当然夫婦仲は良いと思っていたし、なぜ俺とライン交換する?特別用事なんかないだろう?
でも内心はうれしかった。小百合は小柄で細身、目はパッチリ大きく薄い唇に涙袋。可愛い顔だ。アナウンサーの木佐彩子に似ている。付き合っていた当時から朝の目覚ましテレビを見る度に感じていた。
親になり、どこかで見かけてり会ったりする度にやっぱ可愛いな。と感じていたから意外だったが正直うれしかった。
「別にいいよ。はい読み込んで」そんな感じでQRコードを差し出した。「ありがとー!!後でラインするね!!じゃあまた!」
そんな感じでさゆりは面談に向かった。
少しあっけにとられたが、ちょっと心が躍る。そんな感じで俺も帰路についた。
自宅に着き、家事をしていると、そんなことを忘れていた。離婚してまだ2.3カ月慣れない料理に洗濯等
ただ必死だった。バタバタした時間を過ごし一息入れているとスマホのラインの通知音が「ピロロ~ン」となった。開いてみると小百合からだった。そこには一言「わたし」と打たれていた。
そりゃ名前を見ればわかる。昔から頭は良いが天然だ。俺は勉強の出来るアホと呼んでいる。
そんな小百合に合わせて一言「俺」と返した。「よろしくね~。ねえねえ今度ご飯でもいこうよ~」
なぜ?そう思いながらも「いいよ~」と返した。「いいの~!!やったぁ!!」なぜ?旦那いるじゃねえか。そんな疑問を感じながらたわいもないやりとりを数日していた。
いつからだったか?やりとりがだんだん「会いたいな。実はずっと将士君が好きだった。」と言われる様になった。「そんなはずはない。現に中学の時振られたのは俺だし20歳くらいには結婚してるし、その後再婚してる。俺なんか心の片隅にもねえだろ。」そう言いながらも頭ではわかっているが気持ちは内心うれしかった。「じゃあ今度少し夜会う?旦那大丈夫?娘チャンも小さいだろう?」「少しだっけなら!出れる日連絡する!!」そんなやりとりまでするようになった。その頃にはまだまさか不倫するなんて思いもしなかったが、昔の恋心が少しづつ沸いていたのは事実だ。頭の中に当時の記憶が蘇る。
何度小百合の自宅近くの公園で帰り道にキスしたことか。抱き合い、絡め合い。1時間でも2時間でも何時間でもそうしていた。そんな記憶が鮮明に頭に蘇るんだ。