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暑すぎる夏二〇二二

作者: 大石政義

二〇一九年から執筆し始めた「暑すぎる夏」シリーズの新たなる作品。主人公の渡辺孝義は、怜奈ちゃん(藤岡怜奈)に恋をし始め、受験が控えている二人は高校最後の夏休みを過ごす!



二〇二二年夏。高校生の五人、長谷川博則、渡辺孝義、小峠秀俊、西村雅和、中澤良英は、お笑い集団「カオス」として十一月に行われる予定の文化祭に向けて練習をしていた。この日はネタ作成の会議をしており、教室を借りていた。

メンバーの長谷川は白いスーツで、よくギャグをする。渡辺は高校生ながらもダンディーな声を持っており、なぜか長谷川の私生活によく注意する。小峠はスキンヘッドに近い坊主頭で「クリリン」と呼ばれている。西村はクレイジーな行動を起こすため、小峠から怒られている。中澤はプロレスラーのような体系を持っているが、お腹が出ていることでよく言われている。

 しかし、長谷川はパンツ一丁、渡辺はスーツ、小峠は正岡子規のような着物、西村と中澤は上半身裸だった。

「おい、長谷川君。なんでお前はパンツ一丁なんだよ。服着ろよ」

 中澤が自宅から持ってきた銅鑼を鳴らし始めていた。

「うるせぇよ!」と小峠は注意する。

 ネタ会議のはずが、渡辺以外の四人はふざけていた。渡辺は、静かに借りたパソコンでネタ作成をしていた。

 そんな五人の中で、渡辺は一人の女子に恋をしていた。名前は怜奈ちゃんだった。彼女は元々、女優として活動しており、たまにしか学校に来なかった。また、同級生の女子三人と過ごすことが多かった。渡辺は、怜奈ちゃんを誘って、告白することにした。すると、怜奈ちゃんは交通事故で元恋人を亡くしていたため、恋をすることを辞めようとしたが、渡辺に助けられたことがあるため、付き合うことになった。

「渡辺君、ありがとね。元恋人のことをずっと考えていたせいで、あんまり男子と話せなかったから」

「怜奈ちゃんに元恋人がいたなんて意外だよ。」

「渡辺君、ドラマの撮影があるから、あんまり会えないけど、いずれはデートがしたいよ」

「そうだな。俺もネタとか書かないといけないから」

「渡辺君のいるお笑い集団っていつ披露するの?」

「文化祭かな。でもさ、俺と小峠君は文化祭実行委員会の一員でさ、俺が委員長なんだよ」

「そうだったね。」

 すると、怜奈ちゃんの携帯が鳴る。それは怜奈ちゃんの友人の唯奈だった。唯奈からは渡辺のことでメールをしていた。

「渡辺君、これ見て」

「なんだよそれ。」

「SNSに渡辺君たちのことで書かれているよ」

「それって俺たちへの悪口か?」

「そうかもね。渡辺君たち、面白いのに」

 メールの内容は渡辺たちの悪口をSNSで書き込んでいた同級生がいたと特定されていた。

 こんなSNSに書かれたことで巻き込まれた渡辺たちは、緊急で話し合うことになった。

 放課後に渡辺、小峠、西村、中澤の四人は、ファミリーレストランに入っていた。後から長谷川が来るので、注文は飲み物だけにしていた。

「昨日、怜奈ちゃんの知り合いが俺たちのことでSNSに書き込んでいたから見せてくれたんだよね」

「そうなのか?」

「アンチコメントでしか思えないけど、もう特定されているからね。」

「一体、誰がやったんだよ」

「同級生の女子。名前は伏せるけどな」

「言わなくても分かっているよ」

 すると、遅れてきた長谷川がファミリーレストランに入ってきた。

「さっきまで学校にいたんだよ。SNSのことでね。」

「お前まで知っていたのかよ」

「先生に言われたんだ」

「そうなんだね」

 同級生の女子が自分たちのことを悪く書かれているため、翌日の朝になると、担任の先生がそのことで話始めていた。

「昨日の夜、渡辺君から電話が来て、自分たちのことで悪く書かれていると言っていました。しかも、このクラスの女子の誰かです。正直に答えてください」

 怜奈ちゃんは立ち上がり、悪く書いていた人物の名前を言った。すると、担任の先生は怜奈ちゃんの証言に出た名前の人物に怒った。

「なんで渡辺君たちのことをSNSで悪く書いているんだ!」

「そんなの知りませんよ」

「おい、証拠だってあるんだぞ。それでも嘘ついていいのか!」

「渡辺君に謝れ。」

「嫌ですよ。こんなやつに謝るの」

「そんなことも出来ないのか。お前の個人情報が特定されていて、先生まで困っているんだ!」

「そんな程度かよ。くだらないことで疑うんじゃねぇよ」

 名前は久留宮真帆だった。彼女はSNSで同級生にされたことを書き込んでいて、何度か炎上していた。SNSをよく使う怜奈ちゃんや唯奈は真帆のSNSで渡辺たちのことを書かれていたため、許せなかったそうだ。

 渡辺たちの先生は真帆の親にこの事を連絡していた。すると、真帆の両親は真帆の携帯を取り上げていた。真帆は携帯のない生活で辛い日々を過ごしていた。真帆の両親は、取り上げた真帆の携帯のSNSを見ていて、どうして渡辺辰のことを悪く書いたのかを問い詰めていた。

「なんで渡辺君たちが頑張っているのに、酷く書き込んでいるんだ!」

「そんなのさ、自分の感想なんだから書き込んでもいいでしょ?」

「悪く書いていたから注意されているでしょ!」

「うるさい」

「うるさいじゃない!そんなことをするから面倒なことが起きるの!」

「はぁ?」

「なぁ、こんなSNSにさ書き込むと広がるんだよ」

「うるさい」

 真帆は両親と口論になっていた。翌日、怜奈ちゃんと唯奈に呼ばれた真帆は二人から注意されていた。

「渡辺君たちのことを書いたって本当なの?」

「あんなやつさ、普通に大学なんかに行けないでしょ?」と偉そうなことを言う真帆

「何を言ってるの?渡辺君たちは大学進学するよ。」

「あんたみたいな奴に注意されるとイライラする」

「はぁ?なんでそんなことを言うのよ!」

「携帯が無いからさ、見れない」

「取り上げられたんでしょ?親に」

「取り上げられるようなことをするからでしょ!」

 渡辺たちは、真帆がしたことで謝罪をしてきたが許すつもりもなく、今後訴えることになった。渡辺たちは真帆がアンチコメントを書き込んでいるため、彼女をどう対応するかで悩んでいた。

「あのSNSに書き込まれたことをさ、削除できないよね。」

「俺たちがまだテレビに出ていないから、安心したけど。」

 怜奈ちゃんと唯奈に注意された真帆は、二人のことも書こうと考えていた。取り上げられたはずの携帯を親の寝室から取っていて、SNSに書き込んでいた。

 その翌日、怜奈ちゃんが学校に来なくなっていた。唯奈もそうだった。真帆がまたSNSに書き込んだことは気づかれなかったが、その日の午後、一人の男子生徒が渡辺に話していた。

「渡辺君、ちょっといいか?」

 渡辺は一人の男子生徒、吉田に呼ばれていた。吉田もSNSを使っているらしく、真帆が書き込んだコメントや投稿に反応し、反論をしている。

「渡辺君、彼女がいるんだっけ?怜奈ちゃんのことだけど、またあいつが書き込んでいたんだよな。」

「そうなのか?」

「うん」

「なんかな、こいつのSNSって動画も上げていて、渡辺君たちのことを盗撮しているんだ。俺、あいつが盗撮しているのを見たことあるから」

「もし、それが本当なら、訴えるよ」

 ますますとSNSで炎上しそうになった渡辺たちは、またファミレスで話し合うことになった。すると、小峠と中澤は二人のSNSが炎上したと報告していた。

小峠は怒っていた。

「こんなくだらないことで俺まで炎上するなんてありえねぇよ!」

渡辺は、長谷川と西村がSNSをやっていなかったため、一安心していた。                      

 怜奈ちゃんは、渡辺に呼び出されていた。渡辺は怜奈ちゃんに久留宮のことで話をしていた。

「渡辺君。まだ、久留宮のことで困っているの?」

「うん。今度の文化祭でやめようかな。」

「そんなことで自分を責めないで。そんなの久留宮が悪いに決まっているわ」

 渡辺は中澤と西村にSNSのことで相談していた。

「俺たちは大学進学を希望しているけど、あいつのせいで進路が変更になりそうだな」

「なんで?」

「俺たちが悪く言われているからな」

「それは無いよ」

 渡辺、中澤と西村は、行田駅で大宮駅へ向かっていた。中澤と西村は先に帰ってしまったが、渡辺は怜奈ちゃんを待っていた。

 渡辺と怜奈ちゃんは制服のままで塾に行っていた。怜奈ちゃんは神奈川県横浜市に住んでるが、渡辺の家に泊まることが多くなった。

「渡辺君、今度の夏休みにある合宿、一緒に行かない?」

「俺も行きたいよ。来年、受験だし。俺も頑張らないと」

 二人は学習塾を後にし、渡辺の家に行った。怜奈ちゃんには両親がいないことや誰と今、住んでる事を渡辺は知らなかった。

「怜奈ちゃんって今、誰と住んでるの?」

「おばあちゃんと住んでるよ」

「まぁ、介護とか大変だよな。」

「ヘルパーさんがいるから大丈夫だよ。あたしはまた、ドラマ撮影があるけど、受験をしたいから、いったん、仕事をセーブにしている。」

「でもさ、お金とかどうしてんの?」

「自分で学費とか払ってるよ」

「大変だな。両親がいないって。」

「渡辺君に言いたかったの。あたしの両親のこと。」

「俺に?」

「うん。」

「あたしが高校に入ってから、離婚したの。あたしは妹とおばあちゃんで住むことになったの。お母さんが離婚後におかしくなってね。お母さんはお母さんの姉と住んでいるみたい。もう会いたくない。お父さんだって、暴力を振るってきて、一度、養護施設にいたの。」

「そんな過去があったなんてな。ばあちゃんとはもう住まないの?」

「住むつもりだけど、渡辺君のいる地元に引っ越そうかな。」

「俺は東京にある大学に行く予定だけど。」

「あたしは慶応義塾大学かな。唯奈ちゃんもそうらしいよ。」

「俺も慶応義塾大学だぜ。」

「そうなのね。」

 二人が部屋で喋っていると、渡辺の母親が入ってくる。

「怜奈ちゃん、いたのね。おばあちゃんは元気?」

「元気ですよ。」

 渡辺と怜奈ちゃんは、二人で夕飯を食べた後、勉強していた。その後、二人は寝ていた。

 翌朝、渡辺と怜奈ちゃんは学校に向かっていた途中、渡辺の携帯の通知が異常に多くなっていた。それは久留宮の投稿したコメントのことだった。

 渡辺は久留宮の嘘のせいで炎上したと思い、小峠や長谷川、西村と中澤に連絡をした。怜奈ちゃんは自販機でレモンティーを買い、電車が来るまで飲み干していた。

 そんな二人の恋愛はどうなっていくのだろうか…


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