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黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜  作者: 黒城白爵
第十五章

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第414話 不朽と怒轟



 ◆◇◆◇◆◇



[スキル【真理の偽典】を獲得しました]

[スキル【人理の侵食者】を獲得しました]

[スキル【理外の来訪者アウター・フォーリナー】を獲得しました]

[スキル【生廃の欠片】を獲得しました]

[ユニークスキル【生命と侵食の理外王(ショゴス)】を獲得しました]



[特殊条件〈魔王:魔粘体種の討伐〉〈魔粘体の天敵〉などが達成されました]

[スキル【魔粘体種殺し】を取得しました]



[特殊条件〈真偽理解者〉〈模倣熟達者〉などが達成されました]

[ジョブスキル【偽装者(プリテンダー)】を取得しました]



[〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉と〈生廃の魔王〉による〈星戦〉が終了しました]

[勝者は〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉です]

[勝利した〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉には〈星域干渉権限〉が与えられます]

[勝利した〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉には追加でアイテム〈魔王の宝鍵(ほうけん):生廃〉が与えられます]

[アイテム〈魔王の宝鍵:生廃〉を使って勝利報酬を選択してください]

[アイテム〈魔王の宝鍵:生廃〉は〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉に帰属します]

[アイテム〈魔王の宝鍵:生廃〉は指定回数の勝利報酬を選択後に消滅します]



 本体(リオン)の方で参加していた魔王の戦いは終わった。

 〈星戦〉の終わりと共に勇者一人一人の前に出現した宝鍵の見た目の差異からの推察だが、どうやらサポートを繰り返しているうちに〈生廃の魔王〉討伐の貢献度一位を達成してしまったようだ。

 俺が積極的に攻撃することなく魔王討伐を終わらせられた。

 勇者達も生きたまま魔王討伐を経験できたことだし、総評としては最高ではないが最良、いや犠牲者無しに終わったから最善の結果だと言える。

 この結果ならアルカ教皇も文句は言うまい。



「さて、こっちの戦いもそろそろ大詰めかしら?」


「フリッカ!」


「分かってるわよ。『天叫ぶ真なる雷霆コール・トゥルーサンダー』」



 同僚からの催促の声に返事をすると、空中に浮かぶ黄金の魔女(フリッカ)用の武器である〈魔を生む黄金の剣杖(クリュサオル)〉に座ったまま、魔物の群れに向けて戦略級魔法を行使する。

 黄金剣杖クリュサオルの第三能力【豊穣の輝き】で強化された魔法による雷撃が天より降り注ぎ、魔王が生み出した多種多様な魔獣達が次々と消し炭になっていった。


 対〈生廃の魔王〉の戦いと同じ日程で行われているコチラの戦場──〈不朽の勇者〉カイと〈怒轟の魔王〉による〈星戦〉も佳境だ。

 〈不朽の勇者〉であり超越者の一人〈機怪王〉でもあるカイ・キリュウ・ディアモルトは、〈怒轟の魔王〉との戦いに備えて戦力を拵えた。

 対魔王用に準備した兵力の半数は、彼の国であるレギラス王国の外部から調達されている。

 外部戦力を勇者の名の下に雇い入れた本当の目的は、カイが魔王討伐に挑むことによって一時休戦になっているザルツヴァー戦王国との戦争にスカウトするためだ。


 エリュシュ神教国の勇聖祭でカイが勇者として魔王討伐に挑むことが大々的に発表された所為で、ザルツヴァー戦王国並びにザルツヴァー戦王国を率いる王である超越者〈暴雷王〉ロギン・ウォー・ヴァラッドは休戦に同意せざるを得なかった。

 だが、この休戦期間中にロギンも戦力を整えているため、カイによる魔王討伐が果たされたら、すぐに動き出すだろう。

 この戦争は、両国の間に存在する神造迷宮の支配権を巡っての争いなので、決着が着くまで両国が矛を納めることはあるまい。


 そういった経緯から魔王討伐のために集められた外部戦力の中に、魔法使い要員として分身体(フリッカ)で潜り込んでいた。

 リオンの親族──という設定──であることは隠さずに参加したため当初は渋られたが、実力を示したら受け入れられた。

 その過程で絶世の美貌を持つフリッカ目当ての男達を撃退したりもしたが、この程度のトラブルなら大したことはない。

 男性とは違い、一部の女性と仲良くなったりもしたが、それを含めても大した問題ではなかった。



「ふぅん。この魔法でも百獣級は生き残るのね。本当に頑丈だこと」



 椅子代わりにしている黄金剣杖クリュサオルを動かして、今の魔法攻撃でも生き残った巨大な魔獣へと杖の先端にある黄金十字刃の剣尖を向ける。

 第二能力【黄金斬光】を発動させ、剣尖から放たれた黄金色の斬撃光が巨大魔獣を真っ二つに両断した。

 絶命した魔獣からクリュサオルへと魔力が流入し、その魔獣を構成する因子が保管された。

 第四能力【因子吸喰】により吸収・保管した魔獣因子の確認を済ませた後、視線を魔獣達が来た方角へと向ける。



「〈怒轟の魔王〉黄金獅子凶獣(ゴルドレオメナス)、か。噂に違わぬ凶暴性ね」



 黄金色の体表と体毛に覆われた紅色の四眼を持つ巨大なライオンといった姿の〈怒轟の魔王〉は、その種族名と魔王として冠する〈怒轟〉の名が示すように非常に凶暴だ。

 肉弾戦に特化したタイプの魔王なだけあって、その手足を振るうだけで地形が変わるほどの威力を発揮する。

 また、上級魔法より下位の魔法を無効化するゴルドレオメナスの種族特性は、魔王化により上級魔法すらも無効化するまでになっていた。

 攻撃であろうと防御であろうと魔法を無効化する種族特性がどれだけ凶悪かは、説明するまでも無いだろう。


 その上、この種族特性は本来は魔法に対してのみ効果を発揮していたが、魔王化に際して叙事(エピック)級以下の魔導具(マジックアイテム)の能力まで無効化の対象に含めていた。

 素の耐久性も非常に高いため、〈怒轟の魔王〉と本気で戦うならば、伝説(レジェンド)級の魔導具やユニークスキルといった強力なスキルを所持しているのが最低ラインだと言えるだろう。

 魔王の魔力たる魔気による各種能力の強化があることも考慮すると、伝説級の魔導具とユニークスキルのどちらか一方のみでは力不足の可能性が高い。

 これらの情報を踏まえた上で、超越者であり魔王の力を軽減できる勇者でもあるカイは最適な人選だった。



「聖気剣ならあの巨体もダメージを負うのね」



 カイの周りに出現した多数の巨大な聖気剣が魔王へと殺到し、その頑強な肉体を斬り裂いていく。

 あの聖気剣は、超越者兼勇者であるカイの聖気を彼自身が持つ神域権能(ディヴァイン)級ユニークスキル【天機想造の時空神デウス・エクス・マキナ】の内包スキル【想造改戯(カスタマイズ)】で物質化して巨大な剣へと加工したものだ。

 素材に使われている聖気は同じユニークスキルの内包スキル【天賦勇戯(ブレイヴ)】によって質が上昇している。

 神器に至っているカイの星剣〈幻装改聖の王剣(ジュワユーズ)〉による直接攻撃ほどの威力はないようだが、強靭な肉体を持つ〈怒轟の魔王〉に対して少なくないダメージを与えていることからも、充分な力があるのは間違いない。

 〈怒轟の魔王〉に限らず他の魔王に対する攻撃手段としても有効だろう。



「◼️◼️◼️ーーッ!!」



 巨大な獅子の口から発せられた怒りの咆哮によって、カイを除いた不朽勇者軍の動きが止まってしまう。

 その隙に魔王が新たに生み出した魔獣達が攻めて来る。


 〈怒轟の魔王〉のユニークスキル【暴飲暴食の覇獣王(ベヘモット)】の内包スキル【魔獣王権】の派生スキルの一つで生成された魔獣はどれも強力だが、その中でも特に強力な個体は内包スキル【百獣野轟】で特別に強化された魔獣達だ。

 他の魔獣と識別するために百獣級と呼称している魔獣達には、【百獣野轟】で〈怒轟の魔王〉の性質が付与されている。

 性質そのままではなく劣化版ではあるが、その所為で百獣級の魔獣達は総じて強靭かつ巨大な肉体を持つ上に、低位の魔法になるほど魔法が効き難くなっていた。

 少量ながら魔王の魔力たる魔気まで使えるため、対魔王用に集めた戦力である不朽勇者軍の中でも百獣級の相手が出来るのは一握りだ。

 具体的にはカイが造り出した人工勇者達や(フリッカ)でなければ、百獣級の魔獣は倒せていなかった。


 押し迫る新たな魔獣の群れの中にいる数体の百獣級の魔獣へ人工勇者達が集中攻撃を仕掛けているのが見えた。

 他の者達も百獣級以外の魔獣達への対処に注力している。

 俺へと向けられていた意識が途絶えている今なら干渉出来そうだ。



「持続ダメージでやるか」



 権能【血神権域】で掌サイズの血の杭を生み出し、手に入れたばかりの【生命と侵食の理外王】の【生命侵食】の力を込めてから魔王の足元に転移させた。

 〈怒轟の魔王〉の真下に転移した血杭が独りでに飛翔し、魔王の身体へと突き刺さる。

 魔王の巨体からすれば小さな針の一撃だが、血杭は血神の権能製であるため色々と規格外だ。

 血杭──血神杭は〈怒轟の魔王〉の体内へと侵入し、魔王の血肉を喰い破っていく。

 血神杭は喰らった血肉を取り込んで成長し、魔王の体内を縦横無尽に暴れ回る。



[──〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉が〈怒轟の魔王〉と戦闘状態に入りました]

[──〈怒轟の魔王〉が〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉と戦闘状態に入りました]


[──〈勇者〉よ。〈魔王〉を滅ぼし、〈人類〉に繁栄を齎してください]

[──〈魔王〉よ。〈勇者〉を滅ぼし、〈魔物〉に繁栄を齎してください]



 〈怒轟の魔王〉へ明確な直接攻撃を仕掛けたことで〈星戦〉のアナウンスが聞こえてきた。

 本体(リオン)の方での〈生廃の魔王〉との一戦で、複数の勇者で行なった際の〈星戦〉については理解した。

 参戦したことさえバレなければ、〈星戦〉が終了してもバレないようなので此方の魔王からも宝鍵を獲得するとしよう。

 〈星戦〉後に出現する宝鍵を周囲から隠す手段はあるので問題ない。



「◼️◼️ッ!? ◼️◼️◼️◼️ーーッ!!」



 体内から攻撃を受けているとあって流石に魔王は気付いたようだが、相対するカイは気付いていない。

 この攻撃が状態異常の類いならば、カイのユニークスキル【天機想造の時空神】の内包スキル【万能鑑定(オール・アプレイザル)】で看破できていただろうが、血神杭による侵食はただの直接攻撃なので鑑定系能力では看破できない。

 カイ自身が魔王へ猛攻を仕掛けているのもあって、ダメージ量から血神杭の存在に気付かれることもないだろう。



「『乱舞する戦光ボイスタラス・ウォーライト』」



 周りに展開した複数の魔法陣から縦横無尽にレーザーを撃ち放ち、眼下の魔獣達を一掃する。

 この魔獣達を倒す度に魔王の力が上昇──おそらく〈怒轟の魔王〉の称号効果だろう──してしまうが、こうして処理しなければ魔王側の戦力が増大してしまう。

 俺達がいる戦場の外へと魔獣達が移動する可能性もあるため、その防波堤の役割も不朽勇者軍は担っていた。


 そんな厄介な性質を複数ある〈怒轟の魔王〉だが、カイとの相性は良くなかった。

 〈怒轟の魔王〉の攻撃手段は基本的に物理攻撃のみであり、その物理攻撃にも特殊な効果があるわけではない。

 魔王として魔気が使えるため、魔気を付与すれば単純な物理攻撃にはならないが、その魔気を聖気で相殺されてしまうと魔王としての特異性が失われてしまう。

 神器に至った星剣を持つ勇者であるカイの聖気は〈怒轟の魔王〉の魔気を相殺できるレベルなので、魔王はただの物理攻撃でカイと戦わなければならない。

 だが、開戦から数十分が経ってもなお、魔王は一度たりともカイに大ダメージを与えることが出来ていなかった。

 それほどまでに両者の相性は悪く、釣り合っていた戦力比も徐々にカイの方へと傾きつつあった。



「……〈機怪王〉とは言い得て妙ね」



 現在のカイの姿は幼さの残る少年の姿ではない。

 全身を光沢のある鋼色の金属に似た物質に覆われた巨人のような姿をしており、仕組みとしては〈溶炎の勇者〉フラメアの竜型の炎体と同様で、内部にカイが収納されている。

 背中から硬質な翼が二対生えているのもあって、正確には全長十メートルほどの人型の機械天使といった表現が正しいかもしれない。

 だが、その腕は四つあり、二つの尻尾まで生やしており、頭部には眼が三つあった。

 背後で銀光を放つ歯車状の光背と周囲に浮かぶ聖気剣こそ神々しさがあるが、今のカイの姿は全体的に異形感が強い。

 だが、その異形の機械天使から発せられる気配は、数倍以上のサイズ差がある〈怒轟の魔王〉を上回るほどに強大だった。

 

 レベル百に到達し、特殊ジョブスキル【超越者(オーバーロード)】を取得した人類種に与えられる固有の称号である〈王権称号〉。

 この王権称号により齎される専用の権能が【王聖権顕】という力だ。

 その権能にて顕現した〈機怪王〉の力を前に成す術の無い黄金獅子の魔王は、ただ狩られるのを待つだけの獣でしかなかった。



[スキル【絶魔ノ黄金獅子鎧皮アンチマジック・ゴルドレオスキン】を獲得しました]

[スキル【貪欲の獣王】を獲得しました]

[スキル【百獣の黄金獅子】を獲得しました]

[スキル【怒轟の欠片】を獲得しました]

[ユニークスキル【暴飲暴食の覇獣王(ベヘモット)】を獲得しました]



[〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉と〈怒轟の魔王〉による〈星戦〉が終了しました]

[勝者は〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉です]

[勝利した〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉には〈星域干渉権限〉が与えられます]

[勝利した〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉には追加でアイテム〈魔王の宝鍵:怒轟〉が与えられます]

[アイテム〈魔王の宝鍵:怒轟〉を使って勝利報酬を選択してください]

[アイテム〈魔王の宝鍵:怒轟〉は〈強欲/創造/錬鉄の勇者〉に帰属します]

[アイテム〈魔王の宝鍵:怒轟〉は指定回数の勝利報酬を選択後に消滅します]



 

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