2-1【思春期は少年を殺すっていうだろ?】
◇思春期は少年を殺すっていうだろ?◇
よっ。なんだか久しぶりか?
あれからまた、随分と時間が経ったよ。
あの日、十歳のあの日。
俺の第二の人生……転生の物語は、ようやく始まったんだ。
女神に授けられた――【無限】と言う力。
正式名称は【object・slider・resource・∞】……通称、【無限】だ。
あの能力発動がきっかけで、俺は魔法が使えるようになった……と言うていで、両親に説明をした。
実はそれは、同じ転生者のクラウ姉さんも同じだ。
俺の事はクラウ姉さんにはバレてはいないが、この世界のもとからの人間たちも、どうやらきっかけがあれば魔法が使えるらしい。
残念ながら、この村には居ないけどな。
世界は広い……俺が小さな村の学校で学んだこれっぽっちの知識では、圧倒的に情報量が少なすぎる。
それを何とも思ってない風を装って過ごすのも、流石にキツイ。
一度覚えてしまった異世界での生活。もっと戦いたいなんて物騒な事は言わないが、十年以上をこの辺境の村で過ごしている俺のスローライフと言ったら、並の胆力ではないと思うね。
だがそれもさ、限度だよ限度。
俺は先月……六月で十二歳だ。
いわゆる思春期と言うやつだ。
俺はさ、未だに二人の姉、そして妹と、俺の四人で一室を共有している。
堪ったもんじゃなかった。
レイン姉さんはもう十七歳だ。もう立派な女性だよ畜生!
弟じゃなかったらどれだけ好きになってたか、自分の理性に感服してるよ。
クラウ姉さんも十五歳。身長はともかく、身体つきは女性だ。
同じ転生者だって気付いてからも、姉として一緒に過ごしているけどさ、何と言うかさ、無防備なんだよ……俺の前だとさ。
二人共堂々と俺の前で着替えるし。下着までだぜ?
俺だって立派な男だ。下半身だって成長してるさ。今までは子供然とした精神だったせいか、女として見る事は無かったんだが……駄目だ。もう駄目。我慢できそうにない。
性欲がビンビンなのよ、言ってしまえばさ。
そんな俺は、学校から帰るのをあえて遅くしている。
なるべく家に居たくないんだよ。
二人の姉はめちゃくちゃ美人だし、妹のコハクは超かわいい。
おまけにレギン母さんはまたまた若返ってる。前に言ったよな、レギンママンがやけに若いってさ。
実は俺は、【無限】以外にも能力を持ってたんだよ。
ビックリしたわ……気付いたのは去年だ。
見つけたのは二つ――【豊穣】と【美貌】だ。
しかも常時発動型であり、どうやら【無限】の遥か前から発動していたようなんだよ……いや、まいったね。




