１－６９【イベントステージ2】
◇イベントステージ2◇
意外と簡単に入り込めたけど……だ、大丈夫なのか？クラウ姉さん、いきなり乱暴な事とかされないよな……？
俺は一人、納屋の裏手付近に隠れながら、様子を伺っている。
納屋を多少調べた結果、一か所だけ穴が開いている所を見つけたのだ。
そこからなら、身体の小さな俺が入れる。
クラウ姉さんは正面から盗賊を引き付けると言っていたが、俺はそれを信じて行動を開始した。
中央に連れられたクラウ姉さんは、男に押されて簡単に膝を崩し、ガルスの前で項垂れている。
顔を見えない様にしてるんだな……その証拠に、俺の方からはバッチリ見えている――っと……つまりは盗賊たちにも俺が見えちゃう可能性がある訳だ……気を付けねぇとな。
「おいおい、嬢ちゃん一人かぁ？」
「……はい」
「まっさか、バカみてぇに一人で来たのか？」
「……はい」
「こいつは傑作だな。今までも何度かこの国の村を襲ってきたが、ここまで無警戒……更には子供を一人で外に出す大人がいるとはな……」
あああっ～～！！俺も激同だよぉぉぉぉ！！
だけどな、一つだけ違うんだ――大人たちは子供を守ろうとした……それだけは確かなんだ！
「嬢ちゃん。お前は何をしにここへ来た？まさか、村ではもう知られているのか？俺たちの存在をよぉ……」
リーダーの男なのか、大柄の男は偉そうにクラウ姉さんに迫る。
クラウ姉さんの顎をゴツゴツした指で持ち上げ、舐めつくすように見下ろす。
「いえ……偶然、私がこの子が外に出るのを見かけただけで……気になって追いかけて来ただけです」
しかしクラウ姉さんはまったく動じることなく、予定通りの答えを述べる。
だが、盗賊親分は。
「ふん、そうか。なら丁度いいぜ、俺たちの相手――してもらおうかぁぁっ！」
て、てめぇぇぇぇ！！このロリコン野郎が！！カッコよく決めても顔が笑ってんだよ！鼻の下が伸びてんだよっ！この野蛮人共があぁぁぁぁ！！
「おいおい親分、こんな貧相なガキは好みじゃねぇなぁ」
「そうだぜ、こんなんじゃ勃たねぇよなぁ……」
「うふぁふぁふぁふぁふぁ！」
盗賊A・B・C！！言動と行動が違うんだよ！！速攻で脱ごうとすんな！！
「――い、いやっ……！！」
クラウ姉さんは勢い良く駆け出す。
反対方向にだ。つまりは、俺の位置から視線を逸らす方向という事だ。
「へっへっへぇ……待てって、楽しませてやるからよ～」
クラウ姉さんは壁際まで追い込まれ、完全に盗賊に囲まれている。
傍から見ればピンチそのもの……しかし、クラウ姉さんの顔は真剣で、恐怖など感じられない。初めから、どこにも恐怖心などないのだ。
何故なら……全てはクラウ姉さんの――計算通りだからだ。
