表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/1304

1-20【独特なんだよね、この子】



◇独特なんだよね、この子◇


 綺麗な貝殻には(ひも)が付いていた。ほら、貝殻ビキニで(ひも)を通すところだよ。

 そこに(ひも)(くく)りつけられていて、首から掛けられるようにされていた。

 サイズは大したこと無くて、三歳児の手のひらに乗るくらいの小さな貝殻だった。

 でも、これは確かに綺麗だ。

 ランタンの明かりで照らされて、虹色に(かがや)いている。

 レインお姉ちゃんがくれたこの貝殻、【キールの貝殻】は、どうやら相当珍しいヤツらしく、しかも虹色は滅多(めった)に出ないんだとさ。

 おい、誰だ「ガチャ演出みたいだな」と思った奴、正直に手をあげなさい。

 うん。俺は思っちゃったよ。


「よかった、似合ってるよ。ミオ」


「ありがてぇ……」


「――え?」


 あ!やべっ……心の声が。


「ううん。ありがとう!おねえちゃん!!」


 ニパァ――と花が咲くような笑顔で誤魔化(ごまか)す。


「そっか、よかった~……喜んでもらえて」


 セーフだ。流石(さすが)スクルーズ家のアイドルの笑顔。

 スクルーズ家の全員に特攻を持っているのだ。


 さて、最後は次女のクラウお姉ちゃんだな。

 ちらりと見た所、椅子には隠されていないが……箱に入れる程大きくはないという事か?それとも、箱に入りきらなかったから別の場所にあるのか?


「じゃあ最後だ。クラウ、いったい何を用意したんだい?確か、箱はいらないって言ってたが……」


「そうね、クラウ……いったいミオに何をプレゼントするの?」


 両親も知らないのか。

 クラウ・スクルーズ……スクルーズ家の次女で、俺の二番目のお姉ちゃんだ。

 寡黙(かもく)で大人しく、どことなく不思議(ふしぎ)な雰囲気を(かも)し出す女の子。

 正直言って、ルドルフにもレギンにも似ていない。

 顔はレギンに似ているけどな。性格は全然だ。


「……」


 お?どうしたんだ、(おもむろ)に立ち上がって……姉弟の部屋に置いてあんのかな?いや、でもそれらしいものはなかったけどな。


「……」


 え?何?俺の前で止まったんだけど。

 オヤジ殿もママンもレインお姉ちゃんも、キョトンとしてこっち見てますけど!


「ミオ……」


「な、なぁに?」


 マジで何?プレゼントは?

 そんな眠そうな目で見られると、こっちも眠たくな――


「はい、プレゼント――ちゅっ」


 は?……は?……はぁ?

 何?どうなってんの?目の前に……クラウお姉ちゃんの顔があるんだけど。


「あらあら、おませさんね~」

「ははは、クラウはミオが大好きなんだなぁ」


「……どう?うれし?」


 えっと……え?

 キスされた?口に?

 転生して、始めて意思と身体が統一したかも知んない。

 多分、俺の顔と考え……まったく一緒だわ。


「ミオったら、顔真っ赤よ?まるで意味が分かってるみたいね~」


 ママン……確かに、意味は知ってるよ。

 ママンにもオヤジ殿にも、飽きる程されてるよ。

 でもさ、影になって見えなかっただろ?


 この子……舌入れて来たぞ!?六歳だよな!?

 三歳児に何ともディープなキスをして来たんだがぁ!?

 どうなってんだよ!!前世の俺を(ふく)めても、ファーストキスだったのにぃぃぃぃぃ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ