1-18【三歳児へのプレゼントって何?】
◇三歳児へのプレゼントって何?◇
一様に「おめでとう!!」と俺を囲む家族に、俺も笑顔で「ありがとう!」と返す。心からの思いだ。噓なんか一つもないさ。
ただ、慣れていないだけで……別に緊張してるとかじゃないぞ?
「あら、どうしたのミオ……?」
うん。ママンは気付くよな。
そうだよ、俺はドキドキしてるんだ。
主に、家族それぞれの椅子に隠れてる小さな箱にさ。
「あー!ミオ……これ見てる」
長女のレイン姉ちゃんが、俺の視線に気付いてしまった。
やっべぇ……知らんうちにガン見してた!
「あ……えっ……う」
あぁもう、なんか上手く言葉が出ねぇよ。
気恥ずかしさと慣れない経験で、頭のいい子を装う事も出来ん!!
誕生日なんて祝ってやる側だったんだからな!
「はっはっは。ミオも子供だな!」
「うふふ、そうね」
残念だけど中身はおっさんだよ。精神年齢はルドルフ……お前と同い年だ。
それでも、俺はこの世界で……ミオ・スクルーズとして生きるんだ。
例え、このな~んにもないド田舎の村でもさ。
「ほら、ミオ!パパとママからのプレゼントだぞっ!」
「わ、わぁ……アリガトウ!」
アカン。めっちゃ棒読みになってしまった。
その一際大きい箱には何が入っているのか。去年の二歳の誕生日は、ママンの特製ご飯だけだったから……うん。期待してしまうよな。
三歳児への誕プレか……なんだろうな。
日本だったら、キャラクターのおもちゃとかか?
そう言えば前世で、弟の子供の誕生日に贈った日朝の女児向け変身グッズ……喜ばれたのだろうか。
……っと、変な事考えている内にオヤジが開封してやがった。
おいおい、普通は「開けてご覧」とか言わねぇ?
「じゃ、じゃじゃーん」
ん?もしかして、オヤジも緊張してんな?
封を解かれた箱、その中には……木が入っていた。
えっ――木?
おいおいやめてくれよ……木の怪物って呼ばれた前世の俺への当てつけですか?
いや……違うな。よく見ればその木の欠片たちは様々な形に切られて、加工されていた。
「……これはなーに?」
うん。もう分かってるよ、本当はね。
でも三歳児だし、聞いた方がいいだろ?
その返答を、ママンが言ってくれる。
なるほど、オヤジとママンは二人で一つの誕プレって事か。
「これはねミオ、積木って言うのよ?」
だろうね。積木だよどう見ても。
でもさ、三歳児に積木って遅くないか?俺の勝手なイメージだけどさ、一歳から二歳のイメージなんだが。
まぁ、じゃあ三歳児のプレゼントって何だよって聞かれたら、答えらんねーんだけどさ。




