3-2【苦労の甲斐はあるよな】
◇苦労の甲斐はあるよな◇
【スクルーズロクッサ農園】の野菜は、各国からの売れ行きが好評。
特に……【スクロッサアボカド】だ。
俺が能力――【豊穣】で強制的に育てた、環境に左右されない強い野菜たち(アボカドは果実だが)。
それがこの二年で、飛躍的に生産を増やして、ドンドン売っているよ。
【豊穣】のおかげと言ってしまえばそれまでだが、農園の人たちも頑張っている。
俺が個人で増やした種を植え、木まで育てたもの。
それを管理してきたのは農園の人たちだ。
だから、それからは俺は手を出してないんだよ。
本来なら、十年近い歳月をかけるアボカドも……能力の前では形無し状態。
大量に植え、学校裏の山に畑……とは言わないだろうが、アボカドの木が大量に生えている。
季節と環境に影響されないチート野菜や果実の生産は異常であり、こちらの手が追い付かないくらいなのだ。
そこで、父さんは【クロスヴァーデン商会】に申し出た。
従業員の募集である。
【豊穣の村アイズレーン】の人員だけでは手が足りなくなり、育てている他の野菜も大量にある為……どうにか人員を増やせないかと頼んだんだ。
その結果は、驚きの……「いいでしょう」の一言だってさ。
近いうちに、仕事を求めた若い衆がやって来る手筈だよ。
本当に、苦労の甲斐もあったと言うものだ。
村でほそぼそと野菜を育ててさ、自分たちが食べられる分を確保できれば、正直暮らしていけたのだ。
それでも、生活品なんかは商人からの購入で金は掛かっていた。
貧乏農家だったからな。
でも……今は違う。
【スクルーズロクッサ農園】は、今や国一番の農家なんだからな……多分。
多分、と言うのは……俺が【サディオーラス帝国】の他の町や村を知らないからだ……でも、それを言うだけの自負があったからだよ。
◇
今日は何をするって?
勿論……学校だよ。まだ十四歳、普通に学校さ。
レイン姉さんはもう、今年の九月で十九歳、立派なレディだな。
今は農園の仕事を手伝う事が多くて、現代風に言えば家事手伝い……かな?
でもってクラウ姉さんだが……十七歳になり、今年卒業予定だ。
まぁ、ほとんど通ってないんだけどな。
その理由だが……クラウ姉さんには、ある考えがあるらしい。
それを実行する為に、頑張っているよ……戦い方の勉強を……さ。
コハクは十月で十歳になる。普通に学校通いだけど、最近ませたんだ。
兄ちゃんって……呼ばなくなっちゃったんだよ……悲しい。
しかもだ、呼び捨てにするんだよ……俺だけ。
「ミオ」ってさ……多分、二人のお姉ちゃんたちやアイシア、ミーティアの真似なんだろうな……不安だ、将来が。
「行ってくるよ、母さん」
「はーい、いってらっしゃい」
忙しそうにするレギン母さんに挨拶をして、俺は外に出た。
景色が違うんだ……あの時とはな。
ふふふ……場所が違うんだよ。ここは、あのボロ家ではないのだ!
新居なのだよ、ここは。
スクルーズ家の……一年かけて建てた新居だ!!
つまりは村長宅だよ、そりゃあ――村一番に豪華さ。




