表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/1304

2-80【月の猫亭】



◇月の猫亭◇


 レイン姉さんの様子がおかしい……そう言ったよな?俺。

 もう絶対にそうだと断言できる。


 現在俺たちは、父さんとレイン姉さんが宿泊している宿に向かっているんだ。

 ミーティアさんの案内でさ。


 でもって姉さんがおかしい理由を説明しよう。

 俺の隣には、絶対に離れないと言う固い意志を持ったレイン姉さんが、俺の腕を組んで引っ付いている。

 迷子だったらしいから、怖かったのかな……と、思ってはいるんだが。

 もうさ……ずっと離れようとしないんだよ、いったいどうしちゃったの?


「ここですよ。宿屋……【月の猫亭】」


 ミーティアさんは機嫌よく、俺たちを案内してくれる。

 ……まぁ、初めてなのは俺だけなんだけどさ。


「すっごいですね……」


「でしょう?お姉ちゃんもね、この前はびっっくりしたの!お父さんなんか、腰ぬかしてたのよっ!?」


 レイン姉さんも興奮(こうふん)気味だ。

 腕痛てぇ。ギュッ――とされると、流石(さすが)に痛いよレイン姉さん。


「そうなんだ……あはは」


 想像が容易(たやす)くつくなぁ。でも、それも父さんらしいや。

 そんな俺が笑っていると、扉が開き。


「――あら。おかえりなさいミーお嬢様、その子が追加のお客人ですかぁ?」


「――!!……!?」

(なんだ……と……)


 扉を開けて出て来たのは、メイド服の女性だった。

 考えずとも、この宿の従業員だろう。


「こ、こんにちは……」


「いらっしゃーい。お客人……ようこそ【月の猫亭】へ。歓迎するよー」


 だがな、俺が(おどろ)いているのは……ただメイドさんだからじゃない。


 そうじゃないんだよ……俺が見るのは、彼女の……耳だよ。

 そう、耳だ。

 人間の耳じゃない、獣の耳(・・・)……そうだ!ネコミミだよぉぉぉぉ!!


「ミオくん……この子はキディ。キディ・クレセントって言うの。この【月の猫亭】で働く従業員よ」


「キディだよー。よろしくね!」


 バチン――!とウインク!

 目も猫のような目だ。


「……よろしくお願いします、キディさん」


 ふふふっ、はははははっ!

 異世界って言ったら――獣人だろ!

 エルフがいるって分かった時、俺は内心で思っていたんだよ!


 ネコミミさん来ねぇかなってなぁぁぁぁ!!


 はい?幼馴染とお嬢様?


 おいおいおい、違うだろ?……なにを言ってんだよお前ら!

 恋と趣味は――違う!!断じて違うんだからな!


 冷静になれって?

 お、おう……分かってる。冷静さ……ふぅ。


 という訳で……実はそんなにネコミミスキーじゃないんだよな。

 初めてのものに興奮(こうふん)してしまったんだ……恥ずかしい。


「ミオくん……?」


 ミーティアさんが心配してくれている。

 すんません……邪念で。


「あ、すみません……その、初めてだったので」


 俺の言葉に、キディさんが言う。


「あー、そうなの?お客人、獣人は初めてなんだねぇ?」


 語尾が上がるキディさん。


「すみません……し、失礼をしましたか?」


「――あはは、気にしてないよー。可愛いねー!」


 前世の俺で言えば……ギャルっぽい金髪とネコミミに、露出(ろしゅつ)の多いメイド服だ。背中がら空きでまる見えだぞ?

 更には軽めの口調と、少々焼けた肌……これはあれだな……童貞に優しいギャルだわ……うん。間違いないな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 読む側としてミオは精神年齢何歳と思っていればいいですか? ミオ的にもブレブレだと思っているでしょうが、特に恋愛がらみだとミオを40過ぎのおじさんと思って読むのと12歳と思って読むのとでは振れ…
[一言] ピコピコ動く耳と、感情を雄弁に語る尻尾(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ