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2-40【クラウVSジルリーネ4】



◇クラウVSジルリーネ4◇


 考えなさい私。


 攻撃を()けられる、防御に転じようとしても察知(さっち)される、ならば、いったいどうすればいいの……?

 今まで、私が村の人たちと訓練をしていても、盗賊や敗残兵と戦っても、誰も【クラウソラス】には歯が立たなかった。


 だから余計に悔しい……転生者は、凄く強い能力や武器を持っている。

 それなのに、こうも簡単にあしらわれた事に……自分の弱さに腹が立つ。


「いや、違う……」


「……?」


 そう、違うんだ……【クラウソラス】は、今でも充分に強い。

 頭や心臓を狙えば、それこそ意味不明なくらいに強い威力を持っているんだもの。

 手や腕、足に一撃見舞っただけで、行動を阻害(そがい)する事の出来る強い武器だ。


 私が……それを使いこなせていないだけであって、決して【クラウソラス】が弱い訳じゃない。言い訳並べないで、黙って戦いなさい、私!!


「私は……もっともっと強くなりたい。だから負けたくない……こんな所で負けられない!――行くわよっ【クラウソラス】!!」


 右手に魔力を籠める。

 心臓から流し込むように、ドクンドクンと魔力が送られて、剣の発光はより強くなり、思いに応えるかのように明滅(めいめつ)を繰り返す。


「……な、なんという魔力だ……こんなに小さな子供が、これほどの!?」


 能力――【クラウソラス】には、魔法剣としての力だけじゃない、他の力も(ふく)まれている。

 それは光の剣(クラウソラス)些細(ささい)な力だが、それでもそれは……私を強くする、一つのパーツなのだから。


「――【閃光(フラッシュ)】!!」


「なん……」


 カッ――!!と、光の剣から発せられる瞬間的な光。


 【クラウソラス】の能力の一つ、それは……光の派生魔法を使用可能にするという力だ。私が唯一使えたのは、回復の魔法だけ……二年前に使用して以来、使ってないけど。


 それでも、魔法がどういうものでどうやって使うかくらいは自分で勉強したから、おおよその使い方は分かる。

 【閃光(フラッシュ)】……一種の目くらましね。

 だけどそれと同時に、使用者(わたし)の素早さも上昇させてくれる。


「……そこっ!」


「――なにっ……速い!?」


 私は一瞬にしてジルリーネの背後を取り、太腿(ふともも)目掛けて斬り上げる。

 考えた結果、私の持つアドバンテージは、その体格差だと思った。

 自分で小さいと言うのは(しゃく)だけれど、このジルリーネと言うエルフの騎士との身長差は……約三十(センチ)

 さっきやられたお返しよ。


 狙いは急所……ではなく脹脛(ふくらはぎ)

 流石(さすが)に、今から話を聞くって言う相手の急所は狙えないわ。

 分かってるわよ。話を聞くって言ったその時点で、止めればいいって事くらい。


「――ちぃっ!!」


 貰った!行ける!!ジルリーネは完全に出遅れていたし、目くらましに油断して(あせ)った顔を見せる。

 私は完全に背後を取っていたし、この体勢からなら完全に()けられることはないはずだ。


 せめて、一撃を入れる!!

 しかし――私の考えは甘かった。


「――【魔障壁(マ・プロテク)】!」


 は?何それ聞いてない……!


 バチンッッ――!!バチバチバチ!


「――ぐぅ……ううううっ!」


 【クラウソラス】が、何かに阻まれた(・・・・)

 こんなの、初めての手応えだ。これが、剣がぶつかる感覚……なのね。

 手が痛い……ジンジンする。


「魔法には魔法と言うわけだ……わたしはエルフだからなっ!お手の物さっ!」


「――し、知らないわよそんなの!!」


 私に、エルフが魔法を使えるなんて知識……ないんだから。


「そうか。ならば……それが敗因だなっ!」


 視界に……何かが一瞬だけ映り込む。


「――がっ……!」


 あー……痛い。

 これってなんだっけ、掌底(しょうてい)

 (あご)に思い切り入った。視界が回転する……意識が薄れる。

 ああ、そうか……こんなにも、負ける時はあっさり負けるんだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 延びた鼻は早めに折られた方がいいんだよ 何しろ、力を隠してしか相手をしてくれない弟しか相手が居ないからね~
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